日本酒〝辛口〟座談会【第4回:山猿シリーズ 本醸造・特別純米・山廃仕込純米】カクヤス営業スタッフが飲み比べました!

日々、飲食店にアルコール・アイテムを提案しているカクヤス営業スタッフが、取り扱う日本酒を忖度なしで語り合う「日本酒〝辛口〟座談会」。時代の変化により日本各地の日本酒が気軽に楽しめるようになり、女性や若い世代などにも日本酒ファンの裾野が広がってきました。一方で「色々ありすぎて何を飲んだらいいかわからない」という消費者や「色々ありすぎて何を置いたらいいかわからない」と悩む飲食店も多いようです。

そこで飲食店に直接お酒を提案・配達している酒販店カクヤスの営業スタッフが集結し、お勧めポイントや料理との相性を考えました。皆様の銘柄選定、メニューづくりのお役に立てれば幸いです。

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山猿 からくち本醸造 山猿 特別純米酒 山猿 山廃仕込純米
メーカー 永山酒造
(山口県)
永山酒造
(山口県)
永山酒造
(山口県)
使用米 日本晴 穀良都 穀良都
精米歩合 70% 60% 60%
アルコール度 15-16% 15% 15%
日本酒度 +7 +3 +3
酸度 1.5 1.7 2.0

今回の利き酒メンバーのご紹介

石橋さん

串カツや中華などのチェーン企業を担当。実家は元造り酒屋で、大学では醸造学を学び利き酒師やソムリエの資格を持つ。週末は奥様との外食を楽しんでいる。この中では【本醸造】が好み。

寿司やファミリーレストランなどのチェーン企業を担当。日本酒を飲む時は、詳しい人と一緒に行くことが多いとか。最近「だし割り」の味に開眼。週末はヨガと、愛犬との散歩でリフレッシュ。この中では【本醸造】が好み。

杉本さん

東福寺さん

餃子や焼きとんなどのチェーン企業を担当。日本酒はあまり飲まないが、気の合う友人との会話をアテにじっくりサシ飲みするのが理想。休日は食べ盛りのお子様のため、食料の買い出しを担当。この中では【特別純米酒】が好み。

世田谷エリアの飲食店を担当。今回取り上げた「山猿」を製造する永山酒造がある山口県出身。新婚ホヤホヤということで、休日は奥様チョイスの飲食店で外食を楽しむ。この中では【特別純米酒】が好み。

金色さん

深田さん

新宿エリアの二丁目周辺を主に担当。遊び半分、仕事半分で同エリアを訪れ、お店の方やそのお店を訪れるお客様との個性的な会話を楽しみながら飲んでいる。週末は趣味のゴルフを封印し子どもの世話に邁進。この中では【特別純米酒】が好み。

山口の注目銘柄「山猿」の実力を検証!

杉本:

前回の「百十郎」に続いて、今回も銘柄しばりの飲み比べです。選んだのは永山酒造さんの「山猿」。金色さんの故郷である山口県にある蔵元ですね。山口県といえば「獺祭」や「東洋美人」など知名度の高い銘柄も多く、日本酒のおいしい県という印象ですね。

「山猿」の永山酒造さんは、創業130年の歴史ある蔵元。とはいえ西日本のお酒なので、首都圏では知る人ぞ知る銘柄です。同じ地域に全国ブランドがあると興味を持ってもらいやすい利点があるね。

東福寺:

金色:

「山猿」の蔵元である「永山酒造」さんと「貴」という銘柄で有名な「永山本家」は、創業時はひとつの蔵元だったんです。戦前に分家した後、2000年代初期に永山酒造は「山猿」を、永山本家は「貴」という新ブランドをそれぞれ生み出しました。実は「貴」を置いてある店に「山猿」との飲み比べ企画を提案して、採用されたという事例もあります。戦前から続く兄弟蔵元が、21世紀になって同時期にそれぞれ新しい挑戦をするというストーリーが日本酒ファンの心をくすぐるんです。

特別純米酒、山廃仕込純米に使用している酒米は「穀良都(こくりょうみやこ)」という私も初めて聞く品種です。調べてみると130年も前に山口県で生まれた酒米で戦後に生産効率のいい品種にとって変わられていたものを、21世紀になって復刻させたらしい。日本酒ファンには特定の酒米推しなマニアも多いのでアピールポイントになりますよね。

深田:

石橋:

仕込み水は鍾乳洞で有名な「秋吉台」を源流とする厚狭川の伏流水を使っているそうです。石灰質を多く含むアルカリ性の土壌から湧く水はカルシウムの多い硬水。ミネラル豊富な硬水で仕込んだ日本酒は、キレが良く味の輪郭がはっきりした仕上がりになると言われていて、美味しい日本酒造りに最適とも言われています。

1本目:山猿 からくち本醸造

杉本:

フルーティーだし、甘みがあってとても美味しい。ふだんは吟醸系ばかり飲んでいて、本醸造はアルコール感が強くて飲みにくいという偏見があったんですが、この美味しさは目からウロコです。

香りが特徴的だね。吟醸酒のような華やかさはないけど、ついもう一口となっちゃう。ぬる燗〜熱燗に温めて、この香りを強調して飲みたいな。

石橋:

東福寺:

数ある本醸造酒でも群を抜いて飲みやすい。本醸造酒イコール辛口というイメージだけど、まろやかで良い意味で裏切られる。後味もスッキリしていてクイクイ飲める。飲み過ぎキケンという感じですね。

口当たりは飲みやすいし、お米のうま味もしっかり感じる。お刺身よりは、煮込みやおでんなど味のしっかりしたものとの相性が良いと感じた。原料米の「日本晴」はコシヒカリが誕生する以前(1950~70年代)は食用米として生産量1位だったそう。お米に歴史ありって感じだね。

深田:

2本目:山猿 特別純米酒

東福寺:

ミネラル感や口にふくんだ時の酸味など、白ワインぽい印象を強く感じる。貝との相性が良さそう。生牡蠣はもちろん、サザエなど苦みのあるものでも受け止める懐深さがある。

白ワインぽいという感想は僕も同じで、洋食にも合う味だと思う。カマンベールなどクリーミーなチーズとの相性は間違いないし、カルパッチョやレバーパテといった前菜料理もマッチすると思うな。

金色:

杉本:

香りも味わいもしっかりしているので、すっきりしたタイプが好きな私にとってはちょっと苦手な部類。ただ酒米(穀良都)の個性を強調するという狙いは理解できます。山田錦で造ったお酒とはぜんぜん違う味わいを感じました。

たしかに味も香りもお米のニュアンスがとても強い。キンキンに冷やしたり、氷を浮かべてロックにするなどの飲み方をしても味わいが薄まらなさそう。四合ビンの取り扱いがあれば二丁目のお店にもお勧めしたい。けっこう日本酒推しのお店も多いんですよ。

深田:

3本目:山猿 山廃仕込純米

金色:

2番目に飲んだ特別純米酒をさらにしっかりと、熟成させたような印象。香りも、甘みも、うま味もすべてが濃厚ですね。

焼きとんや焼き鳥、炉端焼きなど、炭火の香りを付けた炭火焼きや燻製などと合わせて飲みたい。味わいはしっかりしているけど、キレがいいので肉の脂をすっきり流してくれそうですね。

東福寺:

杉本:

肉汁たっぷりな餃子やユーリンチーなどコッテリした中華料理にも合うと思う。私の担当する中華料理店に、紹興酒と日本酒が同じくらい売れる店があるので、今度提案したいと思います!

山廃造りの日本酒はコシが強いから、けっこう相性の良い料理の幅が広いよね。「日本酒に合う料理は和食だけ」と考える人は少なくなったなと感じていて、提案すれば興味示してくれるお店は増えてきていると思うな。

石橋:

銘柄の選定や、メニュー作成についてなんでも相談できる!

いかがでしたでしょうか。味やブランドが持つキャラクターによって客層や利用シーンが異なる日本酒は、価格だけで判断しづらいところ。カクヤスではエリアごとに専任の営業スタッフがいて、業態や客層を熟知したうえで最適な日本酒をご提案しています。また日本酒の品揃えも拡大中ですので、アルコールメニューにお悩みの飲食店は一度カクヤスに相談してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

さとう木誉(きよし)

外食ライター
都内在住。繁盛店取材だけでなく経営マネジメントに関する取材活動を中心とする。「月刊食堂」「外食レストラン新聞」「外食図鑑」といった専門媒体の他、食品商社や外食コンサルタント等の宣伝企画にも携わる。
好きな酒は熱燗。好きなツマミはガリ〆さば。


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