シャンパンのヴィンテージ・ノンヴィンテージとは?マルチヴィンテージとはどう違う

シャンパンは、結婚式や会食には欠かせないお酒。記念日のような特別な日のディナーでも、お祝いのドリンクにシャンパンが選ばれることがよくあります。

最近の飲食店ではグラス売りなどのメニューの導入が増えて、シャンパンを取り扱う業態の幅が増えています。そのような状況において大切なのは、お客様に満足してもらうためにさまざまなシャンパンのラインナップをそろえておくことでしょう。そのためには、シャンパンに対する知識を深めることが不可欠です。

シャンパンには、「ヴィンテージ」と「ノンヴィンテージ」の2タイプがあります。これらの違いを知っておけば、よりお客様のニーズにマッチしたシャンパンを提案でき、顧客満足度や客単価アップにつながります。

そこで今回の記事では、ヴィンテージ・ノンヴィンテージの違いに加えて、ノンヴィンテージに含まれる「マルチヴィンテージ」についても解説します。マルチヴィンテージのおすすめシャンパンもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

今さら聞けないシャンパンの基礎知識

まずは、ワインやシャンパンを提供するなら必ず知っておきたい、シャンパンの基礎知識を解説します。

シャンパンは、フランスのシャンパーニュ地方で造られるスパークリングワインです。シャンパンのエチケット(ラベル)には、“Champagne”と表記されています。

美しい泡と優雅な味わいを持つシャンパンは、古くから世界で愛されてきました。なかでも日本での人気はとても高く、日本はシャンパンの輸入量・金額ともに3年連続世界で第3位にランクインしています。(2018年~2020年/2021年現在)

シャンパンと名乗るための条件

シャンパンと名乗るにはいくつかの条件があります。産地、ブドウの品種、製造方法、熟成期間などの厳しい規定を守ったものだけが、シャンパンという名前を付けられるのです。シャンパンに関するおもな条件を見ていきましょう。

産地

シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方で収穫されたブドウのみを使って造らなければなりません。そして生産、醸造もシャンパーニュ地方で行なう必要があります。

シャンパーニュ地方は、フランスの北東部に位置する地域です。年間平均気温は11度程度と冷涼ですが、降雨量は少なめで、日照量が豊富。この気候のもと、ブドウはゆっくりと育ち、酸を失わないままに風味を凝縮させていきます。

ブドウの品種

シャンパンに利用できるのは、以下の7品種。多くの場合、複数の品種をブレンドして造られています。

  • 黒ブドウ:ピノ・ノワール、ムニエ
  • 白ブドウ:シャルドネ、ピノ・グリ、プティ・メリエ、ピノ・ブラン、アルバンヌ

このうち、99%以上がピノ・ノワールとムニエ、シャルドネの3種で、ワイン造りによく使用される品種です。シャルドネはワインに伸びやかな酸や花・柑橘類のアロマを与え、ピノ・ノワールがしっかりとしたボディや骨格を形成し、ムニエが軽快な果実風味を添えるといわれています。

なお、シャルドネだけで造られたシャンパンは「ブラン・ド・ブラン」、ピノ・ノワールやムニエといった黒ブドウだけで造られたシャンパンは「ブラン・ド・ノワール」と呼ばれます。

製法

スパークリングワインの造り方には多くの種類がありますが、シャンパンは「伝統的方式(トラディショナル方式)」で造らなければなりません。
伝統的方式では、まず一般的な方法で造った泡のないベースワインを、糖と酵母とともにボトルに詰めます。その後、瓶内での二次発酵で泡を作り出し、瓶のまま熟成・澱抜きをして仕上げるため、手間もコストもかかるのが特徴です。

熟成期間にも決まりがあります。ノンヴィンテージのシャンパンでは最低15ヵ月間の熟成が必要で、そのうち少なくとも12ヵ月間は澱と接触させておかなければなりません。ヴィンテージのシャンパンの場合、最低36ヵ月間は熟成させる必要があります。ノンヴィンテージとヴィンテージについては、このあと説明します。

ヴィンテージとノンヴィンテージの違いとは

シャンパンは、ヴィンテージとノンヴィンテージに分かれます。ここでは、ヴィンテージ・ノンヴィンテージの違いを見ていきましょう。

ヴィンテージ=使われているブドウの収穫年

「ヴィンテージ」とは、そのワインに使われているブドウの収穫年を指します。

一般的なワインの多くには、ラベルにヴィンテージの表記がありますが、シャンパンの場合はヴィンテージ表記をあまり見かけません。これは、シャンパンの多くがさまざまな年に収穫されたブドウをアッサンブラージュ(ブレンド)して造られているためです。

このように、ブドウの収穫年が限定されていないシャンパンを「 ノンヴィンテージ のシャンパンと呼びます。シャンパンの約8割はノンヴィンテージです。

一方、同じ収穫年のブドウを使って造られたシャンパンを「 ヴィンテージ のシャンパンと呼びます。ヴィンテージのシャンパンは、ブドウの出来が良かった年だけ造られるもので、希少価値の高いものです。

先述のとおり、ヴィンテージシャンパンでは最低熟成期間が3年とノンヴィンテージシャンパンよりも長く、手間暇をかけて仕上げられています。その年ならではのブドウの味わいが感じられるヴィンテージシャンパンは、熟成によって品質が高まるものも多いことが特徴です。そのため、10年前、20年前のヴィンテージシャンパンも市場に多く出回っています。

ノンヴィンテージシャンパンが多い理由

シャンパンの約8割が、ノンヴィンテージだとご説明しました。なぜ、ノンヴィンテージのシャンパンが多く作られるのか、その理由を見ていきましょう。

シャンパンの原料となるブドウは農作物であり、その年の天候によって大きく品質や味の特徴が変わります。シャンパンのブドウを栽培しているシャンパーニュ地方は、ブドウ栽培の土地のなかでも北限に位置します。寒い地域であるため、ブドウがうまく熟さないこともあり、どうしても年によって品質に差が出てしまうのです。

こうした環境では、単一収穫年のブドウだけで製造してしまうと、シャンパンの味がなかなか安定しません。

そこでシャンパンの生産者は、ブドウの出来の良い年に製造したワインをリザーヴ(保存)しておきます。そして、当年収穫したブドウで造るベースワインに、さまざまな年代のリザーヴワインをブレンドすることで、ヴィンテージに影響されない安定した品質を保っているのです。

コンセプトが異なる?マルチヴィンテージとは

ノンヴィンテージシャンパンのなかに、「マルチヴィンテージ」と呼ばれるジャンルがあります。

前述のとおり、ノンヴィンテージシャンパンは元来、味わいや品質を安定させるためにリザーヴワインをブレンドして造られます。それに対してマルチヴィンテージシャンパンは、「造りたいワイン」のヴィジョンを実現するために、リザーヴワインをブレンドするのが特徴です。

マルチヴィンテージも複数年のリザーヴワインを組み合わせているため、「ノンヴィンテージ」ではあります。しかし、あえて「複数年のヴィンテージを組み合わせている」ことを強調するために、マルチヴィンテージと呼ばれます。

有名な銘柄だと、「クリュッグ」や「サロン」などが、マルチヴィンテージにあたるシャンパンです。

ブリュット・プルミエから深化した「コレクション242」

「コレクション242」は、そんなルイ・ロデレールが新しくリリースしたスタンダード・キュヴェです。ルイ・ロデレールのスタンダード・キュヴェは、これまで「ブリュット・プルミエ」でした。
「ブリュット・プルミエ」はメゾンのスタイルを最も表しているシャンパンともいわれ、多くの人々に愛されてきました。そのブリュット・プルミエが2021年9月27日をもって終売となり、それに代わる形で10月1日から、さらに深化したスタンダード・キュヴェ「コレクション242」が販売開始となったのです。

収穫したブドウを表すラベルの数字

先述のとおり、シャンパーニュ地方では天候によってブドウの出来に差があり、それはワイン造りにおけるリスクと捉えられていました。そこで、リザーヴワインを用いることで品質を安定化させ、一貫性を保つのが常識となったのです。

しかし、ルイ・ロデレールはこのリスクを「個性」と捉え、一つ上のレベルへの表現へと挑戦することを決意。マルチヴィンテージである「コレクション」シリーズでは、毎年同じスタイルを目指すのではなく、異なるヴィンテージやテロワールをブレンドによって表現します。

「コレクション」シリーズの第一弾としてリリースされるのが「242」。この数字は、ワイナリー設立から242度目に収穫したブドウという意味で、ラベルにもしっかりと刻まれています。このように、ラベルに表記されている数字によって、何年に収穫したブドウをベースワインとしてブレンドしたかが明確になりました。

従来のノンヴィンテージシャンパンでは、消費者側にとって以下のようなデメリットがありました。

  • いつのヴィンテージか判断できず、好みの熟成度合いを選ぶことができない
  • 飲み頃の予想ができない
  • 入荷時期がわからず、店頭で劣化してしまうリスクもある

その点「コレクション」シリーズでは、ラベルに記載された数字を手がかりに、熟成度をイメージしやすくなりました。提供する人や飲む人が飲み頃を予想しやすく、好きな熟成タイミングでシャンパンを楽しみやすくなったのです。

「コレクション」の深化とは

これまでの「ブリュット・プルミエ」に比べて、「コレクション」はどのような深化を遂げているのでしょうか。大きく変わった2つのポイントを解説します。

ブドウの品質向上

ルイ・ロデレールは242haを超える自社畑を有し、自社の管理下で大切に育てられたブドウを積極的に使用しています。「コレクション」では、約70%が自社畑のブドウ、残りの2030%に契約農家のブドウが使われています。

「コレクション」のリリースにあたってルイ・ロデレールでは、ブドウ全体の品質を高めるため、契約農家をサポートするチームを新たに結成しました。契約農家の畑に何度も足を運び、知識とノウハウを共有して、ブドウのクオリティをさらに向上させています。

45%のリザーヴワインを使用

「コレクション242」では、約45%のリザーヴワインが使用されます。「ブリュット・プルミエ」ではリザーヴワインの比率が25~30%でした。リザーヴワインの比率を大幅に増加させることで、より深化した味わいに挑戦しています。

リザーヴワインの内訳は、2012年から毎年継ぎ足して熟成させている「パーペチュアルリザーヴワイン」が約35%、オークの大樽で熟成させたリザーヴワインが約10%。パーペチュアルリザーヴワインは、何年も同じ容器に継ぎ足しながら熟成させることで、ルイ・ロデレールのスタイルを表現しています。また、オーク樽のリザーヴワインは、シャンパンにさらなる複雑味を与えます。

これらのリザーヴワインでスタイルの一貫性を確保しつつ、ブレンドによって毎年異なる個性を表現する「コレクション」。その第一弾である「コレクション242」は、シャルドネがすばらしく成熟した2017年ヴィンテージがベースワインです。伸びやかな酸とやわらかく繊細な果実味が心地良く広がる、魅力的なシャンパンに仕上がりました。

ぜひ多くのお客様に勧めていただきたい、新時代のマルチヴィンテージシャンパンです。

ルイ・ロデレール「コレクション242」

ルイ・ロデレール「コレクション242」

2021年10月1日、新たなマルチヴィンテージシャンパンが登場しました。1776年設立の老舗シャンパーニュメゾン、ルイ・ロデレールによる「コレクション242」です。 ルイ・ロデレールといえば、プレスティージュ・キュヴェの「クリスタル」でその名をとどろかす生産者。ドリンクス・インターナショナルの「世界で最も称賛されるシャンパーニュ・ブランド2021」にて、2年連続で第1位に選出されるなど、名実ともにシャンパーニュ地方を代表する造り手の一つです。

容量:750ml

参考価格:9,000 円(税抜)

容量:375ml

参考価格:5,000 円(税抜)

まとめ

シャンパンには、複数の収穫年のブドウをブレンドして造るノンヴィンテージシャンパンと、単一収穫年のブドウだけで造るヴィンテージシャンパンがあります。

ノンヴィンテージはもともと、収穫年に左右されない、一貫したスタイルを実現することを目的としていました。しかし、なかには造りたいワインのヴィジョンを目指して、複数年のブドウをブレンドする「マルチヴィンテージ」のシャンパンもあります。

ルイ・ロデレールの「コレクション」は、この秋に新しく登場したマルチヴィンテージシャンパン。初リリースは2017年ヴィンテージをベースとした「コレクション242」です。

極めて質の高い仕上がりであるにも関わらず、これまでのマルチヴィンテージシャンパンと比べて手の届きやすい価格を実現しました。シャンパン愛好家はもちろん、マルチヴィンテージをまだ体験したことのないお客様にも、自信を持っておすすめできる味わいです。

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