貴腐ワインを仕入れよう！魅力や提供する際のポイント、おすすめ4選を紹介

ワインは、美味しい料理をよりいっそう引き立ててくれる、頼りになる存在です。
近年、ワインはフレンチやイタリアンだけでなく、繊細な和食の味を引き立てる飲み物として注目されるようになっており、寿司店などでも提供されるようになっています。そんなワイン激戦時代で勝ち抜いていくためには、提供するワインの種類にも幅をもたせるべきなのです。

そこでおすすめしたいのが「貴腐（きふ）ワイン」です。あまりワインに詳しくないという方でも、一度はその名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。
この記事では、貴腐ワインの魅力と提供する際のポイント、おすすめの貴腐ワイン4選をご紹介します。

ワインの渋みや酸味が苦手な方でも飲みやすく万人受けしますので、まだメニューに加えていないという飲食店経営者の方には、ぜひ取り入れていただきたいワインだといえます。とくに女性への受けがよいので、女性客を取り込みたい場合は要チェックです。

デザートワインの中でも格別な甘さと極上の風味をもつことでも知られている貴腐ワインは、香りもよく食後酒に最適です。世界中の甘口ワインの中でもとくに人気が高いといわれており、その独特な香りと甘さからワイン愛好家たちの間では「ワインの帝王」と呼ばれています。

ここでは、貴腐ワインについてあまり詳しくない方のために、通常のワインとは一味違う貴腐ワインの魅力についてご紹介します。

貴腐ワインは、17世紀のヨーロッパで生まれた極甘口の白ワインです。
一般的にはデザートワインに分類され、奥深い甘みと適度な酸味、複雑かつ芳醇な香りで胃を刺激して消化を促進させるだけでなく、美味しい料理の余韻を優雅に感じさせてくれます。

かつてフランスのルイ14世がトカイの貴腐ワインの味わいに感動し、「王者のワインにしてワインの王者」と評したことはよく知られています。フランス語では「POURRITURE NOBLE」と呼ばれ、直訳すると「高貴な腐敗」という意味です。
「腐敗」という言葉にはあまり良いイメージがありませんが、貴腐ワインは「貴腐菌」というカビの一種を特定のブドウ品種に付着させることで作られており、当然ながら人体へ悪影響をおよぼすことはありません。

貴腐ワインの代表的な産地は、フランスのソーテルヌ地区、ハンガリーのトカイ地方、ドイツのモーゼル地方です。特殊な条件が整っていないと生産できないため、結果的に生産地域も限定されています。
これらは世界三大貴腐ワインの産地として知られていますが、オーストラリアやチリなどでもリーズナブルなものが作られているので、予算などに合わせて仕入れるとよいでしょう。

貴腐ワインの最大の魅力は、琥珀色の美しい色合いに貴腐香と呼ばれる独特の香りやハチミツ、ドライフルーツを思わせるような味わいと甘みととろけるような舌触りですが、その甘さは一体どのように生まれるのかご存知ですか？

それは、原料として使用される「貴腐ブドウ」がポイントです。通常、ブドウに貴腐菌が付着すると、腐敗してしまい貴腐ブドウにはなりません。しかし成熟した「リースリング」や「セミヨン」といった特定のブドウ品種に貴腐菌が繁殖し、さらに特定の気象条件が揃ったときにのみ、貴腐ブドウに変貌します。

リースリングやセミヨンは、一般的な辛口ワインを造る際に使用されるブドウと同じもの。つまり、貴腐ワインの甘美の秘密は、収穫までの過程にあるということになります。
貴腐ブドウの収穫は、貴腐菌の力でブドウの皮にいくつもの穴が開き、水分が蒸発して干しブドウのようになってから行われます。ブドウから水分が蒸発し、糖分やその他の成分が凝縮した状態こそが、貴腐ブドウすなわち貴腐ワインの甘さの秘密なのです。

世界最高峰の高級甘口ワインと称される貴腐ワインは、その希少性の高さも魅力だといえます。
貴腐ブドウが育つ特定の条件は、非常に厳しいものです。貴腐菌は自然発生で生産が難しいため、毎年確実に造れるという保証もなく、搾汁できる果汁が極わずかな年も。

以下は、貴腐ブドウが育つ条件です。

上記のような特定の気象条件が揃ったときのみ、貴腐菌がブドウの皮に小さな穴を開けて水分を蒸発させ、貴腐ブドウの収穫が可能となります。
さらに腐敗したブドウの粒が混ざらないように選果を徹底せねばならず、途方もない手間を要することや、ブドウの水分を蒸発させてしまう分ひとつのブドウから得られる原料が少ないことなどが、貴腐ワインの希少性を高めています。

まとめると、ブドウに貴腐菌が付着すること、天候や湿度、気温が菌の発生と繁殖に適切であること、すべて手摘みであること、使用できる果汁が少ないことが貴腐ワインが高級だといわれる所以だといえるでしょう。

ちなみに、世界三大貴腐ワインに数えられるフランスのソーテルヌ地区のシャトー・ディケムでは、1本の木からグラス1杯分の原料しか得られないというほどです。

食前酒や食後酒として提供されることが多い貴腐ワイン。甘く芳醇な味わいで、料理の味を引き立ててくれるだけでなく、食後にゆっくりと飲んでいただくことで会話もさらに弾むでしょう。
とはいえ、飲食店で提供するのであれば、お客様に貴腐ワインの美味しさを最大限に味わっていただけるよう提供したいものです。そこでここでは貴腐ワインを提供する際に押さえておきたいポイントを3つご紹介します。

「グラスはワインを表現するスピーカー」というフィリップ・フォール・ブラックの言葉もあるほど、ワイングラスは重要なものです。
お客様に貴腐ワインの美味しさを最大限に味わっていただくためには、貴腐ワインならではの芳醇な香りを楽しめるように、甘口ワイン専用のワイングラスを準備しましょう。

おすすめは、小ぶりでボウル部分が小さいグラス。貴腐ワインだけでなく、甘口のワインではごく少量ずつ味わって飲むのが一般的です。お持ちでない場合は、今後のためにも思い切って購入されてもよいかもしれません。

なんでも酒やカクヤスが運営する飲食店お役立ちナビでは、グラスの仕入れやお店専用のグラス作成などの相談も承っておりますので、ぜひ参考になさってください。

貴腐ワインは、4〜8度の低めの温度で提供するのがおすすめです。糖度が高いので、適度に冷えていないと甘さがダレてしまい、酸味やフレッシュ感が味わえません。

逆に、キンキンに冷えていると貴腐ワイン特有の芳醇な香りまで閉じ込めてしまい、本来の良さを楽しめなくなってしまうので、提供する際の温度には十分配慮しましょう。

貴腐ワインは、食後にデザートとして単体で味わっても十分楽しめますが、お客さまにご注文いただいたときに、一緒にフードペアリングを提案すると新たな魅力を味わっていただけます。

まず、貴腐ワインとのフードペアリングで最初におすすめしたいのは、貴腐ワインの三大産地であるフランス料理のフォアグラです。
ワインのペアリングは産地の近いものを合わせるのも基本のひとつ。フォアグラ特有の香りと脂に、貴腐ワインは相性抜群です。ソースは、マルサラ酒やマディラ酒などの甘口のお酒をベースにしたものがよく合います。

フォアグラを使ったメニューが自店にある場合は、どちらかの注文を受けたときにペアリングを提案し、バイザグラスで提供するとよいでしょう。

他にも、貴腐ワインは以下のようなフードとのペアリングがおすすめです。

貴腐ワインとのペアリングでフォアグラの他に有名なのは、ブルーチーズです。ハチミツを垂らしたブルーチーズは、とくに相性がよいとされています。

上記では甘い食べ物を中心にご紹介しましたが、貴腐ワインは意外と辛口の食事に合わせても素晴らしいマリアージュを楽しめます。

自店に貴腐ワインに合うメニューがない場合は、これを機会にメニューに加えてみてはいかがでしょうか。

貴腐ワインは、手に入れるのが難しい希少性の高い白ワインです。ワインがお好きな方だけでなく、ワインが苦手な方でも飲みやすいので、ぜひともドリンクメニューに加えたいところ。

ここからは、おすすめの貴腐ワイン4選をご紹介します。

奇跡のような条件が揃い、はじめて完成する貴腐ワイン。貴腐ワインの魅力と提供する際のポイント、おすすめの貴腐ワイン4選をご紹介しましたが、参考になりましたでしょうか。

ワインを提供している飲食店も増えている昨今では、デザートワインとしてだけでなく、フォアグラなどのお料理とのマリアージュも楽しめる貴腐ワインで、他店との差をつけるのがおすすめです。
ワインの種類の幅を広げたい、貴腐ワインに興味のある飲食店経営者の方は、ぜひ本記事を参考になさってくださいね。

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