【シャルドネ】特徴から食事との組み合わせや生産地について紹介~ワインのブドウ品種シリーズ Vol.2~

こんにちは!松木リエです。

こちらの記事ではワインに使われる代表的な品種について、基本的なことから実際にお店で役に立つ料理とのマリアージュまでわかりやすくご紹介します。

「ワインのこと全然わからない」という方にこそぜひ読んでいただきたいです!

ワインはブドウだけを原料として生まれる醸造酒です。ワインの香りや味わいは原料のブドウの影響を大きく受けます。世界には何千ものブドウ品種がありますが、ワインとなり広く流通している品種は限られています。特に国際品種と呼ばれる世界中で栽培されている品種なら十数種、そして各国を代表する固有品種を合わせても三十数種程度です。

「ワインって難しい」と思っている方にこそ、品種の特徴を知ることが選びたいワインにたどり着く近道となります。ここでは魅力的な飲食店メニューに役立つ、「これさえ知っておけば大丈夫!」という品種の特徴、代表的な生産地とおすすめワイン、そして料理とのマリアージュを合わせてご紹介していきます。

シャルドネとは

今回フォーカスするシャルドネは、ソーヴィニヨン・ブランやリースリングなどと並び世界中で栽培されている国際品種です。シャルドネの持ち味はその多様性。幅広い土壌や気候で栽培できる万能な品種で、品質を落とすことなく、比較的高い収量を得ることができるます。また、香りの高いブドウ品種ではなく果実味が繊細なので、醸造からもたらされる風味を表現するのに向いています。

これら多様なスタイルの辛口ワインとなるシャルドネは、幅広いお料理に合わせられる、オールマイティーな存在として飲食店で大活躍するアイテムのひとつです。

白の国際品種の代表格

2017年のO.I.V.の統計によるとシャルドネは世界で約211,000haの栽培面積を誇ります。アイレンという品種に次いで世界2位です。ただし、アイレンはワインのみならずブランデー用に多くが使われているので、実際にはシャルドネが世界で一番ワイン用として栽培されていることになります。

味わいの特徴

シャルドネは冷涼から温暖な気候で栽培されていますが、その土地の気候によりさまざまな味わいのワインになります。

冷涼な気候

リンゴや洋ナシ、レモン、ライムなどのスッキリとした果実味に、湿った石のニュアンスがあり、軽~中程度のボディと高い酸があるスッキリ系の辛口ワインができます。

温和な気候

熟した柑橘類、桃やメロンの果実味をもち、ミディアムからややフルボディで、やや高い酸味のワインとなります。程よい果実味のボリュームと、エレガントさも兼ね備えた、バランスの良い味わいが多く見つかります。

温暖な気候

果実味はよりトロピカルフルーツのようになり、アルコールが高くなるためフルボディでやわらかな酸味の、より豊潤なワインとなります。

無個性がシャルドネの個性

実はシャルドネは「ニュートラル」なブドウ品種と言われており、アロマティックなブドウ品種(例えばリースリングやマスカット)に比べると、元々の香りの華やかさは控えめです。

シャルドネからつくられるワインの多様な風味は、ブドウ自体からではなく醸造から由来します。醸造由来の風味とは、例えばマロラクティック発酵*を施した時にあらわれるバターのような風味や、オーク樽由来のバニラや丁子の風味、澱とともにワインを寝かせた時にあらわれるパン生地やトーストのような風味が挙げられます。

シャルドネの良さは、その、醸造由来の風味が果実風味に溶け込みやすく、変幻自在なスタイルのワインになれるところです。

*マロラクティック発酵(MLFとも略される)
乳酸菌がワイン中のリンゴ酸を乳酸と炭酸ガスに変換させること。赤ワインは日常的にマロラクティック発酵が行われるが、白ワインではワインメーカーが行うかどうかを選択します。

シャルドネの代表的な生産地とおすすめワイン

気候・土壌・生産者・醸造方法の違いでさまざまな味わいにあらゆるスタイルのワインを生む懐の深さが魅力のシャルドネ。世界中でシャルドネからのワインは造られていますが、代表的な産地の特徴とおすすめワインの紹介をしていきます。

フランスのシャルドネ

フランスでのシャルドネの産地は、ワインの銘醸地として名高いブルゴーニュ地方と、世界最高峰のスパークリングワインを生み出すシャンパーニュ地方です。

ブルゴーニュ地方:シャブリ地区

シャルドネは、ブルゴーニュ地方のブドウ栽培面積のほぼ半分を占めています。ブルゴーニュ北部に位置するシャブリでは、冷涼な気候の影響で、柑橘やリンゴの風味とキリッと引き締まった高い酸味が特徴です。繊細な風味を壊さないために樽の風味を強くつけることはほとんど行われませんが、高い酸味が残るのでマロラクティック発酵は行われます。

ベーシックなシャブリから、プルミエ・クリュ(一級畑)、グラン・クリュ(特級畑)というように、畑の場所によりヒエラルキーが存在しています。一級畑や特級畑は、冷涼な気候ながらも日当たりの良い南/南東向きの畑から、ワインはより高い凝縮度や完熟度となります。シャブリは繊細でピュアな果実味、そしてマロラクティック発酵由来のクリーミーなテクスチャーが持ち味で、新鮮な甲殻系・貝系料理に好相性なワインです。

ブドウ畑の地価の高騰、そして世界的に消費者からの人気が高いブルゴーニュにおいて、ここ20年、ワインの価格は非常に上昇しました。その中でもシャブリ地区はまだ価格の上昇が抑えられており、知名度も高く、繊細なお料理にも合う味わいなので、コスパの良いシャブリは飲食店には特におすすめなアイテムです。

おすすめワイン

シャブリ/ドメーヌ アンスト

シャブリ/ドメーヌ アンスト

  • 産地:フランス ブルゴーニュ地方

シャブリ地区の新星生産者。無濾過、酸化防止剤無添加で自然の恵みをそのままボトルに詰めたような味わいです。

容量:750ml

参考価格:3,770 円(税抜)

ブルゴーニュ地方:コート・ドール地区

世界最高峰の白ワインとして名高いモンラッシェを産するのはブルゴーニュのコート・ドール地区です。特にムルソー村、ピリニー・モンラッシェ村、シャサーニュ・モンラッシェ村は素晴らしい品質のシャルドネを生み出すことで有名です。これらブルゴーニュの上位クラスは肉厚なスタイルで、樽やマロラクティック発酵由来の風味としっかりとした果実味との一体感ある見事な味わいです。よりコクのある、クリーミーな温かいお料理に合わせるといいでしょう。一級畑や特級畑は非常に高価なので、まずお試しにという方は村名のついた名前のワインから飲んでみてください。

ブルゴーニュ地方:マコネ地区

ブルゴーニュの主要な白ワイン産地の中では最も南に位置するマコネ地区のマコン(もしくはマコン・ヴィラージュ)というワインは、比較的ライトなボディでメロンやモモのような果実味、そして手頃な価格です。一方、マコネ地区南部にあるプイィ・フュイッセというワインは円形競技場のような盆地状の場所で、よりブドウの成熟度が高くなります。よってワインはフルボディで、トロピカルフルーツとオークの風味を持った芳醇なスタイルになります。

シャンパーニュ地方

お祝いの席でも、食前から食中酒としてオールマイティーな高品質スパークリングワインのシャンパーニュ。ここでもシャルドネは主要品種であり、高い酸味とフレッシュさをワインにもたらす重要な役目を担っています。
「ブラン・ド・ブラン」とラベルに表示されている場合、「白ブドウのみで造られた」ということを表していますが、一般的にシャルドネのみを指しています。食前酒から食中酒に向くキリッとした飲み口で、すっきりとした果実風味と旨味があります。さらに「ブラン・ド・ブラン」は長期熟成にも適しており、消費者からの人気も高いです。

シャンパーニュLBN ブラン・ド・ブラン エクストラ ブリュット NV

シャンパーニュLBN ブラン・ド・ブラン エクストラ ブリュット NV

  • 産地:フランス シャンパーニュ地方

ヘーゼルナッツとレモンなどの柑橘類の香り。しなやかでさわやかな口当たり、クリーミーでとろける泡立ち、次第に口の中でレモンの酸味とミネラルが純粋に広がっていく上質なシャンパーニュです。

容量:750ml

参考価格:6,470 円(税抜)

チリのシャルドネ

関税撤廃のおかげもあり、日本におけるチリのスティルワインの輸入数量は6年連続No.1(2015年〜2020年)です。
冷涼な沿岸地域、特にリマリやカサブランカ・ヴァレーは、非常に良質なシャルドネの産地として認識されるようになってきています。ワインは中程度から高い酸があり、柑橘類やモモの風味があります。
また、温暖なセントラル・ヴァレーでは、熟したトロピカルフルーツの風味を持つ安価なシャルドネも大量に生産されています。
コスパ抜群、果実味あふれる良質な味わいのチリのシャルドネは、カジュアル形態の飲食店におすすめアイテムです。

おすすめワイン

エスクードロホ シャルドネ/バロン フィリップ ド ロスチャイルド

エスクードロホ シャルドネ/バロン フィリップ ド ロスチャイルド

  • 産地:チリ

ボルドー最高峰の技術を惜しみなく注ぎ込み、チリの豊かな陽光で育まれたブドウで造る、リッチでクリーミーなシャルドネです。

容量:750ml

参考価格:1,950 円(税抜)

アメリカのシャルドネ

実は、白ブドウも黒ブドウも含めてカリフォルニアで一番栽培されている品種は、シャルドネです。立地の気候、ワイン醸造方法、価格によって、あらゆるスタイルのものが造られています。
ラベルに “カリフォルニア(産)” とだけ書かれている場合、太陽の恩恵を受けた豊潤なスタイルの白ワインです。果実味がしっかりとしており、完熟のモモやトロピカルフルーツのピュアな果実味が楽しめます。また、冷涼エリアのシャルドネ、例えば “ソノマ” や “カーネロス” 地区のものは、フランスのブルゴーニュの銘醸ワインに劣らずの品質と名声のものもあります。

おすすめワイン

ダイヤモンドコレクション シャルドネ/F F コッポラ P

ダイヤモンドコレクション シャルドネ/F F コッポラ P

  • 産地:アメリカ カリフォルニア州

このシャルドネは、メロンやピーチ、爽やかなリンゴ等の香りに始まり、かすかなオーク樽の香りがフレーバーをよりリッチに感じさせます。

容量:750ml

参考価格:2,900 円(税抜)

オーストラリアのシャルドネ

オーストラリアにおいても、最も栽培されている白ブドウはシャルドネです。地域差はありますが、一般的なワインのスタイルは過去数十年の間に進化しており、オークの風味をあからさまに放つ完熟したものから、早摘みのシャルドネからできるすっきりとした果実味のものへと変化しています。
コルクスクリューの導入が進んでいるので、ワインオープナーの使い方に不慣れな方でも気楽に扱うことができます。

おすすめワイン

ディーン シャルドネ/デ ボルトリ

ディーン シャルドネ/デ ボルトリ

  • 産地:オーストラリア

淡い麦わら色。柑橘系果実や白桃のアロマと樽由来のアーモンドの香りが感じられます。ストーンフルーツの風味をクリーミーでナッティなテクスチャーが補完しています。引き締まった酸が全体を包み込み、長い余韻が残ります。

容量:750ml

参考価格:1,850 円(税抜)

日本のシャルドネ

そして、日本のシャルドネも忘れてはいけません。国際的評価が高いアイテムもいくつか現れています。
日本のシャルドネの素晴らしさは、高品質なブルゴーニュの白ワインを思わせるコクと果実味のエレガントさ、そして絶妙なオーク樽の使い方です。オーク樽を使っていないものならば、ピュアで繊細な果実風味をより楽しむことができます。本来のシャルドネの個性を確認するのには、日本のシャルドネがピッタリだと私は思っています。

おすすめワイン

CH メルシャン 北信シャルドネ

CH メルシャン 北信シャルドネ

  • 産地:日本 長野県

パイナップル、グレープフルーツなどの熟した果実のニュアンスに加え、オーク樽での発酵、その後の樽育成由来のヴァニラ、ヘーゼルナッツやアーモンドの香りが程よく調和します。

容量:750ml

参考価格:3,030 円(税抜)

シャルドネのおすすめマリアージュは?

様々なスタイルのワインをつくることができるシャルドネは、合う料理も多彩です。高級店から居酒屋形態、和洋中、様々な飲食店のお料理に寄り添います。

酸味の強いタイプなら鶏肉や魚介類

シャブリなど冷涼気候からつくられているもの、特にオーク樽の風味を強く付けていないエレガント系のシャルドネには、鶏肉や魚介をハーブ塩でシンプルにソテーしたような味付けや、あとは寿司・刺身にもキリッとしたミネラル感が合いやすいです。

ボリューミーなタイプはクリーム系・こってり系に

温暖な気候からのシャルドネで、オーク樽の風味の強い肉厚タイプは、料理もコクと豊潤さを持ち合わせたものが合いやすいです。クリームソースのパスタや、グラタン仕立てのもの、スモークチキンなどと合わせてみるのはいかがでしょうか。

自分のお店の料理にはどうやってワインを合わせたら良いのかわからない!そんな時にはぜひこちらの記事もご覧ください。

記事を読む:単価を上げる!リピーターを増やす!今日から使えるWin-Winのワインペアリング理論

まとめ

シャルドネは白ワインの代表的品種で、世界中で栽培されており、気候・土壌・生産者・醸造法でさまざまな個性があります。王道のフランス、コスパのチリ、太陽ふり注ぐカリフォルニア、バラエティ豊かなオーストラリア、国際的評価も高い日本など…

産地の選択肢に加えて造り手ごとの個性もあるので、膨大なワインの中から選ぶことは大変です。そんな時はぜひワインのプロに相談して、身近に手に入るものから試してみるのもひとつの手です。ワインリストの作成や仕入れのご相談はぜひ飲食店向け酒類のプロ「なんでも酒やカクヤス」にご相談ください。

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この記事を書いた人

松木 リエ

  • WSET Level 4 Diploma(2021年合格)
  • A.S.I. 世界ソムリエ協会認定 インターナショナル・ソムリエ・ディプロマ- ゴールド(2020年合格)
  • J.S.A.認定 ソムリエ・エクセレンス(2014年合格)/ SAKE DIPLOMA(2017年合格)
  • WSET Level 3 Certified(2016年合格)
  • IWC インターナショナル・ワイン・チャレンジ審査員
  • 2015-2016 WSET Level3 Decanter Asia Wine Scholarships
  • 2014年 第7回 全日本最優秀ソムリエコンクール 第4位
  • 2006年 第4回 JALUX Wine Award 準優勝
  • 2005年 第4回 Louise Pommery Sommelier Concours 第3位
  • 2005年 第6回 ロワールワイン若手ソムリエコンクール優勝
  • 2003年 第4回 Commis Sommelier Concours 最優秀賞

2000年より「オテル ド ミクニ」「タイユバン ロブション」などを経て、2006年渡仏。パリ、エクサンプロヴァンス、カシスの星付きレストランで計6年間ソムリエとして従事。2012年に帰国し、「マンダリン オリエンタル 東京」にてソムリエを3年間務め 2015年11月に独立。
その後アカデミー・デュ・ヴァン講師を経て、2019年より キャプラン ワインアカデミーにてWSET認定講師を務めている。
海外ワイン産地での研修により、南アフリカワイン協会(WOSA Japan)エデュケーション・パートナーとして日本各地でのセミナー活動や、「WANDS」などで記事執筆も行っている。

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