飲食店開業は手続きが面倒?スムーズに進めるための一覧表や登記について紹介

飲食店で長年経験を積んでいても、いざ開業となると意外と苦労してしまうのが、飲食店開業手続きです。夢の飲食店をオープンするには、店舗の大きさにかかわらず、保健所や消防署へ必要書類を提出し、開業に向けて申請や手続きをしなければいけません。
いくら料理や接客に自信があったとしても、開業時に必要な手続きをスムーズに進められなければ、オープンが遅れて家賃だけがかかってしまうことも。

そんな事態を避けるためにも「自分のお店をもちたい!」と考えはじめたら、お店のコンセプトや内装、メニューなどを決めるのと同時に、開業に必要な手続きの準備もはじめましょう。
この記事では、飲食店開業に必要な手続き一覧表や登記、個人事業主か法人か検討すべきケースについてご紹介します。

飲食店開業に必要な手続きとは

飲食店開業を検討する際、開業資金とともに不安材料のひとつに挙げられるのが、手続きについてです。
どこに申請すればよいのか、必要書類はなんなのか、いくつ手続きすればよいのかなど、考えるだけで気後れしてしまう方もいるのではないでしょうか。

そこでここでは、飲食店開業申請、手続きについて簡単に一覧表でご紹介します。

飲食店開業にはさまざまな申請、手続きが必要

飲食店開業には、さまざまな必要書類を然るべき機関に提出し、手続きを行う必要があります。飲食店に限らず、事業を立ち上げるのが初めての方は、こういった申請などに関する悩みが尽きないことでしょう。

とはいえ、飲食店開業に必要な手続きは、取得が難しいものはありません。手続きさえきちんと行えば、誰でもすぐに自分のお店をオープンすることができます。

以下は、飲食店を開業するための必要最低限の手続きです。

  • 個人事業の開廃業等届出書(はじめて開業する方)
  • 食品営業許可申請
  • 食品衛生責任者の設置
  • 社会保険などの申請

飲食店を開業するためにまず必須なのは、「飲食店営業許可」です。保健所へ申請し、実地検査に合格すると取得できます。

営業許可申請については、こちらで詳しくご紹介しています。

飲食店開業の営業許可の申請方法は?申請の流れや更新の有無を開設

また、飲食物を提供するお店では、食品の衛生管理を行う「食品衛生責任者」を設置しなければ営業許可申請ができないので注意が必要です。

飲食店開業のために必要な資格や、食品衛生責任者については、こちらで詳しくご紹介しています。

飲食店開業で必要な資格・あると有利なおすすめの資格を一覧で紹介

飲食店の営業許可に必要な食品衛生責任者になるには?資格の取り方を解説

上記以外にも、飲食店の開業には保健所や消防署、警察署、税務署などでさまざまな申請や手続きを行う必要があります。

どれも飲食物を提供するお店として衛生面や防火などに必要なものですが、開業するお店の形態によっては不要なものも含まれます。開業予定のお店に必要かどうかこちらで詳しくご紹介していますので、ぜひご確認ください。

飲食店開業に必要な資格・手続き・届出とは〔飲食店開業マニュアル〕

飲食店開業手続き一覧表

以下は、飲食店開業手続きの一覧表です。必要書類などの詳細については、自治体によって異なる場合もありますので、各届出先に詳細をお問合せください。

届出先 届出 手続き対象者 手続き時期
保健所 食品営業許可申請 必須 内装図面完成後すぐに相談し、書類は店舗完成10日前までに届出
麺類造業許可申請 飲食店で自家製麺を販売する場合 営業開始日の2週間前までに届出
食品の冷凍または冷蔵業許可申請 冷凍食品の製造販売または魚介類の冷凍、冷蔵販売をする場合 営業開始日の2週間前までに届出
菓子製造許可申請 店舗で製造した菓子類を店頭などで販売する場合 営業開始日の15日前までに届出
消防署 火を使用する設備等の設置届 必須 設備設置までに届出
防火対象物使用開始届 必須 設備使用開始7日前までに届出
防火管理者選任届出書 収容人数30人以上の店舗が対象 営業開始までに届出
税務署 個人事業の開廃業等届出書 個人で新たに事業をはじめる方は必須 開業から1ヵ月後までに届出
所得税の青色申告承認申請書 青色申告を希望する方 申告をする年の3月15日までに届出(1月16日以降に開業した場合は、開業から2か月以内)
青色事業専従者給与に関する届出書 青色事業者が親族や配偶者を専従者として雇用する場合 申告をする年の3月15日までに届出(1月16日以降に開業した場合は、開業から2ヵ月以内)
給与支払事務所等の開設届出書 飲食店で人を雇う場合 開業した日から1ヵ月以内に届出
警察署 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書 深夜0時以降も酒類を提供する場合 営業開始の10日前までに届出
風俗営業許可申請 接待行為を行うスナックやキャバクラなどを開業する場合 営業開始の約2ヵ月前
労働基準監督署 労災保険の加入手続き 従業員を雇用する場合 雇用日の翌日から10日以内に届出
公共職業安定所 雇用保険の加入手続 従業員を雇用する場合 雇用日の翌日から10日以内に届出
社会保険事務所 社会保険に加入するための手続き 法人の場合は必須 個人の場合は任意 開業後速やかに届出

飲食店の開業に必要な手続きを一覧でご紹介しましたが、手続きや申請は店舗やメニュー作りなどで忙しい合間を縫って行わなければいけません。滞りなく済ませるためにも、開業までの全体的な流れを把握しておくとよいでしょう。

飲食店開業までの流れについては、こちらで詳しくご紹介しているので、ぜひ参考になさってください。

飲食店開業までの流れ|必要な準備・手続きをわかりやすく解説!

飲食店開業に登記は必要?個人事業主か法人か検討すべきケース

飲食店開業登記というと、一般的には法人登記のことになります。法人登記とは、会社が法人として認められるために必要な法的手続きのことで、会社の概要を一般公開することで、会社の信用維持を図るための制度です。
飲食店の多くは、個人事業主として店舗をオープンし、経営が軌道に乗ったあたりで法人に切り替えるのが一般的な流れだといえます。

では、個人事業主として飲食店を開業するにあたって、なんらかの登記は必要ないのでしょうか。ここでは、飲食店開業に必要な登記について法人と個人事業主それぞれのケース、個人事業主か法人か検討すべきケースについてご紹介します。

法人として開業する場合

上述の通り、法人として飲食店を開業する際は登記が必要です。現在日本では株式会社と合同会社が設立可能となっています。

法人になると、一定律の法人税を支払うことになりますが、所得に応じて所得税を支払っている個人事業主よりも納税額を低くできるなど、節税につながるのがメリットです。

ただし、設立までには費用がかかったり手続きが必要だったりします。そのため、開業前の準備がさらに増えることや、赤字であっても年間約7万円の税金負担があることも考慮するようにしましょう。
さらに、人を雇用した場合に、保険に加入させる必要があり、社会保険料も負担することになるので注意が必要です。法人での開業は、メリットとデメリットを十分考慮したうえで行うようにしましょう。

個人事業主として開業する場合

個人事業主として飲食店を開業する場合の登記とは、法人登記のことではなく「商号登記」のことです。商号登記とは、事業者が自らを表すために使う屋号のこと(法務省の管轄)であり、必須ではありません。

登録免許税として3万円かかりますが、個人事業主による商号登記はメリットが多く、デメリットが少ないという特徴があります。

いちばんのメリットは、商号が法的に保護されることで、社会的な信用を得られることです。また、飲食店の経営が軌道に乗り法人化する際に、すでに同じ屋号を他の人が商号登記してしまっていると、これまで使っていた屋号を変えなくてはならなくなる可能性も。

そのような事態を防ぐためにも、商号登記をしておくとよいでしょう。

個人事業主か法人か検討すべきケースとは

飲食店を開業する際、個人事業主と法人のどちらで開業するのかは、融資や税務を考えたときの重要なポイントとなります。

はじめて飲食店を開業する方におすすめなのは、個人事業主としての開業ですが、以下のようなケースでは個人事業主か法人か熟考すべきだといえます。

  • 2名以上で出資して複数の代表を立てて飲食店を開業する場合
  • 経営する飲食店で家族が働いた分の給与を経費に計上したい場合

上記の2つのケースの場合、状況によっては個人事業主よりも法人として開業すべきです。

とくに2名以上で開業するケースでは、税金を支払う際の平等性や、複数人いることで一人あたりの負担が軽減するという面でメリットもあります。ただし、平等に出資している場合、経営していく上で意見が割れた際に、なかなか意思決定できないというデメリットがある点も忘れないようにしましょう。

また、他で収入を得ている家族が、自身の経営する飲食店で働いた際に支給した給与を経費計上したい場合も、法人登記することで可能となります。しかし、家族が働く会社の就業規則によっては、規則違反になってしまうので注意が必要です。

まとめ

飲食店開業に必要な手続き一覧表や登記、個人事業主か法人か検討すべきケースについてご紹介しました。

飲食店開業にあたって必要な手続きはなんなのかおわかりいただけたでしょうか。開業前は、店舗の準備や従業員の教育などで忙しいものです。しかし、開業届や保健所での手続きに関しては、どんな営業形態でも必須となります。
営業内容によってはその他にも必要な申請などもありますので、ぜひ本記事を参考に夢の飲食店開業を成功させてください。

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この記事を書いた人

カクヤス編集部

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