最近聞く「ヴィーガンワイン」はオーガニックワイン?お店のメニューで上手に活用する方法はこれ!

最近、ワインの商品提案書に「ヴィーガン」という単語が入っているのを見ます。「ヴィーガン」という単語は日本ではあまり馴染みが無いですが、そんなに需要があるのでしょうか。

飲食店において世の中の食の嗜好を敏感に感じ取ることは、売り上げUPや話題性、他店との差別化において重要な感覚です。2年前、私がロンドンを訪問した時に気になったトレンドがありました。それが「ヴィーガン」です。レストランには当たり前のようにヴィーガンメニューがあり、ワインショップやスーパーマーケットではヴィーガンワインのコーナーが設けられ、あらゆるヴィーガンワインが陳列されていました。

「ヴィーガン」というのは完全菜食主義者のことを意味すると聞きました。つまりベジタリアンのことですか?

はい、それで間違いありません。ヴィーガンワインを正しく理解して、お店でどう売っていけばいいかをお話していきましょう。



ヴィーガンとは? ~飲食店とヴィーガンの関係~

最近よく耳にする「ヴィーガン」という言葉。これは完全菜食主義者のことを意味します。菜食主義者といえばベジタリアンのこと?と思った方は間違いではありません。

ベジタリアンの中には、乳製品はOKな人(ラクトベジタリアン)、卵と乳製品はOKな人(ラクトオボベジタリアン)など細かく分類があり、ヴィーガンはその中でも肉や魚介類、乳製品、卵など、動物由来のものを一切食べない人を指します。

目的や背景は、健康、アレルギー、宗教、動物愛護、環境保護、ライフスタイルなど様々ですが、世界共通で都市部や若者を中心に、ヴィーガンは急速に広まっています。

「ヴィーガンは飲食店には関係ない?」とは限りません

ベジタリアン、ましてやヴィーガンの人は自分の周りにいないからといって軽視できないデータがあります。観光庁が2020年に出したレポートによると、日本を訪れるベジタリアンとヴィーガンの外国人旅行者は年間145〜190万人。その方々の飲食費は450〜600億円と推計されているとのことです。(2018年推計数値)

コロナによりインバウンドは凍結状態ですが、人々の往来が復活した後にいち早くお客様の獲得につながるのが「ヴィーガン対策」かもしれません。

ヴィーガンワインとは? ~ポイントは清澄剤~

話を私が2年前にロンドンで出会った「ヴィーガンワイン」に戻します。多くの方がご存知のようにワインはブドウから造られているので、当時勉強不足だった私は「ヴィーガンワインとは?」と首をかしげました。

ワインの醸造過程での「清澄(せいちょう)」とは

消費者の多くは、ワインは澄んでいるものだと思っています。何かが浮遊していたらクレームや返品になるリスクがあります。そこで、ワイン生産者はあらかじめ瓶詰前に清澄する作業を行います。

高級ワインは長い時間をかけて自然に清澄が終わるのを待つ事ができます。一方で時間や経費の節約が必要なワインは、小さな断片や重合したタンニンや色素を、清澄剤を用いて吸着分離します。その清澄剤は吸着させたい成分に合わせて様々なのですが、中には動物由来のものがあります。

例えば、伝統的に使われている赤ワインの清澄剤に卵白があります。(フランスのボルドー地方におけるカヌレのように、赤ワインの銘醸地には黄身を使った地方菓子が有名です)。他にもミルク由来のカゼイン、牛骨や豚の皮から採ったゼラチン、魚の浮袋由来のアイシングラスなどがあります。もちろん清澄剤は最終的にワインから分離されて瓶詰めされますので、実際に消費者が飲むワインには残っておらず、味にも影響がなく、ラベル表示の義務もありません。

ヴィーガンワインは動物由来のものを使わない

ヴィーガンワインは清澄剤に動物由来以外のもの、例えばベントナイト(粘土)や珪藻土を使ったり、豆やジャガイモ由来のタンパク質に代替したり、もしくは清澄自体を行いません。

また動物愛護の観点から畑仕事に馬などの動物を使わない、肥料にも動物由来のものを使わないなど徹底している方もいます。

オーガニックワインとヴィーガンワインの違い

最近のオーガニックワイン需要の高まりに比例して、市場では「ヴァン・ナチュール」「ビオワイン」「ビオディナミ」といった言葉が多方面で広まっています。それらの単語の違いをが判らずに混乱されている方も多いので、簡単に説明しましょう。

様々なオーガニックワインの考え方

ビオディナミ

思想家のルドルフ・シュタイナーが提唱した、ビオディナミ農法を用いて栽培したブドウを使ったワインのことです。プレパラシオンと呼ばれる畑に蒔く調剤の中には、牛骨の中に牛糞を詰めたものや、牛の腸にカモミールを詰めたものなどがあり、それらを畑に撒く日もビオディナミカレンダーに基づきます。

ビオワイン・有機ワイン・オーガニックワイン

有機農法を用いたブドウ栽培で育ったブドウを使います。様々な認証団体があり、栽培・醸造においては認証団体の課す条件を満たさなければなりません。

自然派ワイン(ヴァンナチュール)

実は確実な定義はありません。なるべく人の介入をさせない栽培や醸造を目指し、酵母や亜硫酸の添加を抑える。もしくは、全く添加しない考えのワイン全体を指しています。

ビオディナミ農法や有機農法を取り入れたワイン生産者は、醸造においても微生物の活動を“自然に任せて”いる方もいて、自然派ワイン生産者と呼ばれることも多いです。以前は極端にオフフレーバーが出てしまったワインも見られましたが、最近は「クリーンナチュラル(クリーンナチュール)」なワインが増えて、人気も高いです。

サスティナブル(持続可能な)ワイン

今のワイン業界で大切な考え方です。

「100年後にも引き続きワイン生産が続いていくためには?」という考え方が根本にあります。つまり、経済的にも環境的にも、社会的にも継続していくための畑の環境、醸造環境、自然環境への配慮はもちろん、従業員の労働環境や幸福度も重視するワインづくりです。

ヴィーガンワイン=ナチュラルワインやオーガニックワインではない

ここはヴィーガンワインもオーガニックワインも説明するときに気を付けたいところです。

ヴィーガンワインは動物由来のものを使わないという性質ゆえに、馬が畑を耕したり、牛糞などの堆肥が使われたりしていたら、そのワインはヴィーガンと呼ぶべきではないという人もいるそうです。しかし、そうするとビオディナミや有機農法といった環境を意識したワイン生産者が除外されてしまうため、不問にしているところもあります。

ただ、ヴィーガンワインの造り手は環境保護を意識しているからこそ自然派ワインと名乗っている、もしくはそう認識されていることが多い場合もあります。ヴィーガンワインは環境に配慮し健康志向の人々が増えるこれからの時代に、需要が増えることは確実です。

ヴィーガンワインの「認証機関」「認証マーク」

ヴィーガンワインの認証を受けているワインは、裏ラベルに認証マークを載せています。前出の観光庁のデータのように、インバウンドが戻ったときに多くのヴィーガン&ベジタリアンのお客様が日本にやってきます。日本語が読めない方でも安心感を持ってワインを選ぶことができるのが認証マークです。メニューにもぜひ判るように載せておくことをおすすめします。

フランス

フランス

EVE
イギリス

イギリス

Vegan Society
スイス

スイス

V-Label
イタリア

イタリア

VEGANOK

飲食店でヴィーガンワインを扱ってみよう!

ヴィーガンワインを取り入れるには、まず「美味しくて値段に見合った、もしくは値段以上の満足度のあるワイン」だということが大切です。自信を持っておすすめするワインを選んで、それが結果ヴィーガンワインなら素敵なことです。

ヴィーガンワインを取り扱うということは、お客様に食への安心感を与えることができます。体に良さそうだと思う方もいらっしゃるでしょう(何事も適量が大切ですが)。ワインにこだわりのあるお店は、比例してお客様からの信頼度も大きいと多くの飲食店をみて感じる部分があります。

ヴィーガンワインは今後のトレンド

ヴィーガンワインはお店で取り扱いやすい価格帯で展開しています。ハウスワインやグラスワインとして採用しやすいアイテムが日本でも手に入るようになってきました。「あのお店にはヴィーガンワインがある」「ヴィーガンワインは美味しい」という印象をお客様に与えれば、新たなターゲットの発掘や、再来店につながることでしょう。

そして、ヴィーガンワインのトレンドはこれから盛り上がっていきます。早いうちから積極的に取り入れることで、トレンドに強いお店になってみるのはいかがでしょうか?

ヴィーガンワインのおすすめ

ヴィーガンワインを取り扱う時は、造り手のブドウ栽培やワイン醸造における考え方や実践をインポーターや酒販店の方々から教わって、必要に合わせてお客様に伝えることも大切です。下記におすすめのヴィーガンワインをご紹介します。

ヴィーガンの赤ワイン

カイケン ウルトラ マルベック/モンテス

カイケン ウルトラ マルベック/モンテス

飲みごたえのある重たい系

The Vegan認証(2017ヴィンテージより)
カベルネ ソーヴィニヨン オーガニック 樽熟成 2018/パラ ヒメネス

カベルネ ソーヴィニヨン オーガニック 樽熟成 2018/パラ ヒメネス

飲みごたえのある重たい系

European Vegetarian Union
エル コンベルティード テンプラニーリョ/デ ハーン アルテス

エル コンベルティード テンプラニーリョ/デ ハーン アルテス

スイスイ飲めるフルーティー系

European Vegetarian Union

ヴィーガンの白ワイン&ロゼワイン

エル コンベルティードソーヴィニヨン ブラン/デハーン アルテス

エル コンベルティードソーヴィニヨン ブラン/デハーン アルテス

柑橘&ハーブの爽やか系辛口

European Vegetarian Union
ヴィテッセ グリッロ オーガニック/コロンバ ビアンカ

ヴィテッセ グリッロ オーガニック/コロンバ ビアンカ

トロピカルな果実味のフレッシュ系辛口

Vegan OK
アントニータ プニュエロス バイカ ガルナッチャ ロゼ/バイカビノス

アントニータ プニュエロス バイカ ガルナッチャ ロゼ/バイカビノス

イチゴ系果実味のキリッとした辛口

Vegan Society

ヴィーガンのノンアルコールワイン ~完成度が高い味わい~


松木の一押しのヴィーガン・スパークリング ~PRIVAT・プリヴァット~

コスパ最高!柑橘や花のフレーバー、溌剌とした酸味と旨味ある味わい。キメの細かい泡立ちがクリーミーな飲み心地を与えます。フード・フレンドリーな辛口です。

この記事を書いた人

松木 リエ

  • WSET Level 4 Diploma(2021年合格)
  • A.S.I. 世界ソムリエ協会認定 インターナショナル・ソムリエ・ディプロマ- ゴールド(2020年合格)
  • J.S.A.認定 ソムリエ・エクセレンス(2014年合格)/ SAKE DIPLOMA(2017年合格)
  • WSET Level 3 Certified(2016年合格)
  • IWC インターナショナル・ワイン・チャレンジ審査員
  • 2015-2016 WSET Level3 Decanter Asia Wine Scholarships
  • 2014年 第7回 全日本最優秀ソムリエコンクール 第4位
  • 2006年 第4回 JALUX Wine Award 準優勝
  • 2005年 第4回 Louise Pommery Sommelier Concours 第3位
  • 2005年 第6回 ロワールワイン若手ソムリエコンクール優勝
  • 2003年 第4回 Commis Sommelier Concours 最優秀賞

2000年より「オテル ド ミクニ」「タイユバン ロブション」などを経て、2006年渡仏。パリ、エクサンプロヴァンス、カシスの星付きレストランで計6年間ソムリエとして従事。2012年に帰国し、「マンダリン オリエンタル 東京」にてソムリエを3年間務め 2015年11月に独立。
その後アカデミー・デュ・ヴァン講師を経て、2019年より キャプラン ワインアカデミーにてWSET認定講師を務めている。
海外ワイン産地での研修により、南アフリカワイン協会(WOSA Japan)エデュケーション・パートナー、ボルドー ワインチューターとして日本各地でのセミナー活動や、「WINE-WHAT!?」などワイン雑誌にてテイスター、「Premium Japan」「WANDS」などで記事執筆も行っている。


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