オーダー率No.1の生ビールを扱うなら必読!ビールサーバーの基本〔飲食店開業マニュアル〕
ドリンクメニューの中でオーダー率の高いカテゴリーがビール(発泡酒・新ジャンルを含む)です。特に樽生ビールはファーストオーダーで頼まれることが多いアイテムです。入店後に「とりあえず生ビール!」と注文されることも少なくないでしょう。
ビールサーバーならではのクリーミーな泡によって生み出される口あたりと味わいは飲食店でしか味わえないものであり、乾杯用の最初のドリンクとして不動の地位と人気を保ち続けています。
飲食店開業を検討されていて「樽生ビールを提供したい」とのご希望でしたら、樽生ビールとビールサーバーの基本を知っておいたうえで、酒販店にご希望を伝えるほうがスムーズに開店準備ができます。樽生ビールを扱う上で、必要なスペースや毎日の洗浄などの手間もご理解いただいた上で、設置を検討されてはいかがでしょうか。
ビールサーバーはメーカーからの貸与品
樽生ビールは専用のビールサーバーから抽出しお客様に提供します。一般的に樽生ビール用のビールサーバーは取り扱いする銘柄のビールメーカーから貸与され、日々の洗浄等については飲食店で行いながら使用していくことになります。
ビールサーバーの貸与の条件についてはビールメーカーによって多少異なりますが、共通することは樽生の品質を保持できるかどうかという点にあります。
美味しい生ビールを提供するには
生樽の鮮度
開封前のビール樽の中身は外気に触れないよう密閉されていますが、開封し専用のヘッドを接続した瞬間から外気に触れるようになるため、少しずつ劣化が始まります。開封した樽生ビールはできる限り早く使い切ることが原則で、目安としては3日で樽1本を回転させていくことが求められます。
例えば10リットルの樽であれば、1日あたり3.3リットル以上をコンスタントに消化していかなければなりません。これは平均的な中サイズのグラスで1日約10杯分以上を販売していくということになります。
正しい知識を持って扱う
開業時、業態や客席等を考慮し、年間を通して美味しい生ビールの提供ができるかをしっかりと判断したうえでビールサーバーの貸与について検討するようにしましょう。
品質保持ができず、お客様に美味しくない生ビールを提供してしまうことになった場合、せっかく美味しいお料理や心地よい空間、サービスを提供していても全体の印象が悪いものになってしまうことになりかねません。
オーダー率の高い樽生ビールだからこそ、リスクも持った商品であることを理解し、正しいビールサーバーの取り扱いについて理解を深め、お客様に満足していただける一杯を常に提供し続けることができるよう心がけることが重要です。
ビールサーバーの役割とは
ビールサーバーの役割は大きく二つあります。 一つめは冷却機能です。冷却方法は常温の樽生ビールをサーバー内に通すことによって瞬間的に冷やす「瞬間冷却式(瞬冷式)」と、樽自体をサーバー内で冷やす「樽格納式(樽格式)」に分けられます。一般的には瞬冷式タイプが主流で、ビールサーバー自体の冷却能力が続く限り常に冷えたビールを抽出することができます。
二つめの役割は抽出機能です。専用のカラン(注ぎ口)から注ぎだすことで、クリーミーできめ細かな泡が形成され、泡自体がビールの酸化を抑える蓋の役割や口あたりを良くする役割を担い、缶や瓶では味わえない樽生ビールならではの美味しさを作り出すことができるのです。
ビールサーバーは接続する炭酸ガスボンベの圧力で樽に入っている生ビールを押し出す仕組みになっており、瞬冷式サーバーの場合、常温の樽生ビールを氷が張ったサーバー内のビール回路に通すことで瞬間的に冷やされ、飲み頃の温度になります。カランには泡づけ機能がついており、レバーを手前に引くとビールの液体が、奥に押し込むと泡だけが抽出される仕組みになっています。
ビールサーバーあれこれ
大きさ(容量)
ビールサーバーの大きさ(容量)もさまざまで、抽出できるビールの量に関係します。販売量と比較し抽出可能容量が小さすぎる機種を設置すると、サーバーの最大抽出量を超えてしまい、サーバー内の氷が溶けだしてしまうことで冷たいビールが抽出できなくなってしまうことがあるので注意が必要です。
ドラフトタワー
通常ビールサーバー本体は卓上に設置して使用することが多いですが、サーバー本体を床置きし、卓上に設置したドラフトタワーにホースを用い接続、タワー上部のカランからビール等を抽出する方法もあります。
サーバー本体が客席から見えないことがメリットとなりますが、ドラフトタワーの長さ分ビールが通る回路が長くなるため、洗浄時のロスが多くなったり、特に暑い時期などには抽出時に泡が多くなったりする原因につながることがあります。
卓上を作業台に使用できる点もドラフトタワー設置のメリットとなりますが、下部にサーバー本体と炭酸ガス、液種分の樽を置くスペースが必要になりますので、設置場所についても十分な注意と確認が必要です。
サワーやハイボールも提供できる
樽製品はビール以外にも例えばサワー樽やハイボール樽等があり接続方法や抽出方法は同様で、1台のサーバーから複数の液種を抽出することも可能です。オペレーションの軽減につなげることができますので、メーカーによって取り扱いが可能な樽製品を確認の上検討するようにしましょう。
設置には入念な打ち合わせが必要
他にも炭酸ガスと水を混ぜ合わせることで炭酸水が抽出できる機能を持つマルチサーバーや、ビールを手動ではなく自動で抽出できるオートサーバーなどもありますが、年間最低使用量の制限が設けられるなど設置基準のハードルが高くなることが一般的です。
設置環境や抽出したい液種、販売見込量など複合的な判断により設置できるサーバーが異なりますので事前によくビールメーカーや酒販店と打ち合わせをすることが重要です。
さいごに
ビールサーバー設置後は、取り扱い方法について説明を受け、実技講習等もふまえながら不明な点を残さないようにしてください。
毎日の水通し洗浄や週に一度のスポンジ通し洗浄は、美味しい樽生ビールを抽出するために飲食店側で最低限実施しなければいけない作業です。他にもジョッキやグラス等ビール容器の正しい洗浄方法や、ビール温度に合わせたガス圧の設定の仕方、ビール樽の正しい取り扱い方、トラブル対応、美味しい注ぎ方など正しい知識を習得していきましょう。
各ビールメーカーが樽生ビールを美味しく提供するためのノウハウを実践的に学ぶことができるセミナー等を実施していますので積極的に参加するようにしてください。メーカーによってはwebやスマートフォン等で確認できる仕組みを持っていますので最大限活用するようにしましょう。
適切なビールサーバーの設置と正しい使用方法の習得で、最高の一杯を提供し、お客様満足度とお店の売上アップにつなげていきましょう。
これからビールサーバーを設置する場合は「開業予定なら知っておきたい生ビールサーバーの設置のポイント」も参考にご覧ください。
なおビールサーバーの貸与を希望される場合、酒販店経由でのご相談・申し込みとなります。貸与のことだけでなく、サーバーサイズや生樽の種類なども親身になって相談いただけると思いますので、飲食店開業がきまりましたら先ず酒販店さんへご連絡されることをおすすめいたします。
カクヤスのビールサーバー無料設置サービス
お店のレイアウトに合ったビールサーバーの設置から、サーバーのレンタルなど無料で対応いたします。
なおビールサーバーを設置するお店はカクヤスの配達エリアの料飲店様に限ります。
この記事を書いた人
りょ
前職は旅行代理店で法人営業を担当していたものの、食とお酒が大好きでビールメーカーへ転職。 福岡、札幌勤務を経て2020年春より東京担当。
ビールにあうと思う最高のお供は「からあげ」。 雪降る極寒の北海道で、熱々のザンギを頬張りながら冷たいビールを流し込む時が至極の瞬間です。
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています
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