【連載企画】日本におけるクラフトビールの歴史と今後の可能性<第2回>

こんにちは!ブルックリンブルワリー・ジャパンの金です。

本連載では4回にわたり、ブルックリン・ブルワリーやクラフトビールの世界についてご案内いたします。第2回となる今回は、日本における「クラフトビール」の歴史について深掘りしていきたいと思います。

クラフトビールとは?

そもそも「クラフトビール」とは、どのようなビールのことを表すのでしょうか?

クラフトビール(craft beer)という言葉が誕生したのはアメリカです。しかし、アメリカでも「クラフトビール」について定義はなく、Brewers Association(BA)という協会によりビールを造る醸造所である「クラフトブルワリー」について定義されています。

その条件は「Small(小規模であること)」「Independent(独立していること)」「Brewer(醸造免許を取得し、ビールを造っていること)」。これら3つの条件を満たしたブルワリーで造られたビールのことを「クラフトビール」と呼んでいます。またクラフトビールの「craft」には、「工芸」や「技」という意味があります。そこからビール醸造家(ブルワー)が技術を磨いて、こだわりをもって造るビールとも言えるでしょう。

これらのことから、クラフトビールは「小規模な醸造所でブルワーがこだわりをもって造るビール」と説明されることが多いです。ご存知の方も多いと思いますが、ビールには多種多様な種類があります。クラフトビールのブルワー達は、古くから造られている伝統的なビールを踏襲したビール、伝統的なビールを新たな解釈で造ったビール、これまでにはなかった全く新しいビールなど、持ち前の探究心や自由な発想により日々生み出しています。そのため私たちはクラフトビールを通じて、個性豊かなビールを自由に楽しむことができます。それが最も大切なことだと思います。

地ビール解禁から始まった日本のクラフトビール

日本で小規模な醸造所(ブルワリー)でのビール造りが始まったのは1994年の酒税法改正からです。それまでは年間に少なくても2,000キロリットルのビールを製造できる業者にのみ醸造免許が付与されました。2,000キロリットルがどのくらいの量か想像できますか?500mlの缶ビールで考えると400万本にもなり、実質大手ビールメーカーしかビールを製造することができませんでした。

500mlの缶ビールが400万本!設備の問題だけでなく、醸造にも販売にも人手がないとうまく回らないですし、ビールを造りたいという想いだけでは超えられないハードルだったんですね。

地ビール解禁 (1994年)

年間最低製造数量が60キロリットルに引き下げられたことにより、小規模な醸造所でも立ち上げることができるようになりました。当時は「地酒」と同じ意味合いで、その土地で造られるビールのことを「地ビール」と呼び、この1994年の法改正のことを「地ビール解禁」と呼んでいます。

地ビールブーム (1999年ごろ)

地ビール解禁以降、町おこしなどを目指し、全国各地で小規模ブルワリーが設立されました。日本中で地ビールブームが広がり、1999年には300ヶ所を超えましたが、2003年には販売量が最低量になり、地ビールブームは終わったと言われました。その原因として「価格が高かったこと」「品質が安定していないビールがあったこと」が挙げられます。それ以降、稼働ブルワリー数は年々減少し、2013年には200ヶ所ほどに。

近年のクラフトビール

しかし近年再び盛り上がりを見せており、現在は日本でのブルワリー数は約500ヶ所に増えています。

地域性溢れたビールを醸造するブルワリーが増えたり、大手ビールメーカーもクラフトビールブランドを立ち上げたことで露出が増えたりと、話題性が豊富で、「気になる!」「飲んでみたい」と思ってもらえるような仕組みづくりが以前よりも盛んになっているような印象を受けます。

たった7年ほどで300ヶ所も増えたのは、これまでの歴史から考えてもすごい!

各地でどんな地域性溢れたビールが造られているのか、500ヶ所全て回ってみたくなっちゃいますね。

「地ビール」と「クラフトビール」の違い

ところで「地ビール」と「クラフトビール」に違いがあるのでしょうか?この点についてはブルワリーやブルワーの中でも意見が分かれる点であり、「地ビール」「クラフトビール」を呼び分けるケースや、どちらか一方の言葉しか使わないケースもあります。飲み手の皆さんには、難しく考えずにどちらも同じ意味として捉えていただき、多種多様なクラフトビール(地ビール)の世界を楽しんでいただきたいです。​

皆さんは「地ビール」「クラフトビール」にどんな印象を持ちますか?

考え方は様々ですし、正解はありませんので、ぜひいろんなクラフトビールに触れて発見を楽しんでください!

そして再び盛り上がりを見せるクラフトビール

現在クラフトビールの盛り上がりを見せている日本。一方で外食シーンでも家飲みでも、「昔からよく知っている大手のビールしか飲まない」「クラフトビールに馴染みがないので自ら選ばない」「(ラガーしか知らない状態で)好きじゃないから飲まない」という人が多いのも現状です。

日本人のルーツともいえるお茶の中にも「緑茶」や「烏龍茶」「ジャスミン茶」などいろんな種類があり、一般的にもそれぞれの違いが認識されています。クラフトビールもお茶と同じように、食事のシーンや特別な時間など、たくさんの人の生活に馴染む機会を増やし、多種多様で選択肢が広い飲み物であることを伝えながら、日常に当たり前にあるものとして親しみをもってもらえる存在にしていきたいですね。

ということで次回は、今日本で人気のクラフトビールをご紹介!人気の系統を知ることで、さらにクラフトビールが楽しく身近に感じられるかと思います。お楽しみに!

参考:Brewers Association(BA)



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この記事を書いた人

金 惠允(キム へユン)

BROOKLYN BREWERY JAPAN / ACCOUNT DIRECTOR

趣味は飲み歩き、映画鑑賞(と共に飲むビール)、銭湯(の後のビール)。嬉しい時も悲しい時も自分の感情に寄り添ってくれる、様々なシーンで自分の人生を豊かにしてくれるお酒が大好きです(もちろんビールがNo.1)。旅行でニューヨークに行った際、ブルックリン・ブルワリーの見学に行ったほど大好きなブランドです。

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