【酒米】酒造好適米とは?代表品種と特徴を理解して日本酒に詳しくなろう

一般的に日本酒造りに使われるお米を総称して「酒米」と言いますが、日本酒造りに特化したお米「酒造好適米」と、主目的が食用である「一般米」と厳密な違いがあります。お酒造りに使用されている品種は一般米を含めると200種類近く。ラベルにお米の品種まで表記されている場合は酒造好適米が多いのですが、普通酒などラベルに品種の表記がない場合は、一般米が使われている場合が多いです。
今回は、酒造好適米に的を絞って代表的な品種の特徴と味わいをご紹介していきます。

酒米と酒造好適米とは?【概要と特徴】

「酒米(さかまい)」は、日本酒造りに使うお米すべて「酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)」は、その中でも日本酒造りのために開発、選別された特別なお米です。

酒米と酒造好適米の違い

「酒米」とは、日本酒造りに使われるお米すべてを含んだ呼称です(=原料米)。酒米の中でも、日本酒造りのためだけに栽培されるお米を「酒造好適米」と呼び、主に食用で日本酒造りにも使用される「一般米(飯米、食用米)」と区別されています。

酒米の特徴1. たんぱく質・脂質が少ない

日本酒造りにおいてお米のタンパク質は、少量なら旨味成分の元になりますが、多いと雑味の原因となります。また、脂質は大事な香気成分の生成を妨げるので、低タンパク・低脂質が望ましいです。

酒米の特徴2. 粒が大きい

一般的に、酒米は粒が大きいほどタンパク質含有量が少なく、吸水が早い特徴があります。米の大きさは千粒あたりの重さ、千粒重で表されます。一般米の千粒重が20~24グラム程度なのに対して、酒米の千粒重は24グラム以上ある中粒のものが多く、中には30グラムを超える超大粒の酒米もあります。また、精米行程では摩擦で高温となるため、熱に強く割れにくいものが望ましいとされています。

酒米の特徴3. 程よい大きさの心白(しんぱく)

大粒で心白の発現率が高い米が望ましいのですが、心白が大き過ぎると精米時に砕けやすく、大吟醸など高精白するのは難しいとされています。

代表的な酒造好適米の種類・品種と酒の特徴

現在栽培されている酒造好適米は100種類以上。山田錦、雄町、五百万石あたりは聞いたことがあるという方も多いでしょうが、それ以外にも多数あります。 ぜひ知っておきたい代表的な品種と、今注目の酒米をご紹介します。

山田錦(やまだにしき)

大粒で心白が大きく、低タンパク。外硬内軟で麹菌が中まで入りやすい。糖化力が高い良質な麹が作られるため、酒米の王様とも呼ばれます。長棹で倒れやすい、病気に弱いデメリットを凌ぐ魅力があるため、今では日本一生産量が多い酒米です。コクあるタイプから香り高い芳醇なタイプ、長期熟成酒まで、様々な酒質のお酒を造ることができる万能型です。

銀盤(ぎんばん) 純米大吟醸 播州50
富山県 純米大吟醸

銀盤(ぎんばん) 純米大吟醸 播州50

  • 度数:15度~16度
  • 飲み口:辛口

山田錦のメッカ、兵庫県播州産の山田錦を50%まで磨き、黒部の名水で醸し、長期低温貯蔵した純米大吟醸です。リーズナブルな価格もあり、長年のファンも多いロングセラー商品です。

容量:1.8L

参考価格:2,818 円(税抜)

五橋(ごきょう) 純米吟醸
山口県 純米吟醸

五橋(ごきょう) 純米吟醸

  • 度数:15度~16度
  • 飲み口:旨口

地元山口県産の山田錦を55%精米した純米吟醸。食中酒としても使いやすい、香り優しく、軽快な飲み口と旨味が特徴です。

容量:1.8L

参考価格:3,600 円(税抜)

五百万石(ごひゃくまんごく)

山田錦に抜かれるまで長年生産量1位を誇った新潟県発祥の酒米です。心白が大きく、淡麗で綺麗な酒質が特徴で、端麗辛口な新潟産のお酒でよく使われています。山田錦と五百万石だけで全酒米の生産量の60%以上を占める、2大巨頭です。

竹葉(ちくは) 純米酒
石川県 純米

竹葉(ちくは) 純米酒

  • 度数:15度~16度
  • 飲み口:やや辛口

地元能登の契約栽培五百万石を60%精米。冷やで良し燗で良し。香ばしい米の旨味と後口の良さが楽しめる食中酒です。

容量:1.8L

参考価格:2,700 円(税抜)

美山錦(みやまにしき)

発祥地である長野県や東北を中心に栽培される、大粒で心白が大きい、生産量第3位の酒米です。滑らかで軽快な、食中酒に適した酒質です。

特撰 真澄(ますみ) 本醸造
長野県 本醸造

特撰 真澄(ますみ) 本醸造

  • 度数:15度~16度
  • 飲み口:旨口

銘醸蔵「真澄」のスタンダード。長野県産「美山錦」・兵庫県産「山田錦」・長野県産「ひとごこち」60%精米。華やかでスッキリ軽快な飲みやすさ、吟醸酒顔負けのハイスペック本醸造です。

容量:1.8L

参考価格:2,150 円(税抜)

雄町(おまち)

江戸時代に発見された古い酒米ながら、近年人気で生産量は第4位。大粒で心白が大きいものの軟質で、高精白は難しいと言われています。コクある濃醇系が主流でしたが、豊潤な酒質のものも増えています。

燦然(さんぜん) 純米大吟醸 雄町 黒ラベル
岡山県 純米大吟醸

燦然(さんぜん) 純米大吟醸 雄町 黒ラベル

  • 度数:16.5度
  • 飲み口:旨口

雄町の本場、岡山県産雄町を50%精米した純米大吟醸。フルーティーな香りとコクある旨味のバランスが絶妙。オマチスト御用達です。

容量:720ml

参考価格:1,850 円(税抜)

愛山(あいやま)

山田錦原酒と愛山原酒をブレンドする灘酒の代表格「剣菱」に欠かせない酒米です。
心白が大変大きく雑味が出やすいため、本来は大吟醸仕込みにはあまり向いていませんが、「十四代」の高木酒造が愛山仕込みで綺麗でジューシーなお酒造りに成功して以降、近年人気の酒米です。造り手の技術が求められる酒米です。

蓬莱(ほうらい) 愛山 純米大吟醸
岐阜県 純米大吟醸

蓬莱(ほうらい) 愛山 純米大吟醸

  • 度数:16度
  • 飲み口:やや辛口

日本一高価で入手困難な酒米と言われる播州産愛山を50%精米した純米大吟醸。コクある芳醇で綺麗な旨味が楽しめます。

容量:720ml

参考価格:2,470 円(税抜)

出羽燦々(でわさんさん)

美山錦を母に持つ、山形県産酒米の代表格。大粒で心白が大きく、味の幅がある吟醸酒造りに向いた酒質です。

東光 純米吟醸 出羽燦々
山形県 純米吟醸

東光 純米吟醸 出羽燦々

  • 度数:14~17度
  • 飲み口:やや辛口

香り良く、後味まろやかでキレのいい味。安易に強烈な吟醸香を出したり、超辛口路線で目立たせることをせず、味の調和を重んじて、バランスのとれた味に仕上がっています。食中酒におすすめです。

容量:720ml

参考価格:1,450 円(税抜)

白鶴錦(はくつるにしき)

白鶴酒造が開発した、新山田穂1号と渡船2号を親に持つ「山田錦」の義兄弟米。大粒で心白が大きい、低タンパク低脂質、割れにくいなど、山田錦に遜色ないと注目されている酒米です。

白鶴 翔雲(しょううん) 純米大吟醸 自社栽培白鶴錦
兵庫県 純米大吟醸

白鶴 翔雲(しょううん) 純米大吟醸 自社栽培白鶴錦

  • 度数:15度~16度
  • 飲み口:やや辛口

白鶴錦を開発した白鶴によるフラッグシップ。兵庫県丹波篠山市産・自社栽培の白鶴錦50%精米の純米大吟醸。華やかな果実香に、馥郁たる甘味と穏やかな酸。豊潤な余韻も特徴です。

容量:720ml

参考価格:5,400 円(税抜)

酒造好適米/酒米から日本酒を選ぶ

ワインが原料であるブドウの品種の違いが香味を大きく左右するほどではないにしても、日本酒における原料米の違いは、日本酒の香りや味わいに個性を与えています。ただ、ワインのように原料米の品種の違いがストレートに味わいに現れる訳ではなく、お米の品種による香味の傾向はありますが、大吟醸や純米酒、山廃造りなど、造りの違いやアルコール添加など、醸造方法の違いが与える影響も大きいのが実情です

料理と日本酒を合わせる場合は、原料米の品種だけでシンプルに合わせられるものではなく、たとえば「丹波篠山で獲れたイノシシのぼたん鍋と、丹波篠山産山田錦の純米吟醸を合わせる(同産地、同温度帯、ストーリー性)」など、もうひと工夫が必要です。組み合わせがハマった時の訴求力は抜群です。
お店のコンセプトやフードメニュー、客層に合わせて工夫してみてください。

まとめ

日本酒造りに使われるお米全般が一般的に酒米と呼ばれますが、日本酒造りのために開発されたお米が酒造好適米、主に食用されるお米が一般米という違いがあります。酒造りという目的に合った米粒や心白が大きく、低タンパク低脂質が好ましく、品種ごとの特徴があります。各酒蔵は求める酒質に合わせて異なる品種を造り分けています。つまり品種ごとの特徴を知ることで、日本酒メニュー作成の際の一つの指標になり、メニュー構成に深みが生まれます。

今回は酒造好適米についてのお話でした。いかがでしたでしょうか。
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この記事を書いた人

西尾 明彦

年間取材100店舗以上を10数年の外食ライター。コピーライター。
日本酒会を40回以上主催する利き酒師。

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