飲食店が実店舗を営業しながらデリバリーで売上げを伸ばす方法とは

「東京からあげ専門店あげたて」が大ヒット中のグロブリッジに聞いてきました

2020年のコロナ禍にあって大きく市場を拡大させたビジネスが「デリバリー」です。ファストフードチェーンなどはデリバリーの波に乗って過去最高益を出したところもあるほどでした。さらにはイートインの店舗を持たず、デリバリーのみをおこなう「ゴーストレストラン(ゴーストキッチン)」も登場するほどの過熱ぶりをみせています。

今回はデリバリー事業で新たな市場開拓に成功している外食企業、株式会社Globridge(以下、グロブリッジ)に取材を敢行。ゴーストレストラン事業を担当するVR事業部 営業開発部・SVサポート部 部長の平石貴大さん(写真右)、直営店「酒蔵居酒屋ゴエモン 方南町店」店長の牛込昭仁さん(同左)にお話しを伺いました。同社の成功要因から「10年後には1兆円市場になる」ともいわれるフードデリバリーの「今」を読み解いていきたいと思います。

東京からあげ専門店 あげたて  https://karaage-agetate.jp

東京都内を中心に70店超の外食店を展開するグロブリッジが2019年10月からスタートしたデリバリー専門のからあげ店。既存店の厨房で調理しウーバーイーツで配達する仕組みで各店の売上げを月80〜90万円上積みさせることに成功。コロナ禍による1回目の緊急事態宣言発令中の2020年4月からフランチャイズ(FC)展開に着手したところ加盟希望が殺到。わずか半年で全国に150店を超える販売網を確立している隠れたモンスターブランド。
あげたてFC加盟の案内はコチラから


株式会社Globridge  https://www.globridge.co.jp/

ラクレットチーズブームの火付け役となった「Cheese Cheers Cafe」、牛たん・焼肉食べ放題の「一心たん助」といった繁盛レストランや居酒屋30業態70店を都内で展開している外食企業。創業は2008年9月。

この記事のまとめ

デリバリー専門業態「あげたて」とは

さとう

まずは「あげたて」ブランドの概要について教えてください。

デリバリー専門で展開するからあげ専門店で、現在はウーバーイーツと出前館で商品をお届けしています。特製の醤油だれで下味を付けた看板商品のからあげを、タルタルソースや油淋鶏ソースなどトッピングのバリエーションで販売しています。お客様の評価も大半の店が5点満点中4点を超えており、注文時に「あげたて」と店名を指名して検索する件数もトップレベルという好成績でデリバリーサイト内で強力なブランドを築いています。
大きな特徴は飲食店の厨房を活用していながら、その店名とは異なるデリバリー専門のブランド名で展開していることですね。2019年10月から直営飲食店の厨房を活用してスタートし、コロナ禍をきっかけに2020年4月からフランチャイズ(FC)の加盟店募集を開始しました。2021年1月時点で全国に150店、北海道から沖縄まで販売拠点を広げています。

平石部長

さとう

マクドナルドのようなファストフードチェーン店はともかく、居酒屋発のデリバリーで好調なものはなかなかありません。売上げはどれくらいのものでしょうか。

直営店の平均は80~90万円をコンスタントに売っています。加盟店は地域も規模もバラバラということもあって、月商10万円のところもあれば140万円も売っているところもあります。ただ「あげたて」ビジネスの特徴はコストの大半が流動的なこと。損益分岐点がかぎりなくゼロに近いこともメリットです。

平石部長

東京からあげ専門店あげたて【直営店実績】 (2020年2月実績)

1日の注文状況はこれも店によりますがピークタイムは11~13時、18~20時です。また面白いことに朝9~10時にも注文が多い。ブランチ(遅い朝食&早い昼食)ニーズがあると考えています。朝昼夜の注文比率は1.5対3.5対5の割合です。
リピート注文も多く5割を超えるお客様が2度3度と利用してくださっており、長く続けやすい業態になっています。

「あげたて」誕生とヒットの理由とは

さとう

レストラン・居酒屋を中心に展開している御社が、デリバリー事業をスタートさせた理由を教えてください。

当社がデリバリー事業へ参入したのは2018年からです。実店舗の営業自体は好調でしたが、店舗営業で稼げる売上げのトップラインには限界がある。さらなる売上げ増を狙う施策として目をつけたのが上陸して間もないウーバーイーツでした。
実は「あげたて」に至るまで1年くらい紆余曲折が続いたんですよ。最初は既存の居酒屋メニューを出してみたんですがあえなく撃沈。その後は店舗とは異なる屋号を掲げた単品業態でタピオカミルクティー、カレーライスなど商品を変えてはテストを繰り返しました。そして2019年10月にスタートさせた「あげたて」でようやく安定した注文を得られるようになったんです。

平石部長

さとう

試行錯誤を繰り返した結果のヒット業態なんですね。からあげがヒットした要因は何でしょう?

からあげって万人が好む商品だけど、なかなか家では作りませんよね。飲食店か、スーパーやコンビニなどで出来上がったモノを買って食べることが多いと思います。テイクアウトだと揚げたてとはほど遠い品質なところを、出来たての品質で家まで届けていることがヒットにつながったと考えています。
デリバリー専門の商品開発チームを組んで開発を進めたことも大きいですね。目の前のお客様に料理をすぐ提供できる飲食店と、調理から20分後にお客様が食べるデリバリーでは考え方がまるで違います調理方法や包材選びも含めて検討し、出来たて感を維持できるレシピを完成させました。

平石部長

実店舗があるゴーストレストランのメリットとは

さとう

コロナ禍をきっかけにゴーストレストランが新しいビジネスモデルとして注目されています。「あげたて」もゴーストレストランと同じだと思いますか。

当社はそもそもの発想が、飲食店の売上げをどう底上げするかから生まれたもの。実店舗ありきというところで大きく異なります。
その他で大きいのが「初期投資額」。よく比較されるゴーストレストランはデリバリー専門といっていますが結局のところ厨房が必要なわけで、それなりに初期投資が必要になりますからリスクが多少小さくなった程度といえます。あげたては既存の飲食店の営業にデリバリーをオンする形ですから、リスクも投資金額も最小限で済みます。
その次が「マーケティング」。ゴーストレストランは自社でデリバリー事業者と契約し、メニューの登録や変更をしないといけません。これらの業務は個人店の経営者が店に立ちながら準備するには負担が大きい。それにノウハウもないから「どうしたらもっと売れるようになるか」「クレームに対してどう対応したらいいのか」といった悩みの解決策がわからないんですね。「あげたて」ではこれらを本部で一括して行いますから、加盟店は調理に集中できます。

牛込店長

さとう

実店舗とは異なる屋号を掲げることも、ユニークなビジネスモデルだと思います。実店舗はあるけど、ゴーストレストランという発想はなかなか思い付きません。

居酒屋メニューでデリバリーを始めて失敗した経験から、デリバリーを注文するお客様の検索基準は「どの店を注文するか」より「この料理が食べたい」が先にあるということを学びました。
アプリの中にあるたくさんの店の中から選ぶスタイルに変化したことで実店舗とのつながりが希薄になっています。ですから屋号と商品が一体化した専門店の方が有利だと考えていますね。

牛込店長

デリバリーブランドのフランチャイズ化とは?

さとう

次に「あげたて」フランチャイズの概要を教えてください。

「あげたて」フランチャイズの肝は、ITに不慣れな飲食店経営者でも、店舗営業しながら手軽にデリバリー事業を始められることです。
ウーバーイーツをスタートさせるには、商品の写真を撮ったり、手数料を勘案した価格設定をしたり、配達後の品質が担保できるか確認したり、決済方法を考えたりとやることがたくさんあるわけです。
また申し込みから開設できるまでの期間の長さも大きなネックです。コロナ禍をきっかけに申し込みが殺到していて、ウーバーイーツは今でも5ヵ月待ちという状態です。大半の個人店の方はそれを知ると断念しちゃいますね。

平石部長

さとう

「あげたて」のフランチャイズならそうしたハードルを超えられるのですか?

はい。「あげたて」はブランドも商品もあります。ブランドでいえばウーバーイーツ社から当社専属担当者をつけていただいています。個人店が申し込むと開設まで通常5ヵ月かかるところを、当社なら2週間でスタートできます。
店舗ごとのメニューも本部で設定しますから何もしなくていいです。決済やデリバリー事業者への支払いも本部でおこない、加盟店様に業務委託料を支払う仕組みなので余計な支払い業務も発生しません。加盟店様は調理に集中していただければ、自動的に新しい収入源となる仕組みです。

平石部長

加盟店の9割が居酒屋、バル。その他ではラーメン店やカラオケ店なんかも加盟しています。加盟に当たっては研修制度は設けていません。調理や機器操作の説明、衛生管理については動画マニュアルを用意していますから、それを見ていただければすぐに営業を開始できます。

平石部長

さとう

仕入れや仕込み、メニューの制限について教えてください。

本部からレシピを支給しますが、すべての食材は加盟店の既存ルートで仕入れてもらいます。
下ごしらえの調味料、味付けのソース類についても、レシピに合わせて作っていただきます。食材や資材の追加も最低限、調理負荷も最小限となるようにしています。
メニュー内容については注文ページを本部でコントロールしていますので厳守していただきます。また当社が提供するレシピで作った料理については店内・店頭で定食や弁当として販売してもかまいません。もちろんロイヤリティの対象となるのはデリバリーで販売した分だけ。加盟店様にとっては調理負担やロスの発生をなくせるメリットがあります。

牛込店長

さとう

フランチャイズならではのプロモーションはどうでしょう?

本部にデータ分析を担う専門チームがいます。加盟する全店から集まったデータをもとに消費行動を分析し、メニューの順序を入れ替えるなどの編集を実施しています。こうしたデータ分析を個人店で実行するには無理がありますよね。でも、あげたて加盟店であれば自動的に最適化してくれるわけです。
一方で季節商品も投入していますが、まずは直営店で一定期間実施して反応の良いものを加盟店に落とし込んでいます。テスト済みの販売見込みが立つ商品を投入できることもFC展開のメリットですね。

平石部長

さとう

デリバリー事業の今後の展開について教えてください。

「あげたて」でデリバリーで勝つノウハウが構築できました。これを元に他の商品で横展開していきます。2021年1月から「ご近所キッチン」としてデリバリーブランドのバリエーションを増やしました。マグロ丼専門店「海鮮日本海」、ハンバーグ専門店「MEAT-KING」、韓国フライドチキン「MOMOチキン」です。今後もブランドバリエーションを拡大していく計画です。

平石部長

マグロ丼専門店「海鮮日本海」

マグロ丼専門店「海鮮日本海」

ハンバーグ専門店「MEAT-KING」

ハンバーグ専門店「MEAT-KING」

韓国フライドチキン「MOMOチキン」

韓国フライドチキン「MOMOチキン」

これにより加盟店の得意な料理でできやすく、厨房規模等に応じて複数ブランドを同時展開していただくことも可能になります。
当社は2021年8月までにウーバーイーツ、出前館内に2,000店の加盟店網構築を掲げています。まだまだデリバリーは発展途上。コロナ禍に苦しむ飲食店の助けとして役立つ仕組みにしていきたいと考えています。

平石部長

デリバリーはさらに進化している

ウーバーイーツを運営するUber Japan株式会社は2021年中に全47都道府県にサービスを広げる計画を発表しました。また飲食店の料理だけでなく、スーパーやコンビニエンスストアも運ぶサービスを開始しています。料理を含めた幅広い日用品がデリバリーされるようになれば、消費者にとっても「身近なサービス」としてもっと気軽に利用する時代が訪れるかもしれません。その意味でも、少ない投資でスピーディーにデリバリーに参入できるグロブリッジの挑戦は、今後急速に拡大する可能性を秘めていると感じました。

デリバリーでもクロスセルを!忘れがちな飲み物の訴求で顧客単価をアップさせよう

消費者がデリバリーを利用するメリットのひとつに「家にいながら」利用できることがあげられます。消費者行動として、家に飲み物がなかった場合に、わざわざ飲み物だけを買いに出かけるとは考えにくく、「それだったら違うお店に頼もう」とチャンスロスになりかねません。お料理に合わせた飲み物も一緒に販売する事で注文単価のアップにもつながります。

ピンクの看板が目印の酒屋、なんでも酒やカクヤスではなんと28,000点以上の商品の取り扱いがあり、店頭販売しておらず飲食店にしか卸さない業務専売商品も多数取り扱いがあります。
お酒の仕入れやドリンクメニューについての質問や困りごとがあったら相談してみてはいかがでしょうか。

飲食店への配達エリアはコチラからご確認ください。

要注意!アルコール商品の販売には酒類販売業免許が必要

飲食店のメニューでグラスなどに注いで提供したり、瓶や缶を開封した状態で提供するアルコール飲料でしたら必要はないのですが、瓶や缶のまま販売するには免許が必要です。免許がなく販売をした場合は酒税法違反となり、1年以下の懲役または50万円の罰金が課せられてしまいますのでご注意ください。出典:お酒に関するQ&A(国税庁)
酒類販売免許に関するご相談は、各地域の税務署にお問い合わせください。

ノンアルコール飲料ならデリバリーでも販売OK!

日本では1%未満の飲料は酒類ではなく清涼飲料水の扱いになるため、下記にご紹介するノンアルコール飲料の未開封での販売に酒類販売業免許は必要ありません。
ノンアルコール飲料というとノンアルコールビールが思い浮かびますが、実はたくさんのカテゴリーで商品が出ています。これを機に導入をご検討されてはいかがでしょうか。

ビールテイスト&ハイボールテイスト

龍馬1865

龍馬1865

350ml

ワインテイスト

その他のノンアルコール飲料

ソフトドリンク

定番ドリンクはPB商品を仕入れてコスト削減を図ったり、健康志向に訴求できる商品で購買意欲を高める工夫をされてはいかがでしょうか。

カクヤスから飲食店への配達が可能なエリアはコチラからご確認ください。

この記事を書いた人

さとう木誉(きよし)

外食ライター
都内在住。繁盛店取材だけでなく経営マネジメントに関する取材活動を中心とする。「月刊食堂」「外食レストラン新聞」「外食図鑑」といった専門媒体の他、食品商社や外食コンサルタント等の宣伝企画にも携わる。
好きな酒は熱燗。好きなツマミはガリ〆さば。

ご注意

当ページに掲載されている内容は、掲載時点での情報です。
ご注文ボタンや商品リンクをクリックすると、飲食店様専用の注文サイト「カクヤスナビオンライン」へ移動します。
「カクヤスナビオンライン」は当社配達エリア内の飲食店様がご利用いただけます。会員登録(登録無料)が必要です。


20歳未満の飲酒は法律で禁止されています

  • 飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。
  • 妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。
  • お酒は楽しく、ほどほどに。飲んだ後はリサイクル。
  • 20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売いたしません。
  • 20歳未満の飲酒防止のため年齢確認をさせて頂いております。予めご了承ください。