多店舗展開にデメリットはある?メリットとともに解消方法を紹介

1店舗目や2店舗目が軌道に乗ってくると、多店舗展開を検討するオーナーの方も多いですよね。
多店舗展開は全体の売上をアップさせたり、リスクを分散させたりすることができるというメリットがありますが、一方でデメリットも把握してどのようなポイントに気を付けるべきなのか事前に確認しておく必要があります。

この記事では、多店舗展開のメリット、デメリットをご紹介したあとに、デメリットを解消させるための対策をご紹介します。
多店舗展開を検討していて、事前に対策を知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

多店舗展開のメリット

多店舗展開を行うことで、以下のようなメリットを得られます。

  • 全体の売上が増加する
  • 自社ブランドの認知が上がる
  • リスクを分散できる
  • 仕入れコストを抑えられる

単独で店舗を展開することと比べると、店舗が増えることでその分全体の売上が増加します。それだけではなく、自社ブランドの認知度が上がることで、よりブランディングしやすくなるでしょう。
また、1店舗の業績が悪化したとしても、他の店舗の売上でその損失分を補うことができるため、店舗同士でリスクをカバーし合うことができるのです。
さらに、多店舗展開によって食材などを大量に仕入れることができるため、単価を安くすることができコストダウンにつなげることも可能です。

多店舗展開のデメリット

多店舗展開には多くのメリットがあることがわかりましたが、反対にどのようなデメリットがあるのでしょうか?

ここからは、多店舗展開のデメリットをご紹介します。

経費が増加する

多店舗展開を行うということは、開店資金がかかるということです。1店舗目の開店時にかかった資金と同じように、2店舗目以降にも多くの初期費用が必要となります。
1店舗目で借り入れた返済がまだ残っているという場合には、さらに借入を増やすことになるため、慎重に判断する必要があります。
多店舗展開を行うことでコストの削減が図れるという一方で、家賃、人件費、水道光熱費などさまざまな経費が増加することになります。
増加した経費以上に利益を確保できれば問題ないのですが、時期によって売上が落ち込んでしまうなど不安定な状態が続くと、コスト削減の意識を高くもって運営を行う必要性が出てきます。

人材不足によりスタッフの負担が増える

飲食業界は、慢性的に人手不足が起こっている業界として知られており、新店舗の採用が思うように進まない可能性もあります。
帝国データバンクが発表している「人手不足に対する企業の動向調査(2021年10月)」によると、飲食店の6割以上でアルバイトが不足している状況で、コロナ禍で緊急事態宣言などの影響により飲食店で働けなくなった方が、他の道を選択してしまっている可能性が考えられます。
とくに新店舗のオープンとなると、規模によっては数十人単位で新規採用を行う必要があるため、万が一人材が集まらなかった場合は、営業時間の短縮や時間の制限などを検討することになるでしょう。
人材不足ということは、働いているスタッフ一人ひとりへの負担が増えることにもなり、定着率が悪くなるという負のループを引き起こすことにもなります。

出典元:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2021年10月)

経営管理が複雑化する

店舗を経営するうえで、売上の管理はもちろんのこと、集客や仕入れの発注、社員やスタッフの勤怠など、管理することが多くあります。
1店舗の管理であればオーナーが1人でそれらの管理業務を行うことも可能ですが、複数店舗を1人で管理することは難しいでしょう。
管理業務において人的ミスが発生してしまうと、経営自体が困難になり複数店舗を一気に失ってしまう恐れもあります。
管理業務が標準化できており、1店舗ごとに管理者を配置できていれば問題なく行えることが多いのですが、何をどうマニュアル化すべきかが把握できていないと、組織化がうまく行えず管理者が育たないという懸念事項があります。

人材育成の負担が増える

前述したように、多店舗展開となるとオーナー1人で管理業務を担うことが難しくなるため、管理者の育成をしなければいけません。
スタッフを増員して新店舗のオープンに備えるだけではなく、その店舗を管理できる、任せられる店長となるべき人材の育成に力を注ぐ必要があります。
また、それまで1店舗の展開でオーナーが全スタッフに直接教育できていたことを、多店舗展開となると自分と同じように教育できる人材を育てることが必要です。
そのため、店舗を任せられる人材だと評価できる社員に対しては、経営から教育までさまざまな知識やスキルが必要となり、最初はそれらをオーナー自ら教育する必要があるのです。

多店舗展開のデメリットを解消するためには?

ここまで多店舗展開のデメリットをご紹介してきましたが、デメリットは理解するだけで終わりではなく、そのデメリットを解消させるための施策を考える必要があります。

ここからは、多店舗展開のデメリットを解消させるためのポイントをご紹介します。

適切な初期投資金額を把握する

飲食店の開業をするには、約1,000万円の資金が必要といわれています。開業資金は以下の4項目に分けて考えられます。

  • 物件取得費用 …… 物件を取得するために必要な費用
  • 店舗投資費用 …… 厨房機器費用や内装、外装費用、求人採用費用など体制を整えるために必要な費用
  • 運転資金 …… 売上が安定するまでに赤字を補填するための費用
  • 生活費 …… 売上が安定するまでの自分や家族の生活費

なかでも、運転資金や生活費は約6~10ヵ月分を用意しておく必要があり、新店舗の売上ですべてを賄おうと考えるのは危険です。
開業時の初期費用について、2店舗目以降となれば1店舗目と同じように考える必要があるため、理解していると考えがちですが、改めてこの数値を確認し、資金不足で閉店に追い込まれるような事態は避けなければいけません。

初期費用について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
居酒屋の経営にはどの程度の費用がかかる?資金調達の方法についても紹介

スタッフが働きやすい環境をつくる

前述したように、飲食店は以前から人員難が問題視されていて、求人を出してもなかなかアルバイトや社員が集まらないというデメリットがあります。
厚生労働省が発表している「有効求人率」(1人あたり何件の求人があるか)という指標でも、平均が1.23倍のところ、飲食物調理、接客、給仕ともに2.3倍を超えており、求職者側から見ると働く飲食店を選べる状態だということになります。

飲食店のアルバイトがきついと言われる以下の理由を理解し、アルバイトや社員が働きやすい環境をつくることが重要です。

  • 長時間の立ち仕事がつらい
  • アルバイトの仕事量や責任が重い

体力的につらいという意見に対しては、求人段階で立ち仕事だということを理解してもらえるような求人に見直すことや、1時間の休憩を2回に分けるなど、仕事をする側のスタッフの立場に立ったシフトを考えることが重要です。
また、「アルバイトなのに社員と同じことをやらされている」という意見に対しては、トラブル対応などは責任者が対応することを徹底したり、アルバイトの中でも給与に差をつけたりして、責任を取ることをプラスに考えられるような環境を整えるとよいでしょう。

出典元:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年4月分)

店舗の責任者が確認すべき数値を明確にする

オーナーはすべての店舗の数値を把握する必要がありますが、細かい数値チェックは店長に任せることも必要です。
多店舗展開となると、すべての店舗の数値を毎日追いかけるのは難しいため、1店舗ごとの店長に確認すべき数値と数値が上がったとき、下がったときのアクションを伝えておくとよいでしょう。

飲食店の店長が管理すべき数値は、以下のようなものです。

  • 売上 …… 単純な売上の数値
  • 原価 …… 仕入れの値段
  • 売上総利益 …… 売上から原価を引いた数値
  • 販売管理費 …… 原価以外の人件費や水道光熱費、通信費など
  • 営業利益 …… 売上から販売管理費を差し引いた額

単純に売上がどの程度なのかということ以外にも、そこから経費がどの程度差し引かれ、お店の利益として目指している数値はどの程度で到達しているのか、していないのかを日々店長に確認するよう指導しましょう。

おさえるべき指標については、以下の記事もご覧ください。
居酒屋経営で儲かるために抑えるべき指標とは?利益率を上げる施策も紹介

オーナーの考えを言語化する

いくつかの飲食店を経営している方でも、自分の経営に対する考え方を言語化しているという方は意外と少なく、全員のスタッフと毎日会話することができない多店舗化という状況になると、一人ひとりのスタッフが、自分が働くお店のオーナーが考える理念を理解していないというケースも多いのです。
そうなると、スタッフによってお客様への対応に差が出てしまったり、何かトラブルが起こったときの判断基準がわからなくなってしまったりします。

1店舗の経営でも重要ですが、それが多店舗となった場合にはオーナーが考える将来や、それに向かって何をするべきかといった指標を示す意味でも、経営理念を掲げるようにしましょう。
経営理念は「ビジョン」「ミッション」「バリュー」の3つに細分化されていて、将来どうなりたいか、それに向かって何をするか、一人ひとりが何を大切にするべきかという基準となるものです。

経営理念を言語化することで、店長、社員だけではなくそこで働くスタッフ一人ひとりが同じ志を持ってお客様に接することができるようになります。

まとめ

多店舗展開にはさまざまなトラブルがつきもので、デメリットとして捉えてしまうと二の足を踏んでしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、デメリットを把握していれば事前に回避することや、トラブルが起こったときの対処法がわかり、即対応することで経営を持ち直すことができます。
実際に事業に成功している方の多くは、トライアンドエラーを繰り返して会社を大きく成長させていることは間違いありません。経営方針を明確にしたうえで、働く店長やスタッフの教育をしっかり行い、多店舗展開を成功させましょう。

なんでも酒やカクヤスでは、経営にお悩みのオーナー様をあらゆる面からサポートさせていただきます。
多店舗展開を検討しているオーナー様へ不動産業者をご紹介することや、資金調達の専門家をご紹介することもできるため、どこに相談したらいいかわからないというようなお悩みもぜひご相談ください。

この記事を書いた人

カクヤス編集部

飲食店なんでもスクエアは、国内業務用酒販売上No.1、首都圏飲食店顧客満足度No.1の実績をもつ酒販店「なんでも酒やカクヤス」が運営するメディアです。
カクヤスグループは2021年11月に創業100周年を迎えました。酒販業一筋、お酒を通してお客様のご要望に「なんでも」応えたい!長きにわたり信頼されてきた実績と共に、これからも変わらぬ気持ちでお客様に向き合ってまいります。

カクヤス編集部にはワインエキスパート・エクセレンスやシニアソムリエ、SAKE DIPLOMAなどお酒の資格を持ったメンバーや、飲食店様に15年以上寄り添ってきた営業スタッフ、店舗スタッフなど様々なメンバーがいます。

飲食店様へ旬なトレンド情報、経営の役に立つ情報、私たちにしかお届けできないお酒にまつわる情報などなど、いままでの経験を基に積極的に発信していきます!

当ページに掲載されている内容は、掲載時点での情報です。
ご注文ボタンや商品リンクをクリックすると、飲食店様専用の注文サイト「カクヤスナビオンライン」へ移動します。
「カクヤスナビオンライン」は当社配達エリア内の飲食店様がご利用いただけます。会員登録(登録無料)が必要です。


20歳未満の飲酒は法律で禁止されています

  • 飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。
  • 妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。
  • お酒は楽しく、ほどほどに。飲んだ後はリサイクル。
  • 20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売いたしません。
  • 20歳未満の飲酒防止のため年齢確認をさせて頂いております。予めご了承ください。