2021年の外食ニュースまとめ・2022年を生きのびるヒント

外食ライターのさとうです。ありがたいことに今年も1年間のまとめ&ヒントを書くご依頼をいただくことができました。これもひとえに読者のみなさんのお陰です。この場を借りて御礼申し上げます。今回も少しでも飲食店経営者のお役に立てるヒントを提供できるよう頑張ります!

まずは2021年の総括でいくと、アルコール業界にとっては正直2020年より苦しかった1年でした。売上げはもちろんですが、緊急事態宣言中は休業するか否か、アルコールを提供するか否か、宣言解除後はどれくらいお客が戻ってきてくれるのか、等々、センシティブな不確定要因が多くて経営者も現場のスタッフも手探り状態を続けている感じでした。その他の業態については本項2位に書いたとおり、2019年度比91.8%まで回復しています(アルコール業態を除いたらさらに成績が上がる)。コロナ自粛のリバウンドもありますし、単身世帯や共働き世帯、高齢者の増加による食の外部化という大きなトレンドを実感しています。

さあ今回も昨年の外食トピックをふまえつつ、2022年をどう戦えばよいか?ということを念頭にランクを付けていきました。またしても客観的な話題性だけでは選んでません。「聞いたことがない」ようなキーワードもランクインしていますが、どうかお許しを。では、いってみましょうか。

2021年の外食ニュース 10トピック

私が独断で選んだ2021年の外食ニュースは次の10トピックです。

1位:寿司、焼肉、唐揚げ、ハンバーガー、食パン
「令和の定番」がはっきりしました

2位:居酒屋ひとり負けの厳しい現実
コロナ前2019年比の売上げ1/2のまま

3位:新ビジネス1「メニューライセンス」
低投資&既存店そのままに新しい価値を付加できる!

4位:新ビジネス2「冷凍食品」
飲食店で「冷凍食品」を売るという選択肢が登場

5位:「値上げ」を真剣に考えよう
日本が世界で買い負け続けている影響がコモディディ(牛肉・小麦粉・食用油等)にも

6位:ルーローハン、カオマンガイ、ガパオライス
まだ海外旅行に行けないなら、せめてご飯だけでも!?

7位:卓上サーバー&飲み放題
コロナ禍を吹き飛ばした新しい居酒屋エンタメの登場

8位:モバイルオーダー・サービス
個人店DXの起点にぴったりも競争激化で選びづらい状況に

9位:ホワイト化する社会
「清潔感=安心安全」というマインドがコロナ禍で加速した

10位:アフターコロナに備えよう
政府・行政の要請なくなり自主自粛の社会に移行する可能性

1位:寿司、焼肉、唐揚げ、ハンバーガー、食パン

マクロな外食市場データよりも2021年に顕著だった動きは「令和の定番」ともいうべき料理がはっきりしたことでした。それが見出の5商品です。(※昭和の国民食といわれたカレー、ハンバーグ、ナポリタンはランク圏外です。またラーメンと餃子はわざわざ言わなくてもいいか、という気がしたので外しました)
象徴的なのはワタミで、コロナ禍にあって矢継ぎ早に打ち出した新ブランドは寿司「すしの和」、焼肉「焼肉の和民」「かみむら牧場」、唐揚げ「から揚げの天才」「bb.qオリーブチキン」と5料理のうち3つ。
またハンバーガーでは鳥貴族「TORIKIバーガー」、ダイニングイノベーション「BLUE STAR BURGER」、subLime「BEX BURGER」と、居酒屋を得意としている大手企業からの新規参入が続きました。

富士経済によるとハンバーガーの市場規模は2015年から拡大を続けていてコロナ禍の2020年でも前年比3.4%増の7,302億円、寿司は回転寿司カテゴリのデータで前年比1.3%増の6,790億円、唐揚げは前年比23.1%増の1,050億円というデータです。焼肉についてはわかりやすいデータがなかったのですが、業界通によるとコロナ禍でも5%ほどの店舗増で市場規模も1兆円を超えているそうです。もともと市場拡大を続けていたところにコロナ禍で大きく跳ね上がった感じですね。
これらの商品に共通する点を考えると次の4つがあると考えます。

  1. 「庶民」のごちそう
  2. 失敗がない(好き嫌いに左右されない)
  3. 月に2~3回定期的に食べている
  4. テイクアウト、デリバリーでもニーズがある

こうした傾向からどんなヒントが得られるだろうか?筆者としては「長いものには巻かれろ」です。居酒屋であれば寿司を用意してテイクアウトもアピールする、バルだったらランチにハンバーガーを入れてデリバリー対応する、またサイドメニューのバゲットを自家製食パンにチェンジするのもいいでしょう。消費者側も外食機会が減ったことから「失敗しない」選択を考えています。「定番商品」を置くことで安心感をアピールさせるのがポイントになってきそうです。

2位:居酒屋ひとり負けの厳しい現実

表は日本フードサービス協会が毎月発表している「売上高前年同月比」を表したものです。
緊急事態宣言解除後の2021年11月度の売上は「全体」が20年比99.8%、19年比でも91.8%ですから、だいぶ持ち直してきている印象です。ただ「パブ/居酒屋」を見ると20年比96.8%、19年比では51.9%とコロナ前の半分ほどと、回復のめどがまったく立っていません。店舗数を見ると「全体」がマイナス5.8%のところ、「パブ/居酒屋」はマイナス19.9%と2割も閉店縮小していることがわかります。ここでわかるのは、肌感覚のとおり「飲み会ニーズが大きく減り、市場縮小の傾向はしばらく続くだろう」ということです。

さて、ここで朗報(?)です。ざっくり市場概況をおさらいしてみましたが、こうしたデータにはある「からくり」があります。出典元である「日本フードサービス協会」のデータは加盟している大手外食企業の業績がベースになっています。つまり中小店舗のデータを反映しているわけではないのです。筆者のみるかぎりでも宴会需要を想定していない小規模店やセンベロ業態のほうが業績の戻りがいい。大手企業が相次いで撤退している時期は、地域密着型の中小の居酒屋にとってはチャンスと考えることもできます。経営者の創意と工夫しだいでチャンスにもピンチにもなるタイミングといえます。

3位:新ビジネス1「メニューライセンス」

コロナ禍をきっかけに急増したなと感じさせるビジネスモデルをふたつ紹介します。ひとつは「メニューライセンス」というビジネスモデルです。
簡単に説明すると「繁盛店の看板商品のみを切り出して、他店に卸売りする」といったものです。少し前まで、お店の看板商品って差別化の武器であって「門外不出」であるべきものでしたよね。看板商品を全国に広めたいとなれば、直営店またはフランチャイズで多店舗展開に挑戦するのが一般的でした。
一例をあげると東京・品川のパスタ専門店「BIGOLI」の看板商品であるボロネーゼです。本店では1日450食を売るほどのヒット商品ですが、これをソースと生パスタとして卸売りしている。ソースは湯煎、生パスタは4分間ボイルして和えるだけという軽量オペレーションが肝。これまでランチ営業を避けていた居酒屋やバルでも導入しやすいため、売上補填に有効という評価を得ています。

もう一例だとバナナジュース専門店「まがりDEバナナ」。レモネードと並んで流行の兆しを見せているバナナジュースをライセンス化したもので20年7月の加盟スタートから1年半で90店超が加盟するという高速成長をみせています。背景にはFC本部である株式会社ドリームアシスタントの本業が動画やSNSマーケティングや財務のコンサルタントであること。SNS集客を学べる点にメリットを感じて加盟する飲食店も少なくないそうです。

以前紹介したデリバリー業態「あげたて」もそうですが、既存店舗を残しながら、新しい販売チャネルを加えることができるサービスが増えてきています。小さな投資でチャレンジできる、個人店でも導入しやすいサービスが増えてきたなと実感します。

4位:新ビジネス2「冷凍食品」

コロナ禍をきっかけに突如現れた「冷凍餃子の無人販売所」を目にした読者も多いのではないでしょうか。他にもファミリーレストラン「ロイヤルホスト」が冷凍ショーケースを設置して冷凍食品の販売を開始していたり、ラーメンチェーン「ラーメン凪」の店頭に冷凍ラーメンの自動販売機が設置されるなど飲食店発の冷凍食品が増えつつあります。

飲食店で冷凍食品を売るスタイルといえば、中華チェーンの「大阪王将」や「餃子の満洲」などが以前から実施しており、売上比率10~15%を確保するくらい定着しています。
さらに自動販売機や冷凍冷蔵設備を製造するサンデン・リテールシステム株式会社が、飲食店の調理品を扱う冷凍自動販売機「ど冷えもん」を開発。導入する飲食店が急増しています。

ご存じの方も多いと思いますが、近年コンビニエンスストアも冷凍食品の品数を拡大させています。冷凍技術の進化により、味や食感のレベルが各段に上がっています。日持ちもするからまとめ買いしやすく、高齢者、若者層、単身者層を中心に支持されています。テイクアウト、デリバリー、物販などとともに冷凍食品も販売チャネルの選択肢に加わったといっていいでしょう。

冷凍食品を自ら開発すると考えると個人店や小規模事業者にはハードル高そうです。ただ、見方を変えると冷凍販売を開始している事業者側には「販売所を増やしたい」というニーズがあります。たとえば黒毛和牛や黒豚を使った餃子のEC販売を手掛けている株式会社アップラインズでは、同社の冷凍生餃子を契約店舗の店頭で販売するライセンス事業をスタートさせています。

冷凍食品は調理品をテイクアウト・デリバリー販売するよりも圧倒的に負荷が低いこともポイントです。数百万円の投資余力がある店は自社商品の冷凍販売にチャレンジするもよし、なければ「場所を貸す」もよし。かなり有望な施策案ではないでしょうか。

5位:「値上げ」を真剣に考えよう

かつては熾烈な値下げ競争を繰り広げていた牛丼チェーンが、2021年は相次いで値上げを実施したことは記憶に新しいところです。「松屋」は9月に牛めし並を320円から380円に、吉野家は10月に並盛を387円から426円に、「すき家」は12月に並盛を350円から400円に、といった具合です。輸入牛肉の価格は、20年10月ごろから1年間でほぼ2倍に急騰しています。牛肉だけでなく、小麦粉や食用油といった基本的な食材で値上げが発表されており、原価率の上ブレは免れないと言えるでしょう。

この値上げ傾向は長期化するかもしれません。その理由は世界における日本の購買力が弱くなっているからです。なんのこっちゃですね。ひらたく言うと牛肉でも、小麦粉でも、諸外国で「高くても買いますよ」という国が増えてきているんです。中国や東南アジア諸国が経済的に豊かになっていくにしたがって、食生活も高くておいしいものを食べるようになってきました。世界の国々が所得も物価も上がり続けているのに、日本はバブル崩壊以来ずっと所得も物価も上がらなかった(デフレ)ので、いつのまにか購買力で成長国に追いつかれちゃった状況です。たまたま不作だったというような要因ではないので、短期で元にもどる可能性は低いと思ったほうがいいです。

同時にアルバイトの時給も値上がりしています。東京都の最低賃金は2021年10月に28円上がって時給1,041円になりました。そもそもコロナ禍で接客業をやりたがる若者が少なくなっていることから、最低時給では採用できなくなっています。
飲食店コストの過半を占める原価と人件費の上昇圧力はかなりのピンチといえます。値上げを真剣に考えないといけない状況であることは間違いありません。と、ここまで提言しておきながら、どうやって値上げを成功させるべきか筆者もぜんぜんわかりません!(汗。今年も頑張って取材していきますので、来年までの宿題とさせてくださ~い。

6位:ルーローハン、カオマンガイ、ガパオライス

1~5位までヘビーに解説してきたこともあり閑話休題。アジア各国のソウルフード(定番料理)がだいぶ認知されてきているなという印象です。大半の人が海外旅行できない現状の中、食事でプチ旅行気分を味わいたいという心理的欲求が刻々と大きくなっているのではないでしょうか。ちなみにルーローハンは台湾、カオマンガイ、ガパオライスはタイが発祥ですね。

こうしたアジアンフードは、コンビニやスーパーの弁当コーナーやレトルトコーナーに並ぶ事例も増えてきており、そろそろローカルエリアでも通用しそうな環境が整いつつあるとみています。どれも丼またはワンプレートにまとめやすいのもポイントで、ランチやデリバリーにしやすい。主食材は豚バラ肉、鶏ムネ肉、挽肉と原価的にもやさしく、もともと庶民料理なので調理にこだわる必要もありません。
他には韓国料理のサムゲタンやインドのビリヤニ、インドネシアのナシゴレンなどもあります。お店の名物料理、集客商品と言えるほどのインパクトはないかもしれませんが、差別化商品として引きが強いのでおすすめです。

7位:卓上サーバー&飲み放題

客席にサーバーが設置され、わざわざ注文しなくても好きなだけレモンサワーを飲むことができるスタイルの居酒屋が急増しています。「0秒レモンサワー®仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」(50店舗)、「生ホルモンと勝手にレモンサワー レモホル酒場」(19店舗)、「焼肉ホルモン たけ田」(14店舗)あたりがトレンドをけん引しています。このスタイルはときわ亭が2019年12月、レモホル酒場が2020年11月、たけ田が2019年1月にそれぞれスタートしていますから、ものすごい短期間で急増したことがわかりますね。
飲み放題の価格はときわ亭が60分500円、レモホル酒場とたけ田が60分550円といった具合で、それぞれレモンシロップの種類を多数用意している点も共通しています。

ただ、注目の居酒屋トレンドとして紹介したものの、個人店が導入するのはなかなかにハードルの高い施策といえます。導入コストはもちろん、日々のメンテナンスも大変そうです。とはいえ居酒屋業態は2位で紹介したようにダメージがいちばん大きいカテゴリですから、消費者の外飲み離れを防いでくれたという意味でもホットニュースでした。

8位:モバイルオーダー・サービス

昨年の記事で3位にランクインした「非接触型サービス」ですが、ここ1年で進化のスピードが加速しています。中でも、サービス提供企業が急増しているのが「モバイルオーダー・サービス」の分野で、筆者が調べただけでも10社以上がサービスをリリースしている状況です。
お店でQRコードを読み取って注文するタイプ、LINEからアクセスするタイプ、メニューブックのようにデザインにこだわったものもあります。
モバイルオーダー・サービスのメリットは次の3つがあげられます。

  1. 初期投資が安い:
    お客様のスマートフォンが注文端末になるので、客席に機器を設置する必要がなく導入コストやメンテナンスコストがかからない。

  2. お客様との関係が築ける:
    モバイルオーダー利用と同時にLINE友だち登録をしてもらえば、その後もキャンペーン情報やクーポンを提供するなどして再来店を促すことができます。

  3. フロア業務の負担軽減:
    フロアスタッフがかなりの時間を割かれているオーダーテイク作業がなくなりますし、お客様側はスタッフを呼んだり待ったりするストレスがなくなります。余裕ができた分はスタッフを減らしてもよし、ホスピタリティアップに注力してもよし。

個人店でもコスト面で導入しやすいという点でも、モバイルオーダーは数あるデジタル化の中でメリットはもっとも大きいと感じています。
デメリットを強いてあげるとすれば、各社ともサービスをリリースをしてから日が浅いため、使い勝手の良し悪しがわかりづらいということでしょうか。モバイルオーダー・サービスについては、ただいま徹底比較特集を準備中ですので、楽しみにお待ちいただけたらと思います。

9位:ホワイト化する社会

聞きなれないキーワードを下位にこっそりランクインさせていただきました(苦笑)。この傾向は2~3年前からあったのですが、コロナ禍をきっかけにお店の「衛生要因(清潔感)」が来店理由、リピート理由として重要な要素になってきたことです。とりわけファミリーやシニアがターゲット客層になっているお店はかなり真面目に取り組んだほうがいいでしょう。
勘違いしてはいけないのは掃除をしっかりしているかどうかではありません。お客様に清潔さが伝わっているかどうかがポイントです。明るい照明、ベタつきのない床、整理整頓されたキッチンまわり、臭いのないトイレ、スタッフのユニフォームも汚れがない等々、細部にわたって清潔感を「演出」する必要性が高まっているのです。唯一、多少汚れてても許される飲食店は一人客をターゲットとしているせんべろ酒場くらいになっていくと思います。

理由のひとつは新型コロナウイルスをきっかけに感染症を怖がる人が増えたこと、感染を避けるためには他人が触ったものをできるだけ触らないという意識が刷り込まれたことです。複数人で利用するケースでは幹事さんは「同席者に感染者が出たら二度と集まれないかもしれない」と慎重にお店を選ぶことになるので、視覚的にも衛生的なお店と理解してもらうことが有効になるのです。

もうひとつの理由は、社会全体の傾向として不潔であったり露悪的な態度をとる人や雰囲気を避けるようになってきているのです(暴力的な言動がSNSや家庭内に凝縮されてきているという課題もありますが)。かつては繁華街にホームレスがうろついているのは当たり前でしたし、タバコの吸い殻やら吐き捨てられたガムで道がベタついてるなんてごく普通の光景でしたが、今ではほとんど見られなくなりました。コミュニケーション面については近年モラハラ、セクハラ、パワハラ、カスタマーハラスメントなど、攻撃的な言動はすべからく「悪」であることを教育する情報で満ちていて、それに対応できる人のほうがマジョリティという空気が醸成されています。良いことなのか悪いことなのかの価値観は人それぞれですが「ホワイト化する社会」はこれからも進んでいくことは間違いなさそうです。

ここ数年の新店舗を見ても清潔感に対する意識の高まりを感じています。年数が経って改装を検討している飲食店や、居抜きで開業しようとしているお店などは、ぜひ「清潔感の演出」が再来店要因として重要性が増していることを念頭に取り組んでいただきたいと思います。

10位:アフターコロナに備えよう

2021年は「10位くらいは明るい話題を」という気持ちでコロナ禍まっただ中でも行列ができていた店を紹介しました。2022年は逆のメッセージを送りたいと思います。
足元では感染再拡大により、多くの都道府県で「まん延防止措置」が適用され、再び行動制限(自粛)が要請されている状況ではあります。ただ「変異とともに弱毒化する」という説のとおりオミクロン株の重症化リスクは低く、海外の事例や過去の経験からピークアウトまでの期間も予測できるようになってきています。何よりワクチンに続いて飲み薬の処方も始まっており、コロナ包囲網の体制は確立されつつあります。
あくまで筆者の予想なので結果が違ってたらごめんなさいと前置きしつつ、新型コロナウイルスは来年度あたりから法的にもインフルエンザ等と同等の扱いになるのではなかろうかと考えています。
そろそろアフターコロナを念頭においた外食環境と課題を整理しはじめておいたほうが良いだろうと考える次第です。

  1. 都市部の宴会需要は戻らない
    上場企業法人の宴会需要はほとんど戻らないでしょう。ただ、幸か不幸かリモートワークの広がりが限定的だったので、中小企業の宴会は今年末あたりからジワジワ戻ってくるのではないかと。プライベートな飲み会は戻ってくると思います。若い世代を中心に全員とおしゃべりできる4~8人サイズがボリュームゾーンになりそうです。
     
  2. 新型コロナウイルス、インフルエンザの感染状況によって客数が増減する
    「アフターコロナ」といってもウイルスがゼロになるわけではありません。おそらくインフルエンザのように毎年少しずつ変異しながら日常生活に浸透していくでしょう。ウィズコロナってやつですね。そうだとすると9位でも述べたように消費者の衛生意識がアップデートされたので「積極的自粛」をする人が増えると考えます。たとえばネットやテレビを見て感染者数が多いとわかったら外出を控えるといった行動をとる人が多くなるでしょう。
     
  3. 自粛要請がなくなる(協力金もなくなる)
    散発的に感染拡大を見せる事態は今後も続くでしょうが、これまでのように「まん延防止措置」「緊急事態宣言」が出されることは考えにくいです。当然、協力金や雇用調整助成金などを得る機会がなくなります。
    これらから不規則な客数の増減があっても利益を確保できる収益プラン作りや、財務状況の見直しをしておくことが重要になると考えています。

さて、今回のベスト10はいかがでしたでしょうか?何かひとつでも「気づき」があればとても嬉しいです。ここまでいろいろと書き連ねましたが、飲食店が繁盛する秘訣はたったひとつなことも知っています。それはお客様に「また来てほしい」というお店の熱量が伝わるかどうか、なのです。その「熱量の伝え方」のヒントととして読んでいただけたら、本当に嬉しいです。

この記事を書いた人

さとう木誉(きよし)

外食ライター
都内在住。繁盛店取材だけでなく経営マネジメントに関する取材活動を中心とする。「月刊食堂」「外食レストラン新聞」「外食図鑑」といった専門媒体の他、食品商社や外食コンサルタント等の宣伝企画にも携わる。
好きな酒は熱燗。好きなツマミはガリ〆さば。

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