飲食店の新・激戦区『新虎通り』で生き残りを賭ける和ビストロ -料飲店トレンドと繁盛店事例 vol.18-

Vol.18は「料飲店の新・激戦区『新虎通り』で生き残りを賭ける和ビストロ」です。いよいよ開催が目前に迫ってきた2020年の東京オリンピック・パラリンピック。東京都では選手村とスタジアム間の動線をスムーズにするため、虎ノ門と新橋を一直線に結び、築地方面につなぐ環状2号線=通称「新虎(しんとら)通り」の開発が着々と進められています。
今回はこの新虎通りに、2018年にオープンし人気店となっているビストロを紹介します。
ビストロ222 (トゥートゥートゥー/東京・虎ノ門)

新虎通りCOREビル内レストランフロアにある「ビストロ222」
2015年に東京都が立ち上げた「東京シャンゼリゼプロジェクト」をご存知だろうか?新橋と虎ノ門をつなぐ「新虎通り」をパリのシャンゼリゼ通りのような、オープンカフェやブティックが並ぶ国際的なシンボルストリートにしようとする都の計画が進められている。また2019年には、この新虎通りを国が国家戦略特区に認定。道路法特例の適用により路上に広告塔や看板が設置され、食のイベントやマルシェ(食材市)なども頻繁に開かれる予定で、盛り上がりを見せるだろう。
虎ノ門・新橋エリアはもともとサラリーマンの聖地として料飲店が密集する繁華街だったが、これらの新虎通りプロジェクトにより、さらに新しい店も増え、街の様相は激変の真っ只中にある。また2014年に開業した虎ノ門ヒルズを筆頭に、オフィスと料飲店街が入る複合ビルも次々と出現。今回紹介する店もその一つで、2018年10月にオープンした「新虎通りCORE(コア)」にある「BISTRO 222(ビストロトゥートゥートゥー)」だ。新虎通りと日比谷通りの交差点に立つ地上15階建てのビルで1~2階がレストランフロアになっている。

入口の壁一面にずらりと並んだワインに目を奪われる
ビル内の料飲店は全6店舗と少ないが、浅草の有名シュラスコ専門店、クラフトビールの「よなよなエール」が展開するレストラン、八百屋直営の「旬八キッチン&テーブル」など、ざっと歩いて回っただけでも特徴的で目を引く店が集まっている。そんななか、レストランフロアでひときわ洗練されたおしゃれな雰囲気を放っているのが同店だ。店の入り口の壁にずらりと並ぶワインと、開放的なオープンキッチンには思わず目が止まる。
「和を意識したビストロ」のコンセプトで日本の旬食材が楽しめる
同店のコンセプトは「和を意識したビストロ」だ。生ハムやオリーブ、スモークサーモンのほか『白レバーのムース イチジクパン添え』(750円、税別)『ロメインレタスとベーコンのサラダ』(1,100円、同)などビストロで定番の洋風メニューを揃えつつ、豊洲市場や日本の各産地から直接取り寄せた新鮮な素材で作る「和より」のメインが売りだ。『本日のカルパッチョ』(1,180円、同)に大分産の平鯛の昆布締めを使い、『本日の刺身盛り合わせ』(1,880円~、同)では利尻産のバフンウニや和歌山のアワビを提供。兵庫や岩手直送の『本日の生ガキ』(1個500円~、同/焼きガキや盛り合わせでも注文可)や『塩もつ煮 山椒風味』(880円、同)や『北海道、真鱈白子のムニエル』(1,880円、同)といった日本の旬を感じるメニューもあり、人気だという。

臭みゼロで甘いウニの味、ボリュームに驚かされる人気のパスタ
なかでも一番の人気メニューは『贅沢、ウニ盛りパスタ』(2人前2,080円~、税別)だ。ウニの目利きと鮮度にこだわり、豊洲市場と函館産直で仕入れるウニの中でA級ランクのもののみを使用。皿が登場すると飾り付けやソースにもふんだんに入ったウニの量にまず驚く。そして一口食べて、甘みが立ったクリーミーで濃厚な味わいに感動する。高級な塩水ウニではなく、通常の箱ウニを使っているそうだが、えぐみや臭みは全くない。ソースにはウニと、エビなど魚介のだしも入っており、まろやかなソースがパスタに絡んでとてもおいしい。ウニのパスタを提供する店は多くあるが、これほど臭みがなく、ウニの量もたっぷり使われたパスタは他店では食べられない。お客からも大好評だそうだ。

肉のジューシーさと濃厚なグレービーソースが好相性の牛の炭火焼
鮮魚を使ったつまみ系メニューに加え、牛ハツやザブトン(肩ロースの中の希少部位)を炭火焼きにしたメインも同店の人気料理だ。オーダーが多いという『牛ハラミの炭火焼き』(1,880円~、同)を食べてみた。香ばしい炭火の香りとジューシーな肉の味わい、赤ワインベースのグレービーソースの組み合わせが絶妙。サツマイモチップの軽快な食感もいいアクセントになっていて、ワインと一緒に和風のビストロ系つまみを楽しんだ後にこのメインが出てきたら、非常に満足感があるだろう。

ナチュール(自然派)ワインが充実、グラスでも注文可能
ドリンクはワイン中心だが、ラインナップは有機農法や手摘みにこだわったブドウなどで作るナチュール(自然派)ワインに力を入れて揃えている。またワイン以外にビールやハイボール、カクテルも注文できるが、店で生搾りした果汁をたっぷり使うレモンサワーやオレンジサワーも人気とのこと。

ランチは牛すじカレーとハンバーグが会社員を中心に人気
ランチタイムも営業し、メニューは5種類。ハンバーグやカレー、ほっけ定食などのスープ付きセットが大好評だ。『和牛すじカレー』(880円、税別)はディナーで余った食材を使うのではなく、ランチのために一から毎日仕込むそうで、スパイスを組み合わせた複雑な辛さと、牛すじ肉がゴロゴロと現れるボリューム感はインパクトがある。オフィス街のレストランではめずらしく昼の予約も受け付けているので、ランチの利用時間に制限がある会社員のグループ客にも好評だそうだ。

美食とナチュールワインの組み合わせにはグルメな大人も満足
店内の洗練された居心地の良い雰囲気と合わせ、ランチ・ディナーともに印象に残るのは料理のクォリティの高さだ。ビストロ、と一口に言っても本格的なフレンチを出す店から若者のインスタ狙いのメニューが中心の店など玉石混合だが、同店なら新橋・虎ノ門エリアのおいしいものを食べ慣れた中高年世代も満足する味わいだろう。近年の健康志向や、サステナブル(地球の持続可能性を追求する活動)への関心を持つ大人も増えているなか、ナチュールワインにこだわっているのも時流に合い、こなれた印象を受ける。

店長の高木氏。調理とワインのセレクトも担当する。
店長の高木学(たかぎ・あきら)さんいわく、オープン当初は意外と2階まで人が入らず集客に苦労したそうだが、開業後半年で食べログに突然高評価が付いてからは認知され、いまでは近隣のオフィスワーカーをはじめ、近所に住むシニアや富裕層なども頻繁に利用されるようになった。ランチで週4日通う客もいるという。
「新虎通りCOREビルにあるレストランはそれぞれ個性があり、いいお店が揃っていますが、うちの料理の味には自信を持っています」と語る高木氏。今後も街自体が進化し、料飲店はますます激戦区となりそうな新虎通りで勝負を賭けるビストロ、長い挑戦はまだ始まったばかりだ。
店 名 | BISTRO 222(ビストロトゥートゥートゥー) |
住 所 | 東京都港区新橋4-1-1 |
運 営 | メシプロ株式会社 |
電話番号 | 03-6432-4336 |
営業時間 | 【ランチ】 |
定 休 日 | なし |
坪数・席数 | 40席 |
禁煙・喫煙 | 禁煙 |
客 単 価 | ランチ1,000円、ディナー6,000円弱 |
開 業 日 | 2018年10月 |
この記事を書いた人

浅野 陽子
フードライター。食限定の取材歴20年、『dancyu』『日経MJ』『AERA』『おとなの週末』『ELLE a table(現・ELLE gourmet)』『近代食堂』など食の専門誌を中心に、レストランや料理人への取材記事を多数執筆、テレビのグルメ番組への出演実績もある。『NIKKEI STYLE』(日本経済新聞社)の人気コーナー『話題のこの店この味』で毎月コラム連載中。
ブログ『フードライター浅野陽子の美食の便利帖』
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