居酒屋経営者の年収は安定しない?平均年収や収入を増やすためにできること

「お酒が好き」「料理を美味しいと言ってもらうのが好き」という思いから、居酒屋を開業したいと考えているという方もおられることでしょう。
しかし、昨今の新型コロナ感染症の影響などによりほとんどの飲食店は売上の落ち込みを経験しており、依然として危機的な状況にあることは、メディアの報道などでご存じの方も多いのではないでしょうか。

たしかに居酒屋を含む飲食店の経営は、独自のアイデアが勝負の明暗を分けるといっても過言ではなく、コロナ禍にもかかわらず経営が安定しているお店があるのも事実です。
中には、テレビやSNSなどで話題となったことで大幅に収入が増える場合もあるため、成功すれば年収1,000万も夢ではありません。

とはいえ、「本当に居酒屋を開業してやっていけるのか」「どうすれば居酒屋の経営で安定した収入が得られるのか」と不安な方も多いはず。
そこでこの記事では、居酒屋経営者の年収が安定しない理由と平均年収、収入を増やすためにできることをご紹介します。

居酒屋経営者の年収が安定しない理由

居酒屋は、お酒や枝豆、冷奴など利益率の高い商品を多く取り扱うことができるうえに客単価も高いため、飲食店の中でも利益率が高いのが特徴です。
また、最近ではキャッシュレス対応の居酒屋も増えているものの、仲間と現金を出し合って支払うケースも多いことから、売上の多くを現金回収できるというメリットもあります。
にもかかわらず、居酒屋経営者の年収は安定しないといわれるのは一体なぜなのでしょうか。ここでは、居酒屋経営者の年収が安定しない理由についてご紹介します。

売上が一定ではないから

居酒屋は、気候や流行などによって売上が変動しやすいというデメリットがあります。
たとえば、夏の暑い時期は冷たいビールやさっぱりした美味しいおつまみを求めて、冬は忘年会などで居酒屋を利用するお客様も多くなるため売上は増えるでしょう。それに比べると、春や秋は売上が減少しやすいので、1年を通して安定した利益を得るのは難しくなります。

また、最近はSNSを利用して集客を行っている居酒屋も多く、一時的に流行して売上が伸びたものの、それが落ち着いてしまうと売上も下がる可能性が高いです。
しかも、居酒屋などの飲食店は、食材やお酒の仕入れにかかる費用やスタッフの人件費、家賃など多額の費用が毎月必ずかかります。
万が一売上が予測を下回ってしまった場合、すぐに赤字経営に転落する可能性も。そうなると、経営者は収入がほとんどなくなってしまう恐れもあるため、注意が必要です。

集客が難しいから

数ある飲食店の中でも、とくに居酒屋は競合店も多く、同じようなサービスやメニューを提供しているお店がたくさんあります。
日々たくさんの居酒屋が開店と閉店を繰り返す現代では、年々激化する競争に勝たなければ売上も上がらず、経営者の収入につながりません。

しかも、コロナ禍以前よりも居酒屋を利用する方が少なくなっており、出店エリアごとの顧客数はある程度限られてきています。そのため、少ない顧客を多くのライバルと取り合う状況となってしまい、売上を伸ばしにくくなっているのが現状です。
さらに最近では、競合店に勝とうと安い価格でサービスを提供する居酒屋も増えています。それに合わせて自店でも同じようなサービスを行うと、当然利益率も悪くなり、結果的に経営者の収入も少なくなってしまうのです。

居酒屋経営者の年収はいくら?

ひと口に居酒屋といっても、小さなお店もあれば大きなお店もあります。また、現場でスタッフと一緒に働く経営者もいれば自分は経営に専念し現場は人に任せるという経営者もいて、経費のかかり方も違ってくるため、年収のひらきも大きくなるでしょう。

ここでは、居酒屋経営者の年収の基本的な計算方法と、居酒屋経営者の平均年収についてご紹介します。

居酒屋経営者の年収はどう計算する?

居酒屋経営者の年収は、基本的に「売上-経費」で計算できます。一般的に、居酒屋は売上の90%が経費だといわれており、その内訳は以下のようなイメージです。

  • 食材、お酒の仕入れ費用:約30%
  • スタッフなどの人件費:約30%
  • 家賃:約10%
  • 光熱費:約10%
  • 広告費用や雑費:約10%

お店のコンセプトや立地などによってかかる経費の割合は異なりますが、売上から上記の経費を引いた残りが経営者の年収です。たとえば、月に400万円を売り上げる居酒屋の場合、経費は月に360万円かかります。そして経営者の月収は40万円、年収は480万円といった具合です。

とはいえ、経営しているのが1店舗なのか複数なのか、個人経営なのかフランチャイズなのかでもかかる経費や年収に差が出る点に注意しましょう。

居酒屋経営者の平均年収

ある経済専門誌や口コミ調べによると、個人経営で居酒屋を経営している方の年収は300〜2,700万円、平均年収は約600万円だそうです。
国税庁発表の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、国民の平均給与は433万円となっており、居酒屋経営者の平均年収は一般家庭の平均世帯年収を上回っていることがわかります。飲食店の経営は難しいといわれていますが、平均年収は意外と高い印象です。

ただし、上述したように居酒屋の個人経営者の年収は、店舗数や経費のかかり方によって大きなひらきがあるため、これはあくまでも平均であることを忘れないことが大切です。
複数の居酒屋または複数ジャンルの飲食店を経営している経営者は、年収が1,000万円を超えているケースも少なくありませんが、その分平均に届かない方も多いという点に注意しましょう。

出典:「令和2年分 民間給与実態統計調査」国税庁

居酒屋経営者が収入を増やすためにできること

新型コロナ感染症の世界的な流行に見舞われている昨今。居酒屋経営も、これまでに経験したことがないほど厳しく、感染症対策などへの対応も求められます。
「お酒と料理が美味しければ、きっとお客さまは来てくれるはず」と頑張っていても、なかなかお店が繁盛しないとお悩みの方も多いことでしょう。
では、そんな厳しい時代の中、居酒屋経営者が経営を安定させ、収入を増やすためには具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか。

不必要な経費を削減する

居酒屋経営者が収入を増やすためには、人件費や宣伝費、仕入れ費用などを見直し、不必要な経費を削減することが重要です。
まず、人件費については経営者本人もお店に立つ方法がおすすめです。自分もお店で働けば、スタッフ1人分の人件費を浮かせることができるので、経営者の年収アップにつながります。
これから居酒屋をオープンするという方は、社員を雇わなくても営業できるよう、小さな規模の店舗からはじめてみるとよいでしょう。

人件費の無駄をなくしたい方は、こちらで詳しくご紹介していますのでぜひ参考になさってください。
飲食店経営でかかる人件費の基本的な内容と目安とは?儲かる店にするための指標と無駄をなくす方法も解説

また、食材やドリンクの原価を下げる方法も、年収アップに有効です。
あらゆるものの値段が上昇傾向にある中で原価を下げるのは簡単ではありませんが、使い回しのきく食材を使用するメニューを作ったり、仕入れの適正価格を見直したりするだけでも無駄をなくすという意識が高まるでしょう。

原価を下げるポイント、お酒の仕入れなどについては、こちらで詳しくご紹介しています。
飲食店が原価率を下げるにはどうすれば良い?すぐに実行できるポイントを解説
飲食店のドリンク原価率を理解してドリンクメニューの販売を強化しよう
お酒の仕入れはどのルートが良い?酒類専門の卸から仕入れるメリットを解説

なお、業務用酒販店「なんでも酒やカクヤス」では、365日年中無休での配達、無料のドリンクメニュー作成などのさまざまな飲食店様向けサービスを行っております。お酒の仕入れでお悩みの飲食店経営者様は、ぜひお問合せフォームよりお気軽にご相談ください。

リニューアルも検討する

「仕事帰りのサラリーマンや地元の人など、お店の前を通る人は多いのに、全然入店してくれない」という場合、数ある居酒屋の中から自店に興味をもち、入店していただけるような仕組みが必要です。
そのためには、競合店の強みや弱みをしっかりと把握し、他店との差別化を図るためにお店のリニューアルも検討すべきでしょう。

たとえば肉類専門店や魚類専門店、日本酒専門店、チーズとワイン専門店など、特定のメニューに特化した専門店にリニューアルするのも他店との差別化を図るために有効な方法です。
この方法であればメニューが自然と絞れるため、仕込みや調理時間の短縮、食材の廃棄量の削減も可能となるうえ、コンセプトがはっきりとしていることで新規顧客を獲得できる可能性も高まるでしょう。

ポイントは、お客様が求めているものを提供することです。立地やターゲット層に適したメニューやサービスを提供できるよう、再度見直してみましょう。

また、店内でかかっているBGMの見直しも大切です。顧客満足度をアップし、リピート率を高めるためにも、BGMの選び方には注意しましょう。

飲食店で流すBGMの選び方については、こちらで詳しくご紹介しています。
飲食店のBGMはどう選ぶ?3つの利用方法・注意点・おすすめBGMを紹介!

売上をアップする方法を考える

飲食店経営者が収入を増やすためには、売上をアップする方法を考えることも大切です。
しかし、単純な値上げによって客単価を上げる方法はあまりおすすめできません。なぜなら、値上げによって一時的に売上はアップするかもしれませんが、これまで来てくださっていたお客様が離れてしまう可能性もあるからです。

おすすめは、飲み放題を導入する方法です。居酒屋は回転率を上げることがどうしても難しい業態ではありますが、飲み放題を導入することで1グループあたりの滞在時間をコントロールしやすくなります。
飲み放題のプランをいくつか設定し、幅広いお客様のニーズに応えられるようにすると、顧客満足度だけでなく客単価がアップする可能性も高まるでしょう。

また、居酒屋を経営するにあたり、自店の現状をきちんと把握することも非常に大切です。安定した経営を目指すためにも、利益目標や売上目標を設定する際に使える「損益計算書」を利用するようにしましょう。
損益計算書とは、簡単にいうとお店がどれだけ儲かっているかわかるもののことです。どれだけ利益があるか把握すれば、次にどのような行動を取るべきか自ずと判断できるようになるでしょう。

なんでも酒やカクヤスが運営する「飲食店お役立ちナビ」では、会員登録していただくと損益計算書を簡単に作成できる便利なエクセルシートを無料でダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。

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まとめ

居酒屋経営者の年収が安定しない理由と平均年収、収入を増やすためにできることをご紹介しました。
居酒屋はライバルが極めて多く、一つのエリアにいくつもの競合店が存在するケースも少なくありません。その中で売上を増やし、自身の年収をアップするのは難しいことです。

とはいえ、居酒屋の経営でもっとも重要なことは、ご来店いただいたお客様一人ひとりに対して、最大限のサービスを提供できるかどうかです。たしかに年収は多い方がよいですが、そのことばかり考えていると、利益ばかりを優先するお店になってしまい、お客様は離れてしまいます。
「年収は後からついてくるものだ」くらいに考え、まずはお客様により良いサービスを提供するよう心がけましょう。

お酒の仕入れはもちろん、その他の食材の仕入れについてもご相談いただけますので、居酒屋を経営されている方やこれから居酒屋を開業される方は、まずはお問い合わせフォームからお気軽にお問合せください。

この記事を書いた人

カクヤス編集部

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