【2024年】ボージョレ ヌーヴォー解禁日は?生育レポートやペアリングアイデアもご紹介!

ボージョレ ヌーヴォーの解禁日が近づいてきました。去年は11月16日が解禁日でしたが、2024年は11月21日(木)が解禁日です。

日本はボージョレ ヌーヴォーのナンバーワンの輸出市場 で、2019年は約492万本(750ml換算)が日本へ輸出されました。これはボージョレ ヌーヴォー全輸出量の約50%に当たります。つまり、輸出されるボージョレ ヌーヴォーの2本に1本が日本で飲まれているということです。初物を愛でる日本の国民性、そしてそのフルーティーで軽快な渋味の飲み心地が、日本での人気に繋がったと言えるでしょう。

コロナ禍により、2020年は約384万本まで落ち込み、2021年も前年比2%減の約360万本でした。2022年の収穫量は、過去5年平均より23%の減少となる見込みです。

さらに、2022年のボージョレ ヌーヴォーは航空貨物運賃の高騰、ガラスやラベルなどの資材、現地輸送着など各種コストの上昇で、価格が大幅に値上がります。
中には前年よりも二倍の販売価格になる商品もあり、インポーターによっては品目数を削減したり、発売自体を中止するところも出てきています。

それでもボージョレ ヌーヴォーは飲食店にとっては特別なイベントの一つで、毎年楽しみにしているお客様がいる事も事実です。例年とは違う雰囲気の中、ボージョレヌーヴォーをしっかり提供できるようワインのプロの目線から、ボージョレ ヌーヴォーとは?どんな特徴があるの?2024年のボージョレ ヌーヴォーの出来は?合わせる料理は?など、皆さんの疑問に答えていきたいと思います。

そもそもボージョレ ヌーヴォーとは?

ボージョレとは土地の名前で、フランスワインの銘醸地ブルゴーニュ地方の南部、そして美食の町リヨンの北に位置する温暖なワイン産地です。そしてヌーヴォーとは「新しいもの」のこと。簡単に言うとボージョレ地方の新酒ワイン」を意味しています。ほとんどのワイン産地では伝統的に新酒が造られていますが、ボージョレ ヌーヴォーはその中でも特に有名で、商業的にも成功しています。

ボージョレ地方でガメイが造られている理由

ボージョレ地方全体を見渡すと、黒ブドウ品種のガメイが98%もの栽培面積を占めています。

実はこのガメイ、中世まではブルゴーニュ地方の北部でも広く栽培されていました。しかし、1395年にブルゴーニュ公国の豪胆公・フィリップ2世が「コート・ドール(ブルゴーニュ北部)では黒ブドウはピノ・ノワールのみを栽培するように」という法令を出したため、ガメイはブルゴーニュ南部のボージョレ地方に追いやられる事となったのです。

確かにブルゴーニュの土壌ではフィリップ公が言ったらしい「粗野なワイン」になってしまうガメイですが、ボージョレ地方(特に北部)に見られる花崗岩質土壌で丁寧にブドウを育てると、ブルゴーニュのピノ・ノワールに負けないほどのキメの細かなタンニンをもつエレガントな赤ワインになります。フィリップ2世の舌が肥えていたのか、はたまた先見の目があったのかはわかりませんが、この禁止令のおかげでガメイはボージョレという最適の場に落ち着くことになったのです。

ボージョレ地方はシャルドネからの白ワインも、ガメイからのロゼワインも認められていますが、ほとんど(約95%)が赤ワインです。さらに、その赤ワインの約4分の1がヌーヴォーとして早く出荷できるように特別な醸造法で造っています。

それが「マセラシオン・カルボニック」、日本語で「MC法」や「炭酸ガス浸漬法」と呼ばれる醸造テクニックです。簡単に説明すると、ガメイを房ごと手収穫してステンレスタンク内に積み上げ、炭酸ガスを充満させ密閉します。そうするとブドウの細胞壁が壊れてジュースが染み出します。水溶性の色素はジュースに溶け出し、タンニンはあまり抽出されず、ブドウ果汁が含んでいるリンゴ酸(酸っぱい酸味)は分解されます。その後マスト(ブドウの果皮や種、ジュースが混ざったもの)を搾って酵母を足し、通常のアルコール発酵を行います。発酵終了3〜5日後には瓶詰めされ、できたワインは製法特有のキルシュ、バナナ、ブルーベリーのアロマが広がり、フルーティーでタンニンの控えめな早飲みに適した赤ワインになります。

ちなみにボージョレでは新酒はロゼワインか赤ワインにのみ認められていて、ラベルに「Nouveau ヌーヴォー」、もしくは同じく初物を意味する「Primeur プリムール」と書かれています。

2024年のボージョレ ヌーヴォー解禁日はいつ?

最初に解禁日が定められたのは1967年のことです。ボージョレ ヌーヴォーが人気になるにつれて、どこよりも早く出荷しようと競争するがあまり、ワインの品質が下がることを危惧してフランス政府が定めました。しかし、11月15日が週末と重なると流通網がストップしてしまうお国柄のため、1985年に「11月の第3木曜日の午前0時に解禁」へと変更されました。

去年は11月16日が解禁日でしたが、2024年の解禁日は11月21日(木)です。ちなみに、それ以降の解禁日は以下の通りです。

  • 2025年11月20日(木)
  • 2026年11月19日(木)
  • 2027年11月18日(木)

このように、毎年第3木曜日が解禁日ではあるものの、日付が多少前後していることがわかると思います。コロナの影響でどうなっているかは分かりませんが、お客様や友人、家族とともにこの時期ならではのワインを楽しみたいですね。

2024年の出来栄えは?現地生産者レポートが届きました!

今年の天候は難しいものでしたが、私たちは先代から受け継いできた知識と長年の経験をもって徹底した栽培管理を行いました。

私たちはブドウの品質に自信を持っています!

今年の冬は、霜に見舞われることなく、温暖な気候に恵まれました。その一方で、春から夏の初めにかけて雨が多く、私たちは葡萄の健康状態を維持するためにかなりの努力を必要としました。花は6月の初めに開き、時間をかけて広がっていきました。ボジョレーの一部地域では、雹の影響で収穫量が減少する見込みですが、サン・テティエンス・デ・ズリエール村にある私たちの畑では、大きな被害を免れました。また、良好な気候条件により、ヴェレゾン(果実の成熟)は非常に順調に進んでいます。

収穫は9月8日頃に始まり、収穫時期の天候は非常に良好になる見込みです。私たちのワインが日本の皆様に楽しんでいただけることを、私たちもとても楽しみにしています。

業務用酒販店なんでも酒やカクヤスでは、飲食店様専売の自然派ヌーヴォーを取り扱っており、告知や販促に使えるポスターやメニューの無料作成も承っています。ぜひ一度お問い合わせください。

ボージョレ ヌーヴォーにもランクがある!

通常のボージョレ ヌーヴォーのほかに、ボージョレ ヴィラージュ ヌーヴォーがあります。ワインランク上を楽しむならヴィラージュのヌーボーがおすすめです。

AOC ボージョレ

この地域全体を指す原産地呼称(AOC)です。大半はボージョレ地方南部の平地で肥沃な土壌からのブドウで造られ、規定されている収穫量もやや多いので(60hl/ha)、そのため風味の弱いワインもあります。ワインは、フレッシュでフルーティーなスタイルで造られており、一般的に品質は良く、価格は安いです。

AOC ボージョレ ヴィラージュ

ボージョレの北半分の村々は、ガメイに適した花崗岩質土壌で、なだらかな丘陵地が連なる地域です。赤ワインの最大収穫量はAOCボージョレに比べてわずかに低く(58hl/ha)、ブドウは高いレベルの熟度が得られるため、一般的にはボージョレAOCよりも高品質のワインとなります。ラベルに村名を記載することができますが、通常は「ボージョレ ヴィラージュ」と表示されます。品質は良いものから非常に良いものまであり、価格は安いものから中程度のものまであります。

トップレベルの生産者の中には、古木を使った有機栽培や、人的介入の低いワインを造っており、オークで熟成させることもあります。これらのワインは、アロマと風味がより強くなり、タンニンもより多くなります(でもキメは細かいです)。

実は世界が注目!ポテンシャルの高いボージョレ クリュ

ボージョレの北部、ヴィラージュの中でも特に素晴らしいブドウができる10のクリュ(村)は、赤ワインのみの独立したAOC(村名)が与えられています。

より軽やかで香りが高いものを選びたいならブルイィAOCやフルーリーAOCがおすすめです。逆に凝縮した果実味で骨格のあるワインを選びたいときは、ムーラン・ナ・ヴァンAOC やモルゴンAOC(南向きのコート・ド・ピィの畑は最高品質と評されています)が注目です。

最近では、特にアメリカのソムリエやワイン愛好家の間で、ボージョレ、特にクリュが人気を博し、価格もプレミアムやスーパープレミアムのレベルに達しています。なぜなら、ボージョレの土地の価格はブルゴーニュ(特にコート・ドール)よりも安いため、この地域は多角化を目指すブルゴーニュの生産者からの投資を集めて品質向上が顕著なのです。すでにボージョレ・クリュでは炭酸ガスによる浸漬をやめて、オーク樽の使用を増やす傾向にあります。そしてブルゴーニュのピノ・ノワールの価格が上昇したため、似たようなスタイルで低価格の代替品としてボージョレ クリュのワインに注目が集まっています。

ボージョレ ヌーヴォーのおいしい提供法

ボージョレ ヌーヴォーは軽く冷やすとおいしい

渋みが少なくライトボディのボージョレ ヌーヴォーは、軽く冷やした13〜15度くらいで提供するのをおすすめします。

ワインセラーのある飲食店なら13度設定のセラーから出してすぐ注ぐ温度がこれくらいです。家庭用冷蔵庫なら冷やしておいて、飲む15〜20分前に室温に出しておくとちょうど良い温度になるでしょう。より赤い果実のフレッシュさが際立ち、ほんのり冷たくて爽やかな飲み心地が楽しめます。グラスも小ぶりから中ぶりの大きさで、肩肘張らずに軽快に飲んでいただきたいワインです。若々しさを楽しんで欲しいと思って造られているので長期熟成向きではないですが、良い造り手のものなら半年から1年の瓶内熟成を経た発展が見込めます。昨年のヌーヴォーと今年のヌーヴォーの飲み比べも面白いですよ。

ちなみに品質の良いボージョレ ヴィラージュやボージョレ クリュはあまり冷やさず、16度ほどの室温が良いでしょう。

ワインカクテルで提供するのもおすすめ

もしもワインが余ってしまったら、いえ、余らなくても、カクテルに使うのもおすすめです。なぜならボージョレ ヌーヴォーは渋みが少ないので、カクテルのベースにはピッタリのワインになります。

ブルゴーニュ地方の名産品、クレーム ド カシス(カシスリキュール)をボジョレーの赤ワインで割ったら「カーディナル」という伝統的なカクテルの完成です。とっても簡単に作れて美味しいカクテルです。他にもサングリアのベースにしてもいいでしょう。

定番から意外なものまで!
ボージョレ ヌーヴォーのペアリングアイデア

昨今ドリンクとフードのペアリングを楽しむ文化が広がっていますが、ボージョレ ヌーヴォーこそ料理と合わせることでワイン単体よりもより美味しく楽しむことができるタイプのワインです。飲食店のメニューで活用できるワインペアリングのコツをお教えします!

ボージョレ ヌーヴォーのペアリングのコツ

例えばワインのもつベリー系果実のフルーティーな酸味は、トマトなど自然の酸味のある料理と組み合わせてみてください。ボージョレ ヌーヴォーはワイン自体は軽いので、料理も軽く・・・トマトと卵のマヨソテーに、厚切りのベーコンを添えるのもいいでしょう。もちろん酸味が際立ったトマトソースとの相性は言わずもがな、です。マルゲリータピザを片手にボージョレ ヌーヴォーもクールな組み合わせですよね。

おすすめペアリングアイデア

そして、ボージョレワインにいつも感じるシナモンやナツメグのようなスイートスパイスのニュアンス。このワインの甘いスパイスの風味が、甘辛ソースに同調します。ソースハンバーグ、豚の生姜焼きや焼きそばのような身近な料理との相性が抜群です。魚料理でも合わせられて、マグロのソテーや煮魚などはこのタンニンの控えめなところが料理の邪魔をせずにいてくれます。他にも生ハムやお肉のパテと一緒に楽しむのは本場フランス流の合わせ方です。

まとめ

2024年の解禁日は11月21日(木)であり、解禁日が近づいてきました。新型コロナウイルス感染症やロシアのウクライナ侵攻の影響で、​​ボージョレ ヌーヴォーの値上げにより、輸入量も減少します。 それでも毎年楽しみにしているお客様はいて、一定以上の需要がある事は確かです。ボージョレ ヌーヴォーを提供するためにも、早めの予約注文をおすすめします。

なんでも酒やカクヤスでは、業務専売の自然派ヌーヴォーを取り扱っており、告知や販促に使えるメニューやポスターの無料作成も承っています。

ボージョレ ヌーヴォー特集

ボージョレ ヌーヴォー特集

カクヤスがおすすめするボージョレ ヌーヴォー「ル シュマン ド ピエール」は、環境保全型農業「HVE」認証を取得し、地球環境に優しいボージョレ ヌーヴォーを生み出します。「マコンワインコンクール金賞」「パリ国際コンクール銀賞」など、数々の栄誉にも輝いています。
(飲食店お役立ちナビにリンクしています)

この記事を書いた人

松木 リエ

  • WSET Level 4 Diploma(2021年合格)
  • A.S.I. 世界ソムリエ協会認定 インターナショナル・ソムリエ・ディプロマ- ゴールド(2020年合格)
  • J.S.A.認定 ソムリエ・エクセレンス(2014年合格)/ SAKE DIPLOMA(2017年合格)
  • WSET Level 3 Certified(2016年合格)
  • IWC インターナショナル・ワイン・チャレンジ審査員
  • 2015-2016 WSET Level3 Decanter Asia Wine Scholarships
  • 2014年 第7回 全日本最優秀ソムリエコンクール 第4位
  • 2006年 第4回 JALUX Wine Award 準優勝
  • 2005年 第4回 Louise Pommery Sommelier Concours 第3位
  • 2005年 第6回 ロワールワイン若手ソムリエコンクール優勝
  • 2003年 第4回 Commis Sommelier Concours 最優秀賞

2000年より「オテル ド ミクニ」「タイユバン ロブション」などを経て、2006年渡仏。パリ、エクサンプロヴァンス、カシスの星付きレストランで計6年間ソムリエとして従事。2012年に帰国し、「マンダリン オリエンタル 東京」にてソムリエを3年間務め 2015年11月に独立。
その後アカデミー・デュ・ヴァン講師を経て、2019年より キャプラン ワインアカデミーにてWSET認定講師を務めている。
海外ワイン産地での研修により、南アフリカワイン協会(WOSA Japan)エデュケーション・パートナーとして日本各地でのセミナー活動や、「WANDS」などで記事執筆も行っている。

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