ビールの容量、値段と顧客満足度に因果関係あり!? 飲食店オーナーならぜひ知っておきたい戦略的「生中」事情

ハイボールやレモンサワーが人気となった昨今でも、最初の一杯は生ビールというお客様は多いですよね。今回は生ビールの提供品質ではなく、容器と容量について、お送りいたします。

生ビールの値段は戦略的に決める

実は、飲食店が思っている以上に、お客様は生ビールの品質や、容量、値段に敏感です。生ビールの値段を、お客様の許容範囲より高く設定すると、客数が減るか、生ビールの出数が減るか、どちらかの結果を招く場合が多いです。

そして、客単価が低いお店ほどその影響は顕著です。たとえば、客単価3,000円台の居酒屋なら生ビールは税別500円程度がおそらく上限でしょう。客単価10,000円の高級店でも、生ビールの上限は1,000円といったところでしょうか。あくまで一般論ですので、それ以上の価格帯でお客様に支持されているのなら、何の問題もありません。
ビールが高いと直接お店に意見を言う人は少ないですが、「食べロク」や「Googleマップ」などのクチコミサイトの評価やSNSで文句を言う人は年々増えている印象です。たとえ少数であっても、影響力は無視できません。

そこで、よく使われるのが、提供価格の値上げではなく、容量を減らすという手法です。上手に利用すれば、お客様は気付きません。不満を持たれることなく、原価率をコントロールすることができるからです。

容量と値段の目安は、近隣エリアで客単価が同じくらいの繁盛店を参考に、同容量換算で同じ値段かそれ以下に設定することをお勧めします。逆に言えば、同エリアにある同価格帯の人気店より高い値段を付けると、お客様の選択肢に入れてもらうことが難しくなります。
もし近隣の繁盛店が、メーカー協賛で協力してもらい生ビールは客寄せ商品としていて、自店が同価格で提供すると赤字になる値段の場合は、生ビールの価格では勝負しないことです。原価率が低いハイボールやレモンサワーなど、違うアイテムを目玉にして勝負しましょう。

話を戻すと、容器はできる限り気付かれないように変更するべきです。ところが、ジョッキからタンブラーに容器の形状ごと変更してしまうなど、気付かれやすい変更を選んでしまう飲食店もあるのが、実に残念なところです。
容器の形状が変われば、常連様は当然変化に気付きます。特にビアジョッキからタンブラーやゴブレット、足つきのビアグラスに変更した場合は、お客様からの反発は大きいです。実際の容量は同量だったとしても、ジョッキの方が多く入るように見えるからです(居酒屋業態ならビアジョッキがベターですが、BAR業態なら、足つきのピルスナーグラス、イタリアンや各国料理では、もしかしたらタンブラーが正解かもしれません。業態やジャンル、客単価などによって相応しい容器は変わってきます。話せば長くなるので、こちらも機会がありましたら、詳しくご説明したいと思います)。

生ビールの容量の変更は極力スマートに

では、どうすれば良いのでしょう?

ひとつの答えは、容器の形状は変えずに、容量が少ないものにサイズダウンする方法です。ビールメーカーを切り替えるタイミングで、同時に容器や容量を変更する、という複合技もあります。元々ガラス製のタンブラーを使っていた場合は、ステンレス製や陶器製への変更は、高級感もあり、顧客満足度アップにつながるかもしれません。

メーカーロゴ入りのオフィシャル容器でも、メーカーによっては10~20ml違いの容器が存在します。容量を減らす場合でも、減らす量は極力、最小限にとどめることです。400mlから一気に360mlに変更した場合、気付く方もいるかもしれませんが、数年かけて、400ml⇒380ml⇒360mlと、段階を踏んで小刻みに変更すると、気付かれる確率はより低くなります。
容器を変更する場合は、まずは極力、同じ形状の容器でサイズ変更をすることです。最小サイズでも原価率が合わなくなってから、容器の形状を変更しましょう。

※画像は参考資料です。
※ブランド専用ジョッキはお取り扱い店様限定アイテムです。

もうひとつの答えは、他に打つ手がなくなってからの最終手段ですが、評価軸をズラすことです。具体的には、比較対象が無数にある生中をメニューから廃止することです。
仮に、これまで生ビール(中・360ml)を500円で提供していたものを、グラスビール(200ml)350円と特大ジョッキ(700ml)980円にメニューを変更した場合を見てみましょう。
360mlから200mlへの変更は、実質44.5%の減量です。それに対して、料金は元の70%ですから、実質値上げですが、原価率が下がっていることに気付く人は、それほど多くはないでしょう。

生中の代わりに特大ジョッキを設定した場合も同様です。特大ジョッキ700mlは以前の360mlの約2倍です。売値も2倍の1,000円にでも良いとも思いますが、心理的ハードルを下げるために、980円に設定してみました。生中の時より2%値下げしていますが、実際の値下げ率以上にお得なように見えませんか?
これにはカラクリがあって、グラスビール(200ml)350円がそれほど安くない、という前フリが効いているので、特大ジョッキが安く見えるのです。比較対象を用意することのメリットです。グラスビールを注文する人は少なくても、特大ジョッキの出数が生中の時の50%以下にならない限り、ビールの売上金額はトータルでアップしている筈です。

利益率も大事ですが、一番大事なのは、手残り金額ですよね。お客様の反発を招いてしまって来客数や売上が下がってしまっては元も子もありません。人間は理性ではなく、感情で動く生き物ですから、できる限り、お客様の感情に寄り添うことをお勧めします。

世界的に見れば、日本の法律は実は飲食店に優しくて、自店のことは自分で決められる、自由度が高いのが特徴です。生ビール中は何ml以上なければならない、泡は何mlまで、といった法律は存在しません。また、メニューに容量を記載する必要もありませんよね。お客様が喜んでくれるなら、それが正解なのです。

その一方で、ビール純粋令という法律があるように厳格なドイツでは、ビールなどのメニューに容量の記載が必要で、提供容量がメニュー表記量を下回ると罰せられます。0.2l rastal表記なら200ml、0.5l rastal表記なら500mlと、目盛り付きのグラスを使用するので、お客様を誤魔化すことはできません。
厳格なドイツと、良くも悪くものり代がある日本。どちらが優れているのかは分かりません。でも、個人的には、自由度が高い日本のようなシステムの方が、飲食店とお客様、双方にとって幸せなような気がしています。

コロナ禍以降、緊急事態宣言や自粛モードで、人々の価値観、外食への意識は変わりました。以前と同じことをただ繰り返すだけでは、飲食店が生き残っていくことが難しい、たいへん厳しい時代です。それでも、工夫次第で前年以上の売上を達成している飲食店も多数存在しています。小回りが利かない大手チェーン店には出来ないような、細かいトライアル&エラーを繰り返すことが、成功への近道です。

皆さまのヒントになるような情報をお届けしてまいります。時には耳に痛い記事を書くことがあるかもしれません。これも飲食店への愛ゆえとご了承ください。今後よろしくお願いいたします。

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