物件探しの前に押さえておきたい5つのポイントと契約までの流れを解説〔飲食店開業マニュアル〕
飲食店開業へのファーストステップは「物件探し」。 早く理想の物件に出会いたいですよね。しかし物件探しは「探す前の準備」が非常に大切です。
ここでは物件探しの前に抑えておきたい5つのポイント、また物件が見つかってから契約するまでの流れと注意点を解説いたします。
飲食店物件探しの重要な5つのポイント
まずは物件探しの前に明確にしておきたいポイントは5つです。これらを明確にしておけば、不動産業者に物件を探してもらう時にも、よりスムーズに話が進められます。
また事業計画書を作成する時、実際に飲食店を経営していく上でも重要なポイントになります。しっかりと押さえておきましょう。
1.どのエリアに出店するのか (立地)
まず以下の2点を踏まえて、エリアに目星をつけましょう。
- どのような人をターゲットとするのか
- ターゲット層の集客を狙えるエリア(駅)はどこなのか
エリアを決めたら、土日祝日・平日・時間を変えて、下見をすることをおすすめします。
「ランチ需要はあるのか」「仕事終わりの時間帯は賑わっているか」などを街をよく観察してみてください。ビジネス街や学生街は、イベントなどのない週末の集客は難しいですし、昨今の大手企業のリモートワーク推進で、期待していたほどの集客が得られないという事も考えられます。またデリバリーやテイクアウトをメインとする飲食店は、駅チカではなく、住宅街に目を向けても良いと思います。住宅街ならば家賃も抑えられるかもしれません。
めぼしい物件が決まった時は、必ず周辺を散策してみてくださいね。
2.坪数と席数 (広さ)
1坪あたりの席数の目安は以下の通りです。参考に計算してみてください。
- 飲食店で標準的な席の配置なら、2席~2.5席/坪
- ゆったりとした席づくりをするなら、1.5~2席/坪
また広ければ広いほど、当然オペレーションの負担は跳ね上がり人件費もかかります。 自分のお店の理想とするオペレーションを考えておくことも大事です。
3.家賃や管理費など (賃料)
店舗の家賃の理想は、月の売上の10%程度といわれています。
また賃料とは別に毎月管理費や共益費、ごみの回収代などがかかる物件もありますので、しっかりと確認するようにしましょう。その他に契約時にかかる手数料等もあります。
4.居抜きかスケルトンか (状態)
「居抜き」とは前の店舗の造作を引き継ぐ状態のこと。「スケルトン」とは造作や設備が残っていない物件のことです。
スケルトンは一から内装工事が必要になり、当然造作費がかかります。予算のない場合は「居抜き」物件から探すとよいでしょう。
5.路面・空中階・地下 (階数)
ビルの地下から地上階まで空いているとして、基本的に路面店(1階)が一番賃料が高く設定されています。
路面店(1階)でなくても、直接階段がある場合や効果的な看板が出せるような物件であるならば検討してみても良いと思います。またお店のコンセプトが「隠れ家」的なものであれば、地下や地上階の方が合っているかもしれません。
事業計画書を作成しよう!
前述の物件を探すときの5つのポイントを考えると共に「事業計画書」を作成しましょう。
「事業計画書」とはどのようなお店で、売り上げはどのくらいの想定なのか、初期費用はいくらを見込み、資金調達・運営・返済はどのようにしていくのかなどをまとめた計画書です。
融資を受ける時には必ず作成しますが、このような物件契約を申し込みする時の物件オーナーへのアピールにも活用できます。
飲食店が融資を受けるために必要な「事業計画書」の書き方とポイント
資金調達をするためにも必要な「事業計画書」。
一言で資金調達と言っても、金融機関からの融資を目的とした場合と投資家からの融資を目的とした場合とで事業計画書の見せ方を変えた方が良いことをご存知ですか?
事業計画書のポイントや、特に日本政策金融公庫からの融資で必要な事業計画書の書き方をわかりやすくご紹介しています。
飲食店物件を契約するまでの流れ
基本的に居住用マンションなどを契約する時と流れは変わりません。それぞれのステップでのポイントをご説明します。
- 物件を探す・紹介を受ける
- 物件の内見をする
- 申し込みをする
- 審査
- 契約
ステップ1.物件を探す・紹介を受ける
物件の探し方は「インターネットで探す」「不動産業者から紹介してもらう」「飲食店オーナから引き継いでもらう」などがあるでしょう。
物件をインターネットで探す
できれば複数のサイトを見るようにしましょう。複数サイトを見ても同じ物件情報が出てくることも多いものですが、そのサイトにしか出ていない情報ということもあります。また情報は随時入れ替わりますので、こまめにチェックするようにしましょう。
物件を不動産業者から紹介してもらう
目星をつけたエリアの不動産業者に問い合わせるなら、店の壁面や看板などに「管理」や「店舗」とうたっている不動産業者を訪問しましょう。街の不動産屋は、住居用物件の賃貸や売買をメインにされていることがほとんどだからです。
個人的な印象ですが、駅近くの昔から営業されている不動産屋さんは、店舗物件情報を持っていることが多いと感じています。
また不動産業者に行くときには、自分の求めている物件の条件を細かく伝えることも重要です。しかし「路面じゃなきゃダメ」「賃料は絶対いくらまで!」と選択肢を狭めてしまうと、紹介できる情報が限られてしまうので、ある程度の条件の幅は持たせた方がよいでしょう。
飲食店オーナーから紹介してもらう
こちらは、コネクションや信頼関係がないと難しいものですので、上記の2つが現実的と言えます。
ステップ2.物件の内見をする
居抜き物件なら「残された設備や内装が使えるのか」「足りないもの、必要なもの」を考えながら見学しましょう。
宅建士が教える居抜き物件内見時のポイント
飲食店開業にかかせない物件探し。飲食店物件の内見時にはどんなところに注意してみればよいのか、居抜き物件について外観から内観まで宅建士がポイントを解説しています。
ステップ3.申し込みをする
良い物件にはすぐに借り手がつきます。内見で好印象なら、早めに申し込みをするようにしましょう。一概には言えませんが、同条件の申し込みがあった場合、申し込み順で審査される場合があります。
また「条件交渉」や「ここが確認できなければ契約できない!」などの事柄がある場合は、申込書に記載しましょう。
私は数多くの内見や申し込みの場に立ち会いましたが、申し込みをせずオーナーと条件交渉する事は「印象が良くなることはない」と感じています。借りるか借りないかもはっきりしない人から家賃交渉などをされても、オーナーはいい気分にはなりませんよね。
申込書で「この物件を借りる意思があります」という意思表示をしてからの交渉をおすすめします。
ですが、申込書を出す前に「どこまで交渉できそうなのか」といったさじ加減は、不動産業者の担当に確認してもらった方がよいでしょう。オーナーによっては、はじめから交渉NGなどの場合もあります。
ちなみに「申込書」は契約ではないので、後からキャンセルすることが可能です。だからといって、キャンセルを繰り返すのは紹介してくれる人たちに失礼なので、節度を持って対応するようにしましょう。
融資が必要な場合は、この段階と同時に手続きをします。
ステップ4.審査
申込者の内容や与信をみて判断されます。また連帯保証人の部分も審査され、場合によっては保証会社への加入を求められる場合もあります。
居住用の賃貸と違うな・・・と感じる点は、事業計画だけでなく申込者の人柄も見られているところです。ここで前述した事業計画書が必要になってきます!物件オーナーに安心材料を提供できるよう、しっかりとした事業計画書をつくりこみましょう。
ステップ5.契約
ここまでくれば晴れて契約となります。一度サインしてしまえば契約成立ですので、契約内容にはきちんと目を通しましょう。
物件契約時のポイント
「自分に一方的に不利な内容になっていないか」「条件交渉した部分は守られているか」なども重要なチェックポイントですが、より念入りに確認が必要だなと感じているものは点は以下の2つです。
- 資金面
賃料、その他かかる手数料等 - 契約形態
「普通借家」「定期借家」のどちらか。「普通借家」の場合更新はどうなるのか。解約時の物件はどんな状態で返却するのか。
また造作の譲渡がある場合は、別途契約を結ぶ場合があります。
契約時に必要な書類とは
申し込みから契約に必要な書類をピックアップいたします。あらかじめ準備しておけば、スムーズに契約に進むことができます。公的な書類は、基本的に3か月以内に発行されたものが必要ですのでご注意ください。
個人の場合
- 住民票
- 印鑑証明書
- 身分証
- 収入証明書
- 連帯保証人関係の書類
- 事業計画書等
法人の場合
- 会社謄本
- 決算書
- 印鑑証明書
- 連帯保証人関係の書類
- 代表者身分証
- 事業計画書
さいごに
あとは物件の引き渡しを受けるだけ!
片づける約束をしたのに荷物が残っている、逆にあるはずのものがない等のトラブルもありますので、引き渡しを受けたあとは必ず現地に足を運んでください。
物件探しから契約までの流れはいかがでしたか。
なんでも酒やカクヤスはあらゆる面から飲食店開業を全力サポートしています。物件探しのお手伝いもその一つ。
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この記事を書いた人
しんちゃん
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