居酒屋経営で儲かるために抑えるべき指標とは?利益率を上げる施策も紹介

居酒屋を経営したいと考えている方の中には「居酒屋って儲かるの?」「どの程度利益が出れば儲けることができるの?」といった疑問を抱えている方も少なくありません。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、居酒屋は売上や客数が減少傾向にありますが、実際に利益率が高く儲けが出ている居酒屋もあることは事実。

この記事では、居酒屋の利益率について、抑えるべき指標について、利益率を上げる施策についてご紹介していきます。
居酒屋を開業して儲けたいと考えている方、実際に居酒屋を経営していて儲かるためにどのようなことを考えるべきか知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

居酒屋の利益率はどう計算する?

店舗を経営していくうえで、数字を把握することは重要です。居酒屋で儲けを出すためには、営業利益率がどの程度あればよいのでしょうか?

まずは、粗利益や営業利益についてご説明したあとに、居酒屋の理想の営業利益率についてご紹介します。

粗利益

粗利益は「売上高から売上原価を差し引いた利益」のことです。たとえば、1,000円で仕入れた商品を1,500円で販売した場合、粗利益は500円となります。

また、売上高に占める粗利のことを粗利率といい、「粗利÷売上高×100」で計算されます。

これが単純に計算した、店舗の儲けの軸となる部分です。
粗利益を確保するためには、原価率を抑えることと、売上を上げることが重要となります。粗利率が低いと感じたら、まずは原価率が高すぎていないかをチェックしてみましょう。

営業利益

営業利益は「粗利益から販売管理費及び一般管理費を差し引いた利益」のことです。販売管理費及び一般管理費とは、人件費や家賃、水道光熱費などのコストのことです。

さらに、売上高に占める営業利益のことを営業利益率といい「営業利益÷売上高×100」で計算されます。

粗利益だけではコストを差し引いていない状態となるため、粗利益からさらに経費を引いたものを営業利益として考えます。簡単に言うと、この営業利益が店舗の儲けとなる金額です。

営業利益率を上げるためには、経費を削減することも重要となってきます。固定費と呼ばれる家賃や融資返済以外の、変動費を見直すことで営業利益を確保することができます。

利益とひとことで言っても、粗利益と営業利益と混同してしまう場合があるので注意しましょう。

理想の営業利益率は?

居酒屋といっても、小規模な居酒屋や食事をメインとする居酒屋などさまざまな種類がありますが、居酒屋を経営するにあたって、どの程度の営業利益率があると儲かっていることになるかが重要です。

経済産業省が発表している「2021年(令和3年)個人企業経済調査 結果の概要」によると、1企業あたりの年間営業利益率は17.4%となっており、そのなかでも飲食サービス業の年間営業利益率の平均は12.1%となっています。
そのため、飲食店の営業利益率の平均である12.1%以上の営業利益率を維持できていれば、経営は順調だといえるでしょう。

出典元:「2021年(令和3年)個人企業経済調査 結果の概要」経済産業省

たとえば、以下のように変動費や固定費を管理すると、営業利益率は15%となり、月商300万円の店舗の場合、営業利益は45万円となる計算になります。

売上 売上比 金額
変動費 食材費 30% 90万円
人件費 30% 90万円
販促費 5% 15万円
その他
(水道光熱費など)
5% 15万円
固定費 家賃 10% 30万円
融資返済 5% 15万円
営業利益 15% 45万円

居酒屋を経営して儲かるために抑えるべき指標

粗利益と営業利益についてわかったところで、次に考えるべきなのは、営業利益率を10%以上にするにはどのようなことを考えて経営を行ったらよいのかということです。

ここからは、儲かるために抑えるべき指標をご説明します。

損益分岐点

損益分岐点とは、売上と経費が等しくなるような売上高のことで、損益分岐点がわかることで、経費として使った分を回収するためにはいくら売ればいいのかがわかります。

損益分岐点は「固定費÷(1-変動費÷売上高)」で計算されます。

たとえば、上記の表のような店舗があった場合の計算式は「45万円÷(1-210万円÷300万円)」となり、損益分岐点は150万円ということになります。
この店舗の場合は、150万円の売り上げがなければ赤字になってしまうということがわかります。

損益分岐点を下げるためには、固定費を下げるのが効果的。たとえば住居と店舗が一緒になっているような、賃料を支払う必要がなく固定費がかからないような店舗だと、損益分岐点が低くなり、黒字経営しやすいということです。

FLコスト

FLコストとは、飲食店を経営するうえで重要な数値で、Fが食材原価(Food)、Lは人件費(Labor)のことで、それらの比率を求める数字です。
居酒屋を経営するうえで重視するべき指標の一つで、どれだけ食材原価と人件費を安くおさえることができるかが大切ということ。

FLコストは「食材費+人件費」で求めることができ、FL比率は「(食材費+人件費)÷売上高」となります。

たとえば、上記で使用した表のような店舗であれば、FLコストが「90万円+90万円=180万円」で、FL比率が「180万円÷300万円×100=60%」となります。
飲食店の適正なFL比率は60%とされていますが、小さな店舗になると60%未満に抑えなければ自分の生活費がまかなえないということも。
料理の価格を適正価格にすることや、人件費をどのように抑えるかが重要となります。

ここまでご紹介した内容は、こちらの記事でも詳しくご説明しているため合わせてご覧ください。
飲食店の損益計算書|見方・活かし方・作り方を解説!

利益率を上げる施策

居酒屋を経営するにあたって、儲けが出るようにするには具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか?
ここからは、利益率を上げる施策をご紹介します。

客数を増やす

売上は「客数×客単価」で計算されるため、お客様の数自体が増えれば自然と売上が増え、利益を生み出すことにつながります。

客数を増やすためにできることは以下のような施策です。

  • 店のコンセプトを明確にする
  • 顧客満足度を上げる
  • 来店動機を調べる
  • SNSでの情報発信を強化する

客数アップのために重要なのは、お店のコンセプトが明確になっていることです。コンセプトを具体的にすることで、リピーターが増えることにもつながり、客数アップが期待できます。
そして、お店として「また来たい」と思ってもらえるようなサービスを提供することも重要。従業員教育を徹底するだけではなく、メニューのラインナップ、価格、味、インテリアなどにおいて満足度が高ければ、リピーターになる可能性は上がり、長期的に見て売上をアップさせることにつながります。

さらに、InstagramやFacebook、TwitterなどのSNSを利用して情報発信することで、スムーズな予約につなげることや、ユニークな期間限定イベントを開催するなど、消費者の興味をひく情報発信を行いましょう。

飲食店がSNSで発信すべき内容について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

飲食店がSNSで発信すべき内容と対策とは

客単価を上げる

客単価は「来店客数÷売上」で計算されます。客単価をアップさせたいと考えたときに、商品の値段を高くすればよいのでは?と考えがちですが、実際には単純に商品の値段を高くしてもお客様がその商品に魅力を感じなければ意味がありません。

客単価を上げる施策として効果的なのは、メニュー表に写真を載せることです。実は、飲食店リサーチが実施した「メニューブックに写真を載せていますか?」という質問に対して、載せていると答えた店舗は62.1%となっており、メニューを見ておすすめのメニューを視覚的にアピールすることは重要ということがわかります。

出典元:「飲食店が売上や利益向上のために工夫していることを分析。 原価やメニューで差をつける」飲食店リサーチ

そのほかにも、数種類のコースを用意して値段に差をつける松竹梅商法や、プラス〇〇円で飲み放題など商品に付加価値を付けることでも客単価アップを見込めるでしょう。

コストを削減する

営業利益を計算してみると、売上を上げることと同時に経費削減するべきだということが分かったと思います。
とくにその中でも割合が大きいのが食材費と人件費。しかし、ここで重要なのは、人件費を単純に下げることがよい結果をもたらすとは限らないということです。

人件費を下げることで、従業員のやる気が損なわれてお客様対応が雑になるということも考えられます。そうなると結果的に売上を下げることにつながる可能性もあることから、人件費の調整は慎重になる必要があります。

前述したFL比率を参考に、人件費や食材費が高すぎていないかを確認し、適正価格で仕入れや人材確保をするようにしましょう。

ロスをなくす

まだある食材を大量に買い占めてしまうなど、ロスを発生させないよう在庫管理を行うことも重要です。
店側でコントロールできる経費でもあるため、売れ残りを発生させないよう管理しましょう。

ロスをなくすよう在庫管理するには以下の点に気を付ける必要があります。

  • 在庫状況を把握する
  • 適正な仕入れ量を決定する
  • 棚卸を実施する

このように、決まった手順で在庫の管理を行うようにしましょう。
また、食べ残しもロスの原因となるため、適量を注文してもらうよう呼び掛ける、持ち帰りができるようにするなど、フードロスをなくす取り組みをしている居酒屋も存在します。

まとめ

居酒屋で儲けるためには、どんぶり勘定を行うのではなく、数字を理解して赤字にならないように経費のコントロールをすることが重要です。
損益分岐点やFL比率を確認し、店舗として経費を払いすぎていないかをチェックしながら売上UPの施策や経費削減の施策を検討するようにしましょう。

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