イタリアンシェフとソムリエによる日本ワインと創作総菜・料理を売りとするユニークな居酒屋 -料飲店トレンドと繁盛店事例 vol.22-

外食マーケットでは、コンパクトでありながらも個性的な業態展開で人気となっている酒場業態が注目されています。このような店舗のオーナーの方々は、普段から人気店や注目店をマークしていて、積極的にリサーチを行なっています。

「何が売りなのか」、「特化している点は」、「環境・スタイルは」、「フードとドリンクのバランスは」、「価格とコストパフォーマンスは」などなど、鋭い視点でいいポイントを吸収してきます。人気店となるお店は、多様化された料飲モチベーションの「今の価値」を捉えているといえるでしょう。

何を(フード、ドリンク)、どこで(酒場の種類、業態)、どのように(スタイル)楽しめるかといった今のトレンドをも感じられる共鳴感を人気店は提供しています。

今回取材させていただいたお店は、新橋エリアでイタリアンなどを運営するokéyグループがネオ酒場として運営する居酒屋業態の「おけい屋」です。


おけい屋 (東京・新橋)

新橋駅前ビル1号館の地下といえば、フロア全体が酒場町といっていいいほどの酒場集積をみせる。その中でも、まるで路地のようなところの先に、昨年6月にオープンした「おけい屋」がある。通路との仕切りはなく、オープンな店構えだが、のれんにはお店の売りとなるメッセージが染め抜かれている。


店内はカウンター12席と2人用のテーブルが2卓用意されている。通路からすぐに座れるカウンター席は、立ち飲み感覚での利用もできるなど、カジュアルなスタイルで入店のしやすさを生み出している。


3,4歩で移動できる、通路を挟んだ向かいには、12席の「はなれ」が用意されていて、グループ利用で人気となっている。壁に貼られているメニューなどはすべて手書きで、大衆酒場のような気軽さが感じられる。


株式会社okéyの代表取締役である片寄雄啓氏は、広告代理店出身で、ヘッドハンティングを受けたときに将来を考えて、学生時代にアルバイトをした時から興味を持っていた飲食業界に舵を切ったという。ピッツア作りから修行をはじめイタリアンなどで経験を重ね、2005年に1号店としてピッツア業態をオープン、その後もイタリアン業態を展開する。

新しいことに積極的に取り組む片寄氏が目をつけたのが、自然派を中心とした日本ワインとイタリアンテイストを取り入れた和総菜メニューの居酒屋業態で、とにかく気軽に使える行きつけの肴屋を目指したという。


おけい屋の名物メニューのひとつとなる「季節の白和え」。取材時は、キンカンを使った白和えで、多くのお客さまが最初にオーダーするという人気のメニュー。「季節の白和え」は柿やイチゴなど旬の果実でレアな季節を味わうというおしゃれで美味しい白和えとして提供する。


酒場メニューで定番のポテトサラダだが、おけい屋では、いぶりがっこ入りのポテトサラダに燻製卵とアンチョビマヨネーズを使ってウフマヨ的な感覚のトッピングで仕上げている。これもまたオリジナリティのある一品としてオーダー率が高い。


メニューで一番人気と紹介されているのがクレソンとウニの合わせ技が面白い「クレソン×ウニ」。仕上げにはバター醤油を使い、ワインやサワーはもちろん、日本酒も楽しめるというくせになるメニューだ。


63度で低温真空調理をした「レアレア鶏レバーの生姜煮」は、生姜の風味をきかせてレア仕上げにすることで、レバーをさっぱりとさせている飽きさせない味だ。ワインとの相性もいい。


つくねは丸いという常識を打ち破るのが「四角いつくね」。鶏むね肉、鶏もも肉に軟骨、さらににんにくを合わせテリーヌ型で四角に成形したユニークなつくね料理だ。提供する時にはフライパンで作ったソースを合わせて仕上げている。


〆の人気メニューとなっているパスタは、ラーメンの製麺所として有名な「浅草開花楼」が製麺するモッチモチの食感が特徴の生パスタを使用する。シェフのお勧めは、モリモリチーズと黒コショウのパスタ。シンプルでいて個性的な味で人気が高い。


デザートも注目だ。シェフの遊び心やアイデアで作る「作ってみたシリーズ!」。この時は、チーズをベースにドライフルーツを合わせたシチリアのカッサータというアイスをチョコでコーティングしたもの。人気のアイス菓子であるピノをイメージしたデカピノスタイルに思わず笑いがある。最後までオリジナリティとユニークさで楽しませる。


フードメニュー(取材時)

フードメニュー(取材時)

つい頼んでしまいたくなる面白い料理のネーミングが並ぶメニュー。広告代理店出身のオーナーのコピーセンスがより引き立てる。

自然派を中心に揃えているワイン。それぞれ泡、白、赤、ロゼとリストにされている。その都度、オーナー自らが仕入れるワインはクオリティとコストパフォーマンスの高さがこだわりだ。左から、甲州 酵母の泡ブリュット、ルミエール スパークリングオランジェ、丹波ワイン 京丹後産サベラヴィスパークリング、深川ワイナリー 山梨ビオーネスパークリング。

 

泡のワインリスト例(取材時)

泡のワインリスト例(取材時)

白ワインの例。左から、広島三次ワイナリー TOMOEクリスプ シャルドネ、KURAMBON甲州、駒園ヴィンヤード Buntan、一番右は、ロゼワインのリストからのオレンジワインで、葡蔵人 醸し甲州。

白のワインリスト例(取材時)

白のワインリスト例(取材時)

赤ワインの例。左から、駒園ヴィンヤード Marble、林農園 五一 シラー、ヒトミワイナリー キュベオオノMBAバリック、サンマモルワイナリー 下北ワイン Ryo Classic、くずまきワイン 澤登ブラックベガール。

赤ワインリスト例(取材時)

赤ワインリスト例(取材時)

その他のドリンクメニュー(取材時)

その他のドリンクメニュー(取材時)

隠れた人気なのがオリジナルのサワー類。いずれもレギュラーサイズと大サイズがあるが、お客様の多くが最初はレギュラーを頼んでも、お替りの時は大サイズになるという。なかでも黒糖焼酎と無農薬レモンで作る一番人気の「魅惑のレモンサワー」は口当たりの良さにリピーターも多い。また、日本酒は自然派ワインとのこだわりで、千葉県香取市にある、自然のままの作り手「寺田本家」の日本酒6種類を揃える。


ユニークで楽しい居酒屋「おけい屋」のスタッフ。左から、マネージャーの黒井雄也氏、代表取締役の片寄雄啓氏、イタリアンシェフの松山陽介氏。少数精鋭オペレーションで、インパクトのある個性的な酒場づくりが注目されるokéyグループの今後の店舗展開にも期待したい。


店  名

おけい屋

住  所

東京都港区新橋2-20-15
新橋駅前ビル1号館地下1階

電話番号

03-6280-6443

オーナー

株式会社okéy(代表取締役 片寄雄啓氏)

営業時間

17:00~23:45(月-金)
15:00-22:00(土)

定 休 日

日曜、祝日

坪  数

4坪 はなれ1.2坪

席  数

12席 はなれ12席

客 単 価

3,400円

開 業 日

2019年6月


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