飲食店経営者のための「資金調達の選び方」「おすすめの資金調達方法」

SoLaboの飲食店「資金」講座

資金調達支援のプロである、株式会社SoLabo 代表取締役の田原広一さんに解説していただきます。

  • 飲食店経営者のための「資金調達の選び方」「おすすめの資金調達方法」 ←今回はコレ
  • 飲食店が融資を受けるときの注意点やポイントとは【開業前】
  • 飲食店が融資を受けるときの注意点やポイントとは【開業後】
  • 飲食店が融資を受けるために必要な「事業計画書」の書き方とポイント

突然ですが、皆さんは資金調達の方法をいくつご存じですか?資金調達と一言でいっても、その方法は実にたくさんあります。

まず、最初に思いつくのは「借入」という方法でしょうか。借入であれば借入先も様々ですね。銀行などの金融機関、家族や親族、友人・知人などがあります。また「投資を受ける」という方法や、近年注目されている「クラウドファンディング」も資金調達の方法の1つと言えます。「助成金や補助金を活用する」という方法もありますね。

このように、資金調達といってもどの方法を選ぶのかによって、取るべき行動が変わります。

今回は飲食店経営者の方の資金調達の選び方や、おすすめの資金調達方法について紹介したいと思います。

主な5つの資金調達方法

まずは、資金調達の種類についてご紹介していきましょう。最初に述べたように、資金調達の種類は実にたくさんありますが、ここでは、「融資」「投資」「クラウドファンディング」「ファクタリング」「補助金、助成金」の5つの方法について紹介したいと思います。

融資

融資とは、金融機関からお金を借りるという方法です。借りている状態ですので、返済の義務が生じますが、毎月きちんと返済を続けていくことで、お店や会社、経営者の方の信用力を高めることが出来ます。

融資を受けるためには、審査などを通過する必要があり、必ず希望金額を借りられるというわけではありません。

ちなみに、融資を受ける場合の融資先には以下のような種類があります。

  • 日本政策金融公庫(国金)
    政府が100%出資している貸付専門の政府系金融機関
  • 銀行、信用金庫・信用組合
    メガバンクや地方銀行、信金、信組などプロパー融資と保証協会付きの融資がある
  • カードローン
    銀行系、信販系、消費者金融系などあり。種類によっては事業用資金の調達はできないものもある。

投資

投資というと株式投資をイメージされるかと思いますが、最近はエンジェル投資家なども注目されています。

エンジェル投資家とは、起業家などスタートアップの会社に対して出資を行う個人投資家のことを言います。エンジェル投資家はVC(ベンチャーキャピタル)とは異なる、個人が応援したいと思った起業家や会社に対して支援することが出来ます。 投資は融資とは異なり返済の義務はありません。しかし「投資したい!応援したい」と思ってもらえるように将来性などをしっかりと見せる必要があります。また投資家の方は経営者の経験をお持ちの方が多いため、場合によっては経営方針などに口を出されることもあるなど、経営権を握られてしまう可能性もあります。

エンジェル投資家から出資を受ける場合には、プロに相談しながら進めることをおすすめします。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは「Crowd(群衆)」と「Funding(資金調達)」を掛け合わせた造語で、ネットを利用してサービスやアイデアを公開し、公開したサービスやアイデアに賛同した方から資金を調達する方法です。 とても現代らしい資金調達の方法と言えますね。

クラウドファンディングには「寄付型」「購入型」「ファンド型」「貸付型」「株式型」の5つの種類がありますが、皆さんがイメージするクラウドファンディングは「購入型」のクラウドファンディングに該当するのではないでしょうか? 購入型クラウドファンディングは、リターンを用意し、そのリターンを購入してもらうことで資金調達を行います。

クラウドファンディングのメリットは、どんな人でもチャレンジすることが出来るという点と、自分のお店などのPRにもつながるという点です。 反対にデメリットは、資金調達までに時間がかかるという点と、目標金額に到達しなければ資金調達することが出来ないという点です。

金融機関からの融資であっても、必ず借りられるという訳ではありませんが、希望金額よりも少し少ない金額で着地する可能性もあります。しかしクラウドファンディングの場合は、目標金額に到達しなければプロジェクトは失敗となり、資金を手にすることは出来ません。

ファクタリング

※ファクタリングは売掛債権がないと利用することが出来ません。そのため、飲食店や個人事業主の方の場合は利用できない可能性が高いです。

ファクタリングとは、売掛金を利用した資金調達の方法です。 売掛債権をファクタリング会社に売却し、手数料を差し引いた金額が入金される「買取ファクタリング」が一般的です。 手数料は差し引かれますが、売掛金の入金日よりも早く現金が入金されるため、急な資金調達には向いている方法と言えますが、手数料が高いケースが多く、本当に困っている場合の一時的な利用でないと資金繰りが悪化する可能性があり注意が必要です。

補助金、助成金

消費増税に関係する「軽減税率対策補助金」や「受動喫煙防止対策助成金」など飲食店に関係する補助金、助成金も増えています。

補助金や助成金も返済の必要がない資金調達の方法の1つですが、目的がはっきりしており、その目的を達成するために使った費用の一部を補助、助成してもらえるという仕組みです。 助成金は雇用に関する物が多く、基本的には条件をみたすことで給付を受けることが出来るケースが多いですが、補助金の場合は、公募など選考が実施されるケースもあります。

条件に該当するものがあれば、申請しておくことで資金を得ることが出来ますから、使いたい補助金や助成金があればぜひ申し込んでみましょう。

自分にあった資金調達方法の選び方

資金調達を行うにあたり、ご自身のご状況を整理していただく必要があります。 ご状況を整理するポイントは資金調達までの時間です。

融資、投資、クラウドファンディング、補助金や助成金は資金調達までにある程度の時間がかかります。 エンジェル投資家からの資金調達に関しては、投資家を見つける必要があり、一概にどの程度の時間がかかると明言することができません。

また、補助金や助成金に関しても、申請する内容によって期間が異なります。

そのため、ここでは融資先の選択方法として資金調達までにかかる期間ごとに紹介します。

資金調達までの期間「2~3ヶ月」

資金調達までの時間が2ヶ月~3ヶ月程度かかっても問題ないという場合には、日本政策金融公庫や銀行、信用金庫からの資金調達が可能です。 今まで融資を受けたことがないという方は日本政策金融公庫からスタートすることがおすすめです。

私たち株式会社SoLaboでは、日本政策金融公庫→地元の信用金庫という順での融資をお客様にご提案しています。

資金調達までの期間「1~2ヶ月」

資金調達までの時間が1~2ヶ月程度なら問題ないという場合には、日本政策金融公庫からの融資が可能です。 とくに、私たちSoLaboのような認定支援機関にサポートを依頼することで、ご自身で融資を受けるよりも短期間で融資を受けることが出来るケースもあります。

また1~2ヶ月程度時間をかけても問題ないという方で、金額も少額で良いという場合には、クラウドファンディングに挑戦するという選択もありです。

すぐに資金調達したい

1日でも早く資金調達をしなければならない、どうしてもすぐに資金調達をしなければならないという状況の場合には、ビジネスローンやカードローン、ファクタリング(売掛金がある場合のみ)という方法もありますが、 これらの資金調達方法は、長期的な利用による資金繰りの悪化が顕著であるため、おすすめすることはできません。

もし、どうしても利用しなければならないという状況であれば、銀行系のビジネスローンを検討してみてください。

飲食店経営者の方におすすめの資金調達方法

私たちは創業者や起業家の方の資金調達のサポートを行っていますが、飲食店を経営されている方、これから飲食店を開業される方からのご相談も多くいただきます。 すぐにでも資金調達をしなければならないという方でなければ、やはり「日本政策金融公庫からの融資」をおススメします。

日本政策金融公庫は、政府が100%出資している貸付専門の金融機関です。 大きな特徴は、創業前・創業直後など民間の金融機関がサポートしづらい状況の方を積極的にサポートしているという点です。無担保・無保証で融資を受けることが可能で、 金利も2.5%前後と比較的低金利という特徴があります。

日本政策金融公庫からの融資をおススメする理由は、借りやすさや金利もありますが、政府系の金融機関から借入ができるという事実が、確実に信用力に結び付くからです。 日本政策金融公庫から融資を受けることで、他の金融機関からの追加融資なども受けやすい状況を作ることが可能となり、計画的な資金繰りを実現することが出来ます。

飲食店では、厨房機器や、内外装のメンテナンス、店舗を増やすなど大きなお金が必要となるケースが多々あります。また、スタッフの募集を含めた運転資金に対する計画もきちんと考えなければなりません。 資金が必要となった時にサポートしてくれる金融機関を複数持っていることが安定した経営に繋がります。

そのための第1歩として、日本政策金融公庫からの資金調達をおすすめしています。


資金調達をするために準備しておくべきこと

日本政策金融公庫をはじめ、金融機関から融資を受けるためには融資を受けることができる準備をしておく必要があります。

飲食店をこれから開業予定の方

これから開業されるという方の場合には、開業される事業と同業種での経験や、自己資金などの準備が必用です。

飲食店を開業されるのであれば、飲食店での経験をしっかりと積まれている方の方が融資の審査が通りやすくなります。また、事業を始めるためにしっかりと貯めてこられた自己資金も審査に大きな影響を与えます。

日本政策金融公庫で創業時の融資を受ける場合には、創業時にかかる費用の1/10は自己資金として準備しておく必要があります。自己資金がまったくないという状況では融資の審査がかなり厳しくなります。 開業を予定されている事業での経験や自己資金は、経営者の方の返済能力を判断するために重要な項目です。

自己資金が少し足りない、経験はこの程度で大丈夫かなという不安がある場合は、そのままとりあえず融資の申請を進めるのではなく、どうすれば融資の審査がより通過しやすくなるのかを一度専門家に相談しておくことが望ましいでしょう。

すでに飲食店として事業をスタートされている方

すでに飲食店として事業をスタートされている方は、「お金の管理の徹底」を意識していただければと思います。

とてもシンプルなことですが、日ごとの売上をきちんと入金し、この日の売上がいくらだったのかを通帳で管理できる状態にします。入金用の通帳、支払い用の通帳を分けておくと 月毎の売上と支払いも通帳を追うことで把握することが出来ます。

お金の管理を徹底しておくことで、資金繰りのタイミングも読めるようになり、お金を借りやすいタイミングで融資を受けることが出来ます。 この借りやすいタイミングで融資を受けることがとても重要なポイントになります。

また、確定申告の方法なども融資を受けることを想定して行う必要があります。税理士などに依頼されている場合には、融資を検討しているということを伝えて確定申告を行いましょう。

まとめ

今回は、資金調達の種類やご自身にあった資金調達方法の選び方、飲食店の方におすすめする資金調達方法などを紹介しました。

飲食店の方やはじめて資金調達をするという方には日本政策金融公庫からの融資がおすすめですが、ご自身のお店のPRも兼ねて、という場合にはクラウドファンディングにチャレンジすることも一つです。

資金調達の方法は、1つだけしか選べないわけではありません。様々な資金調達方法を知っておくことで、資金調達を実施したいタイミングに合わせた資金調達方法を選ぶことが出来ます。

資金調達に関して、ご不明な点やご不安な点、融資を受けられるかどうかを聞いてみたいなどあれば、ぜひ、株式会社SoLaboにご連絡ください。 電話:0120-356-117  お問い合わせフォーム(株式会社SoLabo)

次回は、開業前の飲食店が融資を受ける際の「注意点」や「ポイント」を詳しくご紹介いたします。

この記事を書いた人

田原 広一

株式会社SoLabo 代表取締役
税理士有資格者

資格の学校TACにて財務諸表論講師。その後、税理士事務所勤務で培った財務・税務の経験を活かし個人で事業者の融資支援業務を開始。平成27年12月に株式会社SoLaboを設立。日本政策金融公庫からの資金調達や保証協会を使った融資をお客様ごとに設計提案し資金調達支援を実施。東京・大阪を中心に全国の経営者支援を行う。現在までの融資支援実績は3,700件以上。

【書籍】
 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
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