原価求め方入門!飲食店業態別の目安と計算方法を知って繁盛店を目指そう

飲食店にとって、食材の原価は料理を提供するために必要不可欠な費用であり、経営においても原価率は決して無視できないデータです。
とくに近年は新型コロナ感染症の感染拡大の影響により、飲食店では客足が遠のいています。お店を存続させるためには、メニューごとの細かい原価率の調整や改善により、確実に利益を確保しなければいけません。

しかし、飲食店を経営されている方の中には、もともと調理をがむしゃらに頑張ってきた料理人の方も多く、数字には強くないという方も多いはず。
そこでこの記事では、飲食店における原価への理解を深めるために、原価率の目安と計算方法、管理する上での注意点とポイントなどについてご紹介します。

飲食店における原価とは

そもそも原価とは、お客さまに提供する商品を作ったり、サービスを行ったりする際に消費する財貨や労働力を金額で表したものです。

飲食店においては、料理の材料費のことを原価といいます。たとえばカレーを作るにはお肉やじゃがいも、玉ねぎなどの野菜、香辛料などが必要になり、それらにかかる費用のことです。

そして、この原価が実際の売上の中でどのくらいの割合を占めているかを表すのが原価率です。

飲食店では、この原価率が非常に重要な数字で、利益や人件費、延いては経営状態などを考える際にも必要となるでしょう。ここでは、飲食店の原価率について詳しくご紹介します。

料理ごとの原価率

飲食店の原価率を考える際、まずは料理一品一品の原価について考えなければいけません。
たとえば、1,000円で提供しているステーキ。500円の牛肉を使用しているのであれば、原価は500円、原価率は50%といった具合です。

料理全体の原価率

次は、料理全体の原価率についてです。お店で提供しているすべての料理を総合した原価率のことを指します。なぜ料理全体の原価率を求めるのかというと、料理ごとに原価率が40%のものもあれば、10〜20%のものもあるからです。
たとえば、1本の原価が20円の焼き鳥を100円で提供すると原価率は20%、1尾の原価が100円の秋刀魚の塩焼きを400円で提供すると原価率は25%といった具合です。

また、サラダなど野菜の仕入れ価格によって原価と原価率が頻繁に変動するメニューや、赤字覚悟で提供する大トロのお刺身などの限定メニューもあります。そのため、料理全体の原価率を算出して全体のバランスを考える必要があるのです。

ドリンクごとの原価率と全体の原価率

飲食店では、料理だけでなくお酒やソフトドリンクなどの飲み物も提供しています。多くの場合料理と一緒に注文されるので、ドリンクの原価率も決して無視できません。
むしろ、料理よりもドリンクの原価率が低いことも多いため、飲食店で利益をあげるには重要な要素だといえます。

とはいえ、ドリンクも料理と同様に種類によって原価が異なるので、ドリンクごとの原価率と全体の原価率をきちんと把握しておくようにしましょう。

飲食店の原価率の目安と計算方法

原価率は、新たなメニューの価格決定や食材の仕入れ値を検討する際にも活用できるデータです。利益を増やすためには、売上だけでなく原価率にも着目する必要があります。

これからご紹介する飲食店の原価率の目安と計算方法を参考に、自店に合った原価率を設定し、営業計画を立てるようにしましょう。

業態別の原価率目安

一般的に、飲食店の原価率は30%程度が目安だとされています。とはいえ、ひと口に飲食店といってもさまざまな業態があり、それぞれに目安となる原価率は異なります。

以下は、飲食店の業態別の原価率目安です。

  • レストラン:40%前後
  • そば、うどん屋:30%前後
  • 寿司屋:45%前後
  • カフェ:25〜35%
  • 中華料理屋:35%
  • ラーメン店:30%前後
  • 居酒屋:25〜35%

ご覧いただくとわかるように、多くの飲食店で原価率が30〜35%程度に収まっていることがわかります。
ただしここで注意したいのは、原価率が低いからといって、全体の利益率が高いわけではないということ。なぜなら、最終的な利益は原価だけでなく人件費や光熱費、家賃など他のコストも引いた額だからです。

また、寿司店などの原価率が高めの飲食店でも、売上を上げやすい業態では利益をしっかりと確保することができます。
むしろ原価率高めのメニューは、お客様の満足度も高くなりやすい場合もあります。すべてのケースで原価率が低ければよいというわけではありませんので、ひとつの目安として知っておくようにしましょう。

原価率の計算方法

以下は、飲食店の原価率の求め方です。

売上原価率=売上の原価÷売上高×100

たとえば、300円で仕入れた食材を調理し、1,000円で売ったときの原価率は、「原価300÷売上1,000×100=30」と計算し、原価率は30%となります。
ただし、この方法では季節によって仕入れ価格が変動する食材を扱う飲食店での原価管理には不十分です。少し面倒ですが、月毎に原価率を計算できる当期原価率を使用するようにしましょう。

以下は、当期原価率の求め方です。まずは売上原価を算出し、その後に月毎の原価率を計算します。

売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高

ここからさらに当期の原価率を求める計算式に当てはめます。

当期原価率=売上原価÷売上高×100

このように当期原価率を計算しておくと、季節ごとの価格変動を把握できるため、食材の仕入れに役立つでしょう。

飲食店における原価率管理の注意点とポイント

原価率を求めたとしても、それを経営に活かさなければ利益を増やすことは困難です。飲食店のメニューにおいては、食材の原価率が数%増えるだけで積もり積もって年間にすると数百万円単位の損失につながることも。
とくにコロナ禍の現代では、経費削減は必要不可欠であり、食材の原価はその中でも優先的に見直すべき項目であるといえるでしょう。

そこでここでは、飲食店における原価率管理の注意点とポイントについてご紹介します。

原価率管理の注意点

以下は、繁盛店にするために気をつけたい3つの注意点です。

どんぶり勘定はしない

小規模の個人経営の飲食店でありがちなのは、原価の計算をきちんとせずに「大体このくらい」というどんぶり勘定で経営しているケースです。
あくまでも経営者の勘を頼りにしているので、数値による的確な情報が掴めないばかりか、コストコントロールを可視化できないということになります。そのため、「今月は原価がかかりすぎているから配合で調整しよう」「余裕があるから品質の良い材料に変更しよう」など、状況に合わせた対策を講じることができません。

上述したように、原価率の数%の違いは年間にすると数百万円の損失を生む可能性があります。経営を圧迫しないためにも、どんぶり勘定はせず、きちんと正確な原価率を把握したうえでコストコントロールをする意識をもちましょう。

人件費を削減しすぎない

原価の上げ下げは経営者の自由であり、原価率が高くとも経営がうまくいっている例はたくさんあります。しかし原価率が高くなれば、人件費などの比較的下げやすい経費で埋め合わせるしかありません。

なぜなら、飲食店の経営においては、FLコスト(食材費と人件費の合計金額)を60%に抑えることが重要だからです。それに当てはめると、原価率が高い場合は自ずと人件費を削減することになるでしょう。
ただし現代では、接客のレベルにも一定の水準を求められます。

原価率を上げて料理のおいしさに磨きがかかったとしても、スタッフが少なく料理が全然来ない、注文を間違える、忙しさから物の扱いが雑になるなどサービスレベルが下がってしまうと、自然とお客様が離れていってしまうので注意しましょう。

飲食店の経営における人件費の目安や採用のコツなどについては、こちらで詳しくご紹介しています。
飲食店経営でかかる人件費の基本的な内容と目安とは?儲かる店にするための指標と無駄をなくす方法も解説
お金をかけずにスタッフを採用するための準備とコツとは〔飲食店開業マニュアル〕

お客様にコスパが低いと感じさせない

経営側の視点で考えると、売上に対して原価率が低いということはとても重要なことです。しかし、お客様の満足度という観点で考えたとき、原価率だけを意識するのはあまりおすすめできません。
なぜなら、原価率の高いメニューはお客様に人気があるケースも多いからです。原価率を気にするあまり、そのようなメニューを廃止もしくは変更してしまうと、顧客満足度が下がり結果的に売上を低下させる可能性も。

飲食店を利用されるお客様にとって、「この値段でこの料理が食べられる!」というお得感は重要です。コストパフォーマンスが下がったと感じさせてしまうような原価率の引き下げは、できるだけ避けた方がよいでしょう。

原価率管理のポイント

以下は、飲食店経営における原価率管理のポイントです。

  • 付加価値を意識する
  • レシピ表で原価を管理する
  • 歩止まりを考慮する
  • ロスを減らす
  • ドリンクメニューを強化する

「利益が出ていないから原価率を下げたい」というときは、付加価値を意識することが重要です。たとえば、子連れの女性が多い地域では、味は微妙でもキッズスペースがあって子どもも一緒に連れて行けるお店が歓迎されます。
また、その反対にラーメン店でも富裕層をターゲットにした原価率の高いお店では、そこに価値を見出してもらえるのであれば経営は成り立つのです。

原価率を下げたくない場合は、メニュー数を減らしたり材料を使いまわせるメニューにしたり、食材を余らせないようにしたりするなど、ロスを減らす方法やレシピ表などで原価をしっかりと管理する方法も有効です。
正確なレシピは、味のブレをなくしいつでも安定したおいしい料理を提供できるだけでなく、どの食材をどれだけ使うかを記載しておくことで、正確に原価を把握できるでしょう。

その際は、歩止まりを忘れずに考慮することをおすすめします。歩止まりとは、食材として使用できる部分の割合です。歩止まりを意識せずに原価を考えてしまうと、売上は目標に達しても利益が思ったほど残らないことに。
原価を正しく把握するためにも、歩止まりを忘れずに考慮しましょう。

飲食店の原価率を下げるポイントについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
飲食店が原価率を下げるにはどうすれば良い?すぐに実行できるポイントを解説

ドリンクの原価率やメニュー考案については、こちらの記事で詳しくご紹介していますのでぜひ参考になさってください。
飲食店のドリンク原価率を理解してドリンクメニューの販売を強化しよう
飲み放題メニューの作り方|4つのポイントを抑えて利益アップ!
利益を左右するドリンクメニュー!ささるドリンクメニューをつくるヒントとは【チェックリスト無料ダウンロード】
プレミアムドリンクメニューが秘める6つのチカラと10の条件

なお、なんでも酒やカクヤスではプロユースのPB商品も取り扱っております。ソフトドリンクやアルコール類、調味料なども豊富に取り揃えており、原価を抑える効果が期待できます。

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カクヤスオリジナルブランド「K-price」

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まとめ

飲食店における原価への理解を深めるために、原価率の目安と計算方法、管理する上での注意点とポイントなどについてご紹介しました。
飲食店における原価とは、食材などの材料費です。そして原価率とは、売上に対する原価の比率です。提供する料理を作るのに材料費がいくらかかったかを示しており、営業計画を立てる際にも必要となります。

とはいえ、適正な原価率は飲食店の業態やコンセプトによっても異なります。自店の適正な原価率を知るためにも、日頃からきちんと原価を把握しておくようにしましょう。

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この記事を書いた人

カクヤス編集部

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