ステーキが290円!気鋭の超コスパ肉バル -料飲店トレンドと繁盛店事例 vol.16-
Vol.16は「ステーキが290円!気鋭の超コスパ肉バル」。ここ数年の間でも、「熟成肉」「ローストビーフ丼」「ひとり焼肉」「立ち食いステーキ専門店」といったワードが外食業界のトレンドに挙がっており、消費者ニーズの多様化に合わせるように、“肉業態”は目覚ましいスピードで進化を続けています。そうなると当然、新規参入も多く、競争はますます激化。特に流行の「肉バル」業態の競争は熾烈で、高級な希少部位を提供したり、SNS映えの良い商品を開発したりと、競合他店との差別化を図るための様々な戦略が取られています。
今回は低価格帯のフードメニューが話題沸騰、都内での知名度を高めている注目の肉バル「BEEF KITCHEN STAND」を取り上げます。
BEEF KITCHEN STAND 代々木店 (東京・代々木)
JR代々木駅から渋谷方面へ徒歩約5分、明治神宮や新宿御苑にもほど近い北参道エリアに店を構える「BEEF KITCHEN STAND(ビーフキッチンスタンド) 代々木店」は、2018年2月開店。都内を中心に料飲店を展開する外食企業「株式会社奴ダイニング」が運営する、“ちょい呑みステーキバル”だ。
“ステーキをつまみにお酒を呑む文化を創る”ことをテーマに掲げる同店は、2019年10月現在で東京・神奈川に7店舗を展開。2016年8月にオープンした秋葉原店は、僅か13.5坪の店舗面積にも関わらず最高月商が850万円、2018年3月にオープンした新宿歌舞伎町店は、20坪の店舗面積で月間来店客数が約5,000人、最高月商が1,000万円という実績を持ち、業界の注目を集めている。
こちらの代々木店も、17坪の店舗面積で月間来店客数が約2,000人、オープン以来順調に客足を伸ばし続けており、SNSや口コミサイトへの好意的な投稿も多い。
男性客でも入りやすいように、“オシャレだけれども少しダサい”ラインを狙っているというカジュアルな雰囲気の店内は、立ち飲みカウンター席を含めて全45席。ファサードをガラス張りにして開放感を、壁面に鏡を設置することで奥行きを演出するなど、限られた面積を効果的に利用する内装の工夫が見られる
近隣で働くサラリーマンとOLはもちろん、近隣住民のリピーター率も高く、“ちょい飲み”利用に、飲み放題での宴会利用にと、平日休日問わず毎夜賑わっている。客層の男女比は5:5。
そんな同店のキラーコンテンツとでも言うべき看板商品が、鉄板で提供される「名物ビフテキ」(税抜290円)だ。
オーストラリア産のリブロースをミディアムレアに焼き上げた本格的な一品でありながら、税抜300円以下という破格値である。1人用にちょうど良い50gの小ポーションにすることで、高品質と低価格の両方を実現しているとのこと。
人気メニュー「牛ハツと野菜のアヒージョ」(税抜199円)は、なんと税抜200円以下。姉妹店のもつ鍋専門店が持つ独自ルートから、良質な牛ハツを安く仕入れられるそうだが、とは言っても、驚異的なリーズナブルさだ。
他にも「牛ハツのレアロースト」(税抜299円)、「牡蠣のアヒージョ」(税抜199円)、「大山鶏のから揚げ」(税抜199円)といった商品をはじめ、定番の「ポテトサラダ」(税抜110円)や「こぼれるフライドポテト」(税抜130円)などなど、60種類以上の多彩な小皿料理を、超の付く低価格で揃えている。
またドリンクも、ビール、ハイボール、サワー、日本酒、焼酎、ワイン、カクテルまで幅広く、100種類以上の豊富なラインナップ。
中でもオススメだというのが、「トリスハイボール」(税抜290円)。ウイスキーと炭酸水の割合は1:4の黄金比、さらに炭酸水は6.0volの超強力炭酸を、凍る直前の1℃の状態で使用しており、すっきりとした爽快な味わいが肉料理と相性抜群だ。
その名の通り、グラスから溢れるほど注がれる「こぼれワイン」(税抜390円)も人気商品。乾杯時の一杯に最適な「こぼれスパークリング」(税抜500円)と共に、特に女性に好評。
「イエガーマイスター」「テキーラ」「コカレロ」の3種類のショットがセットになった、「パリピセット」(税抜1,200円、単品注文時は各500円)というユニークなネーミングの商品も。こぼれワインと同様に、客を楽しませる遊び心も随所に盛り込まれている。
「私自身が酒飲みでして、普通の居酒屋でちょっと飲みたい時に、一皿のポーションが大きすぎて、サラダだけでお腹がいっぱいになってしまって色々楽しめない、という経験が多々ありました。それと、ステーキをつまみにお酒が飲めるお店も無いなと。そこで、一皿を小ポーションにして、そのかわりに幾皿も食べられるようなお店を作りたい、と考えたのがビーフキッチンスタンドの原点です」と開店のキッカケを語るのは、「奴ダイニング」代表取締役社長の松本丈志(まつもと・たけし)さん。
つまり、肉料理をメインに据えたステーキチェーン店やファミリーレストランとは異なり、あくまでも「お酒のつまみのひとつとしてステーキがある」というスタンスで、同時に、既存の肉バルよりももっと大衆居酒屋寄りの立ち位置を取っているため、“肉業態”の過当競争に巻き込まれないでいられるワケだ。単なる低価格路線ではない。
確かに、提供されているフードにしてもドリンクにしても、流行り廃りのない大衆向けの商品が中心であり、ドリンクに関しては平均の範囲内の価格帯である。
実家が寿司・和食店を営んでおり、自身も都内の名門寿司店で5年間修行した経験を持つ松本さんは、「料理人修行は、過酷な長時間労働は当たり前だという、今風に言えばブラックなところがまだまだたくさんあります。作業の効率化と最新のテクノロジーの導入によって生産性を上げれば、飲食店もブラックから抜け出せるはず」とも。人件費を抑えつつ収益を上げるために、厨房機器などへの設備投資は惜しまず、社員の教育・研修環境も充実させているという。
「飲食業の地位向上を目指して、会社での働き方改革も進めています。従業員、お客様、お取り引き業者様、お店がある街も含めて、関わるすべてが幸せになるように」と、熱い想いを抱く。
昨年10月にはFC本部を設立し、今年1月から加盟店の募集を開始した。「ありがたいことに多くのお声を頂いておりますが、物件が決まらないことにはスタートが出来ません。直営店の多くは不振な飲食店を買い取り、業態変更をして成功しているので、今後はもともと店舗を持っている方にFCの加盟をして頂いたり、買い取らせて頂いたり、場合によってはM&Aなどで物件を取得することも検討しています」と松本さん。
「奴ダイニング」の上場も視野に入れており、「将来的には首都圏中心に200店舗体制を目指したい」と意気込んでいる。
店 名 | BEEF KITCHEN STAND 代々木店 |
住 所 | 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-29-12 北参道ダイヤモンドパレス1F |
運 営 | 株式会社奴ダイニング |
電話番号 | 050-5269-8418 |
営業時間 | 月~金 17:00~24:00 |
定 休 日 | なし |
坪数・席数 | 17坪・45席 |
禁煙・喫煙 | 分煙 |
客 単 価 | 2,200円 |
開 業 日 | 2018年2月 |
公式サイト |
この記事を書いた人
秋山シュン
Webライター/ブロガー/役者/芸人。食べ歩いた料飲店は4,000軒超。2007年に立ち上げた個人サイト「シグナル・ロッソ。」での記事紹介により、人気店となった料飲店は数知れず。サブカルチャーにも造詣が深く、2019年より秋葉原の事業組織「AKIBA観光協議会」公認ライターを務める。
グルメレポートを中心とした地域情報発信メディア「シグナル・ロッソ。」
ご注意
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