美味しい生ビールの注ぎ方!飲食店がビールの品質向上をするべき理由とは
コロナ禍による飲食店への打撃、各社のビール卸価格の値上げなど、さまざまな環境が飲食店を取り巻いており「提供価格を値上げしなければならない……」とお悩みの飲食店様も多いのではないでしょうか?
しかし、ただ値上げをするだけではお客様は離れて行ってしまい、来店客数が減って値上げの意味がなくなってしまうという事態を引き起こす可能性も。
そこで、注目したいのは「生ビールの注ぎ方による品質向上」です。
この記事では、生ビールの注ぎ方を検討すべき理由、おいしい生ビールの注ぎ方などをご紹介していきます。
コロナ禍での集客や、ビール値上げへどう対応するべきか考えているという飲食店様にご覧いただきたい内容となっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
ビールの注ぎ方を検討すべき理由
冒頭でも触れたように、お客様がコロナ禍で求める外食への価値が変化している中で、各社のビール卸売価格が値上げされることは、ビールの品質向上に向けて取り組む大きな理由となります。
ここではまず、生ビールの注ぎ方を検討すべき理由を詳しくご紹介します。
コロナ禍でも来店してもらうため
新型コロナウイルス感染症の影響によって、外食する機会が減ったことで、お客様が飲食店に求める基準が高くなっています。
久しぶりに外食をするお客様は、いつものおうち時間とは違った「特別」を求めているため、飲食店側もその期待に応えるべく対応する必要があるのです。
Retty株式会社が行った「緊急事態宣言解除後の外食行動と意識の変化」というアンケートによると、「これからの外食に期待するサービスについて」という問いに対して「美味しい料理が提供されること」が62.9%という結果でした。
久しぶりに外食した際に、美味しい(料理)お酒が飲めるお店を選びたいと考えるのは当然のことですよね。ビールの品質を向上することによって、「あのお店のビールは美味しいから行こう!」と思っていただけるようになります。
出典元:「緊急事態宣言解除後の外食行動と意識の変化」Retty株式会社
各社のビール値上げに対応するため
大手4社(アサヒビール、キリンビール、サッポロビール、サントリー)からビールなどの卸売価格が値上げされることが14年ぶりに発表されました。(2022年10月より)
飲食店から見ると、仕入れ価格が値上げされるので必然的にお客様に提供するビールの価格を上げなければならないということになりますが、ただ値上げをするだけでは、お客様の満足度が下がってしまう事が考えられます。
「このお店は価格が高いけどビールが美味しい」と感じていただけるようになるためには、ビールの品質を向上させ、他のお店とは違う美味しいビールが飲めるお店だということをお客様にアピールする必要があります。
ビールの値上げについて、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
→ 2022年10月に酒類値上げが発表!ビールの値段の移り変わりと今後の対策
最高の「最初の1杯」を提供するため
居酒屋などで最初に頼む飲み物として「とりあえずビール」を頼む方は多く、なんでも酒やカクヤスが調査した「飲み会の席では最初にビールを注文する“とりあえずビール”派ですか?」という質問に対して「はい」と答えた方は69.1%と約7割、「時と場合による」の18.7%を含めると、90%近い方がビールを1杯目に頼むという結果です。
前述したように、家での晩酌が増えていることから、1杯目で「家で飲むビールよりも美味しい!」と感じていただけるかどうかは非常に重要です。
お客様が持つお店のイメージを良いものにするためには、1杯目のビールを美味しく提供することが大事なのです。
美味しい生ビールを注ぐための準備
生ビールを美味しく提供するには、注ぎ方を学ぶ前に準備が必要です。
ここからは、美味しい生ビールを注ぐための準備をご紹介します。
ビールサーバーの清掃を行う
ビールサーバーは、洗浄を怠ると品質に影響するのはもちろんのこと、衛生的にも悪い環境となってしまい、お客様に対して雑菌の入ったビールを提供してしまうことになります。
洗浄は、以下のように行いましょう。
【水通し洗浄(毎日)】
- 洗浄樽の内部が綺麗なことを確認し、洗浄容器に水を入れて蓋をしっかりしめる
- 樽に付いているヘッドを外す
- ヘッドを洗浄樽に取り付け、時計回りに止まるまで回す
- ビールタップに洗浄用バケツをセットする
- 圧力は営業中にビールを抽出していたときと同じ圧力に調整する
- タップが閉じているのを確認してからハンドルを下げる
- タップを倒してバケツに出てくる中身がビールから水に変わったら、クリーミータップ側も十分に水洗いをする
- 7. の作業を何回か繰り返して行う
- 水がなくなったらビールラインもクリーミータップも十分に水切りをする
- ヘッドのハンドルを下げる
- 減圧弁の圧力設定ダイヤルを「0」へ戻して元栓を締める
- 洗浄樽のガス抜きボタンを押して残りのガスを抜く【必ず実施】
- ヘッドを取り外す
- 樽は、水で樽口を洗い流して綺麗なふきんで水分を完全にふき取り、キャップシールかキャップを被せて風邪通りの良い場所に保管
- 洗浄機は逆さにして保管
- 受け皿を本体から取り外し水洗いをする
【スポンジ洗浄(週1回)】
- 水通し洗浄を行う
- 洗浄樽に水を入れて蓋をしっかり締める
- ヘッドを洗浄樽に取り付けて時計回りに止まるまで回す
- タップを取り外す
- タップのスライド弁を逆さにしてセットする
- タップを取り付ける
- ガス圧を調整する
- ビール継手を外して、ビールホースに洗浄スポンジを1個入れてヘッドに取り付ける
- 洗浄用バケツをタップにセットしてヘッドのハンドルを下げて洗浄をはじめる
- 減圧弁の圧力を「0」にして、洗浄樽のガス抜きボタンを押し残りのガスを抜く
- スライド弁を元に戻し取り付ける
- タップをしっかり取り付け、最後に水を流して漏れがないか確認する
詳しいビールサーバーの洗浄方法については、「おいしい樽生作り方マニュアル」(提供:サントリー)をご覧ください。
ビールサーバーの洗浄は、美味しい生ビールを提供するために必ず行うべきことです。ビールの味を落とすだけではなく衛生面でも問題となるリスクがあります。
適正なガス圧の調整をする
ビールの樽の温度に合わせて適切な圧力をかけないと、気抜けしてしまったり、ピリピリとしたビールになってしまったりします。
そのため、ガス圧を適正に保たないと、いくら美味しいビールの注ぎ方をしたところで味はいまいちという結果に。
ビールサーバーには、瞬間冷却式と樽冷蔵式がありますが、瞬間冷却式の場合は樽の温度が20~30℃に設定されるため、温度の10分の1の圧力をかけるのが適正となります。
樽の中の想定温度は、夏は25℃、冬は20℃なので、それぞれの適正圧力は夏は2.5、冬は2となります。樽冷蔵式は年間通じて常に5℃前後で冷やされているため、圧力は1程度で良いでしょう。
樽の中の温度を正確に測るカードを利用して、適正なガス圧の調整をすることが重要です。
グラスにこだわる
ビールは種類によってグラスを変えることで、それぞれのビールの良さがよりお客様に伝わるため、種類に合わせてグラスを選ぶのがおすすめです。
例えば、エールタイプのビールにはワインのように香りと味わいを楽しめるようなチューリップ型のグラス、ラガータイプのビールにはキンキンに冷えたビールをグイっと飲みやすい厚手のジョッキが良いでしょう。
また、オリジナルのグラスを作成することで、お店のブランディングや販促に役立つ一面もあるため、ビールグラスをオリジナルで作成するのも一つの手です。
オリジナルビールグラスについて、詳しくはこちらの記事もご覧ください。
→ ビールグラスをオリジナルにするメリットと作成方法とは?販促を狙うためにこだわるべきポイントも紹介
美味しい生ビールの注ぎ方
美味しい生ビールの注ぎ方をマスターすれば、1杯目にお客様に「生ビールが美味しいお店だ!」と感じていただくことができます。
ここからは、美味しい生ビールの注ぎ方をご紹介します。
基本的な注ぎ方
美味しい生ビールは以下のように注ぎます。
- コックに対して正面に立ち、グラスを斜め45度に傾ける
- グラスの角度を保ちつつグラスの内側を添わせるようにビールを注ぐ
- ビールの表面に泡を乗せていくイメージで注ぐ
- 液面が上がっていくのに合わせて、泡をこぼさないようにグラスの角度を起こしていく
泡は、表面張力ギリギリまでしっかり付けて、泡がへこんだ状態にならないようお客様に提供しましょう。
また、グラスとコックを離して注いでしまうと、粗い泡が形成されてしまい、密度の濃い泡ができないので要注意。グラスとコックは離さずくっつけてビールを注ぎましょう。
密度のあるクリーミーな泡を作ることで、ビール本来の味、香りなどを閉じ込めて飲み終わるまで美味しくビールを楽しめます。
3度注ぎ
ビール大国であるドイツやチェコでは、ビールを泡立てながら時間をかけて注ぐという伝統文化があります。
3度注ぎは、ホップが華やかに香りたち、まろやかなうま味を引き出す効果があるとされていて、時間が経っても香りの成分が多く残ります。
3度注ぎは以下のように行います。
- なるべく高い位置からビールを注ぎ泡でいっぱいにしてそのまま2分ほど待つ
- 泡がグラスの半分程度になったらグラスの縁から泡の下にビールを注ぐ
- 盛り上がった泡がグラスの縁よりも下がる前に、泡が溢れないようにそっと注ぎグラスから2cm程度泡を盛り上げる
3度注ぎをすると、注いだ直後と時間が経過したときで苦みの成分の強さが変わります。注いだ直後は苦みが少ないビールとなり、時間が経過すると苦みが増すことでビールの味を最後まで楽しめるようになります。
3度注ぎは、ビールサーバーから注ぐときだけではなく、瓶ビールを注ぐ際も実践できるため、お客様へのサービスとして実際に注ぎ方をレクチャーするのもおすすめです。
大手4社では生ビールの品質向上セミナーが行われている
大手4社(アサヒビール、キリンビール、サッポロビール、サントリー)では、「美味しい生ビールの注ぎ方セミナー」や、「美味しい生ビールの注ぎ方ムービー」などを提供していて、簡単に「どうしたら美味しいビールを提供できるか」を学ぶことができます。
4社の生樽を導入していれば無料で受けられ、サーバーの洗浄の仕方や適性なガス圧についても学べるため、お店の経営者様や従業員の皆さんで、ぜひセミナーを受けてみてはいかがでしょうか。
大手各社のセミナーや動画を視聴したいと考えている飲食店様は、ぜひカクヤスまでお問合せください。
まとめ
生ビールはサーバーの洗浄やガス圧、注ぎ方などによって味が変わります。また、消費者は常に「美味しいビール」を求めていることは間違いありませんが、コロナ禍であることや、酒類の値上げが行われることでさらに「美味しいビール」を求める意識は高まることでしょう。
競合店との差をつけるためには、従業員全員が美味しい生ビールを注げるようになることや、そのためのサーバーの洗浄、適正なガス圧、グラスの選び方などの準備も必要です。
なんでも酒やカクヤスでは、飲食店様に向けてメーカーグラスやオリジナルグラスなど備品のご相談なども承っております。
また、ビール会社各社のセミナーなどのご案内もいたしますので、ビールの品質向上を視野に入れている方、他店との差別化を図りたいという方は、ぜひ一度お問合せください。
この記事を書いた人
カクヤス編集部
飲食店なんでもスクエアは、国内業務用酒販売上No.1、首都圏飲食店顧客満足度No.1の実績をもつ酒販店「なんでも酒やカクヤス」が運営するメディアです。
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カクヤス編集部にはワインエキスパート・エクセレンスやシニアソムリエ、SAKE DIPLOMAなどお酒の資格を持ったメンバーや、飲食店様に15年以上寄り添ってきた営業スタッフ、店舗スタッフなど様々なメンバーがいます。
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