
カウンター席
近年の外食シーンはインスタ映えなどエンタメ的な部分ばかりが注目されています。でも、飲食店経営にとって本当に大切なことは「長く愛される店づくり」であることに変わりありません。とはいえ、そうした本当の意味での良いお店を紹介しているメディアは思いのほかありません。
そこで〝本当に良いお店の実力〟を検証する新シリーズを企画しました。お客様の〝生の声〟を店舗力改善に活用する覆面調査サービス「ファンくる」とのコラボレーションにより、覆面調査で高得点を獲得している飲食店店長を取材。SNSやグルメサイトでは知ることのできない、愛される店の理由を探ります。
株式会社fierce(本社/東京都渋谷区)は、バー業態を主力に展開する外食企業です。今回取材した「江戸そば酒場 十割屋 蒲田西口店(以下、十割屋)」は同社初の居酒屋業態。飲食店がひしめく競合の激しいエリアで、蕎麦を売りにした酒場業態がなかったことと、押し出し式製麺機を導入することで熟練の職人なしでも本格的な打ちたて蕎麦を提供可能としたことで、個性を打ち出しています。
コロナ禍の影響が深刻だった2021年4月にオープンしたこともあり、蕎麦メニューを充実させたりランチ営業を試みるなど営業スタイルの試行錯誤が続いたそうですが、緊急事態宣言解除後はエリアでもっとも需要の大きい酒場スタイルに転換しました。
不慣れな大衆酒場業態にあって、店の営業力アップのヒントを得るべく、ファンくる調査にトライアルしてみたとのことです。
店 名 | 江戸そば酒場 十割屋 蒲田西口店 |
住 所 | 東京都大田区西蒲田7-5-6 蒲田西口駅前共同ビル1階 |
電話番号 | 03-6715-9215 |
営業時間 |
16時〜25時(L.O.24時) |
定 休 日 | 無休 |
オープン | 2021年4月25日 |
席 数 | 38席(カウンター8席、テーブル30席) |
客 単 価 | 1,600円 |
アルコール売上げ比率 | 50% |
同店の調査項目は基本セットの75項目、自由記述項目は15項目以上、レポート数は5人と標準的なセット内容です。レポートの結果をQSCA別に再構成すると下チャートのような結果になりました。
オープンからわずか半年、アルバイトだった熊木陽子さんが10月に店長に就任したばかり、大衆酒場よりに営業スタイルやメニューを改訂したばかりという、けっして万全とはいえない体制でのトライアル調査。そうしたハンデを考慮しても標準的なQSCAレベルを維持できているといってよいでしょう。
「接客が素晴らしいと感じるスタッフはいましたか?」の項目では全調査員が熊木店長をあげていたことが印象的。詳しくは後述しますが、チームを引っ張っていく「おかんタイプ」というより、スタッフを後ろから支える「おかあさんタイプ」で、スタッフの習熟度が上がるにしたがって接客力や雰囲気も底上げしていきそうです。
全席喫煙可ということもあり、清潔感や空間の評価が厳しめになるのは致し方ないところ。すべてのお客様のニーズに応えるのは不可能ですから、リピーターになってほしいお客様のイメージを明確に持って取り組むことの大切さを改めて感じさせます。
【プロフィール】
熊木陽子店長は東京都生まれ。高校在学中に地元の牛丼チェーン店でアルバイトを始めて以来、居酒屋、ファミレスなど幅広い飲食店でアルバイトを経験してきました。十割屋でも最初はアルバイトからの入社でしたが、持ち前の目配り気配りを評価され、10月から店長に抜擢されたばかりです。
カウンター席
テーブル席
実は2021年4月のオープン当時は食事利用と居酒屋利用どちらも使える営業スタイルで、十割蕎麦の価値をアピールすることでもう少し高めの価格帯を狙っていました。それを緊急事態宣言が明けた10月からは夜のみの営業に切り換え、価格帯とポーションを下げて営業スタイルを大衆酒場に振ったのです。周辺エリアに低価格な店が密集しているので気軽に利用しやすい価格帯が良いだろうと考えました。
営業スタイルを変えたことをアピールするため、蕎麦とハイボール、レモンサワー、そば茶ハイを各100円で提供する「勝手にGoToキャンペーン」を実施したことで少しずつですが新規客が増えて来ました(※キャンペーンは2021年11月末で終了)。先日は大衆酒場ばかりを紹介している有名なブロガーさんも来店してくださいました!
十割蕎麦は国産の蕎麦粉を練り込んだ自家製の生地を使い、打ちたて茹でたて、本格的な味を提供しています。注文を受けてから生地を押し出し製麺機で麺を作って茹でますから、鮮度は抜群です。
「十割蕎麦」はシメで食べやすいようハーフサイズを290円で用意
「天ぷら盛り合わせ5種」680円
「おでん盛り合わせ5種」680円
フードの看板商品は天ぷらとおでんで、天ぷらは「大葉」30円や「かぼちゃ」50円から、おでんは「しらたき」50円、「がんも」80円からと、駄菓子屋価格で単品注文できるのが売りです。盛り合わせはそれぞれ5種680円、7種980円の2つを揃えています。
もちろん蕎麦も主力商品なのですが、お酒を飲んだ後のシメでご注文いただきやすいよう「せいろ」「ぶっかけ」「かけ」の3種をハーフサイズ290円、大盛り490円の2サイズのみとしています。たぬき蕎麦、月見蕎麦のような商品はなく、「あげだま」30円、「半熟卵」150円といったトッピング9品を用意してお客様のお好みで組み合わせていただくというスタイルを採っています。
アルコールのつまみとなる一品料理は45品を150〜680円で揃えています。「枝豆」190円、「ポテトサラダ」390円、「もろきゅう」290円といった大衆酒場の定番料理が中心。売れ筋は「鉄板玉子焼き」290円で、お客様の目の前で溶き卵を焼いて作るパフォーマンスが好評です。
これらに加え、社長の友人に釣りの達人がいて、彼からいただいた魚料理がおすすめメニューに並ぶことがあります。本日は宮古島で釣ってきてくれたキハダマグロ。けっこうインパクトのある魚をいただけるので重宝しています。
「そば茶ハイ」
「ジムビームハイ」
「レモンサワー」
上の三品が売れ筋ドリンク。すべて290円の「せんべろ価格」が気軽な注文を促している。
ドリンクメニューはアルコール27品、ソフトドリンク9品という品揃えで、ほとんどが290円、390円の2ラインで揃えて気軽な店をアピールしています。
アルコールについてはビール、ハイボール、酎ハイ・ハイボールが中心のベーシックな商品構成ですが、蕎麦屋なので焼酎の「蕎麦湯割り」390円であったり、「そば茶ハイ」290円を入れて蕎麦酒場のコンセプトを表現しています。
当社はバーを都内に5店展開していて、十割屋は初めての居酒屋業態です。お客様に支持されるお店にするためにはどうすればよいかノウハウがありませんでした。悩んでいたところに「ファンくる」では1店舗からでも覆面調査が可能ということを社長が聞きつけ、いいヒントを得られるのではないかと申し込んだのです。
調査項目が75項目もあって、こんなに細かいところまで見ていただけるんですね。複数人に指摘された事柄はしっかり対応しないといけないなと思いました。以前の職場でも本部が覆面調査を実施していましたが、慣れると誰が調査員だってすぐにわかっちゃうんですよね(笑)。でも、今回はわかりませんでしたよ。
挨拶とか店内の整頓ぶりなどをお客様から直接伺う機会はそうそうありませんから、気づかなかった改善ポイントがわかるのはありがたいと思います。
とはいえ10月から新体制をスタートさせたばかりで、私もスタッフの皆もお客様にご迷惑をかけないように店舗運営するだけで今は精一杯。早くこうしたレポートで高得点を上げていけるように頑張りたいです。
そんなこともできるんですね。今はオープンから間もないので新規客を増やしたいんです。通りから見て入店しやすい雰囲気になっているかどうかを知りたいですね。あとは少し離れたところからも店を見つけやすかったかなどがわかるといいですね。
天ぷらは揚げたてをそのまま提供
出来たての味をアピールする仕組みが十割屋の特徴
鉄板玉子焼きは熱した鉄鍋を客席に置きお客の目の前で焼くパフォーマンスが好評
いちばん嬉しかったのは「飲食内容」についての回答に「天ぷらを揚げたてで提供してくれてテンションが上がった」という評価が多かったことですね。
当店の天ぷらは注文を受けてから揚げていますが、客席に揚げ物用のトレイを置いていて、天ぷらが揚がったらすぐに持っていき天ぷらを置いていくスタイルを採用しています。低価格なそばうどん店の大半が、あらかじめまとめて揚げておいた天ぷらを提供していますから、同じくらいの価格帯で揚げたてを提供すれば強力な付加価値になると考えたんです。
以前はお皿に盛り付けてから提供していたのですが、もっと揚げたて天ぷらを印象づける方法はないかと皆で話し合い、盛り付ける時間を省いて客席に持っていくようになったのは10月からです。スタッフと話し合って採用した施策が評価されたことが実感できて励みになります。
店長としての私の最優先課題は、店の雰囲気を良くして常連客を増やすこと。そして、お客様とスタッフをつなげて接客の楽しさを感じられる環境を作ることです。スタッフの中には外食がはじめての子もいますし、自分の親と同じくらいの世代の人とコミュニケーションをとったことのない子もいます。そんな環境に早くなれるようにサポートしていきたいと思っています。
役割分担としては私がフロアを担当し、他のスタッフが調理と料理提供のフォローをする体制をとっています。まずは私がリピーターのお客様と仲良くなったところでスタッフを紹介するようにしています。私が橋渡し役を務めることで、お客様もスタッフもコミュニケーションをとりやすくなります。「天ぷらおいしいね」と言われたら、その場で「あの子が揚げてるんです」って紹介したりして、お客様に喜ばれる仕事をしている楽しさを感じられるようにと心がけています。
ファンくるを使って売上げを上げるためにはお店に入りやすい雰囲気作り、第一印象が肝心だと思っています。お客様の動きにすぐに気づいて、料理は1分でも早く提供することを心がけていきたいと思います。
同じ蒲田エリアには当社が経営するバー「Bar A Day」が2店舗ありますので、ゆくゆくはバーに出前ができる体制をつくっていきたいと考えているところです。
国内最大級のモニター調査サービス「ファンくる」を開発・運営する。従来の覆面調査より低コストとスピードを実現し、個人店からチェーンまで1千社、1万店を超える外食企業が活用している。2019年からは従業員満足度調査を手掛ける「ファンくるES」をスタート。すでに200社超が導入している。
飲食店にとってドリンクメニューはお店の利益を確保する大事な要素のひとつです。トレンドのお酒の情報や繁盛店のノウハウなどを生かしたメニュー提案の成功事例を数多くストックしている酒販店、ピンクの看板が目印のなんでも酒やカクヤスでは、エリア毎に専任の営業スタッフを配置。一軒一軒のお店へのきめ細かいサポートがカクヤスの強みです。
お酒やメニューについてお困りのことがあればお気軽にご相談ください!
カクヤスから飲食店への配達が可能なエリアはコチラからご確認ください。
さとう木誉(きよし)
外食ライター
都内在住。繁盛店取材だけでなく経営マネジメントに関する取材活動を中心とする。「月刊食堂」「外食レストラン新聞」「外食図鑑」といった専門媒体の他、食品商社や外食コンサルタント等の宣伝企画にも携わる。 好きな酒は熱燗。好きなツマミはガリ〆さば。
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※ 掲載店について、カクヤスとの取引の有無は関係ありません。
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