ワイン仕入れ担当必見!高価格帯ワインの価格高騰・供給不足に対抗するには?勉強会レポート

世界各国のワインの輸入販売を手掛ける株式会社ファインズを講師に迎え「高価格帯ワイン」の勉強会が行われました。今回はワインのテイスティングや造りについてだけでなく、高価格帯ワインの市場動向を中心とした内容です。
より“ワイン・ビジネスのプロ向け”といったプログラムですね。
高価格帯ワインは国際的なブランドを誇る一方で少量生産であることが多く、世界情勢の影響を受けやすい商品といえます。生産地の現状から物流の状況まで情報収集に努めることが、確かな品を提案・供給できる体制を整えることにつながります。
皆さんのワインリストづくりの参考になれば幸いです。

【ここがポイント】

①高価格帯ワインが好調も価格高騰が進む
②既存人気銘柄の供給が不安定に?(ここ2〜3年がカギ)

①高価格帯ワインが好調も価格高騰が進む

国内に流通する2021年の全ワイン売上げは前年比93%と推計されますが、1万円以上の高価格帯ワインに限ると実に130%を超える好調ぶりです。ナイト業態もその好調を支える一つだと思われます。
高価格帯ワインの需要増はコロナ禍時の需要減が回復しただけと思われそうですが、実はこの10年近くで需要が約4倍も伸びているのだそうです。このことから今後も高価格帯ワインの需要は伸びていくだろうと考えられています。
この傾向は日本に限ったことではありません。例えば中国市場でも高価格帯ワインへの需要が高まっていると言います。以前はボルドーが中心でしたが、現在ではシャンパーニュやブルゴーニュへの需要も高まっているそうです。こういった背景もあり、人気銘柄の価格高騰に拍車がかかっています。2019年は18万円で提供していた某高級銘柄が20年には30万円になってしまったケースもあるほどです。

②既存人気銘柄の供給が不安定に?(ここ2〜3年がカギ) その理由は①の価格高騰に加えて2つあります。

【理由1】ブルゴーニュ、シャンパーニュの生産量が激落ちしている

他方、高級ワインを代表するブルゴーニュやシャンパーニュに関してはこれからも数年、収量の少ない年が続くとみられています。
ブルゴーニュにおける2021年のワイン生産量は前年比で35%を超える記録的な減産となりました。過去40年間で最悪ではないかと言われています。21年ヴィンテージのワインが最初の飲み頃を迎えるのが24年頃ですから、今から3年先のブルゴーニュ・ワインを確保するための争奪戦が始まっています。

その原因は地球温暖化により気候が変わり、ちょうどブドウの芽が芽吹く頃に霜が降りてしまったからだそうです。その影響でいつもより実がならず、ブドウの収量が落ちてしまったのです。霜害がひどかった21年だけでなく、春の霜害や夏の熱波など地球温暖化の影響で近年のワイン生産量は減少傾向にあります。ブルゴーニュほどではないものの、シャンパンの生産量も年々減少しています。

【理由2】世界の物流が混乱している

ふたつめの要因として世界的な物流の混乱があげられます。状況は複雑で①コンテナそのものが不足、②コンテナ船も不足、③港湾の荷役など人手も不足と三重苦の状況が世界各地の港湾で生じています。
その結果、貨物の到着が2週間〜1ヵ月の単位で遅れることが頻発し、そのうえ貨物の輸送費が2倍~数倍に急騰する事態になっています。

ワインもこの影響を大きく受けており、欠品リスク、価格高騰リスクが高まっています。
引き金となったのはもちろん2020年のコロナ禍。ロックダウンによりコンテナ製造、コンテナ船製造が停止し、人材も流出。そんな中、2021年になると米国、中国をはじめ各国が経済を再開させたものですから、あっという間にパンク状態に陥ったというわけです。
これに2022年2月以降ウクライナ危機が加わり、物流は海・空・陸ともロシアを迂回しなけらばならなくなりました。こうしたことからコンテナ生産・輸送体制はまだしばらく不透明な状況が続きそうです。

カクヤスが提案する対策案

こうした状況から確実に言えることは「既存ブランドを価格面・数量面ともに安定して仕入れることが今後ますます困難になる」ということです。そこで2〜3年先を見据えて2つの対策案を提案します。

①有力銘柄のバリエーションを広げて、欠品リスクを分散させる
②新アイテムの提案を増やして、リスクヘッジを満足度アップの機会にする

①は既存銘柄の仕入れが安定しているうちに将来的にビッグネームとなる期待が高まっている銘柄に手を広げていくことでワイン市況の急な変化にも耐えられるワインリストを備えておくことができます。
ただし、「いつもの品を切らしていますので、こちらを」なんて提案をしては、どんな素晴らしい商品を出しても顧客満足度が上がることはありません。お客様が求めているのは「いつもの商品」だからで、代替え品はどんなに素晴らしい品であれ代替え品と思われてしまい、「顧客ニーズに合った品揃えができない店」という評価をされかねません。そうした要因を回避するためには、既存銘柄の在庫があるうちから②のとおり将来性ある銘柄を勧めていくことが大切になると考えます。

おすすめの注目銘柄

ブリュット スーヴェラン/アンリオ
スパークリング

ブリュット スーヴェラン/アンリオ

  • 産地:フランス シャンパーニュ

2021年のミシュラン三つ星レストラン12店のうち10店が採用する実力派シャンパーニュ。アンリオ家は1808年の創業以来家族経営を貫く、今では数少ない老舗シャンパーニュメゾンです。スタンダードラインながら3年以上の瓶熟成させた高品質が魅力です。

容量:750ml

参考価格:7,600 円(税抜)

勉強会参加者コメント

「柑橘系のすっきりと爽やかな飲み口なのに、熟成によるクリーミーさも併せもつ」
「華やかでエレガントな味。この価格でこの上質感のシャンパーニュは希少」

キュヴェ エメラ/アンリオ
スパークリング

キュヴェ エメラ/アンリオ

  • 産地:フランス シャンパーニュ

同じくアンリオ家による2006年ヴィンテージの長期熟成シャンパーニュ。6つのグランクリュからブドウを厳選し、12年以上の瓶熟成を経てリリース。

容量:750ml

参考価格:30,400 円(税抜)

勉強会参加者コメント

「アンズや完熟した桃のような果実味があり、心地良い余韻が長く続く」
「泡がワインにしっかり溶け込んでいて口の中の発泡感はシルクの肌触りのような繊細さ」
「ヘーゼルナッツやバニラなど長期熟成ならではの香ばしい香りも感動的」

シャブリ グランクリュ ブーグロ/ドメーヌ ウィリアム フェーブル
白ワイン

シャブリ グランクリュ ブーグロ/ドメーヌ ウィリアム フェーブル

  • 産地:フランス ブルゴーニュ シャブリ グランクリュ

250年の歴史があり、もっとも多くのグランクリュ畑を所有するシャブリの名門ドメーヌ。
またシャブリ グランクリュでもっとも在庫が安定している銘柄でもあります。
ただシャブリも2021年の生産量は前年比35%と大幅に減っています。白ワインでは群を抜いて回転の早いカテゴリーだけに欠品リスクが高いため、早め早めの在庫管理が欠かせなくなっています。

容量:750ml

参考価格:10,000 円(税抜)

勉強会参加者コメント

「シャブリの中では酸味が控えめで、ソフトでリッチな味わい」
「フレンチオーク樽熟成ならではのバターやバニラなどをかんじさせる深みのある余韻が秀逸」

クロ デュ タンプル/ジェラール ベルトラン
ロゼワイン

クロ デュ タンプル/ジェラール ベルトラン

  • 産地:フランス ラングドック・ルーション ラングドック・カブリエール

ラグビーの元フランス代表選手で、引退後は南仏ラングドックを良質なワイン産地として再興させた立役者、またオーガニックワイン界のリーダーとしても知られるジェラール・ベルトラン。かのルイ14世がカブリエールで作られたロゼワインを好んで飲んでいたという逸話をもとに、その伝統に相応しい最高品質のロゼワインを復活させようとして造られた野心作です。

容量:750ml

参考価格:21,150 円(税抜)

勉強会参加者コメント

「イチゴやパイナップルのような濃密な果実味とハーブっぽい香りが南仏の気候を表現していると感じました」
「宝石のようなボトルが美しく、ワインそのものの色も他のロゼと一線を画している。カウンターの棚にずらりと並べるとインテリア効果もありそう」
「キャストの女性には“歯が汚れるから”と赤ワインを避ける方もいる。この品質なら提案できるのでは」

ヴォーヌ ロマネ オルム デ シャランダン VV 2019/ドメーヌ ペロ ミノ
赤ワイン

ヴォーヌ ロマネ オルム デ シャランダン VV 2019/ドメーヌ ペロ ミノ

  • 産地:フランス ブルゴーニュ コート ド ニュイ

ヴォーヌ・ロマネらしいフィネスを備えたワイン。赤黒系果実や白い花のアロマが芳醇に香り、心地よい果実味や旨みが滋味深く広がる味わいです。

容量:750ml

参考価格:23,150 円(税抜)

まとめ

いかがでしたでしょうか?お客様を満足させるワインリストづくりには、高品質であることはもちろん①確かなブランド、②価格と数量の2要素で安定して仕入れられること、③価格帯別にバランス良く商品が揃っていること、が欠かせません。ワインリストの作成や仕入れのご相談はぜひ飲食店向け酒類販売のプロ「なんでも酒やカクヤス」にご相談ください。

この記事を書いた人

さとう木誉(きよし)

外食ライター
都内在住。繁盛店取材だけでなく経営マネジメントに関する取材活動を中心とする。「月刊食堂」「外食レストラン新聞」「外食図鑑」といった専門媒体の他、食品商社や外食コンサルタント等の宣伝企画にも携わる。
好きな酒は熱燗。好きなツマミはガリ〆さば。

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