飲食店の多店舗展開にはのれん分けがおすすめ!メリット、デメリットや成功事例を紹介

飲食店を多店舗展開させたいと考えている方のなかには「のれん分け」を検討している経営者の方も少なくないようです。
のれん分けは、効率的にブランドの知名度をアップさせられるケースもあり、従業員のモチベーションアップにもつながります。

この記事では、飲食店を多店舗展開するメリットとのれん分けについて詳しくご紹介します。
多店舗展開を検討している飲食店の経営者の方、のれん分けについて知りたいという方はぜひ参考にしてみてください。

飲食店を多店舗展開するメリット

1店舗目が軌道にのり、店舗を任せられる従業員がいればオーナーは複数店舗の展開を検討することになるでしょう。
まずは、飲食店を多店舗展開するメリットをご紹介します。

売上がアップする

単独のお店を展開するよりも、複数の店舗を展開するほうが売上の上限が上がります。
また、多店舗展開をすることによってお店の認知度が上がり、単純に店舗が増えた分以上の収益が見込めるケースもあります。

仕入れコストを削減できる

飲食店を経営するなかで、利益を左右することになるのは「仕入れコスト」です。いくら売上が高くなっても、仕入れコストが高ければ総体的な利益は少なくなってしまい店舗経営がうまくいきません。
1店舗経営に比べて、多店舗経営は食材や飲料の原材料を仕入れる量が増え、仕入れ先からの信用度もアップすることが見込まれる為、原価低減の交渉もしやすくなるでしょう。

ブランドの認知度アップにつながる

多店舗化していくにあたって一般的に行われるのは「ドミナント戦略」です。特定の地域に出店を集中させることで、競合店に比べてブランドの認知度があがり口コミなども広がりやすいという特徴があります。
多店舗化することで店舗自体の認知度アップが図れるため、顧客からの信用度も上がり売上の大幅なアップが見込めるでしょう。

スタッフのキャリアアッププランが広がる

展開する店舗の数が増えるということは、それだけ店舗をマネジメントする立場の従業員を増やさなければいけないということになります。
本部機能も充実させる必要があるため、本部の経理、総務や新店出店チームなども設置する必要もあるでしょう。
飲食店の従業員が離職してしまう理由として、キャリアが見えないという将来の不安が挙げられます。
しかし、多店舗展開をすることによって、店舗の店長、エリアマネージャーに加えて本部へのキャリアを考えることもできるため、スタッフのキャリアプランが広がり人の流出を防ぐことができます。

リスクの分散ができる

1店舗の展開で経営が行き詰ってしまった場合は、出来ることが限られており経営難が続き、最悪のケースでは破綻に追い込まれてしまうこともあります。
しかし、多店舗展開をしていれば2店舗目、3店舗目が1店舗目の売上、利益をカバーすることができますし、人員不足が発生した場合は他の店舗からのヘルプによってカバーし合える状態となります。

飲食店の多店舗展開におすすめの「のれん分け」とは

多店舗展開を行う際は、直営店運営フランチャイズのれん分けというシステムのなかからどのような展開を行うか決めることになりますが、のれん分けは多店舗展開を行ううえでおすすめの展開方法です。
ここからは、のれん分けについて詳しくご紹介します。

のれん分けシステムとは

のれん分けは、独立したいという従業員に対してのれん(屋号)の使用を許可するというシステムです。
古くから日本で行われていた仕組みで、もともとは長年働いてくれた奉公人に対して同じのれんを使ってお店を出すことを認めるというものでした。
現代ののれん分けは、長年働いてくれた従業員に対して行われるという一面もありつつ、「のれん分けができる」ということを最初から提示して、人員確保をしている企業も多く存在します。

フランチャイズとの違い

のれん分けは自社で働く従業員に独立のための支援をするのに対して、フランチャイズは新規に独立する事業者が本部と契約を結んで開業することを言います。
一見のれん分けとフランチャイズに違いはないのでは?と考えてしまうこともあるのですが、フランチャイズには本部のサポートを受ける対価としてロイヤリティが必ず発生することや、長期間そのブランドで働かなくても開業できるという違いがあります。
のれん分けでブランドの屋号を使用するのは、今まで働いていた従業員なので、本部のサポートも最低限で済むことや、ブランドの経営方針を理解している従業員が開業をするので、問題が起こりにくいという特徴があります。

一方で、フランチャイズは規約を多く設定できることで本部側がブランドイメージを損なわないようある程度管理できることや、加盟金、ロイヤリティが生じることから本部の収益性は高くなるでしょう。

のれん分けのメリット

のれん分けには以下のようなメリットがあります。

  • ブランド力を維持、向上できる
  • 効率的に多店舗展開を行える
  • 従業員のモチベーションをアップさせられる

のれん分けでは、フランチャイズ展開とは違ってもともとお店に勤めていた優秀な従業員に多店舗展開の店舗を任せることになります。そのため、ブランドの価値を維持、向上することができます。優秀な従業員が運営する新店舗は、店舗の開店費用などをかけずにブランドを多店舗展開できることになるため、質を担保したまま多店舗展開を行えるというメリットがあります。
さらに、将来的なキャリアアップができるだけではなく、独立して自分の店舗を持てるという夢が現実に近づく手段として、魅力的な職場の環境を構築することもできるのです。

のれん分けのデメリット

多くのメリットがあるのれん分けですが、以下のようなデメリットも存在します。

  • 加盟金やロイヤリティは低くなる
  • 同一地域での顧客の取り合いが起こる可能性がある

フランチャイズ契約の場合は、加盟金やロイヤリティの利率を高く設定することができますが、のれん分けの場合は元従業員という間柄で行うことから、加盟金やロイヤリティは低い傾向にあります。効率的に多店舗展開をしてブランドを認知してもらえる一方で、十分な利益を得られないケースもあります。
また、本部からの出店と同一地域に出店することで、顧客の取り合いが発生し、意図せぬ競争を招いてしまう恐れもあります。そのため、契約書を作成する際にどの地域で事業を展開するのか細かく確認しておく必要があります。

のれん分けの成功事例

のれん分けといってもイメージが湧かない、どのような制度を作ったらよいかわからないという方に向けて、ここからはのれん分けで成功した会社の例をご紹介していきます。

カレーハウス CoCo壱番屋

「カレーハウス CoCo壱番屋」は「ココイチ」という愛称で知られるカレー専門チェーン。国内だけではなくハワイ、韓国、中国、タイ、シンガポールなどにも出店しており、2013年には世界一のカレーチェーン店としてギネス認定もされています。
店舗数を拡大できたことの理由の1つに「ブルームシステム」と呼ばれる独立支援制度があります。

これまでに約500人の社員が独立して成功を収めているというブルームシステムは、以下のような制度となっています。

  1. 未経験者でも独立候補者として入社可能
  2. 9段階のステップによる独自の人事考課によって基準をクリアする必要がある
  3. 最低200万円の貯金が必要
  4. 会社の債務保証制度での資金調達が可能
  5. 物件情報供与あり
  6. 店舗内のレイアウトやノウハウ等全面的に本部がフォロー
  7. 独立後は本部へのロイヤリティなし
  8. 食材、備品などは壱番屋で購入可能
  9. 開店2日間は本部からのヘルプあり
  10. 独立後もスーパーバイザーの入店など、サポート体制を整えている
  11. オーナー同士で情報共有ができる場が設けられている

制度の名前である「ブルーム」とは「開花」という意味があり、のれん分け制度で開花してほしいという意味が込められているとのこと。
開業に向けてじっくり経営ノウハウを身につけ、本社のサポートを受けながら自分のお店を経営していくことができる制度となっています。

来来亭

年商100億円を超えるラーメンチェーン店である「来来亭」は、1997年の立ち上げ以降、急速に店舗数を増やし続けていることで知られています。
急速に店舗を増やし続けられる理由の1つに、のれん分け制度を利用していることが挙げられます。
のれん分け制度によってどのように経営者として独立するかがわかりやすくロードマップ化されており、どの程度の収入が得られるかなども入社前にわかることで、求職者に対する動機付けを行っています。

来来亭ののれん分け制度には以下のような特徴があります。

  1. ロイヤリティやノルマが一切なく、頑張った分利益を残せる
  2. 自分が店長となったお店をそのまま譲り受けることができる
  3. 自己資金ゼロで独立可能

来来亭では、経営理念の中に「独立へのあらゆるノウハウを取得できる店舗を作り上げる!」というものがあり、毎朝朝礼で唱和されています。
入社形態も「幹部候補」「正社員」「副社員」という働き方を選べるようになっており、ホームページには、独立までの過程と各ポジションの給与が記載されていることも特徴です。

まとめ

多店舗展開を考えている方におすすめののれん分け制度についてご紹介しましたが、参考になりましたか?
のれん分けは古くから日本で行われていた方法で、もともとは「長年働いてくれた奉公人への恩返し」という意味が込められています。
現在、のれん分け制度を取り入れている会社は、入社前からのれん分けができるという魅力を掲げていることから、昔ののれん分けとは意味合いが少し違っていますが、ブランディングしていくうえで有効な方法として検討してみてはいかがでしょうか。

なんでも酒やカクヤスでは、経営にお悩みの飲食店経営者様を総合的にサポートいたします。あらゆる企業ネットワークがあることから、開業、多店舗化、のれん分け制度をお考えの飲食店様にさまざまなサービスや企業をご紹介させていただくことが可能です。
ちょっと話を聞いてみたい、課題を解決したいとお考えの経営者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

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