世界に羽ばたく日本酒!近年トレンドの「プレミアム日本酒」について徹底解説
日本酒=安いの時代は終わった?プレミアム日本酒が世界的なトレンドに
近年、日本酒の価格レンジが非常に広くなっています。これまでであれば、高くても四合瓶で5千円~1万円レベルが関の山だった日本酒ラインナップにおいて、10万円を超える商品が続々と登場しているのです。
最初の日本酒ブームとして挙げられることが多い、高度経済成長期。第一次日本酒ブームでは、特級・1級酒などこれまでよりも高級なお酒の需要が伸びていきましたが、1973年をピークに日本酒の消費量は徐々に減少していきました。ピークである1973年の出荷量と2020年を比較すると、その量はなんと1/4以下にもなっているのです。
生産量減少から特定名称酒ブームを経て時代は高級酒へ
生産量減少にみまわれた日本酒業界である一方、ジャンル別にみると伸びている部分もありました。それが吟醸酒、純米酒等といった「特定名称酒」です。精米技術の向上に加え、酵母の研究を重ねたことで生まれるようになった香り高い日本酒・吟醸酒は元々鑑評会向けに出品していたジャンルではありました。
しかし、バブル経済期に地方の酒蔵に注目が集まり、徐々に表舞台に現れるようになると、これまで日本酒に興味を持たなかった層や女性が、まるでワインを嗜むかのような感覚で日本酒を楽しむようになりました。これが、第二次日本酒ブーム(吟醸ブーム)とされる動きです。
そして現在、発泡清酒や、生酛造りなど注目を集めている様々なジャンルの内の一つが、プレミアム日本酒。これまでも吟醸ブームの流れから、「獺祭」「黒龍」「十四代」といった商品にプレミアムな価値がつき、高値で取引される日本酒は多数ありましたが、昨今はさらに高価格化が進んでいるのです。
海外からの評価も高い日本酒!グローバル展開がプレミアム日本酒の広まる鍵となる
国内での出荷量が減少する一方、海外への日本酒出荷量は増加傾向にある昨今。世界的なパンデミックとなったコロナウイルス感染症の影響により、出荷量は令和2年に減少したものの、翌年以降は大幅に回復。令和4年の段階でも、輸出量+12%、輸出金額+18%と前年比を上回りました。
そんな中、プレミアム日本酒がトレンドとなっている背景には、海外での日本酒評価の高まりと、日本食ブームがあると考えられます。というのも、近年アジア・欧米各国で日本食レストランが急増しており、食事とのペアリングで日本酒を楽しむ機会が増えているのです。その流れを受けてか、2023年には「獺祭」がアメリカ・ニューヨーク州のハイドパークに酒蔵とテイスティングルームをオープン。アメリカ国内での需要に応えるための新たな一歩を踏み出したことも記憶に新しいです。
日本では比較的リーズナブルな価格という認識のある日本酒ですが、実は海外では異なります。一般的に発売されている日本酒であっても、関税や輸出入に伴う経費なども加えられているため、現地での日本酒販売価格は、日本国内での販売価格に比べると高くなってしまう傾向にあります。
そのため海外の方々にとっては「日本酒=安い」ではなく「日本酒=高級品」というイメージを抱えている人が多いのです。ビールなどのように日常的に飲むお酒ではなく、日本食レストランに足を運んだ際に口にする「高級なお酒」「非日常を楽しむお酒」というイメージがあるからこそ、自ずと“高くても良いもの”をセレクトする傾向にあるのでしょう。
近年、訪日外国人観光客は、旅行中の体験に惜しみなくお金を費やす傾向にあります。特に円安傾向であれば、観光客にとって日本の飲食費用は“割安”。お酒に関しても、「自国では飲めない特別なもの」としてジャパニーズウイスキーや高価格帯のプレミアム日本酒を好んで飲む傾向にあるのです。
老舗酒蔵から新興企業まで、プレミアム日本酒の製造をスタート
そんな高級品というイメージのもと、日本酒の価値をより高めるために各社がこれまで以上の価値を付加したプレミアム日本酒の製造を行っています。プレミアム日本酒のブランディング化が進む中、注目が集まるのが新興企業の存在。
2020年、ドン・ペリニヨンの5代目醸造成功責任者であるリシャール・ジョフロワ氏が「IWA」を設立し、独自の卓越したアッサンブラージュ技術を活かしてつくりあげた「IWA 5」が発売されるなど、他のお酒造りに携わっていた海外のプレイヤーが新たに日本酒市場に参入することで、既存の価値観にとらわれない新たな日本酒の価値が生まれつつあるのです。
また、老舗酒蔵においても国内の日本酒出荷量が減少していく中、生き残りをかけてこれまで取り組んでこなかったプレミアム日本酒の製造・販売に着手する傾向にあります。
まだまだ大きな可能性を秘めているであろう日本酒市場。今後、プレミアム日本酒のマーケットが広がっていく上で必要となってくるのが、多様性とブランディング。精米歩合の高さ、熟成年数、熟成方法、熟成に用いる樽といった味わいはもちろんのこと、これまで以上に商品に対する“見せ方”が重要となってくることを各社が認識しているようです。そのため、高級感のあるラベル、特殊な材質を使用した特注のボックス・ボトルなど、高級感に見合った高いデザイン性を兼ね備えることで、日本酒の価値をより高める試みを行っています。
また、ブランディングの一環として重要となってくるのがストーリー性。先述した「IWA 5」のように、他のお酒造りに従事していた方が日本酒の世界に飛び込んできた背景を伝えるなど、造り手のこだわりを顧客にダイレクトに届けることも付加価値に繋がっているのです。
今後も各社がどのような個性に着目して商品製造を行うのかが楽しみですね。
おすすめのプレミアム日本酒を紹介
栄光冨士純米大吟醸 無濾過生詰原酒 神酒 SOMA ONE
1778年創業の山形県の冨士酒造が販売するプレミアム日本酒。古代インドのヴェーダ神話に登場する“神酒”SOMAをネーミングに施した商品です。1,297時間をかけて磨き上げた精米歩合1%の日本酒。蔵史上最高の精米歩合を誇る、驚くべき透明感を楽しめるリッチな1本になっています。
また、本商品には特注のアタッシュケースがついているため、提供時により一層のプレミアム感を演出することができます。
容量:720ml
参考価格:110,000 円(税抜)
七賢 純米大吟醸 白心
山梨銘醸が展開する「七賢」の高級ラインとなる純米大吟醸。酒造が同地で栽培された酒米「夢山水」を27%まで精米し、−5℃で1年間熟成させることで非常に重厚感のある味わいに仕上げた1本は、ライチを想像させる香りに、南国フルーツのようなふくよかな甘みに爽やかな清涼感が感じられます。
臈纈染め(ろうけつそめ)という手法で描かれた、高級感のあるラベルデザインも特徴的。
容量:750ml
参考価格:20,000 円(税抜)
松竹梅白壁蔵 然土
宝酒造が販売する日本酒ブランド「松竹梅」から“最高の食中酒”として展開された1本。製品のコンサルティングとしてマスター・オブ・ワインの大橋健一氏が携わっており、食中酒としての日本酒の美味しさをより追求した商品になっています。
兵庫県西脇市の山田錦を全量使用、伝統的な生酛造りで醸されたプレミアム日本酒です。灘の松竹梅白壁蔵にて、同社が蓄積してきたデータを元に、高い水準で微生物生育の工程管理を行うことで実現した完成度の高さが特徴的。
容量:720ml
参考価格:10,000 円(税抜)
リンク8
日本×スコットランドの酒文化が融合した、珍しいプレミアム日本酒。日本でも高い人気を誇るスコッチウイスキーブランド「シーバスリーガル」と「満寿泉」のコラボレーション商品です。
数種類の異なる酒米&数種類の酵母で発酵させた原酒を、シーバスリーガル等数種類のスコッチウイスキー樽で10ヵ月間熟成、ブレンドを行った1本は、スコッチのアロマを纏いながらも日本酒らしい芳醇な甘みを楽しめるプレミアムな味わい。4つの「8」の数字が重なり合ったラベルデザインは、「シーバスリーガル」のストラスアイラ蒸留所があるスコットランドのキースと、桝田酒造場のある富山市の距離「8,888km」を表現しているのだそう。
容量:720ml
参考価格:11,060 円(税抜)
菊正宗 百黙 Alt.3
菊正宗酒造が2016年、130年ぶりの新ブランドとして発表した「百黙」シリーズ。その中でも「第三の選択」を意味する「Alt.3」は、兵庫県の特A地区と呼ばれる酒米を育てるのに適した良質な土壌を持つ地域で生産された山田錦を100%使用し、複数の純米原酒をブレンドして造られています。
華やかな香りに加え、甘み、苦味、そしてフレッシュさまでも併せ持つ仕上がりに。
容量:720ml
参考価格:2,857 円(税抜)
Nechi 2022 五百万石 壱等米
その年ならではのテロワールを楽しむ日本酒シリーズ「Nechi」。原料米の栽培から瓶詰めまでを一貫して製造を行うドメーヌスタイルを確立した渡辺酒造だからこそ、テロワールにとことんこだわって作られています。
「Nechi 2022 五百万石 壱等米」は、根知谷産の中でも一等米の格付けがされた「五百万石」のみを使用した1本です。
容量:720ml
参考価格:2,974 円(税抜)
プレミアム日本酒をオンメニューすることで単価アップが見込める!
専門店のみならず、大衆的な居酒屋形態でもオーダーが見込める日本酒ジャンル。現在取り扱っている日本酒に加え、高価格帯の商品をオンメニューさせることで、今まで以上に客単価のアップも見込めます。
また、高価格帯の発泡性清酒も人気が出ているため、「最初の1杯としてシャンパンの代わりに日本酒」といった提案ができる他、食事とのペアリングメニューを構成するのもいいかもしれません。
BAR業態においては、ウイスキーやワインなどで比較的高価格帯の商品ラインナップに馴染みのある客層も多いことから、プレミアム日本酒の値段帯でも、あまり違和感なくオンメニューさせられそうです。
今後より一層増していくであろうインバウンド需要も見込んで、プレミアム日本酒の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
カクヤス編集部
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