
甲類焼酎飲み比べ座談会!カクヤス営業スタッフと売れ筋、売り方、トレンドを考察しました

甲類焼酎は高粗利率!だからこその選定を
ホッピーや酎ハイ、サワーのベースとして使用されているお酒が甲類焼酎。完全に「脇役」的な位置づけのお酒ですが、近年のネオ大衆酒場ブーム、レモンサワーブームとともにその「脇役=甲類焼酎」にもこだわる飲食店が増えてきています。酎ハイ、サワーはアルコール商品の中でも粗利率が高く利益を出しやすいアイテム。少しでも多く売りたいと飲食店のみなさんも考えているかと思います。
そこで今回は飲食店に直接お酒を届けている酒販店、カクヤスの営業スタッフに集まっていただき、甲類焼酎のトレンドについてお話しを伺いました。
お店での銘柄選定、メニュー開発の参考になれば幸いです。
甲類焼酎飲み比べ座談会メンバーのご紹介

小川笑里さん
千駄ヶ谷・青山エリア担当営業。無類のビール好きだったのが、ダイエットをきっかけに糖質ゼロの甲類焼酎にチェンジ。見た目とはうらはら(?)に友達と呑むときは酔い潰れる前提で参加する猛者。

加藤 諒さん
祐天寺・自由が丘エリア担当営業。ソムリエ、ウイスキーエキスパート、ビアアドバイザー、日本酒きき酒師、焼酎きき酒師の資格を持つ理論派営業マン。見た目とはうらはら(?)に2人のお子様を持つ子煩悩パパ。

高山忠晴さん
町田・相模原エリア担当営業。日本酒きき酒師、焼酎きき酒師の有資格者。見た目とはうらはら(?)に、今年は尿酸値が過去最高を更新。数値拡大を防止するため、もっぱらホッピーを愛飲しているとか。

大野郁美さん
商品販促課にて、商品の提案や販促企画を担当。ワインエキスパート・エクセレンス、SAKE DIPLOMAの有資格者。見た目とはうらはら(?)に、バルでワインより串焼きを食べながら焼酎ボトルを空けるほうが好き。

八木 彰さん
営業企画課にて、営業スタッフの後方支援業務を担当。見た目とはうらはら(?)に焼酎は苦手でぜんぜん飲めないのだそう。今回の座談会で苦手意識を克服できるのか、メンバーの注目が集まる。
甲類焼酎の実力を飲み比べ!

今回試飲に選んだ商品は、キンミヤこと「亀甲宮 金宮 25°」「宝焼酎 25°」「白玉焼酎 25°」「SAZAN サザン 25°」「K-Price 甲焼酎 25°」の5品。 売れ筋、注目株、自社ブランドなどなど、選定理由はさまざまなラインアップ。価格も100ml単価で42円〜121円とけっこう幅があります。さて実際のところ、味や香りにどのような違いがあるのでしょうか。
1本目「亀甲宮 金宮 25°」

八木:
甲類焼酎の中では2位を大きく突き放してダントツ1位の人気ぶりです。キンミヤが脚光を浴び始めたのはここ7〜8年だよね。ネオ大衆酒場ブーム、レモンサワーブームをある意味けん引した感じです。
味、香りは「まろやかさ」が大きな特徴。醸造元の宮崎本店は三重県にありますが、仕込み水が鈴鹿山系の超軟水なのがまろやかさの理由だとか。味や香りで比較しづらい甲類焼酎の品質は仕込み水が決め手なのかも。

高山:

大野:
ラベルがお洒落で店に飾ると酒場の雰囲気が高まります。昔からある銘柄なのに、若者世代に絶大な支持を得た理由もそこじゃないかな。友達と呑みにいくとキンミヤのボトルを1本頼んでゆっくり呑むことが多いんです。他の銘柄のお店だとあまりやらない。
キンミヤで飲める店なら1杯が数十円高くてもそっちを選ぶという人も多い。あと「シャリキン」のイメージが強烈でした。シャリキンきっかけにキンミヤを知った若者は多いですね。

小川:
2本目「宝焼酎 25°」

小川:
宝焼酎というとチェーン居酒屋のイメージです。お父さんが飲んでいる銘柄というか。
20~30年前のチェーン居酒屋ブームとともに酎ハイ、サワーが広まったし、その頃の甲類焼酎といえば宝焼酎。若い世代がそう感じるのも不思議はないな。

八木:

大野:
原材料を見ると宝焼酎だけ大麦が使われています。だからでしょうか、比較的味にコクがありますね。複雑味を感じる。
サトウキビ糖蜜を原材料で連続式蒸留器機でつくった甲類焼酎と、トウモロコシと大麦を原材料に樽熟成をかけた焼酎をブレンドしているのが宝焼酎の特徴。これがオールドファンの心をとらえて離さない理由です。

加藤:


3本目「白玉焼酎 25°」

加藤:
醸造元の江井ヶ嶋酒造は「あかし」というクラフトウイスキーを製造していて、近年のクラフトウイスキーブームで脚光を浴びています。ウイスキー用の醸造設備を活用してつくったのが「白玉焼酎」です。
たしかに「ウイスキーの熟成前」のような味。今回試飲した中では辛口というかドライな印象ですね。割り材を加えても、個性が伝わりそう。デザインがお洒落だから飲食店の棚にあったら飲んでみたくなる。

大野:

高山:
クラフトウイスキー、クラフトジンもけっこう注目高まっているし、次はクラフト甲類焼酎が来るかもね。クラフト○○といえば高価格帯なイメージだけど白玉焼酎は100mlあたり86円とキンミヤより少し高い程度。これなら大衆酒場でも取り扱いやすいよね。
4本目「SAZAN サザン 25°」

大野:
本当はアサヒビールの「焼酎大五郎」を取り上げる予定だったんですが、急遽変更に。コロナ禍で政府が原料アルコールを消毒用に転用せよと要請しているので現在は休売になってしまったという。
そんな形で新型コロナ対策に貢献しているんですね。代わりにチョイスした「SAZAN」ですが焼酎っぽくないボトルですね。洋酒がメインのナイト業態のカウンターに飾ってもサマになりそう。

小川:

加藤:
メーカーはアサヒビールだけど、グループ会社のニッカウヰスキーの工場で造ってます。あの竹鶴政孝が日本に持ち込んだといわれる「カフェ式連続式蒸留機」で造った焼酎の高級ブランドという位置づけです。
そう聞くとクラフト感というかプレミアム感があるねぇ。今回選んだものの中では、アルコール感や飲み口がいちばん軽い。プレミアム焼酎らしい上品さというか、焼酎が苦手は私でもすいすい飲める(笑)。

八木:
5本目「K-Price 甲焼酎 25°」

高山:
売りはコスパの高さ。100mlあたり42円と他社より2〜3割以上安い計算です。ボトルのデザインもザ・業務用という感じ。
安かろう悪かろうと思われそうですが(笑)、他社製品と比べても味や香りで劣っているという感じはしないですよ。

小川:

加藤:
飲み放題の飲食店や宴会場、中華料理店などから特にご高評いただいてます。酒場業態となるとアルコールに売りがないといけませんが、アルコールメインではない業態では「安くておいしければ、銘柄は何でもいい」という客層がボリュームゾーンなのは事実ですね。
試飲した甲類焼酎の特徴一覧
亀甲宮焼酎 | 宝焼酎 | 白玉焼酎 | SAZAN | K-Price 甲焼酎 | |
---|---|---|---|---|---|
サイズ | 600ml | 600ml | 720ml | 700ml | 4L |
参考価格(税抜) | 525円 | 526円 | 643円 | 920円 | 2,040円 |
100ml当たりの価格 | 87.5円 | 87.7円 | 89.3円 | 131.4円 | 51円 |
原材料 | サトウキビ糖蜜 | サトウキビ糖蜜、トウモロコシ、大麦 | サトウキビ糖蜜 | 糖蜜、トウモロコシ | 糖蜜 |
ブランド力 | 酒場の新定番 | 老舗のこだわり | クラフト感、トレンド | 高級感 | 高コスパ |
味の特徴 | まろやか、飲みやすい | 熟成感、複雑味 | ドライ(辛口)、複雑味 | スムース、すっきり | クセがない |
主な支持層 | 20~40代 | 40代~70代 | 流行好き、情報通 | 30代~50代 | 特になし |
※度数はすべて25°で統一
甲類焼酎のトレンドを検証
後半は甲類焼酎の試飲をもとに、酒場や甲類焼酎(酎ハイ・サワー)のトレンド動向について話題が広がりました。今後のアルコールメニューづくりの参考になるトピックも多く出ました。
1. 甲類焼酎もブランドの時代へ?


高山:
「キンミヤ」の大ヒットをきっかけに、甲類焼酎のブランドをチェックする人が増えてきています。銘柄選びで個性を打ち出すことで「わかってる店」と認知されて店の格が上がるようになりました。
安価な焼酎を使った酎ハイカテゴリと、キンミヤを使ったカテゴリを別々に表示している飲食店もあります。100~200円高くても「やっぱりキンミヤだよね」と支持されてました。銘柄で価格を変えて売ると価値も利益率も上がります。

大野:

加藤:
「白玉焼酎」のように小規模でクラフト感をアピールできるものに注目が集まりそう。キンミヤを提供する酒場があちこちに増えたこともあって、東京ではそろそろ飽和状態。アルコールで差別化したい酒場が「ポストキンミヤ」として店の顔になる銘柄を探し始めてる。
2. レモンサワーの次に流行るドリンクは何?


高山:
以前はデザート代わりみたいに甘いシロップを使う酎ハイ・サワーが多かった。でも今は食事との相性を考えたさっぱり味が主流になっていると感じますね。「とりあえず生(ビール)」というお客様はだいぶ減り、一杯目から酎ハイ・サワーやハイボールというお客様が主流になっています。
お茶割りのバリエーションが増えているよね。わかりやすい事例では近年「午後の紅茶 無糖」が酒場などアルコール業態で売れています。お茶はアルコールで売れなくてもソフトドリンクで使えるからロスにならないのもいいよね。

八木:

大野:
最近は、ほうじ茶やジャスミン茶のような少しニッチなお茶に人気が高まっていますね。ルピシアなど茶葉専門店のお茶を使ったり、京都の老舗茶葉店の抹茶を使って提供している酒場をよく見かけるようになりました。
個人的には果実酢を使ったビネガーサワーにも注目したい。またミツカンさんも「ポン酢サワー」を仕掛けていますが、他メーカーさんも商品化しています。家庭用だけど「美酢(ミチョ)」という韓国の果実酢を使ったビネガーサワーが話題になっていて、韓国料理を好きな女性は多いからSNS経由で広がるかも。

加藤:

小川:
私が気になるのはメロンなどフルーツ味のサワーにバニラアイスを盛り付けた「クリームソーダサワー」。レトロな喫茶店ドリンクをサワーにアレンジしたものですが、SNS映えして女性に人気らしいですよ。立て続けに2店も見つけてビックリしました。
3. ヘルシーさのアピールはお客に刺さる?


小川:
ヘルシーさをもっとアピールしてもいいのでは?思ってるほど消費者に伝わっていないと感じます。メニューを選ぶ時に「糖質ゼロ」「プリン体ゼロ」と書いてあるだけで「そうだよね」と注文する動機づけになる。
女性も男性も健康意識の高い人が増えていることは間違いない。これにダイエット中の人も加えると相当な数になります。そうした人たちだってやっぱりお酒を飲む時があるから、ヘルシーさを打ち出せば反応はあると思う。トクホ商品を使った「黒ウーロン茶ハイ」なんか好事例だね。

八木:
銘柄の選定や、メニュー作成についてなんでも相談できる!
いかがでしたでしょうか?甲類焼酎は原価もメニューバリエーションも工夫次第でコントロールできる優れもの。加えて銘柄のブランド力も活用できれば集客効果もアップします。「安い」以外のメリットが増えてきた甲類焼酎を活かしたドリンクメニューの活性化にぜひお役立て下さい。
ピンクの看板が目印の酒屋、カクヤスでは、エリアごとに専任の営業スタッフがいて飲食店のサポートをしているとのこと。エリアごとの特色や、流行の最先端を知っている酒屋さんは、実は一番の情報源になるのかもしれません。お酒の仕入れやドリンクメニューについて、質問やお困りごとがあったら一度相談してみるのもおススメです。
飲食店への配達エリアはコチラからご確認ください。
この記事を書いた人

さとう木誉(きよし)
外食ライター
都内在住。繁盛店取材だけでなく経営マネジメントに関する取材活動を中心とする。「月刊食堂」「外食レストラン新聞」「外食図鑑」といった専門媒体の他、食品商社や外食コンサルタント等の宣伝企画にも携わる。
好きな酒は熱燗。好きなツマミはガリ〆さば。
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