世界のトレンド「ジョージアワイン」とは?和食とのペアリングで「ダブル世界遺産」をご提供しませんか

今注目のワイン産地「ジョージア」とは

シュクメルリなどが話題に。「ジョージア」と日本のつながり

黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方に位置するジョージアは、約8000年もの歴史を持つ世界最古のワイン産地です。昨年、コンビニエンスストアや大手外食チェーンでジョージアの郷土料理「シュクメルリ」が話題になったのも記憶に新しいかと思います。実はジョージアは日本の文化と深いつながりがあります。2013年に「和食」がユネスコ世界無形文化遺産に認定されましたが、同年ジョージアの伝統的なクヴェヴリ(甕)を使ったワイン醸造方法もユネスコ世界文化遺産として認定されました。

今、ワイン業界で「ジョージア」が注目されている理由

2020年のジョージアワインの日本への輸入量は16位でした。2020年はコロナの影響でほとんどの国が輸入量を大きく落とす中(上位11ヶ国の平均は前年比89.8%)、前年比95.5%の12,412ケースと健闘しました。【参照:WANDS 2021年4月号 国税庁による通関実績調べ】

2017年からジョージアワインのアンバサダーとなった日本在住唯一のマスター・オブ・ワイン(MW)である大橋健一氏がソムリエやワイン愛好家に向けてジョージアワインの情報を発信し続けており、特にユネスコ世界無形文化遺産のクヴェヴリを使った製法で造られた「オレンジワイン」は一般消費者にまで浸透してきています。

先日、大橋MWが行った「ジョージアワインと和食のペアリング 〜ダブル世界遺産マスタークラス〜」のセミナーでは、飲食店の皆様が知っておきたい、売り上げUPにつながる情報が満載でした。今日はそのセミナーで学んだジョージアワインの特徴や、ワインペアリングのポイントをわかりやすく解説していきます。

ジョージアワインの醸造方法

オレンジワインだけではない、ジョージアワイン

ジョージアワインというと「オレンジワイン」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。実際、大橋MWがワイン愛好家を対象としたジョージアワインセミナー後に行ったアンケートで、参加者の88%の方が「クヴェヴリ・スタイルの白ワイン(オレンジワイン)に興味を持った」と回答したそうです。そして同時に約半数の47.9%の方が「和食に合うヨーロピアン・スタイルの白ワインに興味を持った」とも回答しています。ここで皆さまに知って頂きたいのは、ジョージアワインには「ヨーロピアン・スタイル」と「クヴェヴリ・スタイル」があり、ワインの造り方で味わいの違いが生まれるという事です。

ではジョージアワインの造り方の違いについてご説明していきます。

ジョージアワインの醸造法「ヨーロピアン・スタイル」

ステンレスタンクや樽を使用した近代的な醸造法で造られたワインで、ジョージアワインの約95%以上がこのスタイルです。品種の個性がストレートに表現されたワインとなります。

「ヨーロピアン・スタイル」のおすすめジョージアワイン

価格は掲載時点の参考価格です。全て税抜表記です。

ジョージアワインの醸造法「クヴェヴリ・スタイル」

ジョージアの伝統的なワインづくりのスタイルで、ユネスコ世界無形文化遺産に認定されたのはこちらの醸造法です。1,200〜1,300度で焼き上げた素焼きの粘土性甕容器を使います。この甕を「クヴェヴリ」と呼びます。収穫したブドウを果皮や種ごと醸造し、ヨーロピアン・スタイルよりも長くクヴェヴリの中で漬け込みます。赤ワインでは当たり前に行われる果皮や種の漬け込みですが、これを白ブドウで行うとワインはアンバー色になりタンニンを多く含みます。

最近では「オレンジワイン」という名で知られていますが、現地では「アンバーワイン」とも呼ばれています。造られているのはジョージアワイン全体の約5%以下ですが、ユニークな製法とスタイルである「オレンジワイン」はワインのプロや愛好家からとても注目されています。レストランやワインバルでも「白ワイン」や「赤ワイン」に並んで「オレンジワイン」の項目を目にする機会が増えたのではないでしょうか。

「クヴェヴリ・スタイル」のおすすめジョージアワイン

価格は掲載時点の参考価格です。全て税抜表記です。

押さえておきたいジョージアワインで使われるブドウ品種TOP3

ジョージアの土着品種は約525種類

ジョージアには約525種類の土着品種が存在しますが、押さえておきたいブドウ品種は以下の3種類になります。特徴はナショナル・エージェンシー・オブ・ジョージアが発行する「ジョージアワインと和食のペアリング」からまとめました。

ジョージアワインのキーポイントとなる品種TOP3

ルカツィテリ

ジョージアを代表する白ブドウ品種

ヨーロピアン・スタイルだとレモンや柚子などの柑橘の香り、フレッシュで比較的高い酸とクリーンな味わいを持つ、ライトからミディアムボディの白ワインに仕上がります。クヴェヴリ・スタイルでは柑橘やビワ、ダージリンティーの香り、程よい苦味と渋味を持ったワインとなります。

ムツヴァネ

ルカツィテリと並ぶジョージアの代表的な白ブドウ品種

トロピカルや核系果実、シトラスの香りを持ち、酸や味わいの印象は比較的穏やかです。クヴェヴリで醸した場合はルカツィテリよりもボリューム感に満ち、柿やアプリコットの香りを持ち、クリーミーで旨味たっぷりのオレンジワインになります。

サペラヴィ

ジョージアを代表する黒ブドウ品種

「タンテュリエ」と言われる果肉まで赤いブドウ品種です。ヨーロピアン・スタイルの発酵、熟成では濃い色調でポリフェノールを非常に多く含み、ブラックチェリーの香りと凝縮感ある果実味で、酸度の高いワインとなります。クヴェヴリ・スタイルでは、ステンレス・スタイルに比べてより濃厚で複雑なワインとなり、若いヴィンテージのうちから熟成感を楽しめるのも魅力となっています。

飲食店で使えるジョージアワインのペアリングポイント

ダブル世界遺産としてジョージアワインと和食をご提案

2013年に同時にユネスコ世界遺産として認定された「ジョージアワイン」と「和食」のペアリングは「ダブル世界遺産」としてご提案する事が出来ます。大橋MW、日本を代表するソムリエ・テイスターの大越基裕氏、コンラッド東京エグゼクティブソムリエの森覚氏、そして筆者がジョージアワインを代表するブドウ品種と醸造スタイルに合わせて、身近な和食とのワインペアリングを検証しました。この章ではジョージアワインとのペアリングのポイントを解説していきます。ぜひご自身のお店の料理で「ダブル世界遺産」の絶妙なペアリングをご提供して頂ければと思います。

「ヨーロピアン・スタイル×ルカツィテリ」おすすめワインペアリング

おすすめお料理

  • カニとミョウガの土佐酢和え
  • カジキと揚げレンコンの蜂蜜ポン酢

ヨーロピアン・スタイルのルカツィテリは、ワインの第一印象に爽やかなレモンやグレープフルーツ、白い花やハーブの香りがあり、ピュアなシトラス系の果実味とフレッシュな酸味、そして余韻に感じる苦味がコクにつながっています。このフレッシュ&フルーティーで酸を基調としたワインには、酸味のある料理を合わせるのは定番ですが、さらに旨味の要素が料理にあることで、ワインの後味にある苦味が調和します。

森さんのポイントは「ヨーロピアン・スタイルのルカツィテリには魚介系、塩味のある料理、そして酸に旨味を加えてあげる」こと。「土佐酢はビネガーだが鰹の旨味が加わることによってより調和する。カジキと揚げレンコンの蜂蜜ポン酢は、ポン酢だけだと同調度が高く、さっぱりしすぎて遊びがないが、蜂蜜を加えることで華やかさとコクが生まれる」とのこと。

ヨーロピアン・スタイルのルカツィテリには魚介系や塩っけのあるお料理がおすすめ。酸が高い味わいには旨味を加えてあげましょう。

「ヨーロピアン・スタイル×ムツヴァネ」おすすめワインペアリング

おすすめお料理

  • 豚肉と長ネギの酒蒸し煮
  • ウド酢味噌和え

ヨーロピアン・スタイルのムツヴァネは香りがアロマティックで、モモやアンズ、ネクタリン系の華やかな香りやフローラルな印象があり、口中でも穏やかな酸味とジューシーで白桃のような果実味が丸く広がる辛口ワインです。お肉との相性がよく、特に豚肉の甘みを伴った脂身は、ムツヴァネの柔らかい果実味と非常に合います。

ワインを使うよりもお酒で蒸すことによって柔らかい果実味との相性がさらに良くなるのもポイントです。もう一方、酢味噌のまろやかで甘みのある味わいにも、リッチな味わいのムツヴァネは素晴らしい相乗効果をもたらします。

豚肉の甘みを伴った脂身は、ムツヴァネの柔らかい果実味と非常に合います。

「ヨーロピアン・スタイル×サペラヴィ」おすすめワインペアリング

おすすめお料理

  • 鳥手羽元の梅煮
  • 金目鯛のオランダ煮

サペラヴィからつくられる赤ワインは凝縮感をもっており、深みのあるダークチェリーレッドの外観になります。香りは黒系果実のリキュール、バラのような華やかさに加え、バニラやリコリスのようなスパイスの要素もしっかり感じます。ココアパウダーを舐めたような上質のきめの細かいタンニンが味わいにあり、香りと同じく凝縮した果実味が特徴なので、淡白な食材の煮付け料理がおすすめです。

サペラヴィには淡白な食材の煮付け料理がおすすめです。

「クヴェヴリ・スタイル×ルカツィテリ」おすすめワインペアリング

おすすめお料理

  • 焼き鮭の南蛮漬け
  • 舞茸と生ハムのかき揚げ

クヴェヴリ・スタイルのルカツィテリは、深みのあるイエローやオレンジかかったゴールデンイエローのものなど、果皮との接触時間により多様なバリエーションがあります。香りは金柑の蜂蜜漬け、オレンジピール、ビワのような黄色いフルーツの香り。味わいには苦味と渋味が溶け込んで柔らかい印象が中心ですが、余韻にスパイスを伴う強い旨味が特徴です。

ルカツィテリのオレンジワインには天ぷらなど、香ばしさのある揚げ物が非常に好相性です。鮭の場合も焼いてから南蛮漬けにすることで複雑な風味と酸を同調させています。

ルカツィテリのオレンジワインには、天ぷらなど香ばしさのある揚げ物が非常に好相性です。

「クヴェヴリ・スタイル×ムツヴァネ」おすすめワインペアリング

おすすめお料理

  • 豚の角煮
  • 豚肉の柚子味噌焼き

クヴェヴリ・スタイルのムツヴァネは、色調はルカツィテリのオレンジワインと同じく、オレンジ色のトーンの中で果皮の浸漬時間からくるバリエーションがあります。香りは熟した柿やアプリコットのようなフルーツアロマが中心で、そこへカモミールティーやダージリンティーの香りが強く立ち上がる印象です。芳醇さが持ち味のムツヴァネらしく、口中を広げるような充実感のある果実味が中盤にあるリッチな味わいと、後半の全体を引き締めるような苦味や渋味とのコントラストがあります。

お料理合わせのポイントは味噌。柔らかい芳醇なワインのテクスチャーは味噌の甘辛味や旨みと合います。さらにヨーロピアン・スタイルでも言われているように、豚肉の旨味とは鉄板の相性です。

ムツヴァネのオレンジワインには、味噌の甘辛味や旨みと合います。豚肉とも好相性です。

「クヴェヴリ・スタイル×サペラヴィ」おすすめワインペアリング

おすすめお料理

  • サンマの甘露煮
  • 鰻の有馬煮

クヴェヴリ・スタイルのサぺラヴィはダークチェリーレッドの濃厚な色調で、スパイスやハーブ、果皮や茎からくるセイボリーハーブのニュアンスが香りにあります。味わいのアフターに苦味や渋味が現れますが、前半の部分で感じる黒系・赤系果実の風味が引き立ち、味わいにコントラストが生まれています。

クヴェヴリ・スタイルのサペラヴィにもヨーロピアン・スタイルと同じく煮物が合いますが、こちらの方が煮詰めた状態の料理、つまり味付けを濃く複雑さが増した料理がよく合います。

クヴェヴリ・スタイルのサペラヴィには、味付けが濃く、複雑さが増した煮物料理がおすすめです。

飲食店でジョージアワインを導入したいと思ったら

近年人気のジョージアワインやオレンジワインですが、一般の小売店ではまだ取り扱っているお店が少ないのが現状です。「メニューに導入したい」と思ってもどこの仕入業者が取り扱っているのかわからないですよね。また、今回ご紹介した様々な味わいのタイプの銘柄を探すのも大変ではないでしょうか。

ジョージアワインの銘柄のご紹介、味わいの違い、お料理とのペアリングなど、お困りの事があれば無料で相談を受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください!

この記事を書いた人

松木 リエ

  • WSET Level 4 Diploma(2021年合格)
  • A.S.I. 世界ソムリエ協会認定 インターナショナル・ソムリエ・ディプロマ- ゴールド(2020年合格)
  • J.S.A.認定 ソムリエ・エクセレンス(2014年合格)/ SAKE DIPLOMA(2017年合格)
  • WSET Level 3 Certified(2016年合格)
  • IWC インターナショナル・ワイン・チャレンジ審査員
  • 2015-2016 WSET Level3 Decanter Asia Wine Scholarships
  • 2014年 第7回 全日本最優秀ソムリエコンクール 第4位
  • 2006年 第4回 JALUX Wine Award 準優勝
  • 2005年 第4回 Louise Pommery Sommelier Concours 第3位
  • 2005年 第6回 ロワールワイン若手ソムリエコンクール優勝
  • 2003年 第4回 Commis Sommelier Concours 最優秀賞

2000年より「オテル ド ミクニ」「タイユバン ロブション」などを経て、2006年渡仏。パリ、エクサンプロヴァンス、カシスの星付きレストランで計6年間ソムリエとして従事。2012年に帰国し、「マンダリン オリエンタル 東京」にてソムリエを3年間務め 2015年11月に独立。
その後アカデミー・デュ・ヴァン講師を経て、2019年より キャプラン ワインアカデミーにてWSET認定講師を務めている。
海外ワイン産地での研修により、南アフリカワイン協会(WOSA Japan)エデュケーション・パートナー、ボルドー ワインチューターとして日本各地でのセミナー活動や、「WINE-WHAT!?」などワイン雑誌にてテイスター、「Premium Japan」「WANDS」などで記事執筆も行っている。

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