飲食店の営業許可に必要な食品衛生責任者になるには?資格の取り方を解説

飲食店を開業する際に、資格が必要なことはご存知でしょうか?業態によって異なりますが、多くの場合は「食品衛生責任者」と「防火管理者」の2つが必要です(防火管理者は、店舗の収容人員が30人未満の場合は不要)。

開業にあたってはやるべきことが多くあるため、必要な資格は余裕を持って取得しておきたいものでしょう。そのためには、取得の方法や流れを知っておくことが大切です。

そこで今回の記事では、食品衛生責任者資格の概要や資格の取り方、食品衛生責任者資格に関するよくある質問と、その答えなどをご紹介します。スムーズな資格取得にぜひ役立ててください。

なお、防火管理者資格についてはこちらの記事で解説しています。取得が必要な方は、ぜひ併せてお読みください。

飲食店開業時に防火管理者は必要?資格取得方法も併せて解説!

飲食店開業時に防火管理者は必要?資格取得方法も併せて解説!

飲食店は火を扱う関係上、火事の対策は必須です。そこで、飲食店開業にあたり「防火管理者」という資格を持つ人が必要になるケースがあります。
防火管理者とはどういった資格なのか、どのようなケースで防火管理者が必要なのかを解説しています。防火管理者の資格を取得する方法もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

食品衛生責任者とは

まず、食品衛生責任者はどのような場面で必要なのか、具体的にどのような役割を持つのかを知っておきましょう。

食品衛生責任者とは?どのようなときに必要?

食品衛生責任者は、簡単にいえば、食品関係のお店などで衛生管理にあたる責任者のことです。飲食店を開く際には、都道府県知事などから営業許可を得る必要があり、そのときに食品衛生責任者が選任されていなければ許可をもらえません。

具体的に、どのような場合に食品衛生責任者の設置が必要なのか、詳しく見ていきましょう。食品衛生法の施行規則令には、次のように定められています。

食品衛生法第51条第1項に規定する営業を行なう者(法第68条第3項において準用する場合を含む。以下「営業者」という。)は、食品衛生責任者を定めること。ただし、第66条の2第4項各号に規定する営業者についてはこの限りではない。なお、法第48条に規定する食品衛生管理者は、食品衛生責任者を兼ねることができる。
参考:食品衛生法の施行規則令別表第17

少し難しい表現ですが、まとめると、次のような場合に食品衛生管理者の選任が必要になります。

  • 飲食店を営業する場合(旅館や弁当屋も含む)
  • 喫茶店を営業する場合
  • 学校や病院などで、継続的に不特定多数の人に食品を提供する場合
  • 食品の製造・処理・販売業を営む場合

なお、食品衛生責任者は、1店舗につき1人選任する必要があります。同じ人が複数店舗の食品衛生責任者を兼ねることはできないので、注意してください。

食品衛生責任者は何をする人?

食品衛生責任者にはどのような役割が求められるのか、食品衛生法施行規則令における記述を見て確認しましょう。

  • 食品衛生責任者は次に掲げる事項を遵守すること
    • (1)都道府県知事などが行なう講習会または都道府県知事などが認める講習会を定期的に受け、食品衛生に関する新たな知見の習得に努めること(法第54条の営業(法第64条第3項において準用する場合を含む)に限る)。
    • (2)営業者の指示に従い、衛生管理に当たること
  • 食品衛生責任者は、第66条の2第3項に規定された措置の遵守のために、必要な注意を行なうとともに、営業者に対し必要な意見を述べるよう努めること

参考:食品衛生法の施行規則令別表第17

具体的にいえば、食品衛生責任者は次のような仕事を任されます。

  • 設備の衛生状態を確認し、不衛生な部分があれば改善する
  • 衛生管理表を作成し、手洗い・清掃・消毒のチェックなどを行なう
  • 食材の保管場所や扱い方をチェックし、衛生的な管理環境を整える
  • スタッフの健康管理を行ない、体調不良者は休ませる  など

つまり、設備・食材・オペレーション・スタッフなど、総合的にお店の衛生管理を行なうことが、食品衛生責任者の役割だといえます。

食品衛生責任者と食品衛生管理者の違い

食品衛生責任者と似た資格に、「食品衛生管理者」があります。

食品衛生責任者は、食品を製造販売するすべての事業所で必要になる資格です。それに対して食品衛生管理者は、次に挙げるような特定の食品を製造、または加工する際に必要となる資格です。

  • 全粉乳(容量が1,400g以下である缶に収められるものに限る)
  • 加糖粉乳・調製粉乳・食肉製品・魚肉ハム・魚肉ソーセージ・放射線照射食品・食品油脂(脱色または脱臭の過程を経て製造されるものに限る)・マーガリン・ショート
  • 食品衛生法第11条第1項の規定により規格が定められている添加物

食品衛生責任者は自治体が管轄し、講習を受けることで取得できる資格です。一方で食品衛生管理者は厚生労働省管轄の国家資格であり、取得には学歴や職歴などの一定の要件が存在します。

また、両資格の更新についても知っておきましょう。食品衛生責任者も食品衛生管理者も、資格自体の有効期限はありません。しかし、飲食店などの営業許可を更新する場合、その度に食品衛生責任者は実務講習を受ける必要があります。

食品衛生管理者は食品衛生責任者を兼ねることが可能、という点も知っておきましょう。

食品衛生責任者の資格の取り方

食品衛生責任者になるためには、次の3つのうちいずれかの要件を満たす必要があります。

  1. 食品衛生法第30条に規定する食品衛生監視員または法第48条に規定する食品衛生管理者の資格要件を満たす者
  2. 調理師、製菓衛生師、栄養士、船舶料理士、と畜場法(昭和28年法律第104号)第7条に規定する衛生管理責任者もしくは同法第10条に規定する作業衛生責任者または食鳥処理の事業の規制および食鳥検査に関する法律(平成2年法律第70号)第12条に規定する食鳥処理衛生管理者
  3. 都道府県知事などが行なう講習会または都道府県知事などが適正と認める講習会を受けた者

食品衛生管理者・調理師・栄養士など、1. や2. に記載された資格を持っていない場合には、講習を受けることで資格を取得できます。したがって、飲食店を開業する場合は、講習を受けて食品衛生責任者資格を取ることが多いと考えられるでしょう。

講習会に参加して資格を取るまでの流れを、以下でご紹介します。

食品衛生責任者養成講習会の申し込み~当日の流れ

先述のとおり、指定の資格を持っていない方は、講習を受けて食品衛生責任者資格を取得する必要があります。

食品衛生責任者資格取得のための講習会は人気が高く、すぐに満席になります。開業の間際にならないよう、余裕をもって受講予約し、早めに資格を取得しておきましょう。

(1)事前に受講予約する

各都道府県の食品衛生協会に問い合わせ、講習会の受講予約をします。各都道府県の食品衛生協会のホームページから予約可能です。出店予定の都道府県の食品衛生協会を選び、受講予約をしましょう。

この講習会は17歳以上であれば受けられる場合が多く、神奈川県のように15歳以上で受講可能な都道府県もあります。一方で、東京都のように現役高校生は受講できないところもあるので、事前に確認することが大事です。

外国人の方の受講要件についても各都道府県で対応が異なるので、気になる方は一度問い合わせてみてください。

(2)当日講習を受ける

予約した日時に指定の会場に出向きます。その際には、以下の持ち物を忘れずに持参しましょう。

  • 受講票
  • 身分証明書(受講票と同じ名前と生年月日が記載されたもの)
  • 筆記用具
  • 受講費用

講習会は計6時間程度で、一般的なカリキュラムは以下のとおりです。

  • 食品衛生学:2.5時間程度
  • 食品衛生法:3時間程度
  • 公衆衛生学:0.5時間程度

(3)テストを受ける場合もある

都道府県によっては、講習会の最後に、講習内容を確認する試験が実施されます。とはいえ、この試験の内容はそれほど難しいものではなく、学んだ内容を自分で再確認するためのテストだと考えられます。あまり心配しなくてもよいでしょう。

(4)修了証書を受け取る

最後に、講習会の修了証書を受け取ります。賞状のような形で交付される場合もあれば、手帳の形で交付される場合もあります。いずれにせよ、この証書は営業許可申請に必要なので、大切に保管しておいてください。

食品衛生責任者に関してよくある質問

最後に、食品衛生責任者に関するよくある質問と、その回答をご紹介します。

Q. 開業までに講習を受けられそうにないときは?

食品衛生責任者資格取得のための講習会は非常に人気が高く、開業までに講習の予約が取れないことも考えられます。

この場合、まずはキャンセル待ちをしてみましょう。それでも予約が取れないなら、「講習会を後日必ず受ける」という誓約書を出すと、受講前でも営業許可申請が可能です。

この誓約書を出したら、なるべく早めに講習を受けて責任者資格を取得し、あらためて保健所に届け出ましょう。

Q. 修了証書をなくしてしまったら再交付してもらえる?

修了証書をなくしたときは、再交付を申請できます。各都道府県の食品衛生協会のホームページなどで再交付申請書を入手し、必要事項を記載して、各協会指定の方法で提出しましょう。

ただし、修了証書の番号が不明だと、この方法で再交付ができない場合があります。各都道府県の食品衛生協会に問い合わせて、対応を確認してください。

Q. 食品衛生責任者が変わったときはどうすべき?

お店の食品衛生責任者が変わったときは、「食品営業許可申請事項・営業届出事項変更届(新様式)」または「食品衛生責任者設置・変更届(旧様式)」を保健所に提出します。どちらが必要かは各都道府県によって異なるため、各自治体のホームページで確認してください。

このとき、食品衛生責任者資格を証明する書類も必要です。講習会の修了証書などを、上記の書類と一緒に持参しましょう。

まとめ

飲食店など食品を製造販売する場合、店舗ごとに食品衛生責任者の設置が必要です。食品衛生責任者を選任しないと飲食店営業の許可がおりないので、飲食店の開業を検討している方は早めに資格を取得しましょう。

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