テロワールにはどんな意味がある?おすすめの日本酒についても紹介

ワイン好きな方であれば一度は耳にしたことがある「テロワール」という言葉。なんとなく意味はわかっていても、人に説明するとなると難しい……と感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、テロワールの意味や近年日本酒にも用いられるテロワールという言葉を紐解き、おすすめの日本酒もご紹介していきます。
テロワールの意味を知りたい、おすすめの日本酒が知りたいという方だけではなく、おいしいワインや日本酒を仕入れたいと考えている飲食店様も、ぜひ参考にしてみてください。

テロワールの意味とは?

ワイン界でよく耳にする言葉である「テロワール」とは、フランス語の「terroir」という言葉で、フランス語特有の表現であることから、英語や日本語での表現が難しいとされています。

そんなテロワールという言葉の意味について、詳しくご紹介します。

テロワールの語源

テロワールという言葉は、ブルゴーニュ(世界最高峰のワイン生産地)で生まれた概念であるとされています。フランス語の「terre(大地)」や、ラテン語の「territoriumu(領地)」などが語源と言われていて、英語や日本語ではテロワールを表す最適な言葉がないのです。
テロワールがどのようなものか日本語で説明するのであれば「どのような環境でブドウが育ったか」と表現するのがふさわしいのではないでしょうか。
ワインはブドウが育った地域によって味が変動するとされていますが、とくにブルゴーニュ地方では、長年にわたる地殻変動や気象変化によって、隣の畑で取れたブドウでもワインの味わいが変わると言われているほどです。
テロワールとは、生育する環境によって、同じ種類のブドウを植えたとしても出来上がるブドウ(ワイン)は異なるという概念なのです。

テロワールの基本的な要素

テロワールは日本語では、「どのような環境でブドウが育ったか」と表現するとお伝えしましたが、基本的なテロワールの要素は大きく3つあります。

  • 土壌
  • 立地
  • 気候

土壌はワインの味に大きな変化をもたらします。例えば、石灰質の地層であれば、さわやかな酸味のあるエレガントな味わいに、片岩質の地層であればミネラル豊かなすっきりした味わいに、ブドウとワインの味は変化します。
また、ブドウ畑のある場所もテロワールの重要な要素となります。標高や向き、傾斜などがブドウの生育に大きな影響を与えるとされていて、そのさまざまな立地によってブドウの良し悪しは左右されます。

最後に重要なのが気候です。ブドウは世界各地で生産されていますが、地域によって品種が異なります。北半球の北緯30~50度の地域、南半球の南緯30~50度の地域は、ブドウ栽培に適している気候であるとされており、「ワインベルト」と呼ばれているほどです。日照時間や気温、降水量などが、ブドウの仕上がりに大きく影響するのです。

テロワールはワインだけに使われる言葉ではない

テロワールはもともとブドウの味が変化しやすいことからブルゴーニュで使われ始めた言葉ですが、近年はワインだけではなく、産地独特の味わいや特定の地域での個性といった考え方から、さまざまな飲食料品に対して使われています。
コーヒー、チョコレート、水、日本茶、日本酒といった、さまざまな食品、飲料でテロワールは重要なキーワードとなり、その地域独特の個性を表す言葉なのです。

テロワールの影響を受けやすいブドウ品種

テロワールは土壌、立地、気候の影響を受けて味が変化することを言いますが、それらの影響を受けやすいとされるブドウ品種をご紹介します。

シャルドネ種

「白ワインの女王」とも呼ばれるシャルドネ種のワインは、気品ある香りや味わいが魅力ですが、産地が違うことで多様にその味を変化させます。
果実味、酸味、骨格がしっかりしているという反面、シャルドネ種特有の個性はなく、個性がないのが個性と言われることも。
温暖な産地であれば、完熟した果実の風味を感じられる味わいになります。一方、寒冷な産地であれば、柑橘系の香りやスッキリした酸味を供えた味わいに変化するのです。
土壌や産地の気候、環境、生産者の能力やセンスをそのまま映し出してしまうことから、テロワールの影響を受けやすい品種と言えます。

リースリング種

リースリング種は、15世紀頃の文献にも登場する歴史のある白ブドウ。丸形で小さい果実で、冷涼な気候や標高の高さ、昼夜の寒暖差などの影響を大きく受ける品種です。
品種由来の特徴としては、香りは石油のようなオイル香(ぺトロール香)やセルロイドのような香りと言われているのですが、産地によって香りさえも変化するのがリースリングの特徴とも言えるのです。
テロワールによって変化するワインとして、辛口のワインや甘口のデザートワイン、貴腐ワインやアイスワインなど、全く味わいの異なるワインを造ることができます。

ピノ・ノワール種

ピノ・ノワール種は4世紀頃には栽培が行われていたとされるブドウで、突然変異しやすいのが特徴です。
小粒で薄い皮をまとった実が隙間なく付いている小さめの房で、その姿は松ぼっくりのようだということから「ピノ(松)」「ノワール(黒)」と呼ばれます。
ブルゴーニュ地方で作られるピノ・ノワールは、凛とした酸味とまろやかな渋みが良いバランスで混ざり合い、エレガントなワインとされているのに対して、シャンパーニュ地方で作られるものは深みやコクのあるシャンパンとなるのです。

日本酒のテロワールとは

テロワールの捉え方は、日本酒とワインでは大きく違ってきます。ここからは、日本酒のテロワールの考え方についてご紹介していきます。

前述したように、テロワールを日本語で表現するのは難しいとされています。その理由の一つとして、日本で醸造される日本酒と、ワインには大きな違いがあることが挙げられるでしょう。
ワインは「95%がブドウの品質で決まる」と言われることがあるくらい、ブドウの栽培に力を入れているのです。そのため、ブドウを栽培する農業が重要となり、土壌や立地、気候がワインの味を大きく変えるのはここまでお話してきた通りです。

一方で、日本酒はワインと違って、原料である米が育った気候や風土を日本酒とともにアピールすることは少ないのが現状です。日本酒は、複雑な醸造工程と技術の中で杜氏や蔵人の技術に左右される事も大きく、一概に原料米で味わいのすべてが決まる訳ではありません。その為、原料米も「国産米」という表記に留まる銘柄が多いのも事実です。
そのようなことから、日本酒はワインと違って、原料である米が育った気候や風土を日本酒とともにアピールすることは少ないという特徴があります。

しかし、最近では原料米の品種や仕込水、土壌や気候などを反映した高品質な銘柄を造る蔵元も多くあります。
北海道の「吟風」「彗星」や山形県の「出羽燦々」など地元特有の酒造好適米を農家と契約して造り、地元の山間の湧水を仕込水として使い、土地特有の気候に合わせた醸造や熟成を行い、土地や蔵元の特色を出しています。
さらに日本酒のドメーヌ化(お米の栽培から瓶詰までを一貫して行う生産者)をしている蔵元もあることや、水質の調査が行われるなど、日本酒におけるテロワールの捉え方も変わってきています。

希少な日本酒ブランド「Nechi(根知)」とは

渡辺酒造店が造る日本酒のブランドの一つである「Nechi(根知)」は、新潟県糸魚川市根知谷で、日本酒では珍しく米作りから酒造りまでを一貫して行っています。ここからは、テロワールを語れる希少な日本酒であるNechiについて詳しくご紹介していきます。

根知谷の特徴

新潟県糸魚川市の駒ヶ岳と雨飾山が望める根知谷は、東西に開けた土地となっていて、標高110mから250mの緩やかな傾斜地となっており、冬は雪が2~3mほど積もる豪雪地帯です。
稲の育成に欠かせない日照、風向きが他の水田とは異なることから、根知谷のテロワールとして独特な個性のある酒米を磨き上げることができます。
豪雪地帯であることで、雪解け水を利用して春の農作業が行われます。さらに、夏の暑い季節までその雪解け水は田んぼに農業用水を供給し続けます。
9月になれば徐々に多くなる雨によって、収穫を終えた田んぼで稲わらの腐食が進みますが、その工程を経ることで豊かな土壌を回復させます。

酒米づくりへのこだわり

根知谷で酒造りを始めた渡辺酒造。現当主は6代目の渡辺吉樹蔵元で、酒造りで大切にしていることは「根知谷の田んぼを守ること」と言います。根知谷の自然が育む米の特徴を活かし、根知谷だからこそできる気候風土の味わいを映し出す地酒の真髄を追求しています。
Nechiは五百万石と越淡麗という酒造好適米で造られており、その年のお米の等級ごとに商品化を実施。日本酒は毎年同じ味わいに仕上げるのが基本ですが、Nechiは各年の米の特徴を重視して過度に手を加えないという方法で造られます。

バックヴィンテージの違いを楽しめる日本酒

Nechiは日本酒にはめずらしい瓶内熟成を楽しめるお酒です。酒質に自信があるからこそおすすめできるのが特徴で、なかなか手に入れることが難しい熟成の日本酒です。

2021年産の五百万石は特等米を算出、越淡麗は残念ながら1等米のみでしたが、全般的に品質も良好で醸造は順調
に進みました。
近年の傾向から見ると、米質は2016年産に似て硬くも柔らかくもない平均的なタイプで、酒質は全般的に軽快に仕上がっています。

国際的な賞も受賞するNechi

Nechiは、ロンドンで開催されているIWC(インターナショナルワインチャレンジ)と呼ばれる国際的なワイン品評会で、2010年に日本酒部門の純米吟醸酒・純米大吟醸酒の部に出品し、SAKE部門の最高賞である「チャンピオン・サケ」に選ばれています。
根知谷の米と根知谷の水、そして風と空気が造る酒は、国際的な品評会においてもテロワールを伝える力を持っています。Nechiは特約店でしか入手できない商品です。お求めの方は特約店の一つである「なんでも酒やカクヤス」にお問い合わせください。

まとめ

テロワールとは、その土地で育ったブドウの価値を表現する言葉で、ワインを嗜む方なら知っておきたい言葉の1つです。
日本酒にはテロワールという考え方がなかったのですが、近年のドメーヌ化によって、日本酒も米の産地やその土地の水質、気候などが味に大きく影響するという考え方に変わりつつあります。

なんでも酒やカクヤスでは、記事内でご紹介した「Nechi(根知)」などの日本酒や、テロワールを感じられるワインを仕入れたいという飲食店様に向けて、お店の雰囲気やお料理に合ったお酒をご紹介します。
話だけでも聞いてみたい、お酒について知りたいという簡単なことでも構いませんので、ぜひカクヤスまでお問合せください。

この記事を書いた人

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