ウイスキーの仕入れ方法と基礎知識を解説!今注目したい海外・マイナーウイスキーとは
ウイスキーがオヤジの飲み物だったのは昭和の時代。今や飲食店にとってウイスキーとは、原価率の低減と売上アップ、利益率改善が期待できるアイテムなのです。ただしメニューに入れただけでは生ビールほどには売れません。ウイスキーを売るための最低限の知識は理解した上で、お店の業態やコンセプト、フードメニューに合わせたウイスキーをメニューに加えることで、ドリンクメニューの売り上げの柱にもなり得る存在なのです。
ウイスキーの種類を理解しよう
ウイスキーの原材料と蒸留所
ウイスキーの原酒の種類は、スコッチウイスキーを始め、スコッチを模して造り始めたジャパニーズウイスキーなど、多くのウイスキーでは、大麦を原料としたモルトウイスキーと、コーンや小麦などを原料としたグレーンウイスキーに、大きく分けて2種類あります。
モルトウイスキー
一般的にモルトウイスキーと言えば、スコッチウイスキーにおけるモルトウイスキーの定義、発酵した大麦麦芽と水、イースト菌のみが原料で、ポットスチルといわれる銅釜の単式蒸留器で2~3回蒸留したものを指します。
蒸留酒であっても原料の風味が感じられるため、ラウドスピリッツとも言われています。樽熟成前の原酒は、ニューポットと呼ばれます。オーク樽で熟成してから出荷されます。樽由来の色や香味が加わった複雑で豊かな味わいが特徴です。
アメリカンウイスキーの場合は、原料の51%以上が大麦麦芽のものを指します。モルト以外に使われるトウモロコシやライ麦などの副原料次第で、異なる風味、味わいになります。
グレーンウイスキー
グレーンウイスキーとは、原料であるトウモロコシや小麦などの穀類と麦芽を発酵させ、蒸留効率が良い連続式蒸留機で蒸留したものを指します(多様な風味の原酒を造り分けるため、あえて蒸留効率が良くない単式蒸留器も並行して使うディスティラリーも存在します)。
モルトウイスキーと同様に樽熟成させますが、軽やかな風味、穏やかな味わいのため、サイレントスピリッツとも言われています。モルトウイスキーは単独でシングルモルトウイスキーとして発売されることも多いですが、グレーンウイスキーは、シングルグレーンウイスキーとして発売されることはまだ少数で、ほとんどがブレンデッドウイスキーのベース原酒として使われます。
2つの蒸留所「シングル」「ブレンデッド」
シングルモルトウイスキー、シングルグレーンウイスキーは、どちらも単一の蒸留所で造られたウイスキーを瓶詰めしたものを指します。
ブレンデッドモルトウイスキー(ヴァッテッドモルトウイスキーも同異義語)は、一般的には、複数の蒸留所で造られた原酒をブレンドしたウイスキーを指します。
ジャパニーズウイスキーのように、ひとつの蒸留所で様々なタイプの原酒を造り分ける場合は、単一蒸留所で造られた複数のウイスキーをブレンドしたものも、ブレンデッドウイスキーと呼びます(例:複数のモルト原酒ならブレンデッドモルトウイスキー。モルト原酒とグレーン原酒ならブレンデッドウイスキー)。
代表的なウイスキー生産地
日本で言う世界の5大ウイスキーと言えば、スコッチウイスキー、アイリッシュウイスキー、アメリカンウイスキー、カナディアンウイスキー、ジャパニーズウイスキーのことを指します。必ずしも生産量の多さを指しません。
スコッチウイスキー
スコッチウイスキーとは、仕込みから蒸留、熟成までをスコットランドで行われたウイスキーを指します(ボトリングのみ国外で行ってもOK)。ピート(泥炭)を焚いた、スモーキーな風味があるものが多いです。大小様々、個性豊かな100以上の蒸留所が存在しますが、味わいや風味には地域性があり、ハイランド、ローランド、スペイサイド、アイラ、キャンベルタウン、アイランズ(諸島)の6地域に分けられます。世界5大ウイスキーの中では、最も生産量が多いです。
アイリッシュウイスキー
ウイスキー発祥の地、世界最古と言われているのがアイリッシュウイスキーです。スコッチウイスキーなど単式蒸留器で2回蒸留が多いところ、アイリッシュでは3回蒸留が基本です。ピート(泥炭)を焚かないノンピートが主流で、熟成期間も短めのものが多いため、軽やかな味わいが特徴です。19世紀以来、スコッチウイスキーとの輸出競争で差別化するために ”whiskey” 表記を使用。今でもこのeありの表記がほとんどです。
カナディアンウイスキー
世界5大ウイスキーの中で、最も軽快でマイルドな味わいなのが、カナディアンウイスキーです。ライ麦、トウモロコシ、ライ麦芽、大麦麦芽が原料で、連続式蒸留機と1塔式連続式蒸溜機、単式蒸留器などを組み合わせて作るフレーバリングウイスキーと、トウモロコシが主原料で、連続式蒸留機で造るベースウイスキーの2種類を連続式蒸留機の2種類のウイスキーをブレンドするのが特徴です。とにかく癖がない、ライトな味わいです。
アメリカンウイスキー
ケンタッキー州で造られる、原料の51%以上がトウモロコシ、80度以下で蒸留して、オーク樽の新樽で2年以上寝かせた、独特な甘味のバーボンウイスキーで有名です。他に原料の51%以上が根付けられたコーンウイスキー、ライウイスキー、ホイートウイスキー、モルトウイスキー、ライモルトウイスキーなど、多彩なウイスキーが造られています。近年は独自の味わいを追求した小規模蒸留所(マイクロディスティラリー)が急増中です。
ジャパニーズウイスキー
スコッチウイスキーをお手本に、日本でウイスキー造りが始まったのが1923年。オーク樽は輸入がほとんどで入手しにくいため、独自のミズナラ樽を開発するなど、以後、独自の進化を遂げてきました。
近年は世界的な評価が高まる反面、外国人による爆買いや、長熟原酒の不足から商品の統廃合や値上げ、品不足が続いています。
ジャパニーズウイスキーの定義は曖昧でしたが、
- 原材料には必ず麦芽と、日本国内で採取された水の使用
- 国内の蒸留所で蒸留
- 原酒は700リットル以下の木樽に詰めて、国内で3年以上貯蔵
- 日本国内で瓶詰めすること
という定義が2021年に定められました。
ウイスキーの選び方と期待できる売り上げ効果
アルコールメニューは、上手く活用すると、人件費率が低いためFL値(食材費と人件費)を下げて、顧客満足度と売上アップが期待できます。中でも、基本注ぐだけかソーダ割りくらいのウイスキーは、その筆頭格です。
原価率が高い代わりに出数が多い生ビールが、すべてハイボールに替われば原価率が10%程度は変わるのではないでしょうか。それはさすがに極論ですが、お店の業態やフードメニュー、コンセプトに合ったウイスキーがメニューにあれば、料理とのペアリングが可能です。料理に合わせてお酒をチョイスできれば、お客様は組み合わせを楽しみたくなりますから、1品ごとにお酒を1杯オーダーいただくことも可能になります。料理とのペアリングが難しい場合は、ウイスキーのストーリーを語る、またはメニュー表に語らせることで、興味を持ってもらいやすくなります。
注目しておきたいウイスキー
入手困難な人気銘柄は、入れておくだけで売れますが、それ頼りだと売上は仕入れに左右されてしまいます。品切れすることなく提供できて、かつ競合店との差別化を図るには、有名でなくても実力派のウイスキーをうまく活用しましょう。
万人ウケする、有名な輸入ウイスキーを活用すべし
「山崎」や「白州」「余市」「響」「イチローズモルト」などジャパニーズウイスキーの人気銘柄は、品薄状態が続いており、現在ではほとんど入手できません。ウイスキーを欠品なく常に安定提供するためには、メジャーな輸入ウイスキーを活用するべきでしょう。
※ご注文ボタンをクリックすると、飲食店様専用の注文サイト「カクヤスナビオンライン」へ移動します。
※「カクヤスナビオンライン」は当社配達エリア内の飲食店様がご利用いただけます。会員登録(登録無料)が必要です。
バーボンウイスキーのおすすめは、手作業の赤い封蝋が目印のクラフトウイスキー、「メーカーズマーク」です。バーボンの原料は、一般的にはライ麦ですが、独特なまろやかな旨みのために、冬小麦を使用しています。樽を焦がすチャー(火入れ)は、焼き過ぎる寸前のレベル3。貯蔵庫の上と下では温度が違い、熟成スピードが異なるため、定期的に貯蔵樽のローテーションを行っています。
容量:700ml
参考価格:2,990 円(税抜)
スコッチウイスキーなら鹿のラベルでお馴染み、スペイサイド地方ダフタウンの「グレンフィディック」です。年数表記がある中の「グレンフィディック 12年 スペシャルリザーブ 40度」は、希望小売価格は4,000円台。「山崎12年」と比べることで、その安さはご理解いただけるでしょう。2015年に「グレンリベット」に抜かれるまでは、シングルモルトウイスキーの売り上げ世界ナンバーワンでした。
容量:700ml
参考価格:4,450 円(税抜)
マイナーブランドでお客様に訴求しよう
ウイスキーに限りませんが、知名度はそれほど高くなくてもおいしいウイスキーはたくさん存在します。人気銘柄が手に入った時だけウイスキーをメニューに入れるのも一つの方法ではあります。ただ常に複数のウイスキーをメニューに用意しておいた方が、お客様の興味を喚起しやすいというメリットがあります。また値付けに敏感なお客様もおられますが、有名ブランドだと競合店との価格比較が簡単ですが、他店があまり置いていないマイナー銘柄なら、価格比較をされにくいという隠れたメリットもあります。
スコッチウイスキーなら、イタリアで人気ナンバーワンブランド、グレングラントの「グレングラント アルボラリス」。グレングラントは「マッカラン」や「グレンリベット」「ベンリアック」などと同じスペイサイド地方にある蒸留所です。日本酒に例えるなら、端麗辛口の人気の銘醸蔵がひしめき合う新潟県のようなイメージでしょうか。ウイスキーの価格高騰が続く中700mlで2,000円台。高品質ながら、リーズナブルな価格なのもたいへん魅力です。
容量:700ml
参考価格:2,460 円(税抜)
ウイスキーはどこで仕入れるのが良い?
ウイスキーの仕入れ方法には、様々なルートがあります。酒販店にも規模や特徴がありますし、それ以外も存在します。ただし、価格の安さだけで選んでしまうと、時に思わぬデメリットやリスクを抱えることになります。
仕入れ先ごとにメリット・デメリットがある
仕入れ先には、大きく分けて5つのルートがあります。①家族経営など町の小規模酒店、②大型量販店(ディスカウントショップ)、③酒販店の通信販売、④業務用酒販店、⑤個人間売買やオークションなどその他ルート。それぞれにメリット・デメリットがあります。
①の小規模酒店は、親身になって相談に乗ってくれる可能性がある反面、人気の銘柄は欲しくても入らないなど、規模的に仕入れられる銘柄に限界があります。②の大型量販店は、お酒の目利きができるなら特売の安い時に買えばお得です。ただ、全てのスタッフがお酒のプロとは限らないため、飲食店で売れるお酒の提案は期待できません。③の通販も②と同様です。知識があれば安く仕入れられることもありますが、向こうからの提案はありません。⑤のその他ルートは、掘り出し物がある反面、保存状態が悪いものや偽物も存在します。④業務用酒販店は別項目で詳しくご紹介いたします。
激安ルートは欠品・品質管理に注意
激安品にはもれなく激安の理由があります。特売用に数量限定で押えている場合は、継続的に仕入れられないくらいでまだ良い方です。ラベルや規格が変わる前の旧商品(型落ち品)の場合は、倒産処分品や野ざらしなど劣悪な保存状態で管理されていた可能性もあります。個人間売買やオークションの場合は、保存状態の悪さが原因のラベル破損やコルク劣化、液面低下、酷い場合は中身を安いウイスキーと入れ替えたイミテーションボトル(偽物)も存在します。
業務用酒販店から仕入れるメリット
餅は餅屋と言うようにお店でウイスキーを扱いたいと思ったら、飲食店向けに特化した業務用酒販店から仕入れると良いでしょう。在庫量が安定していたり買いに行かずともお店まで配送してくれたり、中には年中無休で配送してくれる業務用酒販店も存在します。自分にウィスキーについて知識がなくとも酒販店の担当営業から業態や地域特性に合わせた提案やアドバイスをうけられることもメリットの一つでしょう。もちろん偽物はありません。ウイスキーの仕入れは奥が深くて、安いものを仕入れたから原価率を下げられるとも限りません。仕入れ値だけでは判断できない、売れるボトルなのか、総合的な判断が必要なのです。
まとめ
ウイスキーは一部銘柄に人気が集中しがちです。でも実はお店の業態やメニュー、コンセプトや客層に合わせてセレクトすることで出数を安定させて、売上アップや原価率の低減、利益率の改善も期待できるアイテムなのです。ただ仕入れ先選びにはコツが要ります。
業務用酒販店であるカクヤスならば、仕入れは1本からでもOKのものも多く、365日配送可能です。飲食店様のご繁盛を支援する「飲食店お役立ちナビ」では、メルマガ会員様限定でお得な特別キャンペーンのご案内をしていたり、過去には稀少な限定ウイスキーの限定販売などもありました。会員登録は無料ですのでぜひこの機会にご登録ください。商品のお問い合わせや仕入れのご相談もお気軽にお待ちしております。
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