飲食店開業を成功させる!コンセプトシートの書き方・使い方
成功している飲食店には、「コンセプトが明確である」という共通点があります。飲食店の新規開業を成功させるためには、お店のコンセプトを具体化することが必須です。
今回の記事では、コンセプトの設定に役立つ「コンセプトシート」の書き方と活用方法を解説します。無料の会員登録でダウンロードできる、コンセプトシートのテンプレートもご用意していますので、飲食店経営者の方はぜひご活用ください。
飲食店開業に向けたコンセプトシートとは?なぜ必要なの?
ここでの「コンセプト」とは、お店の経営の土台となる基本的な方向性・テーマのことです。飲食店の開業を成功させるにあたって、コンセプトの設定は必須の作業だといえるでしょう。
飲食店の開業時には、「どのような物件を選ぶか」「どのようなメニューを出すか」「価格はどう設定するか」など、非常に多くのことを検討しなければなりません。
コンセプトを決めずにそういったことをそれぞれ検討していくと、お店全体の統一感がなくなり、「いったいどのようなお店なのか」がお客様に伝わりづらくなってしまいます。
そのような事態を避けるために、全体を統一するコンセプトをまず決めておくことが重要だといえるでしょう。
さらに、開業後もお店を経営していくなかで、さまざまな意思決定が必要になります。例えば、開業後のメニュー変更や価格変更、スタッフの新規採用などが想定されるでしょう。
そのような場面で、判断の軸となるコンセプトが明確になっていれば、ぶれのない選択が可能です。コンセプトを維持することで、お客様から見たお店のイメージが安定し、お客様の定着につながります。
そして、コンセプトを設定する際に活用したいのが「コンセプトシート」です。コンセプトシートはお店のコンセプトを書き込むシートで、簡単にいえば「誰に何をどのように売るか」といった基本戦略を一枚のシートにまとめたものです。
お店の目指すべき方向性がひと目で確認できるコンセプトシートは、開業やその後の経営において心強い指針となってくれます。
飲食店開業時のコンセプトシートに書くべき9項目
それではさっそく、コンセプトシートに盛り込むべき内容を見ていきましょう。
ここでは、「飲食店お役立ちナビ」の会員様にご提供中のフォーマットに沿って、解説を進めます。会員登録・ダウンロードともに無料ですので、こちらのリンクにアクセスし、ぜひ便利なフォーマットをダウンロードしてください。
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(1)基本コンセプト
まずは、基本コンセプトを考えます。「ご自身のお店を一言で表すと?」という質問に答えるつもりで考えましょう。
基本コンセプトは、誰が見てもわかりやすい内容にするのが大切です。ただし、「日本一」「元祖」「激旨」など、大風呂敷を広げるようなワードは避けましょう。
等身大の言葉で表現するのがポイントです。
(2)立地・物件
実際にお店をオープンしたいエリアや物件の特徴を記載します。なるべく具体的に表現するのがポイントです。
[記入例]
- 日中に人通りが増えるオフィス街
- 主婦層のランチ利用が見込める郊外
- 人通りの多い○○駅から徒歩○○分以内
- メインストリートの路面店
- 喧騒から離れられる中層階
- 隠れ家感のある裏路地の地下 など
(3)ターゲット
どういったお客様に来店してほしいか、なるべく具体的に記入します。年代・性別・職業・構成など、あらゆる視点からお客様像を記載してみましょう。
[記入例]
- 20~30代の若いファミリー層
- ランチタイムの会社員
- 仕事帰りの会社員
- 平日昼間の主婦層
- 食べざかりの学生
- トレンドに敏感な若い女性 など
(4)利用動機
お客様は、なんらかの理由があって飲食店に来店します。先ほどターゲットに設定した人々に、どういった理由で自分のお店に来てほしいかを考えてみましょう。
[記入例]
- 仕事の合間にすばやく食事をしたい
- お祝いや自分へのご褒美に豪華な食事がしたい
- こだわりの食材を使った一皿を食べたい
- ヘルシーな料理が食べたい
- お腹いっぱい食べたい
- とにかく安く済ませたい
- 友人とお茶しながら会話を楽しみたい
- 料理やドリンクの写真をSNSにアップしたい
- 雰囲気の良い空間でデートを楽しみたい
- 子ども連れでも気にせず食事を楽しみたい
- 仕事帰りの「ちょい飲み」を楽しみたい など
(5)サービス・オペレーション
接客の方法や雰囲気は、店舗のイメージを大きく左右します。どういった方法でお客様に接し、商品を提供するかを決めておきましょう。
[記入例]
- カウンターで注文・受取を済ませるセルフサービス形式にする
- すべてのメニューを説明する
- 元気な雰囲気で接客する
- 控えめに接客する
- サブスクリプションサービスを導入する など
(6)メニュー
メニューの媒体やレイアウト、デザインについても検討します。お店の雰囲気や提供内容に合ったメニューにするのがポイントです。
[記入例]
- メニューブックを作る
- 看板にメニューを書く
- 席にタブレット端末を用意する
- 料理やドリンクの写真を載せる
- 文字だけのメニューにする
- ドリンクとフードを分ける
- ワインリストを別途作る
- 一言コメントを入れる
- 「本日のおすすめ」を作る など
(7)店内外環境
内装や外装も、食事の雰囲気に関わる重要なポイントですので、店内外のそれぞれについて、イメージを膨らませましょう。BGMも合わせて検討しておくのがおすすめです。
[記入例]
- 外装
・木目調
・コンクリート基調
・大きな看板をファサードに付ける
・メインカラーは赤 など - 内装
・高級路線
・大衆的な雰囲気
・暗めの暖かい照明
・明るく爽やかな照明
・落ち着いたクラシックのBGM
・軽快なジャズのBGM など
(8)価格・支払い方法
客単価を想定し、フードのみ、フードとドリンクを合わせた単価をそれぞれ明確にしましょう。また、支払い方法も決めておきます。
[記入例]
- フード単価900円、ドリンクセット1200円
- 現金決済のみ
- クレジットカード・QRコード決済も可能 など
(9)プロモーション・販促
宣伝の媒体や方法を検討します。ターゲットや立地に合わせて考えるのがコツです。
[記入例]
- 駅前でチラシを配る
- クーポン付きのチラシを周辺家庭にポスティングする
- 周辺企業へDMを打つ
- SNSで経費をかけずに宣伝する など
飲食店開業に向けたコンセプトシートの使い方
コンセプトシートは作成するだけでなく、うまく活用することが重要です。開業時の活用方法を以下で解説します。
コンセプトのぶれを点検する
まず、基本コンセプトとその他の項目にずれや矛盾がないかをチェックします。例えば、基本コンセプトを「大衆的なお店」と設定していながら、ターゲットが若い女性だったり、お店の外装がシックな作りだったりしていませんか?
記入した9つの項目を俯瞰して、違和感がないかを確かめてみてください。違和感があった場合、基本コンセプトに合わせて他の項目を調整しましょう。
コンセプトをスタッフ間で共有する
オーナー様が持つイメージをコンセプトシート上で具体化したら、現場で働くスタッフ様とコンセプトを共有しましょう。
スタッフ間でのイメージの食い違いから接客や商品提供時のずれが生じると、お客様が混乱してしまいます。全スタッフが一丸となって、オーナー様と同じ想いで仕事に取り組む「チーム運営」の実現は、コンセプトシートの共有から始まります。
コンセプトシートの真の使い方は飲食店開業後にあり!
無事に開業できたからといって、コンセプトシートの役割が終わるわけではありません。開業後もコンセプトシートを使って、お店をブラッシュアップすることが大切です。
コンセプトを修正する
実際に開業してみると、ターゲットや客単価が開業前のイメージと異なるケースは少なくありません。そのような場合には、コンセプトシートの一部を書き直してみてください。
物件と内・外装は変えられないとしても、その他の項目は見直しができるはずです。こまめな改善・進化が繁盛店への道となるので、最初の想定にとらわれず柔軟に調整しましょう。
ただし、基本コンセプトを変えてしまうと別のお店になってしまいます。基本コンセプトだけは変更しないように注意しましょう。
スタッフとのコミュニケーションに活かす
現場で働くスタッフ様と、コンセプトシートを題材にしたミーティングを開きましょう。ミーティングを通して、スタッフがどれくらいコンセプトを理解して働いているかがわかります。
また、ミーティングでのコミュニケーションは、チームとして成長するきっかけにもなります。ぜひ、お店のコンセプトについてスタッフ様と話し合ってみてください。
お店のあり方を見直す
コロナ禍において、業態や提供内容の変更を余儀なくされた飲食店は多いことでしょう。そうしたときにこそ、コンセプトシートでお店の方向性や戦略を見直すチャンスです。
今一度、ご自身のお店のコンセプトを一枚のシートに整理してみてください。お店のあり方を言語化することで、意外な活路が見いだせるかもしれません。
まとめ
飲食店の開業やその後の経営を成功させるためには、お店のコンセプトを定めておくことが重要です。コンセプトシートを作成すれば、開業前にコンセプトのずれを点検したり、スタッフ間でコンセプトを共有したりできます。
さらに、開業後の方針の修正やスタッフとのコミュニケーションにも活用できるでしょう。
ぜひ、以下の9項目を盛り込んで、コンセプトシートを作成してください。
- 基本コンセプト
- 立地・物件
- ターゲット
- 利用動機
- サービス・オペレーション
- メニュー
- 店内外環境
- 価格・支払い方法
- プロモーション・販促
上記9項目を簡単に記入できるコンセプトシートのフォーマットを、「飲食店お役立ちナビ」の会員様に無料配布しています。
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この記事を書いた人
カクヤス編集部
飲食店なんでもスクエアは、国内業務用酒販売上No.1、首都圏飲食店顧客満足度No.1の実績をもつ酒販店「なんでも酒やカクヤス」が運営するメディアです。
カクヤスグループは2021年11月に創業100周年を迎えました。酒販業一筋、お酒を通してお客様のご要望に「なんでも」応えたい!長きにわたり信頼されてきた実績と共に、これからも変わらぬ気持ちでお客様に向き合ってまいります。
カクヤス編集部にはワインエキスパート・エクセレンスやシニアソムリエ、SAKE DIPLOMAなどお酒の資格を持ったメンバーや、飲食店様に15年以上寄り添ってきた営業スタッフ、店舗スタッフなど様々なメンバーがいます。
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