飲食店がSNSで発信すべき内容と対策とは

飲食店に有効なツールは時代ごとに変化する

飲食店を取り巻く環境は、時代と共に変化しています。飲食店を探す場合、かつてはグルメ本や「ぴあ」など情報誌、フリーペーパーなど、紙媒体の時代が長く続きました。1990年代後半から『ぐるなび』などグルメWEB媒体が勃興。2000年代後半には、一般人の口コミによる評価が反映される『食べログ』などの口コミサイトがもてはやされるようになりました。

そして現在は、一方的な情報発信ではなく、飲食店とユーザーが双方向でコミュニケーションを取ることができるSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の時代です。

費用をかけずに、お店の宣伝や集客ができるのがSNS

SNSは基本的に無料で利用できるのですから、活用しない手はありません。これまでも無料で活用できる媒体はありましたし、ニュースレター(手作り新聞とも)やメールマガジンは今でも開封率が高く、効果はあります。ただ、ネタを集めて原稿を書いて…と、とにかく手間や時間がかかります。SNSの良さのひとつに、スマートフォン1台あれば始められる圧倒的な手軽さがあります。

飲食店のSNSは公式サイトの代用としても使える

SNSは必ずしも万能とは言えませんが、公式サイトの代用品としても使えます。メニューやアクセス、既に公式サイトがある場合はそのリンク、「出前館」や「ウーバーイーツ」など、デリバリーサービスに登録しているなら、その情報も掲載できます。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置など、急な営業自粛や営業時間の変更を余儀なくされた時でも、リアルタイムで変更情報を発信できます。特に、マンパワー頼りのワンオペ個人店など、臨時休業や営業時間の変更が多い飲食店ほど、SNSは必須といえるでしょう。

それぞれのSNSの特性を理解して活用する

Facebook - フェイスブック

長文でメッセージを伝えるには最適!

原則実名制。ユーザー層は40代以上に偏っています。個人アカウントとは別に、お店のFacebookページを作ることができます。インサイトや広告など様々な機能が使える反面、企業アカウントの投稿より一般ユーザーの投稿の方が各人のフィードに届きやすい仕様になっています。いいね!やシェア、コメントが多いほどリーチ数は増える仕組みのため、投稿の量より質が重視されます。

Facebook広告は、性別や年齢、住所、興味分野など、かなり細かいターゲッティング設定が可能です。キーワードなどにもよりますが、対象を絞り込めば数百円からの低予算で費用対効果が高い広告を打てます。居酒屋業態など業態とユーザー層と客層がマッチするようならぜひ活用するべきです。

Instagram - インスタグラム

画像と動画で世界観を表現するには一番!

ユーザー層は20~40代中心。文章より、画像や動画の見た目のクオリティー、見栄えが重視される傾向があります。シェアやリツイートのような機能はないため、フォロワー以外に情報は広がりにくいです。一方で、興味があるものをハッシュタグで検索する文化があるため、興味がある人がわざわざ探してフォローしてくれる可能性があります。

また、Facebook広告のシステム経由で、Instagram広告に出稿が可能です。同様にターゲット層を絞り込んで出稿できるため、広告予算があるなら使ってみるべきでしょう。客層が10~20代中心、または写真映えする業態なら、迷わず最初にやるべきSNSです。

Twitter - ツイッター

良くも悪くもバズると拡散力は絶大

全世代カバー。匿名性、一投稿で140字という制限あり。直接のフォローの有無に関係なくリツイートする文化が盛んで、フォロワー以外にも情報共有が可能なため、良くも悪くもバズると拡散されやすいのが特徴です。
他のSNS以上に即時性が求められるため、投稿頻度や、お店のことをつぶやいてくれたユーザーを定期的にリサーチして、リツイートやリプライ(返信)するなど、こまめに対応すると効果的です。

LINE - ライン

マンツーマンのトーク機能が、予約ツールとしても便利

全世代カバー。基本的に知人同士のやりとりが中心です。お店のアカウントを友達登録してもらえば、LINEトーク機能でマンツーマンのメッセージやり取りができるので、予約をLINEトークで受け付けることも可能です。メッセージの履歴が残るため、電話の聞き間違いのようなミスや予約トラブルを減らせるメリットもあります。問い合わせ窓口を電話からSNSに移行することを目標に、営業時間内は10分以内に返信するなどルールを定めて、即時対応できる体制づくりが望ましいです。

LINE公式アカウント

有償プランは、有料ならではの機能満載

「LINE公式アカウント」には、開封率が高いメッセージ配信(フリープランは月1,000件まで)や、割引などクーポンの発行、ショップカード機能など、来店を促す施策やリピーター育成機能があります。また、デリバリーサービスを行っている場合、お客様の初回オーダー時に氏名・住所・電話番号に加えて、位置情報を送信してもらうことで、誤配達や遅配などのミスを減らすことに成功したお店など、自社アプリの代わりになりそうな、有償プランならではの活用方法もあるようです。

ユーザー投稿へのリアクションで親近感UP

あらゆるSNSの共通事項、お店側からの情報発信と同様に重要なのが、ユーザーの投稿へのリアクション(シェア、リポストなど)や、相互交流です。ユーザーにとって、一方的に発信された情報より親しみやすいため心理的な距離感が縮まり、関心や親近感が高まりやすく、将来的な来客増も期待できます。

SNSアカウントの運用方法は様々

すべての飲食店にとって、お店の公式アカウントを作るのが最良の方法とは限りません。店舗数が少なく、オーナーや店長の影響力やフォロワー数が多い場合、お店の公式アカウントを作ることなく、あえて個人アカウントでプライベートとお店の告知を織り交ぜて投稿するのも一つの方法です。
逆に、オーナーや店長以外のスタッフがSNSを担当する場合や、複数スタッフで運用する場合は、公式アカウント一択です。マニュアルを作り、誰が運用しても表現や対応にブレが出ないようにするべきでしょう。

更新が途絶えたSNSを放置しない

先日、とある飲食店を予約しようと試みるも何度電話をしてもつながりませんでした。時期が時期だけに、営業自粛で休業中なのか閉店したのか分からなかったので、結局は別のお店を予約しました。後日、偶然そのお店の前を通りかかると、緊急事態宣言を受けて、ランチ営業のみの短縮営業をしていました。もしランチ営業だと知っていたら、行くことは可能だったのですが…。おそらく多くの失客や機会損失があったことでしょう。

ちなみにSNSはTwitterアカウントを発見しましたが、数年前に更新が途絶えたままでした。現状と異なる古い情報のまま放置するくらいなら、アカウントごと削除した方がよほど害はありません。SNSは一度始めたらやり続ける、もし更新できないならアカウントごと削除するべきです。

SNSにもリスクがあることを忘れない

無料で利用できるSNSは便利な反面、事業者側の都合で、急にサービス内容が変更される可能性があります。たとえば、「LINE@」は2020年4月に「LINE公式アカウント」に変更されました。このように、いつ事業者によってルールが変更されるか分からないリスクはあります。
また投稿に対して、他ユーザーから否定的なコメント、否定的なリアクションが付く可能性もあります。今あるプレイヤー以外に、今後有力なSNSが出てくる可能性もあります。それらのリスクがあることを理解した上で、活用すべきでしょう。便利なサービスを使うか使わないかで、大きな差がつく時代です。

この記事を書いた人

西尾 明彦

年間取材100店舗以上を10数年の外食ライター。コピーライター。
日本酒会を40回以上主催する利き酒師。

西尾明彦 Instagram

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