2022年10月に大規模な酒類の値上げが発表!ビールの値段の移り変わりと今後の対策

大手4社(アサヒビール、キリンビール、サッポロビール、サントリー)から、ビールの卸売価格の値上げが約14年ぶりに行われると発表がありました。

この記事では、2022年10月の酒類値上げについて、ビールの値段の移り変わり、飲食店での対策についてご紹介していきます。
酒類の値上げについて知りたいと考えている方、酒類の値上げにどう対応していくかお悩みの飲食店様は、ぜひ参考にしてみてください。

なお、業務用酒販店のなんでも酒やカクヤスにご相談頂ければ、メニュー提案や酒類値上げの対策についてご提案致します。値上げ時のメニュー作成・変更も無料で承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

2022年10月にビールなど酒類が値上げ

2022年10月から大手4社が一斉に酒類の値上げを行うと発表しました。まずは、酒類が値上げする理由や、各社の値上げ対象を詳しくご紹介します。

原材料の高騰による値上げ

大手4社が一斉に値上げを行うのはなぜなのでしょうか?値上げの背景には、大麦やトウモロコシといった原材料の高騰、原油高による物流コストの上昇などがあります。
これらの価格の上昇は止まる気配がなく、今後も上がり続けていくことが予想されるため、価格を据え置くことが難しくなっています。

他にも、アルミなどのコストが上昇することも理由として挙げられ、このままの価格では原材料の高騰によって数百億円の事業利益への影響が出てしまうということから、卸価格を値上げすることに踏み切ったのです。

値上げする酒類は?

2022年10月1日から値上げする酒類は、ビール、発泡酒、第三のビールに加えて、ウイスキーやRTD(そのまま飲めるアルコール飲料)などです。

以下は、各社が発表している値上げが予定されている酒類です。

  • サントリー …… ビール類63品目・ RTD93品目
  • アサヒビール …… ビール類152品目・ 国産ウイスキー10品目
  • キリンビール …… ビール類、輸入ウイスキー278品目
  • サッポロビール …… ビール類、RTD121品目

日本のビールの歴史とは?値段の移り変わりとともに紹介

実は昔は高級品だったというビールは、どのような歴史をたどって値段が移り変わってきたのでしょうか。
ここからは、日本のビールの歴史を値段の移り変わりとともに紹介します。

江戸時代後期に日本へ輸入された最初のビール

日本にはじめてビールがやってきたのは江戸時代の後半だとされています。当時の文献である「和蘭(おらんだ)問答」は、オランダ人から得た情報を記した書物。
この和蘭問答には、1724年(享保9年)にオランダ商館長が江戸を訪れた際に振る舞われたというビールについて、以下のように記されています。

酒はぶどうにて作り申候。また麦にても作り申候。麦酒給見申候処、殊の外悪敷物にて何のあぢはひも無御座候。名をビイルと申候

「何の味わいもない」と記されているビールは、日本人がはじめてビールに関して記述したものとされていて、この時代から「ビイル」と呼ばれていたことがわかります。
はじめてビールを飲んで「苦い!」と感じた当時の人々の気持ちがわかるような文献です。

出典元:「1724年『和蘭問答』に日本人が書いた初めてのビールの味の記述」キリンホールディングス株式会社

明治初期に日本初のビール醸造所が開設

1869年(明治2年)に、日本初のビール醸造所「ジャパン・ヨコハマ・ブルワリー」が横浜に開設されると、横浜に西洋料理店の開業が相次ぎ、ビールが流行していったといいます。
明治20年代になると東京の小売酒屋ではビールを取り扱うところも増えてきますが、この頃のビールは高級品とされていました。

  • キリンビール大瓶 …… 18銭
  • キリンビール小瓶 …… 11銭

当時、一杯のそばが1~2銭という時代なので、現在の値段に換算すると大瓶のビール瓶1本で2,000円以上という感覚になります。

そのため、庶民には手が出ない飲み物ともいえたビールですが、1杯5~10銭のコップ売りが開始され、庶民の間にも普及していきます。
明治末期には富裕層の間で冷蔵庫が家庭で使われ始めたことから、ビールを冷やして飲むという行為が流行し、その後カフェや喫茶店で飲まれるようになったビールは、徐々に庶民にも手が届く値段に変化しながら親しまれていきます。

大正~昭和でビールの生産量が増える

大正時代になると、ビールの生産量は一気に増え、その結果1本あたりのコストが下がったことで大瓶1本30銭(現代に換算すると約1,200円)まで価格が下がります。

昭和に入ると、関東大震災から立ち直った東京にカフェ、バーなどが多数でき、ビールを飲む習慣が広がりつつも、家庭でビールが飲まれる量は全体の消費量のうちごくわずかでした。

昭和時代は生産技術の向上によって価格が大幅に下がる

戦後1955年(昭和30年)ごろから1973年(昭和48年)にかけての高度成長期で、「三種の神器」としてテレビ、洗濯機、冷蔵庫が普及しはじめたことによって、家庭でも冷たいビールが飲めるようになり、ビールの消費量は一気に上がます。
この頃のビールの値段は、昭和30年で大瓶1本125円(現在に換算すると1,000円)、昭和48年で大瓶1本160円(現在に換算すると408円)となっており、高級品とされていたビールが、生産技術が向上したことによって、価格が大幅に見直されていることがわかります。

1958年(昭和33年)には、日本で初めての缶ビールがアサヒビールから発売され、経済の成長と生産技術が向上したことによって、ビールは手に入れやすい価格帯になってきます。
この頃は「レジャーブーム」といって、海や山、映画館などのレジャースポットが人気に。野球場で生ビールを飲みながら観戦するなどといった楽しみ方も一般的になりました。

平成になり発泡酒や第三のビールが発売される

1980年代後半からお酒のディスカウントストアが登場したことや、1995年以降にスーパーマーケットやコンビニエンスストアでお酒を取り扱えるようになったことで、消費者が好きなときに好きな銘柄のビールを楽しめるようになりました。

1990年代中ごろになると、低価格で楽しめる「発泡酒」が登場します。さらに、2000年代前半に登場した「第三のビール」(ビール、発泡酒とは別の原料、製法で作られた、ビール風味の新ジャンル発泡アルコール飲料)など、さまざまな価格帯でビールが楽しめるようになります。
さらに、地ビール製造の規制緩和によってクラフトビールが広がったことや、輸入ビールの人気が拡大するなど、ビールの人気は多様化していきます。

最近は「微アルコール飲料」が人気

近年、アルコール度数の低いお酒「微アルコール飲料」がブームになっています。「アルコールが苦手な方でもビールを楽しめる」という需要があるため、一部飲食店では微アルコール飲料を前向きに導入しています。
とはいえ、新しく開拓されたジャンルなので、微アルコール飲料について知らない方も多いでしょう。業務用酒販店のなんでも酒やカクヤスでは、微アルコール飲料の取り扱いはもちろんのこと、仕入れの相談等も承っております。

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今後の酒税改定の予定は?

日本では、お酒に対して税金がかかっていて、アルコール飲料を購入する際に消費税の他にも酒税を負担しています。
2018年4月の酒税法改定によって、2020年10月に税率が変更されましたが、今後2026年までにさらに税率が変更される予定となっています。

発泡酒、第三のビールは酒税の税率が低いため、ビールと比較すると割安となっていましたが、酒税法改定によってビールの定義変更が行われ、ビール、発泡酒、第三のビールはビール系飲料として酒税率の一本化が行われます。

具体的には、以下のように変更する予定となっています。

改定前 2020年10月 2023年10月 2026年10月
ビール 77円 70円 63.35円 54.25円
発泡酒
(※)
46.99円 46.99円 46.99円 54.25円
第三のビール 28円 37.8円 46.99円 54.25円

(※)麦芽比率25%未満の発泡酒に掛かる税率
(注)税率は350ml換算当たり

発泡酒とチューハイは2026年10月まで税率が据え置きとなり、2026年10月に向けて税率を揃えるという形になります。
そのため、発泡酒と第三のビールは酒税が上がるのに対して、ビールの酒税は下がるということが起こるのです。

ビールの価格高騰に対する飲食店での対策

ビールの価格高騰は避けられず、飲食店としても価格を上げなければ利益を確保することが難しくなってしまいます。
だからといって、ただ価格を上げるという行為は、消費者に対してあまり印象のいいものではないのも事実です。飲食店で行える対策としては、以下のような戦略が挙げられます。

対策1.海外ビールに力を入れる

飲食店で行える1つ目の対策は、海外ビールに力を入れることです。海外ビールは、もともと価格の高いビールですが、消費者にプレミアム感を与えることができ、飲食店様にとっても客単価アップに繋がります。
近年コロナ禍において、飲食店に行けない状況が続く中で、各社がさまざまなビールを発売したことによって、消費者はビールの種類が数多くあることを実感しています。
ぜひ、このタイミングに海外ビールの導入もご検討ください。

海外ビールについて、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
日本ビールにはない海外ビールの魅力とは?おすすめのラインナップ8種をご紹介

また、アンハイザー・ブッシュ・インベブが開発した、軽量で開栓後でも最大で約4週間鮮度を保持が可能な二重構造のペットボトルビール樽「PureDraught(ピュアドラフト)」で他店との差別化を図る飲食店も増えてきています。

ピュアドラフトの特徴などについては、こちらで詳しくご紹介しています。
ピュアドラフトの特徴とプレミアムビールの重要性|いま導入を検討すべき理由とは?

生ビールの値上げに対して、ビールの品質を向上させ、美味しいビールが飲めるお店だということをお客様にアピールする事も大切です。

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対策2.コストダウンを図る

提供する商品を代替商品によってコストダウンを図るのも1つの手です。ビールの値上げの影響により、経営難を強いられるのはすべての飲食店共通の課題です。
「ビールの原価が上がったから提供価格を値上げする」という単純な戦略では、お客様満足度の低下につながる恐れがあるため、効果的な戦略とは言えません。

そこで、ビールを含めた提供する商品の見直しで、コストダウンを図ることにより、これまでと同じ価格帯で商品を提供できます。相対的に、他店舗よりも安い価格帯で商品を提供できるため、競合相手に差をつけることが可能です。

代替商品によるコストダウンの一例

  • プレミアムビール → 通常のビール
  • メーカー商品 → プライベートブランド商品
  • 油などの調味料を、通常商品 → 業務用商品、大容量商品

ただし、この代替商品に代える戦略は、前途で解説した「海外ビールでプレミアム感を与える」という戦略と反しています。これは、どちらか一方の戦略が正解というわけではなく、店舗の方向性や客層によって取るべき戦略が異なるため、それぞれの特徴を比較し、自店舗に適した戦略を選択しましょう。

業務用酒販店なんでも酒やカクヤスであれば、多数のメーカーとのお取り引きがあるため取り扱い商品数も多く、カクヤスプライベートブランド商品も酒類だけではなく調味料やソフトドリンクなど、多岐にわたりご用意しているため幅広いご提案が可能です。
さらにカクヤスは飲食店の取引先数が首都圏シェアNo.1であるため、他店舗の動向と比較した上での導入相談も可能です。

商品のコストダウン以外にも、廃棄コストや光熱費・原価の削減も対策としては効果的です。商品のコストダウンとあわせて、以下の記事もぜひご確認ください。

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対策3.新商品で攻める

飲食店が行える3つ目の対策は、新商品で攻める戦略です。単純な値上げを行うのではなく、新商品を扱ってアピールすることで、お客様から注目を集めることができます。
例えば、今流行りの「微アルコール飲料」を導入し、高アルコール度数が苦手なお客様にアピールする。もしくは、2022年10月4日から一般飲食店向けに全国販売が開始される、炭酸水で好きな濃さに割って飲む「ビアボール」を仕入れ、話題性により若年層のお客様を獲得する。などの戦略が考えられます。

「微アルコール飲料」と「ビアボール」について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
微アルコールが流行っている理由とは?新たな顧客層獲得に向け
炭酸水で割って飲む新感覚ビール「ビアボール」が誕生!実際に飲んでみた感想も紹介

業務用酒販店のなんでも酒やカクヤスは、商品の見直しや代替え提案なども承っております。​​ロットの縛りがなく、1本からの導入にも対応している商品が多数あるので、ぜひ一度お問い合わせください。

まとめ

古くから日本で親しまれてきたビールは、当初高級品とされていて、一般家庭ではなかなか手に入れることが難しい値段で販売されていました。
しかし、徐々に値段が下がりバーや居酒屋など、さまざまな場所で飲めるとともに、家庭で缶ビールを片手にTVを見るといったスタイルも確立されていきます。

2022年10月に行われる酒類の値上げは、消費者だけではなく、飲食店にとっても痛手となりますが、単純に値段を上げるのではなく、お客様により喜んでいただけるような対策を考える必要があります。

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なんでも酒やカクヤスでは、飲食店様に向けたさまざまなサポートを行い、お店のご繁盛を総合的にバックアップいたします。メニューの提案や酒類値上げに対しての対策なども提案させて頂きますので、ぜひお気軽にお問合せください。

この記事を書いた人

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