飲食店が融資を受けるときの注意点やポイントとは【開業前】
SoLaboの飲食店「資金」講座
資金調達支援のプロである、株式会社SoLabo 代表取締役の田原広一さんに解説していただきます。
- 飲食店経営者のための「資金調達の選び方」「おすすめの資金調達方法」
- 飲食店が融資を受けるときの注意点やポイントとは【開業前】←今回はコレ
- 飲食店が融資を受けるときの注意点やポイントとは【開業後】
- 飲食店が融資を受けるために必要な「事業計画書」の書き方とポイント
今回は飲食店開業時の融資に関するポイントを紹介します。
飲食店と言ってもお店の規模などによって開業に係る費用は大きく異なります。 ご自身が準備した自己資金で事業をスタートできるという方もいらっしゃると思いますが、自己資金がきちんと準備できているのであれば、やはり融資を受けて資金に余裕をもって開業されることをおすすめします。
開業前に融資を受ける場合の注意点やポイントを押さえておきましょう。
飲食店の開業で資金調達をするなら日本政策金融公庫が良い
これから飲食店を開業・創業される予定で、資金調達を検討されている場合には、やはり日本政策金融公庫からの融資がおすすめです。
最近では、民間の金融機関でも創業時の融資を行っているケースもありますが、基本的には民間の金融機関は創業時の資金調達サポートを積極的に行っていません。 また行っていたとしても、担保が必要であったり、保証協会などを利用した保証協会付きの融資の取り扱いとなります。
日本政策金融公庫は、民間の金融機関がサポートしづらい状況の方のサポートも積極的に行っているため、開業・創業前の方でも無担保・無保証で融資を受けることが可能です。
創業時に利用できる融資制度
「新創業融資制度」 とは
創業時に利用できる無担保・無保証の融資制度です。日本政策金融公庫には様々な融資制度がありますが、お申込み時に選択できるというわけではなく、条件に該当している場合には、その融資制度が適用されるというイメージです。 新創業融資制度は基準利率が2.5%前後と比較的低金利で、保証人や担保を必要としない融資制度です。
新創業融資制度の適用の要件
新創業融資制度の適用を受けることが出来る方は以下の要件を満たしていることが前提となります。
- 創業の要件
- 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
- 雇用創出等の要件(注1)
- 「雇用の創出を伴う事業を始める方」「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」又は「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」等の一定の要件に該当する方(既に事業を始めている場合は、事業開始時に一定の要件に該当した方) なお、本制度の貸付金残高が1,000万円以内(今回のご融資分も含みます。)の方については、本要件を満たすものとします。
- 自己資金要件
- 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものとします。(注2)
- 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
(注1)(注2)日本政策金融公庫HP新創業融資制度より引用
民間の金融機関の保証協会付き融資とは
民間の金融機関には「プロパー融資」と「保証協会付き融資」という2つの融資の方法があります。
- プロパー融資
- 金融機関から直接融資を受ける方法です。もし融資先が返済できない状況になってしまった場合、責任を負うのは金融機関ということになるため、金融機関からするとリスクの高い融資です。
- 保証協会付き融資
- お金を借りたい人と金融機関の間に信用保証協会が入ります。 万が一、融資先が返済できない状況になった場合、保証協会が代わりに返済(代位返済)を行うという仕組みです。
民間の金融機関の場合には、取引実績のない企業等への融資は基本的には後者である保証協会付きの融資が適用されます。
先にのべたように、プロパー融資は金融機関のリスクが高いため、初めての取引など取引実績がない場合には、リスクを極力軽減させるために保証協会付きの融資となるわけです。
飲食店開業時に日本政策金融公庫から融資を受けるためのポイント
飲食店を開業するにあたり、日本政策金融公庫で融資を受ける場合のポイントとして、 まずは融資審査のポイントを紹介します。
ポイント1.創業時の融資は「経験」が重要
まず、これから開業される事業での経験がポイントとなります。飲食店での開業・創業の場合には、創業される方の飲食店での勤務経験ということになります。 なぜ経験値が重要かというと、その事業での成功角度を測る指標のひとつとなっているためです。 まったく未経験の方が飲食店をスタートするよりも、飲食店で長年経験を積まれた方が独立開業する方が、成功の可能性が高いという判断基準ですね。 そのため、未経験で開業したいという場合には、融資の審査が厳しくなってしまうということを覚えておいてください。
- 具体的な経験値
- 具体的には6年以上の経験があると評価が高い傾向にあります。1~2年の場合は評価が厳しくなる可能性があります。
ポイント2.創業時の融資は「自己資金」が重要
自己資金とは、簡単に説明すると「貯金」です。事業をスタートするために、準備されている貯金がいくらあるかということが確認されます。 新創業融資制度の前提要件にもあるように「創業資金総額の10分の1以上の自己資金」が必要となります。
創業するために1,000万円かかる場合は、最低でも100万円の自己資金の準備が必要ということになりますね。
自己資金の確認方法は、通帳の提示です。直近半年分の通帳を提示し、自己資金を含むお金の流れの状況を審査されます。 弊社にお問い合わせいただくお客様の中には、自己資金がない、少ない、という方もいらっしゃいますが、自己資金は「万が一の時にもこれだけの余剰があるので、返済することができます」ということを見せるという目的を持っているため、積立式の保険や配偶者の方の預貯金などを余剰資金として提示することも可能です。
ただし、一時的に第三者から借りたお金は、状況によって「見せ金」と判断されてしまう可能性があります。もし、ご両親やご兄弟などから開業資金を借りる場合には、振込者の名前がきちんとわかるように振り込みで入金してもらうようにしましょう。
- 理想的な自己資金
- 理想的な自己資金は半年以上かけて「コツコツと貯めている貯金」です。 もし開業までにまだ時間があるという場合には、ぜひ理想的な自己資金を目指して貯金をしてください。
ポイント3.創業時の融資は「経営者の信用情報」が重要
信用情報とは、カードや家賃、水道光熱費などの支払遅延がないかどうかの確認です。 過去に何かしらの返済遅延がある場合、「貸しても返してくれないのでは?」という印象を持たれてしまう可能性があります。 直近で信用情報に傷がついている場合には、融資通過が難しい可能性が高いです。
自己破産や債務整理などを含め、信用情報に不安がある場合には、私たちのような専門家にご相談いただくことをおすすめします。 また、下記のサイトから個人の信用情報を確認することが可能です。ちょっと不安という方は、取得に費用が発生しますが信用情報を取得して確認してみてください。
飲食店開業時に日本政策金融公庫から融資を受けるための準備
日本政策金融公庫から飲食店開業のための融資を受けるためには、書類などを含めいくつか準備しておくことがあります。
準備1.物件を探す
融資を受けるのに、物件を探すことが最初というのは驚かれるかもしれません。飲食店のような店舗型のビジネスの場合「この物件で開業予定です」ということを示す必要があります。 日本政策金融公庫の融資審査では現地調査が行われます。そのため、開業場所が決まっていない状態では融資を受けることができません。 契約前であれば、不動産会社の物件情報などを添付することもあります。 契約はしていない状態でも問題ありませんが、提出した物件が他の方に取られてしまうと、 融資が再審査となります。できれば仮押さえをした状態で融資申し込みをしましょう。
準備2.書類を準備する
日本政策金融公庫で開業時の融資を受ける際に必ず必要となる書類は「借入申込書」と「創業計画書」です。 どちらの書類も日本政策金融公庫のウェブサイトからダウンロードすることが出来ます。
- 借入申込書は、直筆でご記入いただく箇所がありますので、ダウンロードして手書きで記入してください。
- 創業計画書はエクセルでも問題ありません。また創業計画書を作成する上で、準備した方が良いものがいくつかありますので、ざっと紹介しておきます。
創業計画書作成にあたり準備したほうがよいもの
- 販売ターゲット、販売戦略の策定
- 出店予定地の競合調査
- 販売先、仕入先の選定
- 人件費や原価率などを算出
- 営業時間、平均客単価等の検討
- 事業の見通しの設計(業績推移などの資料を準備)
- その他必要に応じて準備
意外と準備することが多いですね。創業計画書は1枚の簡単な用紙ですが、融資を受けるためには非常に重要な書類になります。 創業計画書に記載した内容の根拠を提示するために、上記のような準備を行っています。 その他必要に応じて準備とは、例えば、購入する予定の設備や内装工事の費用など、開業に伴い発生する費用の見積書などの準備も必要です。
創業計画書の書き方については、下記記事を参考にしてみてください。
資金調達ノート「創業融資の鍵!創業計画書をつくろう― 飲食店編 ―」
もちろん、ご自身で創業計画書を作成し、日本政策金融公庫へ融資の申込みを行うことも可能です。 しかし開業準備と並行して融資手続きまで行うのは大変という方は、ぜひ私どもSoLaboのような認定支援機関に融資サポートを依頼して進めてください。
さいごに
さて今回は「飲食店が融資を受けるときの注意点やポイントとは【開業前】」をご紹介しました。
日本政策金融公庫から開業前に融資を受ける場合には、経営者となられる方の過去の経験、 自己資金、信用情報が融資審査のポイントとなります。
また、飲食店のような店舗型のビジネスの場合には、物件を決めている状態での融資申し込みが必須となります。 開業予定場所が確定したら、融資資料を準備し融資の申し込みに進みましょう。
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています
- 飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。
- 妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。
- お酒は楽しく、ほどほどに。飲んだ後はリサイクル。
- 20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売いたしません。
- 20歳未満の飲酒防止のため年齢確認をさせて頂いております。予めご了承ください。