魅力を伝えてファンを増やそう!世界5大ウイスキーと国産クラフトウイスキー

ウイスキーをソーダで割った「ハイボール」が居酒屋の定番ドリンクとしてすっかり定着しました。ハイボール押しの居酒屋では、原酒のウイスキーを複数そろえて個性的な品揃えが人気のお店もちらほら。それにともなって原酒のウイスキーに注目する若い世代が増えつつあります。さらにウイスキーにもクラフトブームの波が近年トレンドとして注目されています。ウイスキーを基礎知識から学んで、あなたのお店でも存在価値を高め、ハイエンドな客層を掴んでいきましょう

ウイスキーってどんなお酒

ウイスキーの誕生には諸説あり、アイルランド説とスコットランド説が有力で、どちらも15世紀までさかのぼります。もともとは治療を目的として製造される「アクア・ヴィテ(命の水)」と呼ばれていたものが、15世紀ごろから飲用としての製造が認められるようになりました。

ウイスキーは麦やトウモロコシなどの穀物を原料とした蒸留酒(スピリッツ)の1つです。これらを原料にして作るお酒は他にもジンやウォッカ、焼酎などがありますが、これらのお酒は無色透明。一方ウイスキーは琥珀色です。この違いは樽熟成によるものから来ています。

蒸留前のウイスキーは透明で、いわゆるホワイト・スピリッツと呼ばれるもの。

それをホワイトオークの樽に入れ香味を与えていきます。樽熟成の間、空気と時間によってうっとりするような琥珀色に変化していくのです。じっくり寝かせることでまろやかな風味と香りを帯びていきます。

ちなみに熟成中のウイスキーは少しずつ空気中に蒸散していくので、原酒の時から年に1~数%減っていきます。この減った分を「天使の分け前」というのだとか。ちょっとした小話もウイスキーを美味しく飲むエッセンスとなります。

ウイスキーを語るうえで欠かせないのが「モルト」「グレーン」という言葉。それぞれの意味を知っておくと理解が深めやすくなりますよ。

モルトウイスキー

大麦麦芽を原料としたウイスキーのこと。製造工程上で大麦麦芽をいぶしながら乾燥させるため、スモーキーフレーバーを付けることができます。「加熱→蒸発→冷却」を2回繰り返す蒸留方法を行なうことで香気成分を良く含んだ状態になります。そのように蒸留したものをじっくりと熟成をさせるため、深くしっかりとした味わいになりやすいウイスキーです。

シングルモルト

「シングルモルト」という言葉が一般化していますが、これは大麦麦芽だけを使用し、単一の蒸留所で製造されたものを指します。

グレーンウイスキー

トウモロコシを主に原料としたウイスキー。蒸留方法はモルトウイスキーと異なり、冷却工程を挟まずに蒸発を繰り返して行ない、最後に冷却を行なう方法で高濃度のアルコールに凝縮させるため、やさしく個性がおとなしめの味に仕上がります。

一般的に市販のウイスキーは専門のブレンダーによって多種類のモルト原酒を混合し、そこにグレーン原酒と水をブレンドして再貯蔵した後、香味を落ち着かせて製品となって市場に流通しています。

ブランデーとは何が違うの?

ウイスキーもブランデーもどちらも琥珀色の液体で蒸留酒。違いは原料にあります。ブランデーの原料は主にぶどう。元々ワインを蒸留して作ったのがその起源です。現在はぶどうだけでなく、りんご、すもも、洋ナシなど様々な果実で作られており、コニャックやカルバドスなどもブランデーの一種です。

これを押さえれば大丈夫!世界5大ウイスキー

ウイスキーは欧米だけでなく、南米やアフリカ、オーストラリアなど作られていない大陸はないというほど世界中で親しまれています。その中でも下記の産地は世界5大ウイスキーと呼ばれていて、世界的に高い評価を得ています。日本で飲めるウイスキーの大半がこれらの産地のものですから、それぞれの特徴を覚えておくだけでも「ウイスキー通」に近づけます

1、スコッチウイスキー (イギリス・スコットランド)

独特のスモーキーさ、しっかりとした香味が特徴のスコッチウイスキー。スモーキーさや華やかさなど香りのバリエーションが豊富です。貯蔵期間は3年以上と決められています。モルトウイスキーとグレーンウイスキーの両方を製造。

2、アイリッシュウイスキー (アイルランド)

「ウイスキーの元祖」とも言われています。穀物のまろやかな香味があり、スモーキーさがない比較的ライトなウイスキーが多い。貯蔵期間が3年以上と決められています。

3、アメリカンウイスキー (アメリカ合衆国)

アメリカでウイスキー製造が始まったのは1600年代の前半ごろ、イギリスから来た移民がトウモロコシを原料に作り始めたと言われています。「バーボンウイスキー」を筆頭に香りが華やかで甘めのウイスキーです。他のウイスキーが新樽・中古樽・シェリー樽を使用するのに比べ、バーボンは内部を焦がした新樽を使用します。

4、カナディアンウイスキー (カナダ)

香りはが穏やかで味がふんわりと感じられるウイスキー。とうもろこしを主原料にして作ったベースウイスキーにライ麦や小麦の原酒をブレンドするのも特徴です。

アメリカより少し遅れて1600年代中頃からウイスキーの生産が始まったそうです。

5、ジャパニーズウイスキー

5大ウイスキー産地の中でもっとも歴史の浅い日本。その誕生エピソードはテレビドラマにもなりました。マイルドですっきりとした味わいのながらスモーキーさもほどよく感じられ、華やかな香りを含みます。スモーキーさをつけるためにピートを用いていますが、これはスコッチウイスキーとジャパニーズウイスキーに見られる製法です。

こだわりと個性に世界が注目する「クラフトウイスキー」

クラフトビールやクラフトコーラなど「クラフト○○」が話題となっている今、クラフトウイスキーにも注目が高まっています。ドイツのビール条例のような厳密な定義があるわけでなく、作り手の個性が表現されたアーティスティックなウイスキーを指します。

クラフトブームの発信源をたどるとアメリカ合衆国に行き着くことが多いのですが、クラフトウイスキーの源泉もやっぱりアメリカでした(笑)。

ブームの立役者と言われるシカゴのKOVAL蒸留所は2008年設立ですから、本格的な盛り上がりはまだまだこれから。それだけに今後のウイスキーシーンがどんな変化を見せるのか楽しみですね。

こうしたトレンドは日本にも広がり、若い世代を中心にファンが増えてきています。特徴的なのは、新しい造り手だけでなく、長年少量高品質を守ってきた老舗銘柄も同時に注目されていること。それだけ幅広い年代にアピールできそうです。

国産クラフトウイスキー  おすすめブランド

イチローズモルト (株式会社ベンチャーウイスキー)

「ワールド・ウイスキー・アワード」で受賞し、2017年には世界最高賞も受賞したことから世界的に認められたイチローズモルト。蒸留所をかまえたのが2007年と比較的新しいながらも輝かしい歴史を刻んでいます。その道には苦難も。廃業寸前となった状態から廃棄となりそうだったウイスキー原酒を守り、蒸留所を開設。本場スコットランドの技術を取り入れ現在まで発展させてきました。

初めてこちらのウイスキーを飲むなら「イチローズモルト モルト&グレーン ホワイトラベル」を。まろやかでふわっと香るやさしい甘さ。控えめながらも華やかな味わいは初めてウイスキーにトライする方にも好まれやすい一品です。

あかし (江井ヶ嶋酒造株式会社)

その名の通り、兵庫県明石市にある総合酒類メーカー。創業は1888年と歴史のある酒蔵で、日本酒や焼酎、ワインなど各種のお酒を製造している重鎮です。ウイスキー醸造の開始も1919年と100年を超える歴史を誇ります。英国産の麦芽を100%使用したスコッチタイプで、ロックやハイボールにぴったりのウイスキーです。

山桜 (笹の川酒造)

福島県にある東北唯一のウイスキーメーカーでウイスキーの製造は1946年から。現在はウイスキーの他に日本酒、焼酎(甲類・乙類)なども造っています。マイルドで飲みやすく、飲むたびに美味しく感じられるウイスキーです。

マルスウイスキー (本坊酒造株式会社)

その歴史は戦後間もない1949年から。高度経済成長期を経て、80年代の地ウイスキーブームの立役者の一人でもあります。マルス信州蒸留所は日本で一番高いところにある蒸留所。駒ヶ岳の厳しい自然環境と美味しい水がウイスキーを作り出しています。

マツイピュアモルトウイスキー倉吉 (松井酒造合名会社)

鳥取県の倉吉に位置する蒸留所。醸造元である松井酒造の創業は1910年ですが、ウイスキーの製造開始は2015年から。ニューフェイスながら、飲みごこちの良いマイルドな口当たりとすっきりした後味で急速にファンを増やしています。

国産クラフトウイスキー  商品一例

ドリンクメニューにさりげなくオンして

ハイエンドな客層をリピーターに

お店に「国産クラフトウイスキー」を導入することで、お酒に詳しいハイエンドな客層を取り込め、客単価をアップさせることができるのが最大のメリットです。ウイスキーは様々なお酒を嗜んできた40代以上のビジネスパーソンに好まれやすいお酒で、こだわりを持った大人が飲むことが多いもの。国産クラフトウイスキーが取り揃えてあるお店には自然とそのような客層が入りやすくなります

ロックだけでなくハイボールや水割りなど多様な飲み方があり、バリエーションを広げやすく、飲み方の提案もしやすいですね。

樽の大きさの違いや貯蔵場所によってその個性が異なるため、様々な蒸留所のウイスキーを取りそろえ、それをお客様に楽しんでいただくのも一興です。店員が説明をできるようにしたり、メニューにウイスキーごとの特徴を書くことで興味を持ってもらいやすい商品になりますよ。

国産クラフトウイスキーの仕入れ先は?

少量生産かつマニアックな国産クラフトウイスキーと聞くと「入手しづらい」「値段が高い」と思われがち。

なんでも酒やカクヤスなら、今話題の国産クラフトウイスキーを豊富にラインアップしています。価格はもちろんピンからキリまでありますが、低価格帯のアイテムにも個性豊かで高品質な物がたくさんありますから、ドリンクで差別化を図りたい、単価を上げたいというお店は導入する価値大です。

より幅広い年齢層の方におすすめのウイスキー。お店にトレンドの国産クラフトウイスキーを入れることで客単価をアップさせ、上質を求める新たな客層を取り込んではいかがでしょうか。

この記事を書いた人

さとう木誉(きよし)

外食ライター
都内在住。繁盛店取材だけでなく経営マネジメントに関する取材活動を中心とする。「月刊食堂」「外食レストラン新聞」「外食図鑑」といった専門媒体の他、食品商社や外食コンサルタント等の宣伝企画にも携わる。
好きな酒は熱燗。好きなツマミはガリ〆さば。

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20歳未満の飲酒は法律で禁止されています

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