お金をかけずにスタッフを採用するための準備とコツとは〔飲食店開業マニュアル〕
「スタッフが足りない」と思ったとき、皆さんは最初に「有料のWEB媒体や紙媒体」を考えてしまうことが多いかと思います。この考えは最後の手段とし、まずは自店舗内の努力で「極力お金をかけず」に出来る策から考えていこうと思います。特にその中で「紹介制度」は群を抜いて大事ですので、実際の例を中心に今回はお話ししてまいります。
※当ページでは、飲食店のパート・アルバイトスタッフをPAとしています。
採用活動まえの準備
採用に入る前に準備しておくことがあります。まずは店舗における年間のPAの『採用計画』と『自社・自店の強み』の整理です。
採用計画を立てる
『採用計画』とは、何月に何名位PAさんが必要となるのか?ということです。
面談や日常のコミュニケーションで、いつ頃、誰が退職するのか(一般的には大学生が2月頃とか、主婦はご主人の転勤等の予定月といった具合)を事前に明らかにしておくことで、代替要員の人数を割り出し、依頼や対策を店舗内のスタッフと考えていくことができます。
自店の強みや魅力を整理する
例えば、ある飲食店では、PAのオリエンテーション時に、「退職する際は、代わりの人を見つけて退職するのが、一応ハウスルールなのでよろしくお願いしますね」という言葉を必ず伝えるそうです。
店舗にロイヤリティを感じているPAさんであれば意識して協力してくれますし、自店の強みを整理しておき、PAさん当人から紹介予定者へそれを伝える事が出来たなら、紹介の成約率も高まります。
紹介制度はおすすめのシステム
ある会社さんは、PAや社員を採用した際に「紹介制度」の概要を、自社・自店の強みと共に時間をかけて説明し、入社者に対して前職時代の知人や友人の紹介を依頼しているそうです。入社者の気持ちや携帯電話番号リストなどがホットなうちに、紹介制度という特典を掲げて、依頼をするそうです。
「紹介制度はあるけど、スタッフから全然紹介が無い」というお店もよく聞かれますが、そのようなお店は「本気で取り組んでない」または「友人に紹介しにくい店舗風土」のどちらかに当てはまるケースが多いです。
本気で取り組む店舗は、紹介制度をキャンペーン化し、責任者を設け「朝礼・夕礼・中礼」等で適時進捗状況を話し、各店舗と競争したり成功事例を共有したりしています。紹介キャンペーンの概要をバックヤードや休憩所に貼り出したり、友達への勧誘問答などの共有化がなされているケースもありました。
「友人に紹介しにくい店舗風土」とは言わずと知れた「ブラック企業」ともいえますが、このような企業は採用手法を検討する前に、受け入れや定着への道筋、別の言い方としては「従業員満足度の向上」から取り組み始めない限り、店舗内の力で「お金をかけない採用」は難しいですし、ある程度採用は上手くいったとしても、その後から常に離職者とのイタチごっことなるケースが大半です。
大事なことですので、このように「採用と定着は表裏一体」であることはご認識ください。
スタッフの定着も重要
そういった「定着」に関しての書籍はいくらでもありますが、今までの経験上で最も効果があると感じたものを、ここで一つだけ報告します。
それは、「新しい従業員が入社した際は、2~4週間程度、勤務終了後に毎回店長等が5分間でいいので1対1で面談してあげる」ことです。それだけのことですが、「辞めてもいいかなぁ」と考えていた方の意識が改善されるケースが多くみられます。そこでの「ガス抜き」こそ、定着への第一歩となるのです。
お金をかけない採用をするには
最後になりますが、当初のテーマでありました「お金をかけない採用」として、過去に私が、また私とバイトさん達で行った例などをご紹介します。
採用の難しさは業態によっても、異なることがわかると思います。カフェなどを代表としたオシャレ感(ファッション・音楽・スポーツなどもこの分野)で訴求するものは採用時の表面上の強さを持っています。
人気度では劣る業態としての代表例は居酒屋などがあげられますが、表面上でなく人間的なつながりや、店舗内の働く者同士の人間力によって、お金をかけずに採用に結び付けることができるということが理解できるかと思います。
その店舗における各人の「人間力の魅力度」こそ、大きな採用の原資となるといえるでしょう。
お金をかけない採用手段あれこれ
採用媒体に頼らず、広告費用をかけずにPAさんを採用する方法を整理してご紹介します。まずは自社・自店の強みを整備して、優位に立てるものから取り掛かりましょう。
人脈・ネットワーク
- 前職時代の仲間等への勧誘連絡
- 大学サークル・学園祭等との協力体制
- 取引業者への日頃からの依頼
モチベーション
- ファッション・音楽・スポーツ等の魅力が訴求できる業態
- マナーや人間力の向上を訴求
- 大学生に対する就活支援セミナーの実施
- 一次面接から、社長と飲み会
- 退職時は代替要員をハウスルール化
- 退職面談時に、まれな手伝いを依頼
- PAにも国内・海外視察等の研修
条件・待遇
- 日払い・週払い
- PAに寮・社宅の提供・協力
- 時間帯別時給による高時給帯で訴求
- ポイント制度等で、一年ごとに特典
- 記念日施策(誕生日・昇格時)
自店で行う訴求活動
- 学生会館などへのポスター掲示
- 学生の多いワンルームへのチラシ配布
- ハローワークや派遣会社前での引き抜き
- 学生食堂で協力者と学生引き抜き
- 無料の地域・官公庁の掲示サイト利用
- SNSなどでのPA応募訴求
- レシートや店内ポスターに募集提示
この記事を書いた人
丸山 恭一
株式会社人創り・組織創り 代表取締役
1968年神奈川県横須賀市生まれ。1991年北海道大学原子工学科卒業後、株式会社リクルートコスモス入社。出向等含めリクルートグループに営業として約5年勤務した後、有限会社エービーシー・マートへ転職し、株式会社エービーシー・マートの一部上場までの約7年間、店舗開発から人事・総務・MD・バイヤー等の本部運営に従事。
その後、飲食業の人事系コンサルティング会社(株式会社リンク・ワン)で約7年間、プロ店長事業、FC事業、コンサルティング事業の営業を担当し、40歳で現会社を創業。
飲食に特化した店長、ホール、キッチン系人材の派遣から、教育研修・FC構築・中期経営計画・労務系のコンサルティング、一方で、コスト削減やコストパフォーマンスを追求した、家賃・光熱費削減、節税、助成金、満席FAX、タブレットPOS等の営業やセミナーを行う。
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています
- 飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。
- 妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。
- お酒は楽しく、ほどほどに。飲んだ後はリサイクル。
- 20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売いたしません。
- 20歳未満の飲酒防止のため年齢確認をさせて頂いております。予めご了承ください。