シャンパン、カヴァ、プロセッコなど・・飲食店向けおすすめスパークリングワインをタイプ別でご紹介
飲食店でスパークリングワインが飲まれるシチュエーション
今や、スパークリングワインはお祝いの席だけの飲み物ではなくなっています。「蒸し暑い時はスパークリングワインが一番美味しく感じるから」「料理に合わせやすいから」「プチ贅沢な気分になるから」など、さまざまな理由でスパークリングワインを愛する消費者が日本には多くいます。それは輸入量にも表れており、2000年に約119万ケースあったスパークリングワインの輸入量が、2019年には約487万ケースに伸び、輸入ワイン全体に占める割合は18.7%にも及んでいます*。
*)WANDS2020データより参照(1ケース=9リットル換算)
元々、日本のスパークリング消費を牽引していたのはフランスのシャンパンでした。そして今、大人気なのはプロセッコやカヴァといったカジュアルスパークリングです。
飲食店で一番スパークリングワインが飲まれるのは乾杯のシチュエーションでしょう。この「最初の1杯」はお客様の心を掴む重要な鍵です。最初に飲むものが美味しいスパークリングワインだと、2杯目、3杯目にワインを選ぶ心理的ハードルが下がりますよね。さらに食中、食後にも楽しめる、お手頃価格で美味しいスパークリングワインはたくさんあります。その中からいくつかをご紹介したいと思います。
スパークリングワインとは?
アルコール発酵の時に生じる二酸化炭素をワインに閉じ込めることで、ワインに発泡性が生まれます。一般的に3気圧以上のものを「スパークリングワイン」と呼び、それ以下の弱い気圧の場合は「弱発泡性ワイン」に区分されます。泡の閉じ込め方の違いで製法が分けられており、良質のワインの場合は瓶の中で泡を作り閉じ込める「瓶内二次発酵方式」と、密閉タンクで泡を作る方法「タンク方式」のどちらかが選択されます。また第三の方法に、スティルワインに二酸化炭素を加えることもあります。
外食での特別感が出せる!スパークリングワインとシャンパンの違いとは?
スパークリングワインの中で最も有名なものはシャンパンでしょう。フランスのシャンパーニュ地方で、瓶内二次発酵方式でつくられたスパークリングワインにしか、シャンパンを名乗ることはできません。一般的には、冷涼な気候のもとで栽培されたシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエの3品種をベースワインに使います。ブドウは房ごと手収穫をし、すぐに醸造所に運ばれます。
ピノ・ノワールやムニエは果皮に色の付いた黒ブドウですが、贅沢にそっと絞ることで淡いレモン色の果汁になります。ベースワインを販売する瓶に詰め、もう一度瓶の中で泡を作る発酵を行い、その時できた澱(=働きを終えた酵母)とともに長くワインは寝かされます。ノン・ヴィンテージなら15ヶ月以上澱とともに熟成するという規定がありますが、多くのメゾンはもっと長く、シャンパーニュ地方の地下に通る白亜の洞窟の中で寝かされます。その間、泡がきめ細やかにワインに溶け込み、酵母の自己分解によりワインに旨味と複雑な風味が増していきます。
世界中のセレブリティから愛され続けるシャンパンは、その厳格な栽培・醸造の規則と、メゾンと呼ばれる生産者たちの叡智の結晶によって、品質の高さは他のスパークリングを圧倒しています。まさに特別な日にふさわしい1本です。
今世界中で大人気!スパークリングワインとプロセッコの違いとは?
プロセッコはイタリアのヴェネト州で、グレラという品種を用いてタンク方式でつくられるスパークリングワインです。一般的に辛口かオフドライで、リンゴやメロンの軽い風味を持つ、ライトからミディアムボディのスパークリングワインになります。生産コストを抑えることができ、比較的安価なプロセッコは、今ではシャンパーニュを抜いて世界で一番売れているスパークリングワインです。ヘルシー志向でライトなお料理との相性は言わずもがな、スパークリングカクテルのベースとしても扱いやすく、肩肘張らずに気軽に飲めることが最大の魅力です。
飲食店ではコスパがいいので使いやすい!スパークリングワインとカヴァの違いとは?
コロナ禍においても、日本のワイン市場であまり売り上げが落ちなかったのが、スペインのスパークリングワイン「カヴァ」です。シャンパンと同じ瓶内二次発酵方式でつくられているにも関わらず、コスパが良いことが人気の秘密でしょう。カヴァの大部分はバルセロナのあるカタルーニャ州でつくられています。温暖な地中海性気候で育ったマカベオ、チャレッロ、パレリャーダなどの地元ブドウ品種をベースにして、ワインはフレッシュなリンゴや洋ナシの風味をもちます。シャンパンと同じく泡を瓶内で作った後に澱とともに熟成するのですが、熟成期間がシャンパンよりも短いため、パン生地やトーストのような酵母の自己分解からくる風味は控えめになります。
仕入れ値別!スパークリングワインのおすすめ方法
一般的にスパークリングワインは、「泡を作る工程」と「泡を逃さない製造ライン」が必要なので、スティルワインよりもコストが上がることは容易に想像できると思います。しかしながら最近は企業努力のおかげもあり、非常にリーズナブルで美味しいスパークリングワインを買えるようになってきました。
1,000円以下スパークリングワインのおすすめ方法
1,000円以下のスパークリングワインは、造り手としても「気軽に、フレッシュなうちに飲んでもらいたい」という思いのもとでつくられています。溌剌とした泡立ちと、フレッシュな柑橘やリンゴ、洋梨のような爽やかな風味のシンプルなスタイルです。
唐揚げやポテト、餃子、ピザ・・・肩肘張らない食の席には、これくらい軽快なワインがぴったりです。いつもはビールや酎ハイ、ハイボールの注文を受ける代わりに、スパークリングワインをお勧めするのはいかがでしょうか?そしてカクテルのベースとしても活躍できるのがこの価格帯のスパークリングワインです。
飲食店におすすめのスパークリングワイン
価格は全て参考価格(税抜き)です。
1,000円~3,000円代スパークリングワインのおすすめ方法
この価格帯のスパークリングワインもフレッシュなうちに、溌剌とした味わいを楽しんでいただきたいカテゴリーです。
より華やかな香りやフレッシュな果実味を求めたいなら、タンク方式でつくられたスプマンテやプロセッコ、ニューワールドの泡をお勧めします。乾杯を含む食事のスタートにピッタリです。
食事全体をスパークリングワインで通したい時は、より複雑さが出て旨味を感じる瓶内二次発酵方式のカヴァやシャンパン、それらと同じ製法のニューワールドの泡をお勧めします。
飲食店におすすめのスパークリングワイン
価格は全て参考価格(税抜き)です。
3,000円以上スパークリングワインのおすすめ方法
この価格帯のスパークリングワインになると、品質の高さは折り紙付です。多くの方に美味しいと納得して飲んでいただけます。ほとんどが瓶内二次発酵方式で泡立ちはきめが細かく、酵母の自己分解により旨みがワインに溶け込んだ味わいになります。原料ブドウの質も良く、果実味もしっかりと感じられるでしょう。知名度の高いシャンパンは、お客様も大手メゾンなら知っている方も多いので最低でも1アイテムはワインリストに載せていると安心ですね。さらに美味しい生産者のイタリアのフランチャコルタやフランスのクレマンがワインリストに載っていたら、ワインのプロ目線でもワクワクしてきます。
飲食店におすすめのスパークリングワイン
価格は全て参考価格(税抜き)です。
お店の方針により選ぶべきワインは異なります
お店のメニューとしてワインを選ぶときに何を優先して決めていますか?こだわりがないお店は、仕入れ価格だけを見て決めてしまうのか、生産地やスタイルが偏っていて残念だなと思うメニューに出会うことがあります。スパークリングワインは値段と、製法や産地由来の味わいの違いが明確です。同じ価格帯の中で、同じ製法でありながら違う産地のものを探すのが容易なので、他のワインの味や産地のバランスを見て選ぶことができます。
普段ビールやハイボールが売上の中心で、まずは気軽にスパークリングを飲むお客様を増やしたいお店は、まずは1,000円以下のスパークリングワインを置いて、グラスでの提供やカクテルにすることで回転をさせていくのがいいかもしれません。ワインを飲むお客様が定着しているお店なら、3,000円以上の価格のスパークリングワインをグラス提供することで、ワイン好きなお客様のニーズにあった接客とともに単価をあげることが可能です。
まとめ
美味しいスパークリングワインで乾杯している姿、食事に合わせてスパークリングワインを飲んでいる姿は、お店に華やかな雰囲気をもたらしてくれます。残念ながらコロナ禍によりスパークリングワインの輸入量は減ってしまいましたが、オフトレードではすでに述べたようにカヴァやプロセッコ、他にもプチプライスのスパークリングワインが大健闘しました。日本の消費者の泡好きが証明されたのではないでしょうか。
お客様の潜在的なニーズを考えたら、スパークリングワインをお店に置かない選択肢はないと言えるでしょう。できればグラス売りでスパークリングワインを提供できる、お客様にとってのハードルの低さが必要だと思います。しかし、グラスで提供しようと考えると、泡の持続やフレッシュ感のある味わいのためにロスが出てしまうこともあるでしょう。経営者にとっては頭を悩ますコスト問題です。そんな困難や悩みを解決するためには、お客様が席に着いた時の最初の声かけ、効果的なPOPの作成、魅力的なアペリティフ・リストなど、努力次第でロスを抑えることは十分可能です。
なんでも酒やカクヤスでは、価格設定に合わせたワインの選定、お店の雰囲気に合った効果的なメニュー作成など、お困りのことがありましたら無料で相談を受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください!
この記事を書いた人
松木 リエ
- WSET Level 4 Diploma(2021年合格)
- A.S.I. 世界ソムリエ協会認定 インターナショナル・ソムリエ・ディプロマ- ゴールド(2020年合格)
- J.S.A.認定 ソムリエ・エクセレンス(2014年合格)/ SAKE DIPLOMA(2017年合格)
- WSET Level 3 Certified(2016年合格)
- IWC インターナショナル・ワイン・チャレンジ審査員
- 2015-2016 WSET Level3 Decanter Asia Wine Scholarships
- 2014年 第7回 全日本最優秀ソムリエコンクール 第4位
- 2006年 第4回 JALUX Wine Award 準優勝
- 2005年 第4回 Louise Pommery Sommelier Concours 第3位
- 2005年 第6回 ロワールワイン若手ソムリエコンクール優勝
- 2003年 第4回 Commis Sommelier Concours 最優秀賞
2000年より「オテル ド ミクニ」「タイユバン ロブション」などを経て、2006年渡仏。パリ、エクサンプロヴァンス、カシスの星付きレストランで計6年間ソムリエとして従事。2012年に帰国し、「マンダリン オリエンタル 東京」にてソムリエを3年間務め 2015年11月に独立。
その後アカデミー・デュ・ヴァン講師を経て、2019年より キャプラン ワインアカデミーにてWSET認定講師を務めている。
海外ワイン産地での研修により、南アフリカワイン協会(WOSA Japan)エデュケーション・パートナーとして日本各地でのセミナー活動や、「WANDS」などで記事執筆も行っている。
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