【連載企画】実は100種類以上もある!日本で人気のビアスタイルを解説!<第3回>
こんにちは!ブルックリンブルワリー・ジャパンの金です。
本連載では4回にわたり「ブルックリン・ブルワリー」や「クラフトビールの世界」についてご案内いたします。第3回となる今回は、日本で人気があるクラフトビールの種類についてご紹介します!
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ビールってどのくらい種類があるの?
皆さんは“ビール”と聞くと、どんなイメージが思い浮かびますか?
「白い泡がのっていて、透き通った黄金色、シュワシュワして苦いもの」。
こんなイメージを思い浮かべる人が多いのではないかと思います。一般的に知られ、多くの方が認識している“ビール”は、いわゆる「ピルスナー」という種類のことです。ちなみにビールの種類のことを専門用語で「ビアスタイル」と言います。そして、実はなんと100種類以上のビアスタイルがこの世には存在します!スッキリとしているものからコクがあるもの、とっても苦いもの、麦芽の風味が香ばしいもの、フルーティで甘いもの、お酢のようにすっぱいものなど。実にバラエティ豊かな味わいがあるのです。
ビールにはさまざまな味わいがあるので、きっと誰にでも好きなビアスタイルが見つかるはずです。しかし、残念ながら限られた種類のビールしか知らずに「ビールは苦手」と思っている方が多くいるのも事実。ぜひいろいろなビールに出会って、奥深いビールの世界を体験してもらいたいと思います。ビアスタイルを知ることは、自分が好きなビールに出会うための道標になります。
そこで、次のコーナーではビール好きの方によく飲まれているビアスタイルをご紹介します!
ビアスタイルの基本
下面発酵と上面発酵
ビールは発酵方式により、大きく分けて下面発酵の「ラガー」と上面発酵の「エール」の2種類に分けられます。実はもう一つ自然発酵もありますが、ここでは割愛します。
「ラガー」は酵母による副産物が少なく、キリッとしたシャープな飲み口ですっきりとした味わい。それに対し「エール」は酵母による副産物が多く、フルーティで華やかな香り奥深い味わいが特徴です。
これを前提に、主要なビアスタイルをご紹介します!
8つの主要なビアスタイル
1.ピルスナー
冒頭でもご紹介した、多くの人が“ビール”として思い浮かべる「ピルスナー」はラガーの中の一つの種類です。すっきりとした味わいが特徴ですが、ラガーの中でも様々な種類や風味があります。 世界中で飲まれるビールのうち、実に7割を占めるといわれるピルスナーは、1842年に現在のチェコのピルゼンで誕生しました。世界初の金色のラガービールとも言われています。
次に、上面発酵の「エール」を紹介します。
2.IPA(アイピーエー)
クラフトビールを知るきっかけとなることが多く、人気のビアスタイルが「IPA(アイピーエー)」です。これは「India Pale Ale(インディアペールエール)」の略で、イギリスからインドにビールを運ぶ際、腐らないようにアルコール度数を高くし、さらに防腐剤としてホップを大量に使ったことがはじまりと言われています(由来については諸説あり)。ホップの華やかな香りと強い苦味が特徴です。
最近は、ホップを使うタイミングを工夫することで苦味が少ないヘイジーIPAなども登場し、人気を博しています。
3.ペールエール
名前がIPAに似ている「Pale Ale(ペールエール)」は、IPAの後に誕生したイギリス発祥のビアスタイルです。Paleには“淡い”という意味があり、ペールエールが誕生した当時のビールよりは色が薄いことから名付けられました。ホップの香りと苦味、酵母が生み出すフルーティな香りが特徴的なビール。使用するホップによって香り強さや感じ方が異なる点がおもしろいですね。
4.ベルジャンホワイト
苦味が苦手な方に人気があるビアスタイルが「ベルジャンホワイト」。ベルギー発祥のビールで、原料として大麦麦芽の他に小麦が使われています。このビアスタイルは見た目が特徴的で、小麦に含まれるタンパク質により白っぽく濁っているものが多いです。苦味はほとんどなく、ヨーグルトのような酸味があります。副原料としてオレンジピールやコリアンダーシード、時にはスパイスなどを使うこともあり、フルーティでスパイシーな風味も楽しめます。
5.ヴァイツェン
ベルジャンホワイトと同じく小麦を使ったビアスタイルは他にもあります。その一つが、小麦麦芽を50%以上使う「ヴァイツェン」です。ドイツ発祥のビールで、モコモコと立つ白い泡とヴァイツェン酵母が生み出すバナナのような香りとクローブのようなスパイシーな香りが特徴的。
6.セゾン
ベルギー発祥の「セゾン」は、農家の人が夏の畑仕事の合間に飲むために、農閑期に自家醸造していたのが始まりといわれるビアスタイルです。セゾン酵母が生み出すフルーティな香りをベースに、防腐効果のあるホップを多く使ったり、スパイスやハーブを効かせたものが多く、個性的な味わいを持つスタイルです。
7.スタウト
アイルランド発祥の「スタウト」は、節税型ビールとも言われるユニークなビールです。ビールの原料である麦芽に税金がかけられていたため、節税のために麦芽化せずにローストした大麦を一部使い誕生しました。ローストした大麦の苦味により、ブラックコーヒーのような味わいがあります。見た目で「甘そう」と思われる方も多いようですが、甘みはなく、ドライな飲み口で食事にも合わせやすいビールです。
8.サワーエール
最後に紹介するのは、最近人気が高まりつつある「サワーエール」。“サワー”と言っても焼酎割りではありません。 英語で書くと「sour」で、そのままズバリ「酸味があるエール」です。爽やかな酸味が特徴で、デザートやフルーツなどとの相性が良いビアスタイル。いろいろなフルーツを混ぜて楽しむこともあり、アレンジしやすいことも特徴的。
ビアスタイルを知って、あなたの好きを探してみて !
いかがでしたでしょうか?いろいろな味わいを持ち、奥深いビールの世界。ビアスタイルを知ってると、その日、そのときの気分に合わせてビールを選ぶことができますし、自分が好きなビールを探しやすくなります。
100種類以上もあるビアスタイルを全て飲むことは難しいでしょう。ですので、まずは今回ご紹介した7種類のビールを試してみてください。これがきっかけになり、友人やご家族の会話に登場する「ビール」がより幅広い世界になればいいですよね!
次回が最後になります。今やさまざまな場所でクラフトビールを楽しめるようになってきました。そんな嬉しい現状についてご紹介します。お楽しみに!
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この記事を書いた人
金 惠允(キム へユン)
BROOKLYN BREWERY JAPAN / ACCOUNT DIRECTOR
趣味は飲み歩き、映画鑑賞(と共に飲むビール)、銭湯(の後のビール)。嬉しい時も悲しい時も自分の感情に寄り添ってくれる、様々なシーンで自分の人生を豊かにしてくれるお酒が大好きです(もちろんビールがNo.1)。旅行でニューヨークに行った際、ブルックリン・ブルワリーの見学に行ったほど大好きなブランドです。
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