居酒屋を開業するにはどうすれば良い?必要な資格や届け出、開業までの流れを解説
居酒屋開業に興味のある方は多いようですが、そもそも居酒屋の開業にはどのような準備が必要で、資格や届け出はどうすれば良いのでしょうか?
各種の準備や手続きが複雑そうで、苦手意識を持ってしまう方や不安になる方もいるでしょう。しかし、手順を理解すれば、どなたでも居酒屋の開業は可能です。
今回の記事では、居酒屋に注目し、開業に必要な資格や届け出、各種手順に関して解説します。
居酒屋の開業前に確認すること
「居酒屋を開きたい」と思ったら、まず以下のポイントを確認しておきましょう。
スケジュール
居酒屋開業には、少なくとも1年ほどは必要です。ただし、工事が遅れたり、スケジュールにズレが生じたりすればさらに時間がかかる可能性も十分あります。
費用
店舗の規模や営業内容にもよりますが、居酒屋開業には、初期費用と運転資金込みで平均して600~1,000万円ほどの開業費用がかかります。基本的に融資を受けることになると思いますが、融資と自己資金を合わせた金額で、いくら用意できそうか試算してみましょう。
資格
食品衛生責任者資格および飲食店の営業許可は、業態の種類に関わらず、すべての飲食店に必要なものです。なお、店舗の収容人数が30人を超える場合は、防火管理者の配置も求められます。
コンセプト
お店の立地・席数やコンセプトは、開業後になかなか変更しにくい部分です。
飲食店開業後3年以内の廃業率は、5割とも7割ともいわれています。コンスタントにお客様に来店してもらうためにも、 ターゲット層に響く明確なコンセプトを考え、軸のしっかりした経営を行ないましょう。
立地・席数
コンセプトと立地の関係も大切です。コンセプトは明確でも、ターゲットとする客層が少ないエリアであれば、思ったような集客はできません。
庶民的な価格の回転率の高い居酒屋の場合、駅前や商店街がぴったりです。逆に高級路線であれば、多少の立地の悪さは問題ではないでしょう。
また、出店したいエリアにすでにある、競合店の状況を調査することも大切です。競合がいる場合は、どのように差別化を図るのか、異なるターゲット層を狙いにいくのかなど、さまざまな観点から経営方針を考えましょう。
居酒屋開業までの手順と流れ
居酒屋を開業するまでの、具体的な手順と流れについて説明します。同時進行しなければならないタスクも多いため、タスク管理表などを作成して「何をいつまでにやるのか」を把握できるようにするとよいでしょう。
コンセプトの決定
最初に、居酒屋の「コンセプト」を決めます。「ターゲットにする客層にどのようなお酒や料理を提供するのか」がコンセプトの基本です。慎重に検討してください。
ブレないコンセプトが大切
コンセプトが曖昧でブレがあると、メニュー・接客・内装・外装など、あらゆる面に迷いが生じます。
ブレないコンセプトを掲げるには、「居酒屋を開業する」と決意した理由や経緯について、あらためて考えることも大事です。
また、自分のやりたいことだけではなく、流行や居酒屋利用客の動向も考慮してください。
コンセプトと回転率
回転率の高いお手頃価格の居酒屋か、品質重視のこだわり居酒屋かなど、どのようなコンセプトで勝負するかによって店舗作りは大きく変わってきます。予定するコンセプトの居酒屋は実現可能かどうか、資金・スケジュール・スタッフの確保などさまざまな面から検討してください。
テナント探し
コンセプトをベースに、出店場所を考えましょう。ここでも回転率は重要なポイントです。また、出店場所がすでに決まっているケースの考え方も説明します。
出店場所と回転率
回転率の高い居酒屋であれば、人通りの多い商店街や駅の近くなどがぴったりです。こだわり路線の居酒屋の場合は、少し静かな場所のほうが良いかもしれません。
居酒屋の場合、基本的に「席の数×回転数」が売上につながります。席数が少なければ回転数を増やす必要があり、席数が多ければ回転数が少なくても問題ありません。
また、回転数は、お店のコンセプト・メニューにも左右されます。単価が高いタイプの店であれば、回転数はあまり高くなくても大丈夫でしょう。
出店場所が決まっているケース
自宅兼用物件や所有物件での開業など、出店場所がすでに決まっている場合はどのように考えれば良いのでしょうか?
そのような場合、コンセプトにこだわりすぎるのはリスクがあります。ターゲットの客層を出店エリアに合わせ、メニュー・内装・接客・営業時間などを検討することをおすすめします。
資金調達
融資を受けるために必要な「事業計画書」の作成と、資金計画の重要性を解説します。
事業計画書
居酒屋を開業する方の多くは、銀行などの金融機関から融資を受けることになるでしょう。
融資を受けるためには、資金調達先に事業を説明する必要があり、事業計画書は、事業内容を整理し第三者に説明できるようにするために作成する書類です。
融資に必要な「事業計画書」の書き方は、以下の記事で詳しく解説されています。何を書けば良いのかわからない方は、ぜひご一読ください。
資金計画の重要性
資金計画は、居酒屋を成功に導くポイントです。資金繰りに失敗すると閉店するしかなくなるでしょう。
資金に余裕があれば、家賃・内外装工事・広告費などへの高額な投資も問題ありませんが、よほどの余裕がない限り、無理な投資は禁物です。店舗運営には開店資金だけでなく営業中の運転資金も必要なうえ、内装工事費などが予定よりも増えてしまうことは珍しくありません。
居酒屋の開業には、物件取得費・内外装工事・厨房設備・電気工事費・人件費など、さまざまな費用が発生します。綿密な資金計画を立てておかないと資金不足に苦しむ事態を招きます。
仕入れ先の決定
食材・飲料・消耗品など、店舗営業に必要なアイテムの仕入れ先を決めます。仕入れ先を見定めるには、複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討することが大事です。
なお、単価も大切な要素ですが、それ以外にも大切な以下のポイントを意識してください。
- 配送日
- 在庫が少なくなっても安心できるよう、年中無休で配達してもらえる仕入れ先を選びましょう。
- 小ロット対応
- 小ロット注文で仕入れられると、在庫を抱える必要がなく、柔軟な店舗運営が可能です。
- 情報提供
- 地域のトレンド・競合店・店頭価格などの情報収集には、かなりの時間・労力が必要です。地元に強い営業担当がいる仕入れ先なら店舗経営の味方になってくれます。
- 提案・アドバイス
- 地域性・お店のコンセプト・客層に合わせた提案や、アドバイスをしてくれるとベストです。
- 酒造メーカーとのパイプ
- 大手の業務用酒販会社は、酒造メーカーとの太いパイプを持っています。うまく関係性を築ければ、メーカーと共同のサービス提供が受けられるでしょう。
仕入れ先・購入先の探し方は、以下の記事で詳しく解説されています。
資格を取得し内装を整える
コンセプトや立地・仕入れ先などが決まれば、食品衛生責任者や営業許可といった、飲食店の営業に必須の資格や許可を取得しましょう。収容人数が30人を超える店舗は、防火管理者も必要なので注意してください。
また、0時以降も営業する場合、「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書」も必要です。
食品衛生責任者
食品衛生管理者とは、衛生管理の責任を負う資格です。取得するには、都道府県知事などが行なう講習会を受ける必要があります。
なお、栄養士・調理師・製菓衛生士などは、講習会受講が不要です。受講料は東京都で1万2,000円、講習自体は1日で完了します。
防火管理者
防火管理者になるためには、都道府県知事・消防長の防火管理講習を受けます。講習は乙種と甲種に分かれていて、店舗の延べ面積や収容人数などにより受講すべき種類が異なります。
乙種講習は1日約5時間、受講料は7,000円、甲種新規講習は2日約10時間で受講料は8,000円です。
内装工事
内装は、内装業者に依頼するのかDIYで自ら行なうのかで、コストや仕上がりが変わってきます。時間に余裕がある場合や、内装にこだわりがある場合はDIYで行なってもよいでしょう。もちろんDIYのほうがコストは抑えられますが、相応の労力や資材の購入費用などがかかることは理解しておいてください。
メニュー作成
フードやドリンクなどのメニューを、どのように作成するかも考えておきます。フリーで使用できるテンプレートも多くありますが、無料で作成してくれる業者もあるので、ぜひ活用してみてください。
ドリンクメニューの考え方に関しては、以下の記事で詳しく解説されています。
開業に向けて集客スタート
開業前の集客は、デジタル・アナログ両方の観点から考えることが大事です。
SNSの活用は欠かせない
SNSを上手に活用し、開業準備の様子などを紹介しながら、実際の開業日までに集客を行ないましょう。「いいね」や「コメント」「フォロー」を活用すれば、開店前でもお店のファンを増やせるかもしれません。
リアルタイムで店舗が完成していく雰囲気を共有したり、スタッフの様子を投稿したりと、オープンに向けて臨場感を演出することが大事です。
アナログな手段も検討する
SNSのようなデジタル的な集客以外に、チラシを配るなどアナログな集客方法も検討しましょう。
保健所への営業許可申請と立入検査
居酒屋を開業するおよそ1ヵ月前には、保健所に営業許可を申請して立入検査をしてもらいます。
検査の中心となるのは衛生面で、流しや手洗いの位置、厨房と客席の分断などがチェックされます。店舗着工前には、所轄の保健所に事前に相談しておくとスムーズでしょう。
保健所に事前相談をしたうえで、営業許可申請を提出してください。保健所の施設検査が終わったあと、営業許可証が交付されます。申請の際には、以下の書類が必要です。
- 営業許可申請書
- 施設の構造・設備がわかる図面
- 食品衛生責任者の資格を証明できるもの
- 水質検査成績書(水道水・専用水道・簡易専用水道以外の水を使用の場合)
営業許可申請の手数料は、東京都で1万8,300円です。
居酒屋開業にかかる費用と資金
日本政策金融公庫の調査によると、「飲食店を開業した人」の飲食店開設費用は883万円です。また、全体の26.8%が、開業時に注意しておけば良かった点として「自己資金不足」を挙げています。
居酒屋の開業には、初期費用以外にも多くの費用が必要です。一般的に飲食店は、売上が安定するまでには半年以上かかるといわれています。そのため、開業する際には安定するまで最低限暮らせるだけの生活費や、居酒屋経営を続けるための「運転資金」を用意しておきましょう。
居酒屋経営には、多くの人がイメージしている以上に費用がかかるといえます。
【運転資金の例】
- 家賃
- 水道光熱費
- 人件費
- 仕入原価
- 広告宣伝費
参考:「創業の手引+(プラス)」日本政策金融公庫
居酒屋開業を成功させるコツ
居酒屋を開業するからには、利益を出し、事業として成功させたいものです。居酒屋開業を成功させるにはどうすれば良いのか、具体的に解説します。
コンセプトをしっかりと決める
まず、どのようなコンセプトの居酒屋にするのかを、明確にすることが大事です。「ターゲットの客層に、どのようなお酒や料理を提供するのか」はもちろん、「なぜ居酒屋を開こうと思ったのか」も考えるようにしましょう。
なお、コンセプトを決める際は、コンセプトシートの使用がおすすめです。イメージが具体的になり、開業に関わる方たちと考えを共有できます。協力して開業を迎える店舗スタッフたちと考え方のベクトルを同じにすることで、順調に開業できるでしょう。
コンセプトシートに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
お店を出す場所をしっかりと分析する
出店場所によっては、コンセプトが合わない可能性があります。例えば、「静かに楽しめる居酒屋」を目指しているのに学生の多いエリアに出店してしまったら、集客は厳しいでしょう。近隣にすでに似たようなタイプのライバル店がある場合、ライバル店に勝てる見込みがなければ少し無謀かもしれません。
事前に集客をしっかりと行なう
お店が開業してから集客開始するのでは、開店直後の集客に結びつかず、スタートダッシュできません。お店の開店準備の段階から、集客を行なうことが大事です。
集客をするには、前述のとおりSNSなどを使って、「開店準備」の様子を共有しましょう。内装やメニューのチラ見せも、興味を持ってもらえる可能性があります。投稿だけでなく、「いいね」やコメント・フォローでフォロワーを増やし、開店前から「ファン」を作っておくことをおすすめします。
居酒屋の開業準備でカクヤスに依頼して助かったこと
国内業務用酒販で売上No.1のカクヤスで、開業準備のサポートを受けた店舗からいただいたコメントを紹介します。
居酒屋A様
居酒屋を始めたいと思ったときは、まったく知識がない状態で、正直「手続きは大変そうだな」と思っていました。
困っていたときにカクヤスに相談したら、開業に必要な手続きを初心者でもわかるよう簡潔に説明してもらえて、本当に助かりました。居酒屋の開業に必要な業者を紹介してもらえたのも、ありがたかったです。店内BGM・レジ関連・おしぼりなどの業者は、最初はどこにお願いすれば良いのかまったくわからないので。
店舗周辺に関する最新情報も教えてもらえるので、個人での情報収集に必要以上の時間を使うこともありません。アドバイスのおかげで、もっと良いお店にするにはどうするか考えることに集中でき、安心です。
私のお店に合わせて、流行やトレンド、価格などの面でお酒のプロならではの提案があり、いつも参考になります。
居酒屋B様
居酒屋といえば、やはり注文が多いのがビールです。カクヤスでは、ビールサーバーが無料でレンタルできるのが本当に助かっています。設置からメンテナンスまでお願いできるので、ありがたい限りです。
生ビール講習会も開催してもらい、うちのスタッフのビール知識はかなりレベルアップしました。お客様からも、「ビールのおいしいお店」と認識してもらっています。
居酒屋の経営ではアルコール類のラインナップが大切ですが、季節や流行に合わせた提案もしてもらえてすごく役立ちます。カクヤスの提案でメニューに加えたドリンクの反応が良いと、「やった!」と小さくガッツポーズです。
また、メニュー表を無料でデザインしてもらえるのも良いですね。せっかくメニューに加えても、メニュー表・POPがなければお客様に注目してもらえませんから。グランドメニューも含めて、ドリンクメニュー表作成はすべてカクヤスにお願いしています。
居酒屋C様
ドリンクメニューにはこだわりを持って、開業準備をしていました。カクヤスは多くの酒類メーカーと取引しているので、日本酒・ビール以外にも、ウイスキー・スピリッツ・リキュールなど欲しいお酒はすべて仕入れられています。
多くの商品が小ロットで対応しているのも、助かっている点です。必要な分だけ仕入れられるので在庫を抱えることなく、効率的に利益を上げられています。
お客様コメントまとめ
総じて「業務用酒販ならではの、きめ細かいサポートが助かった」という声をたくさんいただいています。開店準備段階のサポートは「自分だけでは解決できなかった」といった感想が多く、開業後の提案・アドバイスを参考にしている店舗も多いようです。
まとめ
居酒屋を開業するまでには、コンセプトの検討から、物件探し・資金調達・仕入れ先検討・資格取得・内装工事・集客・営業許可申請のような、多くの手順があります。
できるだけ無駄をなくして準備を進め、スムーズに開業するにはプロのサポートを受けることがおすすめです。開業前の準備段階からサポートしてもらえる業者に、協力を依頼してみてはいかがでしょうか。また、利益率を左右するアルコールの仕入れ先をどこにするかも、居酒屋経営成功のポイントになります。
飲食店の開業サポートも行なっているカクヤスなら、お酒の仕入れはもちろん、開業前も開業後もトータルでサポートが可能です。開業を検討されている方は、カクヤスの無料相談に気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
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